2006/10/05

Secure the Trust of Your Brand - 3

CMO Councilが発表した「ブランドの信頼を確保」せよという資料の紹介:3回目。

<Emory大学による調査>
様々な調査やデータが相反する結論を出している。情報流出・機密漏洩が重大な財務ロスを発生させるという報道もあれば、情報流出が起こってもセキュリティシステムが効果的に流出を制限し、被害を軽減させるという調査もある。
そこでCMO CouncilはEmory大学に補足調査を依頼。結果として、株式相場での株価下落など、ビジネスパフォーマンスに直接的インパクトがあることが証明されたとしている。また、様々な学術研究によれば、情報流出は株価にネガティブなインパクトを与え、平均すると0.63%から2.10%の株価下落が記録されている。

情報流出・機密漏洩の影響は同じではなく、漏洩カテゴリに応じて株価下落が次のように変動するという結果も出している。
  • 従来型企業と比べるとインターネット関連企業での情報流出は、よりマーケットへのインパクトが高い
  • 大企業と比べると小規模および急成長を遂げている企業での情報流出は、より対応コストがかかる
  • 情報流出が大規模であれば、株価の下落圧力は高まる
  • 過去10年間に何度となく情報流出を繰り返している企業に対して、市場は過酷な評価を下す
  • 情報流出が企業自身ではなく、第三者によるものであれば株価下落圧力は軽減される
<結論>
企業にとり、情報の取り扱いにどのような手段を講じているかを明確に知らしめることが肝要だ。
消費者の10人のうち9人は「はっきりと明確で分かりやすい企業のセキュリティ保護の実態」が重要、あるいはとても重要だと答えている。
セキュリティ意識が高まり企業への期待度が高い消費者の動きを背景とし、マーケターは自社のセキュリティ保護の実態は堅牢で顧客データが安全であることを保証するため、予算獲得に努めている。また、一端、事件・事故が発生した際、メディア、顧客、ビジネスパートナー、そしてその他のステークホルダーに対して会社幹部がどのように状況を説明すべきかという準備を進めているマーケターもいる。

しかし、前述したように危機管理計画があるのは30%のマーケターに止まっている。だから、マーケターは、自社ブランドを守るため、現存する脅威へ対処をすべきことを認識すべきだと強調している。
ポイントとして次を上げている。
  • 情報流出によるブランドへのインパクト見極め
  • 情報流出時の対応
  • セキュリティポリシーの消費者への告知
  • 流出防止、被害軽減、顧客への賠償計画
信頼されているブランドは消費者との関係を深化させる基礎となる。進んで企業の製品・サービスを使おうとしたり、個人情報を提供したり、製品・サービスにプレミアムを払ったりという消費者の行動が、企業への信頼を示している。
信頼がなければ全てのビジネスは立ち行かない。信頼がなければ消費者は情報を出さず、より深い関係を構築することも、ビジネスを拡大してゆくこともできない。

Source:CMO Council / Secure the Trust of Your Brand (Exec. Summary) (pdf)
(注:ダウンロードするには氏名、会社名、Emailアドレスなど必要)

Exec Summaryとは別に、Consumerのデータもある。その中に、「顧客セキュリティを保護する点で最も信頼され、評価が高い製品、あるいはサービスブランドは?」という問いがある。
米国も欧州の消費者も、製品を購入したり、サービスを利用している企業は、彼ら自身の個人情報や財務情報などを十分に保護していると信じている。しかし、顧客のセキュリティを保護することで「信頼する評価」を勝ち取っているブランド名を挙げることができる消費者は少ない。
同様に情報流出などで報道されたブランド名を挙げることができる消費者も少ない。

回答上位には、銀行(不特定)、Norton、セキュリティソフト、金融機関、クレジットカード、McAfee、MS、医療機関、Visaなどが顔を出している。USではトップの銀行にしても9%の信任しか獲得していないが、欧州では銀行は19%、セキュリティソフトが8%の信任を得ており、USとの違いが大きい。(Nortonは今回の調査のスポンサーなので、若干、割り引く必要があるかもしれない)

非常にばらついた回答だが、これは逆に堅牢なセキュリティポリシーや情報流出防止戦略を通して、ブランドの信頼を改善、強化するチャンスがあることを示してもいる。

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