2007/01/08

Google Print Ad and Beyond

昨年11月からテストが開始されていたGoogleの新聞広告販売プログラムだが、うまく行っているようだ。66新聞と100広告主で開始されたテストプログラムは期待(目標)の3倍に達し、プログラムに参加している中のトップ5新聞は毎週、数件の入札があるようだ。

Googleは今年が転機となり、新聞へまったく新しいクラスの広告主を招き入れると話している。
NYTなども、「新しい広告主がNYTおよび印刷メディアを体験するまたとない機会」だとして、中小の広告主から新しいビジネスを受け入れる可能性を示唆している。しかし、「ただし、今まで直取引をしている大企業広告主に門戸を広げるつもりはない。プログラムがうまく運べば、アップセルを目指すし、より大きなプログラムへ移行させ、紙面のよりよい場所へ移し、Googleプログラムから脱却させるつもりだ。Googleにはこの話を正直にしている」という。

Googleの新聞プロジェクトは、既成メディアの広告取引を変換させる大きな取り組みの一部を構成し、新聞のほかに、ラジオ、雑誌などもトライしているし、TV広告にも興味を示している。

ある意味で、Googleがやろうとしていることは、新聞の売れていない紙面を買い取り、駆け込み客に売るという、何年も行われてきたブローカーや代理店の仕事と似ている。新聞の場合、Googleは色刷りや全面広告ではなく小さなディスプレー広告だけを売っている。時には小さな広告をまとめて大きなスペースとして売っているが、読者の目にはGoogleがその広告を売っていることは分からない。

Googleが抱えるオンライン広告主の大半は、今まで新聞広告を実施したことはなかったが、クリック入札でそれができるようになる。

Source:Washington Post / Google Set To Expand Newspaper Ad Program
Source:MediaPost / Google Extends Newspaper Program
Source:MediaBuyerPlanner / Googles Print Initiative Soars, Set to Expand

まず、Googleがメディアレップとして機能すると中小広告代理店のメディアバイイングをスキップする可能性がある。また、参考のように、広告全般を取り仕切るOSとして機能し始めると、Googleを使っている広告主はクロスメディアミックスが可能となり、中小広告代理店はクリエイティブ作成だけの機能へ追いやられる可能性がある。加えて、うわさのようにFortune 1000を対象としたディスプレー広告を始められると今度は中堅・大手広告代理店のメディア予算も侵食されることになる。そうなると広告代理店の生き残り策として、UGVMやDPPMといったマーケティング技術を持つ新しい広告代理店2.0部門が必要になるのかもしれない。

ただし、本当にそこまでの流れになるのだろうか?

参考:Google... the OS for Advertising
参考:MarketingVox / 'Secrect' Google Display Advertising Nework Rumored
参考:The Agency's Role in New Media

Washington Postによれば、Googleを使ってきた広告主は今まで新聞広告を出したことのなかった中小企業、零細企業、SOHO、個人だということになる。ロングテールに陽の光をあてるGoogleの検索エンジンにぶら下がるこれら広告主は、通常の大企業が行うメディア露出に必要な予算はない。それだからこその検索エンジンによるコンタクトポイント獲得なわけだ。

AlexaのBlogが言うようにロングテールは、超ローーーーングテールであり、そこから這い上がってくるのは大変なことだ。これら広告主が既成メディアへ露出することができる確率は非常に低い。しかもNYTのようにもし広告主が育ってくればGoogleとは手を切らせて囲い込もうとするのが既成メディアだ。簡単にメディアレップとして機能できるわけではない。ただし、それに手をこまねいているGoogleではないからこそのうわさなのだろう。

ところで、MarketWatchによれば年間に400万~1,0000万㌦を検索広告に投下してきた中規模の広告主がGoogleへの予算を削減する方向だという。キーワード価格の上昇、ROI低下、クリック詐欺など、どれをとっても広告主が耐えられる限界を超えつつあるのも現実だ。

Source:MarketWatch / Some Google advertisers cutting spending

超ロングテールビジネスの限界を見据え、クロスメディア向けメディアレップ機能や、Fortune1000を対象とするディスプレー広告で乗り越えようとするGoogleの戦略ではないのだろうか。うわさが事実となるとき、代理店の真価が問われるような気がする。

参考:Alexa / Traffic on the Long... Long... Tail...

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