ただし、Steve Yelvingtonは同日のBlogで、WSJ.comの無料化に関して根も葉もない噂が流れていると書き、NYPostの上記記事についても「数週間前にも同様の記事が出てなかったかな?」と書いている。そして彼はVSS (Veronis Suhler Stevenson) から出た新しいフォーキャストに言及している。
VSSによると:
- 2001年から2006年までの間に、コミュニケーション支出は年率5.9%で8,852億㌦に達した
- 2006年消費者のメディア利用は0.6%ダウンしたが消費時間は3.2%アップ
- 2007年のコミュニケーション支出は6.4%増、2008年に1兆㌦へ。2006年から2011年まで年率6.7%増と予想
- 2011年インターネット広告は最大の広告セグメントとなり、新聞広告を上回る
ただし、無料のMarketwatch.comを子会社として持つWSJ.comにまで意味がないとは言い切れないようだ。
Source:CyberJournalist / The End of Paid Content
Source:New York Post / TIMESSELECT CONTENT FREED
Source :Yelvington / The death of paid content
Source:Veronis Suhler Stevenson / Forecast
NYTimes.comのTimesSelectが無料になるにしても実施までに数ヶ月はかかるだろう。確か2年前にNYTimes.comが刷新された時にあわせてTimesSelectは有料化されていた。その時も社内調整などで少なくとも3ヶ月は掛かっていたはずだ。もし数週間前のNYPostの憶測記事が正しいとしてもスタートは10月くらいではないだろうか?
それは単にTimesSelectだけの無料化にはならないからだ。単純な無料化で誘引・増加可能なユーザ数と、それに伴うPV、出稿増だけで決断に至るのは意味がないし、メリットが最大化できない。筆者の勝手な想像だが、RSSフィードへの広告掲載、本サイト内へのアドバトリアル(記事広告)の提供などを予定しているのではないだろうか?また、WSJ.comでよくHPなどがやっている有料記事を期間限定で無料化するスポンサーを募るパターンを検討しているのかもしれない。
あと4年で新聞広告をインターネットが抜くかどうかは分からないが、その差が縮まっていることは確かだろう。ただし、NYTでも現在10%を超えたくらいだ。4年後ではなく、たった今、新聞側はとにかくWebサイトのUA (Unique Audience)、 PVを増やし、広告費を稼ぎたいところだ。そのためにユーザを惹き付ける目玉になるコラム、特集が必要だ。これらは自社内のリソースを活用しなければならないが、アドバトリアルは違う。完全にコンテンツをクライアント・広告代理店からもらうケースよりも、コンテンツ制作の最初からタッチしなければならないケースの方が多いだろうけれど、リソース利用の比重は軽い。またクライアント・広告代理店側のプロモーションによる付加アクセスも期待でき、それを別セクションへ流入させることができればアドバトリアル+αが期待できる。これに加え、RSSフィードへの広告掲載、TimesSelectを期間限定で無料化するスポンサー契約なども加えた総掛かりのビジネスモデル再構築が行われているのだろう。
その際、忘れてならないのはナショナルニュースペーパーとなるのか、それともグローバルニュースペーパーとなるかの決断だ。以前書いたエントリにあるように、全世界からのアクセスを獲得しながら、国内の読者・ユーザ・広告主・代理店にしかアプローチしていない島国根性は捨てたほうが良い。インターネットがどういうメディアであるのか、NYTimes.comがどういうサイトとして世界のユーザから見られているのか、そしてメディアとしてどのように活用できるのかを考えるべきだろう。
参考:Global Online Marketing and Branding Available (Online Ad)
0 件のコメント:
コメントを投稿