2008/06/30

Amazing Ball Girl

下のバイラルビデオでフィーチャーされているブランドが分かる人は?


6月3日にYouTubeにアップされ、iMedia ConnectionによればYouTube全体で100万回以上、Chicago Tribuneによると200万回以上の視聴を獲得している。YouTubeには数10本のコピーが溢れかえっている。Break.comにあるビデオの視聴は単体で168万回を越えている。

Ad Ageが6月9日に記事を書き、ABCの「Good Morning America」で取り上げられて火がついたようだ。

Source:Ad Age / Element 79's Swang Song for Gatorade Is Pure Gold
Source:iMedia Connection / Gatorade's fake viral cracks 1M views
Source:Chicago Tribune / 'Ball Girl' scores buzz for Gatorade
Source:Break.com / Ball Girld Makes Incredible Catch

このブランドが「Gatorade」だといわれても分かる人は少ないと思う。

ファールボールをキャッチしたボールガールが定位置に戻った時、彼女の足元にあ るドリンクが「Gatorade」だ。代理店のElement 79が最初にアップしたビデオにはちゃんと「gatorade "ball girl" directed by baker smith @ harvest」とクレジットが入っているが、それを越える最大視聴回数のコピーものに「Gatorade」の「G」の字も入っていない。

このビデオがバイラル化したのは何をおいても息を呑む、ジャッキー・チェンばりのファウルフライ捕球だ。左翼手はファウルだと判断して動かないところを、かわいいボールガールがフェンスをよじ登り、ジャンプしてキャッチ。澄ました顔で左翼手にボールをトスして観客の声援に手を振りながら定位置に戻る。「大したことじゃないわ」という顔で次のプレイを見る。という驚きがユーザを捉えている。

ビデオ内でのブランド露出を最低限に抑えながらコンテンツの迫力と意外性のマッチングがバイラル化の原動力となっている。少なくとも数百万に上るバズがポップカルチャーバズを作り出し、最終的には製品との関連を紡いでいる。

Gatoradeのスポークスウーマン、Jill KinneyはiMedia Connectionで、「ブランドがポップカルチャーで語られる時、うまく行く」と語っている。

2008/06/27

NYT.com and IHT.com will merge

NYT.comが伝えるところでは、NYTはIHTとWebサイトの合体を検討しているらしい。
IHT.comのトップページにはすでに「The Global Edition of the New York Times」というフレーズが入っている。しかし、まだ仏国内法との調整があるため、正式決定ではないが、すでに数ヶ月にわたり検討が重ねられてきたようだ。

基本線は、IHT.comをNYTimes.comのグローバルWebサイトとするらしい。WebTrendsによるとNYTimes.comは全世界から5,800万オーディエンスがアクセスし。IHT.comは700万オーディエンスだそうだ。今までのところNYTimes.comを海外向け媒体としてプロモートしたことも、海外ユーザ向けのセクションもない。ということで、すでにIHT.comのコンテンツを改修し、ビジネス、文化、スポーツ、ラグジャリー、旅行など、6~7つの国際セクションを新設するためデザイナーが準備しているそうだ。、

Source:NYTimes.com / The Times and I.H.T. Study Web Merger

さて、この動きは必ず失敗すると言える。

現在、NYTimes.comへ世界中からアクセスしているインターネットユーザは、IHTが伝える欧州ベースの記事が読みたいわけでも、看板を付け替えてNYT+IHT.comとなるいわゆるグローバルWebサイトの記事が読みたいわけでもない。

NYTimes.comへアクセスしている理由は、NYTが伝える米国内の政治、経済、社会、文化の記事、情報なのだ。米国の政治や経済が自国の政治や経済へ与える影響を読み解こうとしているのだ。自国での自社ビジネスへの影響、そして海外との自社ビジネスへの影響を読み解こうとしているのだ。NYTの記事をベンチマークとしたいのだ。また、米国内の社会現象を誰よりも早く知りたいのだ。映画や新刊書、そしてミュージカルなどのレビューが必要なのだ。NYTが取り上げる、報道する米国内ニュースが国際(ユーザ向けの)ニュースなのだ。

YouTubeに世界中のユーザがアクセスするのはなぜなのか?それはそこにしかないコンテンツがあるからだ。YouTubeが日本人ユーザ向けだけのセクションを作っても、それは日本人ユーザに訴求するだけで、グローバルユーザには訴求しない。英語ベースではあるがどこにもない新しいコンテンツが日々、更新されるサイトであるからこそYouTubeに世界中からアクセスがあるのだ。

