それは米国のトップ25Webサイトの半数以上、14サイトへのトラフィックは米国よりも、それ以外の世界中からのアクセスが多いというデータだ。
comScore EuropeのBog Ivinsは、「過去10年間にオンライン人口の米国比率は65%から25%にまで下がってきた」、「Google、Yahoo!、Microsoftへアクセスする四分の三以上のトラフィックは米国外からのもので、インターネットが本当にグローバルなメディアとなった証拠だ」と語っている。
comScoreは、米国以外からのユニクビジター比率からすると、米国以外のページビュー比率が低いことから、米国ユーザのEngagementがより高いと判断している。
また、例外として2サイトを挙げている。
- Googleは、非米国ユーザが79.8%のトラフィックを生成しているが、ページビューはそれよりも高い89.1%となっていることで、世界的に沢山の検索が行われている
- Lycosは、非米国ユーザが39.4%にしかすぎないにもかかわらず、ページビューは73.3%という不釣合いなほどの高率となっている
(注:Time WarnerにはAOL、CNNなどが、NYTにはNYT、About.comなどが含まれる)
Source:comScore
さて、このデータが意味するのは;
- 米国・英語のトップサイトは世界からアクセスを獲得する
- コンテンツが国内向けのサイトは非米国ユーザ比率は低い(Verizon、Weather Channel、AT&T、CBS、United Online、Wal-Mat、Bank of America、Target)
- コンテンツがグローバルなサイトは非米国ユーザ比率が高い(Yahoo!、MS、Google、eBay、Amazon、Wikipedia、Apple、CNET、Adobe、Monster)
- 10億を超えるインターネットユーザの70%を占める非英語圏ユーザは、最新情報・ニュース・コンテンツを求めてトップクオリティサイトへアクセスする
データの解釈を進めると、これは自国のWebサイトは提供しないが、必要とするクオリティの高いコンテンツを提供する海外(米国・英語)サイトへは世界中のユーザがアクセスするということだ。ということはWebサイトばかりではなく、Blogについても当てはまるということだ。
自国の既成メディアやWebサイトも提供し得ない、最新情報・ニュース・コンテンツを提供する高いクオリティのBlogは数多く存在する。Technoratiで最もリンクされているBlogのトップにEngadgetがある。Engadgetには26,336Blogサイトから251,221個のリンクがある。このリンクをざっと見ても仏・伊・西・露語などが見える。それだけEngadgetにアクセスしている非英語圏ユーザがいるということだ。これはEngadgetに限っただけの話ではない。Gizmodo、Techcrunch、Daily Kos、PostSecret、Gawkerなど、他のクオリティBlogにも同じことが言える。
英語・非英語圏ユーザを問わず、クオリティコンテンツを提供する米国・英語のトップWeb・Blogサイトへアクセスするということは、これらサイトはグローバルなリーチを持つということだ。このようなグローバルアクセスを獲得するWeb・Blogサイトを活用することでグローバルなオンラインブランディング、マーケティングが可能となる。
しかし、ここで考えるべきことがある。それは;
- これらWeb・Blogサイトが米国のサイトであることから、米国ベースのグローバル企業は意図せず、国内向けマーケティングとグローバルなオンラインブランディング・マーケティングが平行して可能だが、
- 日本、欧州のグローバル企業は米国子会社が米国での販売・マーケティングを担当するが、事業・販売領域を超えてまでのマーケティングは行わないし、その予算、権限も与えられてはいない。
- 日本・欧州のグローバル企業本社は、パン媒体を利用したパンヨーロッパ、パンアジアといった地域限定のマーケティング・販促はするが、
- 事業規模の大きい米国子会社の頭越えとも取られる米国媒体を使ったマーケティングに及び腰だ。
反面、日・欧のグローバル企業は膨大なオンライン露出ギャップを解消することもなく、グローバルなオンラインでのブランディングからも引き離されていく。
- また、Web・Blogを問わず、米国・英語トップサイトへアクセスする非英語ユーザはデジタルイノベーター、アーリーアダプターといえる。彼らは最新情報・ニュース・コンテンツを国内に持ち込み、国内向けにローカライズする。
- このローカライズされたコンテンツによって運ばれるブランド情報が非英語圏であっても国内ユーザに浸透、波及してゆくことになる。
- このことからテリトリを限定したマーケティングはボーダレスのインターネット時代にそぐわない。少なくともグローバルなブランディングでは、逆にデメリットとなる。
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