2007/03/22

Compete's Insight on JetBlue

JetBlueのトラブル、トラブル対処に関してはこれまで2度も書いているが、Compete.comから面白い調査データが出ているので紹介する。

Compete.comは、JetBlueの既存顧客および潜在顧客400名以上に対して、今回のトラブルを知っているかどうか、JetBlueの対処方法に対する意見、JetBlueの今後に関して訊いている。

調査結果
  • 78%はJetBlueの顧客の権利を含む新しい方針変更を認知、
    82%は新しい方針により運行が改善されると感じている
  • ほとんどの消費者は今回のトラブルを、将来どの航空会社を利用するかという点に直接関係するものというよりは、パブリックリレーションの問題ととらえている
    42%が否定的なインパクトを感じているが、
    将来JetBlueを利用しないほどのインパクトは30%に留まり、
    14%は将来JetBlueを利用する肯定的なインパクトを受けている
  • JetBlueトラブルが公になり旅行者は驚き、
    35%は遅延通知の不十分さを指摘、しかし、
    48%は新しい方針変更と旅行者の権利擁護を特に評価している
  • JetBlueトラブルのインパクトは、顧客と潜在顧客で違い(下図)、
    21%の既存顧客は将来の利用に否定的なインパクトがあるとしたが、
    潜在顧客では37%にも上っている。
    潜在顧客に対する需要創出、認知などが鍵となる
Compete.comは、JetBlueのトラブル対応は、同様にパブリックリレーションで苦境に陥った他企業のモデルになるとしている。

参考:JetBlue: Our Promise to You
参考:JetBlue - Second Round
Source:Compete.com / Travel Trends (Feb 2007) (pdf)

Technorati.comでJetBlueに関する書込みを調べてみた。2月16日頃から急増し、21日頃には700件以上にも達している。これはjetbluehostage.blogspot.comなど非常に注目を浴びたBlogが立ち上がり、それを拾い上げた既成メディアでの露出とも重なり、Blog社会に風が吹いたのだろう。今回に限らず、事と次第によってはそよ風もあれば、突風、竜巻にもなる風が吹く。
ネガティブとしか言いようのない今回の露出だが、大掛かりなクロスメディアミックスキャンペーンにより、被害を被った乗客への謝罪、保証、返金を約束し、そしてよりよい航空会社としての信頼を取り戻すと訴えたCEOのTV出演がなければ、どこまで信頼と評価が落ちたのだろう。それは分からないが、既存顧客で16%、潜在顧客で10%に達したポジティブなインパクトは、少なくとも今回のキャンペーン成果だといえる。

早期沈静化を計るため、必要最小限のコメント、情報しか提供せず、逆に消費者および社会の反発、反感を買う例は多々ある。これは企業が情報の提供者として君臨できた時代の話だ。以前なら情報提供側と情報消費者の間にギャップが存在していたし、それを矯正する手段がなかった。出された情報を消費するだけの消費者、ユーザがいただけだ。だからネガティブな情報を出さずに顔を隠していることもできた。

しかし、現在、メディア化した市民、ユーザの情報発信量、そしてその影響力は既成メディアのそれを上回ることさえある。そのため、既成メディアサイトは様々な改修を加え、そのパワーを吸収しようともしている。CGMの評価、信頼性が上がってきている。

この時代に企業側が提供する情報を絞ったとしても、すでにその種情報の価値や評価は、ユーザ発信情報のそれと比べて低く、情報を消費してくれるユーザがいないということにもなりかねない。それに比べれば、今回のJetBlueの対応は評価され、露出情報を消費してもらえた、共有してもらえたということになる。

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