NYTブランドで各国別ユーザに訴求するWebサイトを作った場合、それはローカルWebサイトでしかない。グローバルなオンラインメディアではない。

NYTがすべきは、現在のコンテンツに加え、米国内のIT系やインターネット系のニュース、情報提供を質量共に向上させることだ。世界のインターネットユーザが求めるニュース、最新情報を提供することができれば、現在の5,800万ではなく、その2倍にも、3倍にもオーディエンスを拡大することができるはずだ。

2008/06/26

50 Golden Brands

UKのMarketing Societyが創設50周年を祝い、「50 Gloden Brands」を発表している。

1959年にMarketing Societyが設立されて以来、昨年まで毎年のトップブランドを選出している。
59年はBerbie、60年はLego、62年はShell、07年はO2などがあがっている。日本企業はというと79年にSony、03年にToyotaが上がっている。SonyはWalkmanIIで、ToyotaはCorollaで受賞している。

50 Golden Brandsのリストに挙がっている各社をクリックすると当時のTVCFを見ることができる。TVCFが見られないのはeBay、Googleなど。eBayは1995年にトップブランドに選出され、Googleは98年だ。

さて、今年はどのブランドが選出されるのだろう?
Source:MarketingVox / Marketing Society Ponders 50 Most Influential Brands
Source:Marketing Society / 50 Golden Brands
Source:50GoldenBrands.com

2008/06/25

Big Mobile Wave in Asia

このところちょっとモバイルづいているが、AdMoobのMobile Metricsの新しいデータが出ていたので紹介する。ポイントは次の通り。
  • ネットワーク広告impressionは5月に30億を越え、前月比約17%増加
  • AdMobがモニターする230カ国中、89カ国は100万impression以上
  • AdMobのネットワークから送られる広告リクエストの22.4%はスマートフォン
  • インドネシアの広告リクエストは前月比46.3%増加
データのうち、西欧各国を見ると英国がダントツだ。広告リクエストの65%以上を占めている。人口比で見るとドイツが異常に少ないように見える。
各国別の携帯モデルごとの数字もあるが、これはNokiaの一人勝ちだ。仏とギリシャはSonyEricssonだが、それ以外はNokiaが二位を大きく引き離した一位をとっている。

2008年5月の全世界の広告リクエストは約32億で、米国が45%を占めているが注目すべきはやはり「インド」だ。それに加えて「インドネシア」「フィリピン」のアジア諸国を次に注目したい。米国が前月比マイナスのところ、これらアジア諸国は0.6%から1.5%の増加を果たしている。
携帯トラフィックのトップ5カ国だけで見たのが下のグラフだ。2007年9月を1として、毎月のトラフィックの伸びを示したもので、インドネシアが4月から5月にかけて大きく伸ばしている。それをインドが追っている。
Source:AdMob Mobile Metrics / Latest Mobile Report (pdf)

残念ながら中国のデータがなかったので比較できないが、中国一カ国だけで公開されている数字、伸び率を上回るのかもしれない。そしてアジアとして見るとモバイルが爆発しているのだろう。モバイルマーケティングを確立することが急務だ。

2008/06/24

Green Factor Study

Strategic Oxygen、GCI Group、Cohn & Wolfeによる初めてのグローバルなグリーンエンタープライズIT調査が公表されている。

調査対象の70%以上が、環境やビジネスに効果的なインパクトを及ぼすのであれば、「多分」、あるいは「必ず」「グリーン製品」を選択すると回答し、また、約60%は「グリーン製品」にプレミアムを払うと回答している。

この調査は3,500人におよぶCXO、CIO、ITマネージャなどに26のエンタープライズ向けブランドを評価させている。それによると、「グリーン」のリーダーはApple、HP、MS、IBM、Intel、Sony、Dell。ラガードはSAP、Alcatel-Lucent、Nortel、EMCだ。
調査国内での、「グリーン製品に少なくとも5%のプレミアムを支払う」と「効果が証明されるなら多分および必ずグリーン製品を買う」という層を重ねると下の図になる。インドが「少なくとも5%プレミアムを支払い」、「必ずグリーン製品を買う」という比率が高く、グリーンリーダーとなっている。反面、日本やカナダのB2BマーケターはグリーンROIが証明されていても「グリーン製品」を買わないらしい。また、メキシコはグリーンROIが証明されれば「グリーン製品」を買うがプレミアムは払いたくないようだ。
これを「5%のプレミアムを支払い」、かつ「必ずグリーン製品を買う」というグループに分けると以下のようになる。
  • インド 22.3%
  • USA 14.9%
  • メキシコ 13.9%
  • 英国 12.9%
  • フランス 12.3%
  • 豪 11.9%
  • ブラジル 8.4%
  • カナダ 8%
  • ドイツ 7.9%
  • 日本 6.4%
  • 伊 4.8%
日本のエンタープライズITのB2Bバイヤーはあまりグリーンを信奉していないようだ。が、インドから豪までの各国は日本の約倍以上マインドがグリーンに向いている。

