まず、comScoreの9月27日のデータだが、これは米国内のみのストリーミングビデオサイトのデータだ。それによれば、今年7月、合計で
- 1億人以上の米インターネットユーザがビデオを視聴し、
- 合計71.8億ストリーム、67.4ストリーム@人
- 3,790万人のストリーマーを集めたYahoo!がトップ
- 3,740万人のMySpaceが続き、
- 3,050万人のYouTubeが3位だとしている。
- 15億弱のストリームを提供したMySpaceがトップ、
- 8億強のYahoo!が2位、
- 6.5億のYouTubeが3位だとしている。
しかし、Hitwiseの各サイトごとのユニークビジターのシェアデータ、週ごとの各サイトへのユニークビジター数の全カテゴリに対するマーケットシェアを見ると、8月5日の週、(Hitwiseのデータは注釈なしのため全世界と仮定)
- YouTubeは0.25%、
- MySpaceが0.13%、
- Googleが0.054%、
- Yahoo!が0.034%のシェアとなっている。
comScoreが全米のみ、Hitwiseが全世界(仮定)というデータを単純比較すると、
- 米国内のユニークユーザ数はYahoo!、MySpace、YouTubeの順
- 全世界のユニークユーザ数はYouTube、MySpace、Google、Yahoo!の順
- 米国内で力を持つYahoo!、世界で力を持つYouTubeとMySpace
- YouTubeは世界でダントツの集客力を持ったビデオ共有サイト
そこに、YouTubeに関してだけだが、comScoreから新しく世界と米国の比較データが出た。10月11日のcomSocreのデータによれば、今年7月のYouTubeはユニークビジターを
- 米 国 1,608万人(平均158.6万人@日)
- 全世界 6,341万人(同620.5万人@日)
- 米 国 6.49億回(平均2,100万回@日)
- 全世界 29.75億回(同9,600万回@日)
Source:comScore / Press Release (Oct 11)
やはり、YouTubeが、ユーザ数、ストリーム数のいずれでも世界で最大のビデオ共有サイトということになる。
さて、Hitwiseのグラフが示すようにYouTubeが他サイトを尻目に、急激な右肩上がりを続ける原因は、ユーザ数で75%、ストリーム数で78%を占める全世界のユーザにあるのは明らかだ。当然ながら、面白ビデオ、人気TV番組や音楽、ビデオクリップなど、非英語圏ユーザでも障害なしに楽しめ、かつ、自身のクリップをアップでき、他のユーザと共有できるというメカニズムが全世界からユーザを集めているのは確かだ。
しかし、月間で米国以外から4,700万人ものユーザは、どうやってYouTubeを知り、やってきたのか?YouTubeが告知キャンペーンなど実施したためしはなく、既存メディア、Webメディアでの紹介があったとしてもこれほどの短期間でトップサイトとなりえたのは何が原因なのだろう?
それは、「Infection(感染)」、「Epidemic(地方流行)」、そして「Pandemic(感染爆発)」フローだ。
Infectionをデジタルイノベーター、Epidemicをアーリーアダプター、そしてPandemicをアーリーマジョリティ+レイトマジョリティとすれば分かり易い。
ユーザがコンテンツを創造し、それを共有、転送といった初期感染が米国内で始まり、Email、Chat、Blogなどで海外へ流出。各国でも初期感染が発生し、その後、各国で地方流行が発生。そして、既存メディア、Webメディアでの紹介も合わさって、最終的な感染爆発へとつながってゆく。
米国のデジタルイノベーターが感染し、国内アーリーアダプター層への散発的な地方流行へつながる。平行して、各国のデジタルイノベーターにも感染したウィルスは、各国のアーリーアダプター層へ広がっていく。そして、アーリーマジョリティとレイトマジョリティが殺到する全世界的な感染爆発が起こる。
SNS、Blogが有効に機能するこのフローは確立しつつあるため、初期段階で必要だった既存メディアの介在は不要となってきている。逆に既存メディアがSNS、Blogを参照する機会も増え、自社のWebサイトにSNS、Blog風機能を追加し、このフローに後れをとらないよう努力している。
このフローが機能することで、ユーザ、消費者はBlogやコミュニティサイトが最新情報のソースであり、TV・新聞などが報道しない情報の窓口であることを知ってしまった。米国だけではなく、世界中のインターネットユーザはまったく新しいメディアを自らが獲得したことを知ってしまった。加えて、このフローは、コンテンツの作り手、流し手、受け手のすべてが一般ユーザ、消費者だということを意味する。このフローに乗らない限り、あるいは参加させてもらえない限り、HipでCoolな仲間入りをさせてもらえない。今まで、メディアを支配し、情報を垂れ流してきたブランドによる消費者支配に陰りがさしてきた。
そのため、企業側の意識が変わってきている。それが明らかにされた第96回ANA (Association of National Advertisers) 年次総会での内容を伝えるNYTの記事を次回紹介する。
0 件のコメント:
コメントを投稿