2006/10/10

Living the Promotional Life

北米Nissanが面白いキャンペーンを開始したようだ。
30歳のコンセプチュアルアーティスト、Marc Horowitzを起用して2007年型Sentraで1週間生活してもらい、それをBlogやWebisodesで流すというものだ。

ター ゲットは都会派の20代、30代、彼らがアクセスするMySpace、TiVo、videoクリップ、Webisodesなどを動員し、口コミで情報共 有、拡散を目指している。6社の代理店がコラボし、2005年の12万台をかなり上回る販売を期待している。「次世代Sentra、車内で生活できます (“The next generation Sentra. You could pretty much live in it.”)」というテーマはおくとしても、4,000~5,000万㌦の予算規模、TV、プリント、屋外広告など既存メディアも使われているが、それらは キャンペーンのコアではなく、キャンペーンの一部だ。

若年消費者の変わりつつある行動パターンを反映すべく、メディア選択を再構築せざるをえないマーケターの必死の努力を象徴している。

北米NissanのマーケティングVP、Jan Thompsonは、「我々が考えているように、人々がどのようにメディアを消費すべきかではなく、人々がどのようにメディアを消費するかを見守ってい る」と語り、また、「ノンリニアなコンテンツアプローチをするのは初めてだ」と加え、「TV依存からの脱却」を示唆しているとNYTは書いている。

こういった動きはNissanだけではなく、FordもRocketboom.comで人気のあったAmanda Congdonを起用したvblog (video blog) をサポートしている。

Source:MarketingVox
Source:NYTimes.com

「リ ニアなTVなどの既存メディアよりEngagementを得られる。impression、interaction、view throughを計測でき、ニューメディアエレメントが機能しているか判断できる」とJan Thompsonが言う背景には薄れ行くTVの視聴者とその広告効果がある。

Journalism.org が、The State of The New Media 2006 をアップしている。
そ の中のNetwork TV(夕方ニュース視聴者)、Cable TV(プライムタイム視聴者)を見ると、年々視聴者数が継続して低落ているTVの状況が見て取れる。地上波TVの視聴者だけではなく、Fox Newsを除くCNN、MSNBCは伸び悩む中、イメージ、メッセージキャリアとしてのTVはその地位を落としている。

分散、細分化されたメディア消費、かつ、共有、転送されるメディア状況に最適のマーケティング戦略は何かと探るTry and Errorの時代は過ぎ、大企業のブランドマーケティングにもインターネット、バイラルマーケティングが組み込まれてきた。

し かし、北米Nissanであれ、Fordであれ、こういった露出の影響は、米国内にとどまらない。MySpace、Youtubeなど世界トップのSNS へは世界中のユーザがアクセスするし、こういった記事を発信するトップのニュースサイトへも世界からユーザが来ている。米国内のマーケティング、ブラン ディング戦略によるコンテンツが世界のステークホルダーに消費され、露出が蓄積されてゆく。各国のディジタルイノベーター、アーリーアダプターがアクセス したコンテンツが、各国内のSNSへアップされ、自国語化されたコンテンツが国内に波及して行く。

とてつもないクロスメッシュリーチが創 造されて行く。すでに10億を超え、先進工業国ではクリティカルマスをはるかに上回るインターネットユーザが存在し、世界共通語としての英語が世界中の国 々のユーザに情報流通、共有、拡散を増進している。メディアの創造者であるインターネットユーザはその力を自覚し、グループ化、コミュニティ化を進め、一 層クロスメッシュを進めている。

世界に進出した日本のグローバル企業はこの現状をどう把握、理解、解析しているのだろうか。米国子会社に この新しいメディア局面を乗り切る責任と権利、予算を与え、米国ベースのプロモーションを遂行するのだろうか。IBM、HPなど米国グローバル企業が本社 ドメインとして、インターネットでの企業広告も、Blogマーケティングも開始している中、現地子会社に予算だけを割り振り、事業領域外の北米以外のテリ トリも、世界を対象とするグローバルなCSRまでも、そして本社のみが可能なグローバルなコーポレートブランディングも負わせようとするのだろうか。

日本本社のグローバルWebサイトには無味乾燥なコンテンツしかなく、海外メディアへの露出も少ないため、メディアシーンの先頭を行く世界のデジタルイノベーター・アーリーアダプターがアクセスすることもなく、日本に住む外国人向けの内容としての意味しかない。

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