Source:BtoB Online / Green perceptions factor into IT purchasing
Source:Green Factor

2008/06/23

Mobile in India

Morgan Stanleyがちょくちょくアップデートしている「Internet Trends」の3月に、世界の携帯市場トップ15があった。(注:現在は6月時点でのpdfとなっているため、下の表は含まれていない)

当然のごとく、中国が約4.5億人でトップ、米国が2.3億、ロシアが1.5億、そしてインドが1.4億で四位だ。ところが2006年の伸び率を見るとパキスタンが124%でトップとなっているが、普及率は31%になっている。そこでインドを見ると、伸び率はパキスタンに次ぐ82%だが、普及率は12%でしかない。トップ15のうち最低の普及率となっている。ということは巨大市場に育つ大きな可能性があるということだ。
そしてUnstrungが3月に伝えていたデータによると、インドの携帯市場は爆発しているようだ。2月の携帯契約者数が840万増加、1月も877万増で合計すると約2.5億にも達している。
この爆発を裏付けるように今年5月に出たIE Market Researchの資料によると、インドは今年、米国の契約者数を抜いて世界第二位に躍り出たとしている。

さて、日本からは撤退したVodafoneが二位と健闘しているが、契約者増、累計契約者数のトップはAirtelだ。月に225万人も契約者を増やすことなど日本ではもう考えられないことだが、これくらいのユーザ増が昨年後半から続いているらしい。そしてインドのモバイルユーザは「Mobile SNS」で紹介したように48.9%がSNSへ向かっている。トップ10サイトのうち7サイトがSNSだ。

少なくともインドではSEC A、B、C向けの訴求ビークルの中心に来そうなのがMobileだ。

Source:Morgan Stanley / Internet Trends (pdf)
Source:Unstrung / Indian Mobile Carriers Add 8.4M Subs
Source:IE Market Research / 2008 India Mobile Forecast (pdf)
参考:Mobile SNS (Online Ad 2008/06/05)

2008/06/20

2008 US Women Bloggers

米国女性のBlog利用に絞った調査がある。

それによると3,620万人がBlog社会に参加しており、1,510万人が週に少なくとも1回はBlog書き込みを行っている。2,110万人の女性はBlogにコメントを書き込んでいる。
全米の年代分布ではGenXが42%のところ、25-41歳の女性Blogは68%を占めている。
情報ソースとしてのBlogだが、新しい情報、アドバイスや推薦に関してBlogは良質なソースだと認識されている。
そしてまだまだ、影響は最大とはいえないが、Bloggerの38%およびBlog読者の29%はBlogで取り上げられている製品・サービスを購入している。また、Bloggerの32%およびBlog読者の28%はBlogで取り上げられている、すなわち評価の悪い製品・サービスを購入しないと答えている。
Source:Blog Her
Source:TheBlogHer/CompassPartner 2008 Social Media Benchmark (pdf)

Blog社会に参加する米国の1,500万から3,600万の女性達がいる。彼女達に対して既成メディアや企業が提供する今までと変わりない情報は届いているのだろうか。それは調査資料の最後にある下のページを見るだけで理解できるはずだ。

2008/06/19

Firefox 3

FF3が6月17日にリリースされた。「ギネスレコードに挑戦しましょう」というメールをもらっていたので待っていたところ14日にメールが来てダウンロード日が17日であることを教えてくれていた。(下をクリックでダウンロードへ)
18日の昼12時近くにダウンロードしたところ、下図のようにすでに「2,759,320」人がダウンロードしていたようだ。米国、ブラジル、ドイツ、英国、スペイン、日本が10万以上、50万近くまでダウンロードしている。これから時間が経過するごとにその他の国でもダウンロードが増えていくのだろう。
4月に発表されたXiti monitorの3月の欧州でのBrowserシェアは28.8%に達していた。
そして全世界で見ると北米でシェアを1%落としているが、南米およびアジアで欧州やオセアニアと同様にシェアを伸ばしている。そして最大の伸びはアフリカで記録されている。
Source:Xiti monitor / Browser barometer April 2008
参考:Firefox2 vs. IE7 (Online Ad 2008/02/07)

上の参考で書いたように、「これから2~3カ月中にはFF3のリリースが予定されているが、その際、FF2からFF3への移行具合によって、FF3の真価が問われることになる」。どんな結果になるのか期待したい。

2008/06/18

Blogs.sun.com

ここで質問です。
左の数字、「Blog合計:4396」、「ユーザ合計 4951」、「エントリ合計 105233」、「コメント合計 110014」は、何を示しているでしょうか?

BlogのAd Neworkでも、ポータルにぶら下がっているBlogでも、SNS内にあるBlogでもありません。

さて一体全体これは何でしょうかというと、これはSun MicrosystemsのBlogの数字だ。

社員総数34,440人のSun Microsystemsが抱えているBlog合計数が4,396ということ、Blogを書いているユーザ数が4,951人だということだ。ということは社員の14.4%がBlogに携わっていることになる。そして、合計エントリ数およびコメント数が10万を越えている。SunはこのとてつもないBlog露出を行っている。

SunといえばCEO、Johnathan SchwartzのBlogが有名だ。Technoratiで見ると、過去半年で1,322のBlogからリンクを受け、Blogランクは1,723だ。しかし、彼のBlogをしのぐヒット@日をたたき出しているBlogがある。

左はSunが公開している人気Blogのリストをトップ20まで抜き出してきたものだが、SunのトップBloggerは41,532ヒット@日をたたき出したJim Grisanzioだ。Jim GrisanzioはTechnoratiでも、107のBlogからリンクを受け、Blogランクは55,893位となっている。

一日に4万ヒット以上ということは、年間1,400万ヒット以上ということになる。大半はSun社員からのアクセスかもしれないが、ちょっとしたBlogネットワークよりも大きな露出を獲得している。そんなBlogがごろごろ転がっているわけだ。

左にはないが、人気Blogのラスト(60位)に上がっていた「Storage Stop」というBlogがある。これでも一日に2,837ヒットだ。年間100万ヒット程度にはなるだろう。

Source:Blogs.sun.com

SunのBlog全体で年間に一体いくらくらいのヒット、露出があるのだろう。これを広告露出に換算するといくらになるのだろう。

仮に60位までの合計が一日で100万ヒットとすると、年間3.6億ヒットになる。これにこれら60Blogを閲覧したユーザが書き込むエントリ、リンク、ソーシャルブックマークなどが加わった総合露出を無理やりに5億PVと同じだと考え、CPM10㌦で計算すると500万㌦になる。

無茶な計算だが、話はこれだけでは終わらない。「Online Hotel Booking and CEO blogging」でForresterが算出したBlogに関するROIを紹介したように、60Blogのエントリによりサポートのコスト負担を軽減できたり、マスメディアへの露出、広告の可視化があり、売上増加につながる。

そして、社の公式Blogを公開していない他企業と大きな差をつけることができる。その企業から考えると500万㌦では済まない露出ギャップが生まれることになる。

参考:Online Hotel Booking and CEO blogging (Online Ad 2008/06/06)

2008/06/17

VP and Chief Blogger

BtoB Onlineの6月9日に「Business embrace blogging」という記事があった。

書き出しに、「特に大企業のB2Bマーケターの場合、問題はBlogするかどうかではなく、いかにしてBlogの影響を拡大し、全社的なソーシャルメディアプログラムの一部として取り入れるかだ」と書いている。すでに企業がBlogをやるか、やらないかという議論には決着がついているようだ。現状は公式Blogをオープンし、各階層のユーザに訴求する必要性が認識されているということだ。

米国大企業のBlogとしては、Sun MicrosystemsのCEO、Jonathan Schwartzのものが特に有名だが、その他、多くの企業で顧客・ユーザとのコミュニケーションにBlogが活用されている。BtoB Onlineが著名なBloggerやソーシャルメディアのエキスパートに取材した中で、DellのBob Pearsonは、VP-communities and conversationsというタイトルがついている。「コミュニティおよび会話担当副社長」といったポジションだろうか。VPを置くほどに顧客コミュニティや顧客との会話を重視しているということだ。
Dellは、Direct2Dell.comだけではなく、ITユーザやSMB向け、そして投資家向けにDellSharesというBlogまで開設している。「Dell Hell」の教訓だけではなく、正面からオープンに顧客と会話してゆこうとする姿勢が見える。

また、企業によっては「Chief Blogger」という職名がを与えて、公式Blogの運営・方向性などをリードさせることも始まってきた。Kodakは、3つのBlogがある。「A Thousand Words Blog」、「Grow Your Biz Blog」、「Plugged In Blog」があり、この「A Thousand Words Blog」にChief Blogger、Jenny Cisneyが書いている。

Source:BtoB Online / Business embrace blogging

日本企業では何社がBlogを正式に外部に公開し、オープンで公平なコミュニケーションチャネルを使い、顧客・ユーザの声を吸い上げているのだろう。また、欧米グローバル企業として違い、日本本社が英語Blogを開設しているケースはない。本社がボーダレスのインターネットユーザの声を聞くことも、会話することもできない。「会社に人間の顔」を着せて、信頼、好意、肯定的な注目を得ることもできない。

