2007/03/12

Search : Paid or Organic?

Hitwise UKのリサーチディレクター、Heather Hopkinsが昨年11月に「Search Landscape in the UK 1 of 2」を書いていた。

前半にUKでの検索エンジンの市場シェアを書き出し、Googleが78%のシェアを獲得し、他を圧倒していることを説明していた。しかし、重要なのは後半部分だ。

彼女は後半部分で、検索エンジンから旅行代理店、電化製品&エレクトロニクス、そして保険関連Webサイトへのアップストリームトラフィックを下の図で示していた。旅行代理店のWebサイトへアクセスするアップストリームトラフィックのうち検索エンジンから39%を獲得しており、それ以前の6ヶ月間と比べると7%増という結果だ。

図のように何もアップストリームトラフィックの増加は旅行代理店だけではない。電化製品&エレクトロニクス、そして保険といった長期間にわたり確立されてきたカテゴリ部門でも、検索エンジンからのアクセスが目だって増えていることが分かる。

ただし、これは自然検索結果をクリックしてアクセスしてくるオーガニックによるものだ。

そこで2弾目として、翌日、「Search Engine Landscape in the UK 2 of 2」をアップしている。それによると;

検索リスティング不要企業
  • 多くの有名UKサイトは検索リスティング広告からのトラフィックは非常に少ない。MySpace、Bebo、BBCなどはすべて検索リスティング広告からのトラフィックは1%以下
  • AutotraderというUKでの自動車関連Webサイトの#1は、検索リスティング広告からのトラフィックは5%にしか過ぎない
  • 旅行代理店、電化製品&エレクトロニクス、そして保険関連Webサイトのそれぞれトップ10サイトを調査した結果によれば、検索リスティング広告によるトラフィックの比率とWebサイトのカテゴリごとのトラフィックシェアに明らかな相関関係はない。すなわち、カテゴリのトップ企業にとり、検索リスティング広告は重要ファクターではない。
Eコマースサイトは必要
  • Amazon UKは検索リスティング広告から13%のトラフィック、eBay UKは37%を獲得
  • 旅行代理店、電化製品&エレクトロニクス、そして保険関連Webサイトのトラフィックシェアトップ10を見ると、リスティング広告とオーガニックによるトラフィックの割合を見ると大きくばらついている。それを明らかにしたのが下の散布図だ。旅行代理店のトップ10Webサイトを、オーガニック検索結果からのアップストリームと、検索リスティング広告からの比率を比較したものだ。
  • Cheapflights.co.ukが、トップ10の中ではオーガニック検索結果からのアップストリーム比率が高い割りに、検索リスティング広告比率が低いケースとして目立つ。
同じカテゴリ内でもオーガニックと、検索リスティング広告によるアップストリームトラフィック比率が変動するため、ROIを判断したり、テストを継続し、キャンペーンを修正しながら検索リスティング広告を実行するようアドバイスしていた。

そして最近(3月8日)、「検索リスティング広告とオーガニックによるトラフィックの最適バランスは?」という記事をアップした。

まず、保険、および電化製品とエレクトロニクスカテゴリのWebサイトの英国市場におけるトラフィックのマーケットシェア(横軸)と、検索エンジンからのアップストリームトラフィックの比率(縦軸)、そして検索リスティング広告からのトラフィック比率を円の大きさで示している。

検索リスティング広告比率が低いのは、BUPAが5%、DABSとPixmaniaが9%。高いのはChurchill Insuranceの57%、Confused.comの56%、T-Mobileの53%と非常にばらついている。

また、直接競合しているCurrys(検索リスティング広告比率50%)とComet UK(同18%)の場合、Currysのカテゴリごとのトラフィックマーケットシェアは7%、Comet UKは6%弱だが、検索エンジンからのアップストリームトラフィックはどちらも45%前後だ。

他にもChurchillとConfusedを比較しているが、「タイトル」への回答として、前と同様にROIを判断したり、テストを継続し、キャンペーンを修正しながら検索リスティング広告を実行するようアドバイスしている。

Source:Hitwise / Search Landscape in the UK 1 of 2
Source:Hitwise /Search Engine Landscape in the UK 2 of 2
Source:Hitwise / What is the Optimal Balance of Paid and Organic Search Traffic?

しかし、このBlog記事から見えて来るのは以下のようなことではないだろうか。
  1. オーガニックが検索リスティング広告よりもトラフィックのアップストリームを獲得している
  2. オーガニックからのトラフィックが増加傾向にある
  3. カテゴリトップの企業にとって検索リスティング広告は重要ではない
  4. しかしEコマースサイトなどの場合、オーガニックと検索リスティング広告比率は企業によって変動するため、トライ&エラーでの最適化が求められる
  5. カテゴリごとのシェアトップ企業サイトはオーガニック+検索リスティング広告によるアップストリームトラフィック比率は低い(例:Money Supermarket)
    = 他媒体による露出から、URL直接アクセス、あるいは他Web・Blogサイトからのリンクが多いのではないかと推測できる
  6. またカテゴリごとのシェアトップ企業ではなくても、ブランド力のある企業関連Webサイトは、オーガニック+検索リスティング広告によるアップストリームトラフィック比率は低い(例:Tesco Personal Finance(Tescoは英最大のスーパーマーケット)、The Orange Shop(Orangeは仏テレコム))
    = 他媒体による露出から、URL直接アクセス、あるいは他Web・Blogサイトからのリンク、特に親会社経由のリンクが多いのではないかと推測できる
Hitwiseの調査には、他媒体での露出量が考慮されていない。それがあればもっと明確にパターンが明らかになったのではないだろうか。しかし、結果として、やはり、ロングテール企業にとって、あるいはEコマース関連サイトにとってリスティング広告は効果があるだろうが、どう見てもビッグブランドが検索リスティング広告を使う必要性は薄いと思われるのだが...。

参考:Big Brand for Search

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