これらの広告をクリックすると、Shellは本社Webサイトの企業広告セクション内の「気候変動に対して」というセクションにリンクされ、Exxonも企業セクションのトップにリンクスペースが設けられている。ExxonはUSとGlobalごとに、それぞれで推進するプロジェクトを紹介している。Shellは以前、Global Campaign by Shellで紹介したように2005年からこの種、企業広告を推進している。
参考:Shell / Addressing climate change
参考:Exxon / Corporate (トップの画像)
参考:Global Campaign by Shell
これらオンライン広告が米国トップの新聞・ニュースサイトに掲出されている。何度も取り上げているが、comScoreのデータによれば米国トップ25Webサイト中、14サイトは海外のユニークユーザ数、比率、ページビュー比率が米国からのものを大きく上回っている。サイトによっては60%、70%を超えている例もある。実質的に米国ユーザより、海外ユーザのほうが米国トップサイトへアクセスしている。
それは何故だろう?
自国の新聞・ニュースサイトのコンテンツが足りないこともあるだろうが、英語さえ理解できれば米国、あるいは世界トップの新聞・ニュースサイトの記事が読めるわけだ。世界中に張り巡らせた取材網を駆使した報道のクオリティを必要とする世界中のインターネットユーザがアクセスしているし、また、音楽、映画、ビデオといった世界中のユーザが期待する最新情報も米国サイトから発信されているからだ。
参考:Global Online Marketing and Branding Avilable
Shell、Exxonが掲出しているサイトはこのトップ25Webサイトの中でも新聞やニュースサイトが中心となっているようだ。ということは気候変動、環境保護、エネルギー供給、低排出ガスに関する企業の取り組み、姿勢を訴えるShell、Exxonの企業広告は世界中から米国トップの新聞やニュースサイトへアクセスするインターネットユーザに露出されていることになる。
これによって
- 欧米企業は意図することなく
- 米国(英語)トップの新聞・ニュースサイトへアクセスする
- ビジネスなどで米国の政治・経済情報を必要とする
- 英語+非英語圏のクオリティユーザに露出することになる
- また、広報面でも文字情報だけではなく、
- ストリーミング
- Podcast
- RSS配信
- del.icio.us/diggへのリンクボタン
- 転送ボタン
- トラックバック
- コメント欄まで供えたフォーマットを利用しているため
- オンラインユーザにE-PRとして消費、共有、転送、再構築してもらうことができる
- 加えて、CEOおよび様々なレベルの企業Blogからの露出もあるため
- トップダウンのマーケティングだけではなく
- ボトムアップのマーケティングも活用されていることで
- グローバルなオンラインのブランディングができている。
- 本社からのオンラインブランディング広告は皆無に等しいため
- 欧米企業とのオンライン露出ギャップが拡大中で
- 既成メディアへの露出ギャップとあわせて増大中
- 上記クオリティユーザへの露出ギャップが拡大中
- また、海外広報実態も文字情報ベースのものが多く
- E-Press Releaseへの取り組みも遅れているため
- グローバルなオンラインユーザに消費、共有、転送してもらう情報配信が不足している
- 米国子会社からのオンライン広告は販売促進、トラフィック誘導が中心となっているため
- 日本本社のブランディングを代替するものではなく
- 企業としての質、そして量的なオンラインのブランド露出が不足している
参考:Sun CEO's Blog
日本本社Webサイトから提供しているグローバルセクション、あるいは英語セクションが日本在住の外国人向けのコンテンツでしかなく、世界中のステークホルダーへ訴えかけるべき内容がないのであれば、また、グローバルセクションへ世界からのトラフィック誘導を目的としていないのであれば、グローバルセクション、あるいは英語セクションの意味はない。
しかし、それらが世界中のインターネットユーザ、世界中のステークホルダーに提供すべきコンテンツを有しているのなら、積極的な露出、トラフィック誘導、そして、各地域・国のローカルWebサイトへのダウンリンクを戦略として構築するべきだろう。
意図せずにグローバルなオンラインブランディングが行えてしまう欧米企業と比べ、言語的にも、コンテンツ的にも露出量が劣る日本のグローバル企業は、本社から積極的にオンライン露出とブランディングを行わない限り、既存の露出ギャップを埋めることはできないし、ギャップが拡大してゆくだけだ。また、CSRマーケティングなどを積極的に取り入れようとしている欧米企業とも質的なギャップが拡大してゆく。
参考:Global Compact and ISO 26000 (CSR)
約11憶に達するインターネットユーザ、すなわち世界中のステークホルダーに対するオンライン露出戦略、ブランディング戦略を構築することなしに、グローバル戦略はありえない。
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