単にインターネットユーザとのコンタクトだけではなく、Web 2.0、ソーシャルメディア機能を企業のコアに実装しようとしている競合企業にも大きく引き離されてゆく。

参考:Human Face on Your Company (Online Ad 2008/03/31)

2008/06/16

Blog Traffic in UK

Hitwise UKのRobin Goadによると英国でのBlogトラフィックが急増している。

昨年の8月、あるいは9月にひと山越えて、今年の5月頃からもう一段上に登っている。この理由は何だろう?
これは彼の書き込みやコメントで指摘されているようにiPhoneやEURO 2008といった新製品やスポーツイベントに後押しされたトラフィックもあるだろう。しかし、四川大地震関連のBlogトラフィックも少なからず影響していたことは下のTechnoratiで「Sichuan Earthquake」を検索したグラフを見るまでもなく明らかだ。「Sichuan Earthquake」に関するポスティングは累計19,691件に達している。
そして四川大地震に関連して「Karma」発言で物議をかもし出したShron Stoneに関するBlogは下の通り。彼女に関するBlog書き込みは24,097件もあるが、どう見てもカンヌ映画祭でのコメントから書込みが急増している。Source:Hitwise UK / Blog traffic reaches all time high

既成メディアが伝える事件・事故・災害のニュースコンテンツがまだまだ多いことは事実だが、個人が生成するコンテンツがずいぶんと増えてきている。個人が事件・事故・災害に関するコンテンツを生成しているし、個人や知人・友人の出来事を書き込んでいるし、ブランド・製品・サービスを語っている。

Universal McCannのWave IIIが言うように、全世界でBlogを閲覧するのは3億4600万人、自分のBlogを書いているのは1億8400万人もいる。自分や知人・友人に関係すること以外にこのBlogger達が読むカテゴリには以下がある。
  • 26% ニュース・出来事
  • 31% コンピュータ
  • 28% テクノロジー
  • 26% 製品のお薦め
  • 21% 科学
  • 18% 自分の仕事に関係するビジネスニュース
  • 18% ビジネスニュース一般
そして、Blogを書くカテゴリには以下がある。
  • 29% ニュース・出来事
  • 26% 製品やブランドに対する意見
  • 24% コンピュータ
  • 21% テクノロジー
  • 13% 科学
  • 13% ビジネスニュース一般
  • 12% 自分の仕事に関係するビジネスニュース
企業が提供するコンテンツはBlogger達が読み書きしているコンテンツの何分の一にあたるのだろう。いや、何十分の一にあたるのだろう。

参考:Blog Write and Read (Online Ad 2008/06/10)

2008/06/13

IT/Tech sites in France

OJDがトラフィックをオーディットしているフランスのWebサイトの中でCNETとZDNETがある。

1週間ごとのユニークビジター数を見ると 、ここ数週間はだいたいそれぞれ20万弱、60万弱だ。ZDNET.frはCNETFrance.frの3倍のユニークビジターを抱えている。が、ZDNET.frは若干 ユーザ数が減少傾向だし、CNETFrance.frも年末のXマス商戦時期を除くと20万人弱レベルで推移しており、増加傾向が見えない。

CNETFrance.fr
ZDENet.fr
フランスのインターネットユーザ数は、2007年12月で3,490万人だからZDNET.frでその約1.7%、CNETFrance.frで約0.6%前後しかユーザを獲得していない。

Source:OJD / CNETFrance.fr (pdf)
Source:OJD / ZDNet.fr (pdf)
Source:InternetWorldStats.com

フランスのインターネットユーザはITやテクノロジー系サイトに興味がないのだろうか?

そこでAlexaを使って米国IT・Tech系Blogサイトの国別ユーザを見てみると、フランスからのユーザは各サイトの:
  • TechCrunch 1.3%
  • Gizmodo 0.5%
  • Mashable 1.4%
  • ReadWriteWeb 0.5%
  • Techmeme 0.4%
  • GoogleBlog 0.9%
を占めている。国別ユーザ順位に入ってこないEngadgetなどもあるが、そこそこアクセスしているのではないだろうか。というよりも国内のIT・テク系サイトへのトラフィックを考えると、英語のIT・テク系Blogサイトへのアクセスは多いのではと思える。ドイツやイタリア、スペインのユーザよりも少ないけれど、確実にフランスのユーザも英語サイトへアクセスしているようだ。

