2009/07/16

How Teenagers Consume Media

Morgan Stanleyの欧州メディアアナリストが、Matthew Robsonに「友人たちのメディア利用」をレポートするように言い渡した。そして彼のレポートは、「今まで見た中で最も明確で最も示唆に富む考察のひとつ」だと判断され、公開されている。

Source:FT.com / Note by 'teenage scribbler' cause sensation
Source:FT.com Morgan Stanley / How Teenagers Consume Media (pdf)

直接、内容をご覧になりたい方は下をどうぞ。
How Teenagers Consume Media

ここで驚かされるのは、Matthew Robsonは15歳と7か月でロンドンの学校に通っているMorgan Stanleyのインターンだということだ。そして、彼がレポートする10代のメディア利用状況は、業界関係者を驚かせている。
Teenagers watching TV
特に、10代のTwitter利用に関して各メディアが伝えている。

Source:TechCrunch / Why Teens Aren’t Using Twitter: It Doesn’t Feel Safe
Source:Guardian / Twitter is not for teens
Source:Bloomberg / Morgan Stanley Intern Says Teens Don’t Twitter, Prefer Events

Robsonは、「ティーンエイジャーはTwitterを使わない。多くはサービスに登録しているが、そのままにしておくだけだ(携帯からTwitterを使うとお金がかかるので、お金を使うくらいなら友人にSMSする)。加えて、自分のプロファイルを誰も見ないので、Tweetする意味がない」と書いている。

また、「バイラル・屋外マーケティング」の節で、「ティーンエイジャーは、Webサイトの広告(ポップアップ、バナー広告など)を、まったく目障りで、意味がないとみなしている。それは広告に注意を払ったことがないし、誰もついていかないネガティブな光のもとに照らし出されているからだ」と書いている。

彼を含むティーンエイジャーが熱中しているのは、何をおいても携帯だし、タッチスクリーンだし、ゲームだし、Facebookだし、音楽だし、お金のかからないものだ。そういったティーンエイジャーからすると、お金やクレジットカードがあるデモグラフィックス層にターゲットされている製品、サービス、広告は、トンチンカンな、KYなものということになる。

それからすると、Morgan Stanleyのヨーロッパメディアチームのエグゼクティブ・ディレクター、Edward Hill-Woodが、「今まで見た中で最も明確で最も示唆に富む考察のひとつ」だと判断し、公開したというのも、ちょっとトンチンカンだし、「TV、ラジオ、新聞といったレガシーメディアは地盤を失っている」と判断するのはもっとトンチンカンだ。

このレポートは15歳の子供が作成したという驚きがメディア、広告業界を駆け巡った理由だろうが、その15歳というデモグラフィックスを見落としているメディア、広告業界の底の浅さにがっかりする。Twitterがどうしたこうしたということでメディアや広告業界が騒ぐべきことではない。

もっと注目すべきことは別にある。

それは、この15歳7か月の彼の周りにあるのは、インターネット、携帯、PC、オンラインラジオ、BBC iPlayer、Virgin Media、YouTube、ゲーム(コンソール、PC)、Google、eBay、Facebook、iTunes、iPodだということだ。レガシーメディアの新聞、TV、ラジオ、屋外広告、映画などもあるが、彼らの日常生活の中心に来ることはない。

日常生活の中心に来るのは、すべてデジタル関連、デジタルコンテンツ、デジタルコミュニケーションなのだ。

カンヌでMSのCEO、Steve Ballmerが、「消費者は10年以内にデジタルプラットフォームを通して、すべてのメディアにアクセスするようになる。ということは、オンラインとオフラインのコンテンツプロバイダーは、迅速に変化する状況に適合してゆく必要がある」。また、「スタティックなコンテンツは将来まで生き残れないから新聞、雑誌、そしてTV番組といったレガシーコンテンツは、すべてオンラインになる」と語っている。

Source:WARC / All media is going digital, says Ballmer

Ballmerが言わんとしているのは、例えば60歳以上でデジタルに対応できないデモグラフィックスが企業の訴求対象から退場するのに10年という期間がかかるということだ。10年目にすべてがデジタル化されるのではなく、スタティックコンテンツが退場するまでに10年かかるということだ。

そして、レガシーデモグラフィックスしか相手にしないレガシーコンテンツはそのデモグラフィックスが退場してしまえば、存在する基盤がなくなるということだ。

今、デジタルに首までつかっている15歳の彼だけではない。20歳の誰かも10年以上オンライン、デジタルの洗礼を受けている。40歳や50歳のあなたもそうだ。ひょっとすると15年以上デジタル漬けの60歳もいることだろう。そんなデモグラフィックスが気にもしないスタティックなレガシーコンテンツ、メディアにお金を落としているブランドがまだ多いということだ。

0 件のコメント: