2007/03/14

JetBlue - Second Round

3月8日に、「JetBlue : Our Promiset to You」を書いたが、実際のところ、JetBlueの1,000便がキャンセルされ、10万人以上が影響を受けたようだ。足止めされた乗客の中には、11時間も機内に閉じ込められ、電力は切れ、食べ物・飲み物もなくなり、詰まったトイレからあふれ出る異臭に憤懣やるかたのない人たちもいたようだ。

YouTubeにアップされているJetBlueの謝罪ビデオのコメントに延々と不満をぶちまけているユーザもいた。加えて、2月15日*に「JET BLUE A VALENTINE'S DAY HOSTAGE」というBlogを立ち上げたGenevieve McCawもいた。彼女のBlogを乗客がアクセスし、メディアもアクセスし、謝罪広告、ビデオ、CEOのTV出演以降も大きな露出となったようだ。とうとうJetBlueは対応をエスカレートせざるを得ず、3月2日、CEOのNeelemanと面会をセッティングしたとInsideBayArea.comが伝えている。

面会したことでMcCawが持参した長文の質問事項全てに回答を得たわけではないが、謝罪や返金、往復チケットなどの対応だけではなく、それまでどこの誰かも知らないBloogerとの面会後、CEOがJFKに飛んで乗組員達とオープンなフォーラムを持たせるまでに彼女のBlogが影響したことは確かだ。

ところでMcCawは、Walt Disneyで3年間働き、Blogやネットワークコミュニティを活用し、オンラインでのWOM (Word of Mouth:クチコミ) を広げる専門家だ。

(*注:InsideBayArea.comは2月16日としているが、彼女のBlogエントリは15日となっている)

Source:KOMOTV.com / Toilets, tempers overflow as passengers left stuck on plane for 11 hours
Source:InsideBayArea.com / JetBlue 'hostage' unhappy with CEO
Source:jetbluehostage.blogspot.com
参考:JetBlue: Our Promise to You

YouTubeのビデオのコメントは現在(3月13日)、467件。実数は分からないが、その半分くらいはpunchpixieというユーザがコメントしているのではないかと思える。それほど頻繁にコメントを書き加えている。彼(女)は11時間機内に閉じ込められた被害者だ。Leemanと面会したMcCawと同じ機の乗客なのかもしれない。この2人を比較してみる。
  • punchpixie
    • 2週間前からYouTubeにコメントを発し続け、
    • JetBlue寄りのコメントだと判断した他ユーザにも噛み付き、
    • あまりのしつこさに他のユーザから総スカンを食らっている。
    • 近頃は、四文字語の連発となり、自分自身を貶めている。
  • McCaw
    • WOMのプロらしく、2月15日にBlogを開設し、2月だけで163件のエントリ、
    • 同じトラブルを経験した乗客、ユーザなどから沢山のアクセス、アドバイスを獲得し、
    • ナショナルメディアにも露出した結果、JetBlueを動かし、
    • 先週にはJetBlueのCEOと面会するまでの影響力を発揮した。
この違いはいうまでもなく、一人相撲を取ったpunchpixieと、インターネットユーザとオープンなコミュニケーションチャネルを構築したMcCawの差だ。そしてJetBlueに対して直接的にメッセージを発信したMcCawと、間接的に苦情を言い募ったpunchpixieの違いでもある。また、これは実質的な個人の力、パワーに差があったのではなく、punchpixieが利用したのはYouTubeのコメントという非常に限定されたスペースであり、McCawが利用したのはコメントよりも拡張性に優れ、他ユーザとのコラボレーションや、インターネットユーザおよびメディアへの露出に優れているBlogスペースを利用した違いでもある。

InsideBayArea.comの記事にEdelmanのRubelは、「過去2~3年の間にパワーは消費者に移っている」とコメントを寄せている。また、彼のBlogでも「このケースはPR、あるいはカスタマーサービスにとって重要なモデル」だし、「ファーストフードレストランに行って、出てきたのが冷めたフライドポテトだったら客は頭に来て、苦情を並べ立てる。そのとき、カウンターにいる店員がa) 苦情を聞き、b) 問題をできる限り解決しようと努力すれば、客の怒りを治められる可能性がある。Bloggerが剣をかざして来た時にも同じことが当てはまる」と書いている。

Source:Micropersuasion /JetBlue CEO Meets with Disgruntled Customer Turned Blogger

パワーは自前のメディアを持つ消費者へシフトしている。その自前メディアをソースとして既成メディアが露出を広げてゆく。企業に対して直接的にメッセージを発信するユーザが存在し、それが大きな露出を獲得してゆくとき、おざなりの対応はできない。ナショナルメディアが取り上げるまで露出が拡大すれば、対応をエスカレートしなけれならない。

ブランドが真摯に、誠実に、そしてオープンに対話しなければ、また時宜を得たエスカレーションがなければ、JetBlueのQ1利益率は修正予想を下回るのは確実だったのではないだろうか。また、その影響はQ1だけとは限らない。

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