2008/06/12

Sport sites in Europe

EIAA (European Interactive Advertising Association) から新しい調査データが出てきた。

スポーツがメディア消費に及ぼす影響を明らかにしている。それによると;
  • 32% のスポーツファンはTVとインターネットを同時に利用(全体では16%)
  • 73% のスポーツファンはTVを視聴し、68%はインターネットを利用(5:30-9:00pmのピークタイム)
  • 39% のスポーツサイトユーザはTV、映画、ビデオクリップをオンラインで視聴
  • 36% の欧州インターネットユーザはスポーツサイトへアクセス
  • スポーツサイトユーザは週に13時間オンラインへアクセス(全体より10%多く、2004年から27%アップ)
「39%のスポーツサイトユーザはTV、映画、ビデオクリップをオンラインで視聴する」とあるが、これは2006年比144%もアップしている。

EIAAが引用するcomScoreのデータ(ビデオのストリーミング・ダウンローディングサイト)を見ると、2007年1月の53分から12月の91分まで72%も増加している。2008年3月のデータによると1.54億人がアクセスしており、前年比22%のアップとなっている。
ストリーミング・ダウンローディングサイトへのトラフィックが増え、オンデマンドのコンテンツ消費が増えている。comScoreによれば2007年の平均では毎月、7,600万人がスポーツサイトへアクセスしており、ラグビーのワールドカップがあった9-10月は500万人もアクセスユーザが増えている。また、6カ国対抗ラグビーがあった今年3月は前月比700万人も増加したそうだ。

Source:EIAA

先週末からはEuro 2008が始まっている。その公式サイトを提供するUEFAメディア・テクノロジーズのコンテンツ担当責任者は、「本大会の全31試合の報道に全力を注ぐ。その一方で、生中継のビデオやオーディオ、ライブテキストを中心に、試合の写真や速報、ゲーム、独占インタ ビュー、ブログ、オーストリア・スイスからの現場情報などを世界に配信する。移動中のファンのためにも最新情報をモバイルサービスで提供する一方、試合を 見られなかったファン、過去の名場面をもう一度見たいというファンを対象にしたビデオ・オン・デマンド・サービスも実施する予定だ」と語っている。

欧州、いや世界中のサッカーファンの期待に応えるこれらサービスにより、ラグビーが集めたユーザ数を大きく上回る結果が予想される。スポーツイベントはやはり強い。
Source:Euro 2008 / euro2008.comがサービス開始

2008/06/11

Honda Live TVCF

NYTによると、TV放送開始初期に一般的というか、それしかなかったライブ広告が戻ってきているそうだ。深夜の番組枠でホストが製品を紹介するパターンだ。この理由のひとつにはTVCFが始まるとチャネルを切り替える視聴者がいるし、TVCFをスキップできるデジタル機器の普及がある。この傾向は米国だけではなく、日本も欧州もそうだろう。

そこでというわけでもないだろうが、つい先日、英国のチャネル4で3分間のライブCFを中継したHondaのTVCFがあった。19人のスカイダイバーが描いたH、O、N、D、Aの人文字をスペイン上空から中継したものだ。CFが始まる前に210万弱だった視聴者が3分のCF終了時には220万強にまで増えたそうだ。これをかわきりに英国で1,200万㌦のキャンペーンが開始されている。

そして、英国HondaのCustomer CommunicationsマネージャのIan Armstrongは、「人は本でも、TV番組でも、広告でも、面白いコンテンツが好きなんだ。我々は人が観たいと思う面白い広告を作るのが仕事だ」とNYTに語っている。

Source:NYTimes.com / A Live Promotion, at 14,000 Feet

「人は本でも、TV番組でも、広告でも、面白いコンテンツが好きなんだ」という彼のコメントはその通りだろう。

ただし、多様なメディアチャネルがある現在、TVはメディアセンターとしての地位を脅かされている。「Viewing Video by TV or PC」で見たようにじわじわとPCがシェアを伸ばしてきている。そのPCからのストリーミングコンテンツのアクセス先であるYouTube、Daily motionなどのビデオ共有サイトは、共有と再発信、露出拡散という面で一歩も二歩も先を行っている。そしてすでにUstream.tvがライブフィードをやっており、たった1年やそこらで1,000万ユーザを獲得している。今年中にはYouTubeもライブサービスを提供するようだ。

面白いコンテンツを作ってもそれをTVで消費してくれる視聴者はだんだん少なくなる。メディアチャネルがTVからインターネットへ移行しつつある。また、NYTが言うように、「広告をイベントとして提供し、視聴者が興味を持つように」したとしても、一方的な情報、コンテンツを視聴、消費させることになる。それではオンデマンドでコンテンツを消費することが基本となりつつあるインターネットユーザ、あるいはGoogle世代にアピールするのはそう簡単ではない。

