12年前、Metro Internationalがヨーロッパで先陣を切ったフリーペーパーが、WANによれば現在、全世界で毎日3,250万部が発行、配布されている。これは全世界の新聞発行部数の7%を占めている。
米国とカナダの場合、8%を占め、ヨーロッパでは新聞紙市場の20%をフリーペーパーが占めている。
このフリーペーパー市場に新たな激震が走った。フリーペパーが65%の新聞紙市場を押さえているデンマークでフリーペーパーの宅配サービスが始まるというのだ。実際のところ、今春、365 Media Scandinaviaがその計画を明らかにするや否や、デンマークの既存新聞社2社がフリーペーパー宅配を計画し、8月から開始していた。
そこに3紙目として、365 Media Scandinaviaが加わることになる。既存2紙のフリーペーパーは365 Media Scandinavia迎撃用のものだから、本格的なフリーペーパーは365 Media Scandinaviaが初めてとなる。
3 紙ともに42.5万~50万部の発行部数を持つが、365 Media Scandinaviaは高級紙として100人の記者、700人の専従配達員を擁し、3大都市での宅配と交通要所での配布を行う。ポイントは郵政省と提携 し、DMなどと一緒にフリーペーパーを配達してもらう戦略だ。
宅配そのものは365 Media Scandinaviaが数年前にアイスランドで試験的に開始していたし、米国でもPhilips AnschutzがExaminerをサンフランシスコ、ワシントン、ボルチモアで行っている。
デンマークでの宅配が順調に推移すれば、他の欧州地域へ拡大されるだろうし、スウェーデンで次の宅配サービスが開始されるだろうという噂も飛び交っている。
Source:Media Life
さて、このフリーペーパーの宅配トレンドが欧州全域に拡大していけば既存新聞、雑誌、他の印刷物への影響は少なくない。
すでに新聞のメディアとしての消費はインターネットに押されている。既存新聞の読者がフリーペーパーに流れることで新聞社の収益構造が脆弱化していく。一層、欧州の新聞社はオンライン戦略を構築、確立する必要に迫られている。
参考:EIAA Europe Online
参考:The net benefit of digital publishing
雑誌も同様だ。古い資料で恐縮だが、IpsosのEBRS 2004を見ると、モニターされている18の国際ビジネス紙誌中、読者数が減ったのは14紙誌に上っている。全体の読者数として2002年の47.3%か ら2004年には43.1%へ下落している。(古い資料、かつ、Ipsosのリンクが消滅しているためSourceとして提示不能)
Ipsos によれば、58%が国際ニュースに関して最も信頼できるソースとして新聞および雑誌を挙げ、36%がTV、20%がラジオ、18%がインターネットよりも 先を行っているとしている。そのため国際ビジネス紙誌は欧州の最もシニアなビジネスプロフェッショナルにリーチする力のあるツールだと結論づけている。
しかし、一方では2002年の48%から2004年の58%へ上昇したオンラインの存在がある。16%は有料のオンラインコンテンツを購読しているという事実もある。
実態は、国際ビジネス紙誌の読者減少がよくここまでで止まったということだ。EUが進める「Broadband for All」の影響がひたひたと地歩を固めている欧州で、どこまでプリント媒体が存在を堅持してゆけるのだろう。EBRS 2006がすでにスポンサーなどには開示されているようだが、ぜひ、最新のEBRSデータを見たいものだ。
参考:Broadband for All
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