Macy'sのWebサイトに上がっている全商品のどれをクリックしても、詳細情報の下に、「Overall Rating」と、商品をレビューした顧客数、そのうち何人がその商品を友人などに推薦するかの実数と、%があり、全てのレビューを見たり、自分で書き込むことができるようになっている。毎日350件ほどのレビューが加えられているが、当然のごとく、中にはポジティブなものもあれば、ネガティブなものもある。しかし、会長でCEOのPeter Sachseは、「WebサイトがSNSのようになってきた。究極のWOMだ」と語っている。
問題になるコメントやレビューの内容だが、Forrester Researchによると、E-commerceサイトのカスタマーレビューの80%はPositiveなものだ。(残りのNegativeなものは、商品 レビューや評価ではなく、苦情処理なり、顧客サポートなり、別部署で受け付けるべきものだろう)
さて、若年層で、ネットユーザであればあるほど自分のことを発信したい、聞いてもらいたいわけだ。それだからこそ彼らはMySpaceなどのコミュニティやフォーラムサイトに集っている。そこでMySpaceと似た環境を整え、商品のレビューや評価をしてもらったり、時には画像やビデオもアップしてもらう。その結果、顧客レビュースペースがオンラインショッパー最大の目玉サイトになってきたということだ。
昔から顧客の声を訊くのがどのビジネスでも肝心だ。だからP&Gなどは、洗剤を買った主婦の使用・行動パターンを知るためにビデオカメラを装着させて調査したこともある。しかし、その調査結果が第三者、顧客に開示されることはなかった。しかし今、顧客の生の声という集合知が開示されている。
顧客レビューや評価は、AmazonやNetflixなどの特許のように使われてきたが、それが次第に広範囲に普及してきている。MarketingSherpaによると2006年末までに43%のE-Commerceサイトはカスタマーレビューと評価を提供しており、2005年末の23%からするとほぼ倍増となっている。また、18-34歳のほぼ50%が購入商品のコメント、レビューを書き込むようで、これは音楽をダウンロードするユーザの34%よりも高い。
最後に、顧客レビューや評価をオフライン化する試みも始まっているようだ。カナダのスーパーマーケット、Lablawは、インストアサインに例えば、 「177人中160人はこの商品に4.5星を与え、90%は友人に勧めます」、「野菜嫌いの17歳の息子もこれは大丈夫」という顧客の声をプレートに掲示している。また、全米で800店舗を持つペットサプライのPetcoは、顧客の声を新聞の折込広告に掲載する予定だ。
Source:Business Week / Retailers Takes a Tip from MySpace
これは米国の話で、UKのMarks & Spencerでも、HarrodsのWebサイトでも顧客レビューや評価スペースは提供していない。況や、日本のデパートのWebサイトにそんなスペースはない。
しかし、顧客レビューや評価スペースを提供することで、
- 顧客の生の声が聞け、それにアクセスするユーザを誘引し、
- 購入した商品と想像していた商品のギャップが少なくなるため返品率が低減し、
- 他の顧客の推薦により通常よりも多く商品を購入する率が高いという結果が出ている。
- 加えて、顧客レビューをチェックしたり、レビューがあるサイトで購入するというユーザが増えているし、
- サイトによっては画像やビデオがバイラル化しているところも出てきている。
- 不良在庫圧縮、商品改良・開発への貢献、
- 総合的な顧客満足度向上など目に見える効果が上がっているようだ。
CluetrainのTheses 95には様々な言葉がある。
- 01 市場は対話である
- 06 インターネットは、マスメディアの時代にはただ不可能だった人間同士の対話を可能にしている
- 19 企業は今こそ、市場と直接対話ができるのだ。そうしなければ、あとは無い
- 31 賢い市場は、自分自身のことばで話す企業を見抜くであろう
- 40 対話社会に属さない企業は死んでしまう
- 95 私達は目を覚ますとすぐ、お互いにリンクしあっている。そして、目を光らせて見ている。私達は決して待ったりしない
参考:Cluetrain (日本語)
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