Vidmeterで「Difficult is worth doing」の視聴を見てみると、一週間で視聴が12万以上、コメントが150以上となっている。この数字がデトロイト交響楽団を指揮したASIMOや、自動車のパーツが生命を持ったドミノのように連鎖反応を起こしてゆく2003年のCFの視聴回数を越えるためには、コンテンツ消費チャネルを意識する必要があるのではないだろうか。
(注:VidemeterでHondaを検索すると、以前はAccordとASIMOが結果として表示されたが、現在はASIMOしか検索されない。そのため下のグラフは現在、表示不可)
参考:Viewing Video by TV or PC (Online Ad 2008/06/09)
Source:Videmeter
Source:ReadWriteWeb / The Numbers Are In, Live Video Online Is Blowing Up

2008/06/10

Blog Write and Read

すでに他のBlogでも紹介されているが、Universal McCannが出した「Wave III」というソーシャルメディアの利用調査がある。

実は調査データの中に「Reading blogs:usage trends」と「Writing blogs:usage trends」というセクションがあり、個人日記、ニュース、音楽など16項目に分類してどれくらいの比率でBlogを読んだり、書いたりしているかというデータがある。ところがこの読んだり、書いたりしている各項目のパーセントが全く同じだった。

そこでUniversal McCannに確認していたところ先日、回答があり、正しいデータをもらうことができた。

Blogを読むカテゴリは、家族・友人のBlog、個人日記、ニュース、音楽などが続いている。
Blogを書くカテゴリは、これも同様に家族・友人のBlog、個人日記、ニュース、音楽などが続いている。
Source:Universal McCann / Wave III (注:上の2つのスライドはまだ含まれていないと思う)

Blogを読むカテゴリ詳細の中で注目すべき項目を見る。
  • 26% ニュース・出来事
  • 31% コンピュータ
  • 28% テクノロジー
  • 26% 製品のお薦め
  • 21% 科学
  • 18% 自分の仕事に関係するビジネスニュース
  • 18% ビジネスニュース一般
そして、Blogを書くカテゴリ詳細を見ると
  • 29% ニュース・出来事
  • 26% 製品やブランドに対する意見
  • 24% コンピュータ
  • 21% テクノロジー
  • 13% 科学
  • 13% ビジネスニュース一般
  • 12% 自分の仕事に関係するビジネスニュース
となっている。

Blogユーザの大半が個人や家族・友人のBlogを読み書きしていることは事実だが、決してそれだけではない。IT・テクノロジー、そして企業人として業務に関する事柄を読み書きしているのだ。

Blogがスクープを報じることもあるし、マスコミとは違う切り口で解説してくれることもある。Blogはマスコミが取り上げないニッチだが貴重な情報・ニュースを届けてくれ、多くのマスコミとは違い、オープンに公平な対話ができるコミュニケーションチャネルとして市民権を確立している。

企業が対話すべきは別に個人の日記を読み書きしているユーザでも、TV番組やセレブを読み書きしているユーザでもない。しかし、「製品やブランドに対する 意見」を書いたり、「自分の仕事に関するビジネスニュース」を書き込むユーザだ。彼らはいわゆる、インフルエンサーだし、そのインフルエンサーの意見、ア ドバイスを読んでいるユーザだ。

「Dell Hell」のような例がいつ起こるのか誰にも分からない。また、今度、火を吹くような映像があればリアルタイムで世界を駆け巡ることは間違いの無いことだ。

今、企業やマスコミからの情報量よりもUGCの量が増えている。そのUGCの中でブランドが語られている。企業の知らないところで、ブランドをユーザがコントロールしているといっても過言ではない。Bill Marriottほどとは言わないが、Blog社会でブランドの存在を知らしめ、数多くの対話を行い、ファンを増やし、そのファンにネットワークを張ってもらわない限り、ブランド価値は高まらない。

参考:Online Hotel Booking and CEO Blogging (Online Ad 2008/06/06)

2008/06/09

Viewing Video by TV or PC

Ipsosからデバイスごとのビデオ視聴を調査したデータが出てきた。

当然、TVがビデオを視聴する主たるチャネルなわけだが、PCがそのシェアを少しずつ侵食している。携帯メディアプレイヤー、DVDプレイヤー、車載DVDプレイヤー、携帯・PDAでビデオを視聴する率は変わらないが、PCでビデオを視聴する率が昨年比8%ポイントも伸び、反面、劇場でビデオを見るのは2%ポイントダウンしている。結果、TVでビデオ視聴する率は5%ポイントダウンの70%だ。
そして、年代別にビデオ視聴を見てもPCが伸びている。特に12-17歳はTVでのビデオ視聴が最低となっている。PCでのビデオ視聴が最大なのは18-23歳だ。35歳以上のグループはまだまだTVから離れられないようで平均の70%を上回る比率となっている。
Source:Ipsos / Media CT MOTION Study

いよいよPCがメディアセンターとしての位置を獲得しつつある。しかし、それにしても携帯デバイスがあまり健闘できていない。大画面での視聴を前提としたビデオだけに、PCと携帯デバイスを比較するとPCに軍配が上がるということかしら?日本でもワンセグ携帯の売れ行きは人気なようだが、
どれくらいのユーザが視聴しているのだろう?

