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このデータは、初めて視線トラッキングを用いて、行動ターゲティングと文脈ターゲティングを比較したもので、広告する製品・サービスと関連するコンテンツに掲出された広告よりも、関連しないコンテンツに掲出された広告のほうが17%も視線(LOOKS)を集めていることを証明している。また、最初の露出以降、フリーケンシーをかけることで17%の優位性が54%にまで跳ね上がることも示している。
視線トラッキングのPreTestingを使い、2005年12月のNew JerseyとLos AngelsエリアのEmailから、PlasmaTV、新車、コンピュータの調査に協力してくれる18~64歳を抽出。同じ広告を入れた2つのCDを作成。ひとつには行動ターゲティングベースの広告が最初に掲出され、もうひとつのCDには文脈ターゲティングベースの広告が最初に見られるようになっている。最終的に、行動ターゲティング、そして文脈ターゲティングを行った同じ広告が表示される。この調査に参加したのは、PanasonicのPlasma TV、車メーカーX、コンピュータ企業Yの3社。
計測指標は、Webページ内の広告が見られた回数として「LOOKS」、見られた累計時間として「SECONDS」が用いられた。(下は文脈ターゲティング(左)、行動ターゲティング(右)されたPanasonic のPlasma TVの広告例)
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加えて、最初の露出以降、行動ターゲティングは文脈ターゲティングより、12.5%増しのSECONDSを獲得している。(行動:1.44、文脈:1.28、差異:12.5%)行動ターゲティングにフリーケンシーをかけることで大きな効果を得られることになる。
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脳学者によると、ある脳波(P300)は驚いたときに現れる。この脳波は期待に反するものが出現すると生成される。脳に入ってくるデータは比較され、フィルターされて脳の中で知覚モデルが生成される、これが期待だ。この知覚モデルに反するものに対して注意、興味が生成される。
明らかに行動ターゲティング広告は、驚きファクターにより、期待した場所(文脈)で見た広告よりも注意を引き、文脈ターゲティング広告がフリーケンシーとともに注意(効果)が減衰するのに対して、フリーケンシーをかけることで効果が減衰しないことになる。
Source:Tacoda
Tacodaはこの調査の背景として、次のように書いている。
- 何年にもわたり、広告主・広告代理店は車の広告は車専門誌に掲出するというように、すべてのメディアにおいて文脈ターゲティングを評価してきた。
なぜなら - 文脈ターゲティングを行うことで、オーディエンス内に製品のターゲットが集中している度合いが高い
- 製品広告と関連する(編集)内容のメディアで掲出されるほうが消費者の高い注意を引く
しかし、インターネットによって、別の環境にいる消費者にリーチすることができるようになった。それはターゲットとするユーザがどんな環境にいても、行動ターゲティングを行うことで、ユーザの行動を追跡、解析し、どんなサイトへも送ることができるようになったからだ。この行動ターゲティングの優位性がありながら、まだ文脈ターゲティングの呪縛から抜け出せず、行動ターゲティングのCPMは文脈のそれよりも低い扱いを受けている。
だから、
- 同じ製品カテゴリの沢山の広告は消費者の眼を引くどころか、避けられるのではないか。消費者が製品購入目的でサイト調査をしていても、サイトに溢れる沢山の同様の広告メッセージではなく編集内容に集中するのではないか。
- 一方、まったく関連しないサイトで出会う広告に対して、消費者は期待していなかった驚きからその広告に注意を払うのではないか。
結果として、仮説は検証され、行動ターゲティングの効果が実証されたことになる。
行動ターゲティングは、2005年に米国で測定されたオンライン広告の8.3%しかない。Park Associatesの推測によると2005年に大・中堅企業の15%が行動ターゲティングをテストし、それは2004年の5%アップだそうだ。行動ターゲティングの効果と低いCPMを考慮すれば、もっと予算配分が必要で、キャンペーンには必ず実施されるべきだと結んでいる。
行動ターゲティングのオンライン広告比率が伸び、文脈ターゲティングの呪縛が解けたとき、オンラインではなく、オフライン、特にプリント媒体のターゲティングに変化は起こるのだろうか?オンラインとは別物の一言で片付けられてしまうのだろうか?
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