2008/06/06

Online Hotel Booking and CEO blogging

comScoreからオンラインによるホテル予約額のシェアデータが出てきている。

ホテル自体の供給側で予約を受けた額は2008年のQ1で72.4%、前年比3.2%アップとなり、Expediaなど代理店側の予約額は27.6%で前年比3.2%のダウンとなっている。
経済が減速傾向の中、ビジネスでのホテル利用は予算が削られ、家族旅行も日数を減らすなどの対策がとられる。とすると、いくつかの候補ホテルを比較検討しやすい代理店サイトが予約額を増やしそうなものだが、全体では前年比減となっているし、代理店サイトで予約額を増やしたのはHotels.comとHotwire.comだけだ。

それに比べ、供給側の各ホテルサイトの中でオンライン予約額を伸ばしたホテルにBest Western、Choice HotelとMarriottがある。Best WesternとChoice Hotelはエコノミーホテルなので理解できる。しかし、エコノミーとプレミアムブランドを持つMarriottが1.3%もシェアを伸ばし、系列ホテル数では及ばないHiltonとの差を縮めている点が注目される。

その理由には様々な要因があるが、そのひとつとして、MarriottのCEOによるBlogを挙げたい。GoogleでMarriottとキーワードを入れて検索すると当然、スポンサードにMarriottが来る。そしてオーガニック結果としてMarriott本体、WikiにあるMarriott、各地のMarriottが来るが、6番目にMarriott on the Moveが入ってくる。このBlogとしての露出が大きな効果を挙げていると考える。

MarriottのCEO、Bill MarriottがMarriott on the MoveというBlogを始めたのは昨年の1月16日だ。初日は「海図のない航海」といったタイトルで「お客様と直接対話するために」Blogを始めると書いている。

それからも毎月何回か書込みがあり、テキストに加えPodcastも付き、今年初めにはSearch Marketing Guruが選出した2007年のベストBlogのCorporate Blogナンバーワンになり、彼のBlogはランク48,680位、過去半年に119のBlogからリンクを受けている。リンクしているBlog自体が別のBlogからいくつもリンクを受けているので彼のBlog露出はかなりのものだ。そしてMarriottのファンは確実に増えている。
彼のBlogは、誠実な人柄を表し、オープンに顧客と対話している点が高く評価されている。マスコミでも大きく取り上げられたし、Blog社会でも各方面で引用、コメントされている。また、顧客からの反応も上々でひとつのエントリに対して数十個のコメントが書き込まれるケースがかなりある。そして、「Why Do I Blog?」で紹介したように、「ビジネスは価値を創造するものでなければならない。そして、私は我々の価値をBlogを通して伝えようと努力している」と書いている彼の姿勢に共感を覚える多くのインターネットユーザが増えている。彼らのクチコミは限りなく広がってゆく。Marriottというブランドを認知させる大きな力になっているはずだ。

さて、ここで彼のBlogに関してコストを見てみたい。70歳を越え、PC操作もおぼつかなく、10年前のインターネット予約システムの構築に懐疑的だった彼を、社内の情シスチームがBlogなどに関する様々なレクチャーを1年以上も行った後で、ようやくFortune 500にランクされる企業の中でも最高齢に近いCEOのBlogとして開始されたわけだ。当然、Blogの管理・運用を行う専門チームの結成、ネガティブコメントへの対応、社内への伝達など様々な根回しやコストが発生したはずだ。

そこで、Forresterが試算したエグゼクティブクラスのBlog開始にかかるコストとリターンを見てみる。それによるとコストは初年度で28.5万㌦、リターンは35.3万㌦となっている。
エグゼクティブBlogが炎上することなく続けば、初年度で差し引き6.8万㌦のリターンが得られることになる。当然、このリターンにはビジネス自体の売上増やブランド価値の増加は含まれていない。

Bill MarriottのBlog開始や運営に要したコストは不明だが、Forresterが試算したようなROIも計算した上で彼にBlog開設を進言した人間がいたわけだ。その時点でこれまでのリターンを計算していたとは考えられないが、Blogランクやオンライン予約額の伸びを見ると、6.8万㌦以上のリターンを獲得していることは確かだ。すなわち、オンラインでのブランドを確立したということだし、そのブランドがオンライン予約額の増加に寄与していると思える。

Source:comScore Study / Online Hotel Booking
Source:Marriott on the Move
参考:Marriott's CEO Blog Launched (Online Ad 2007/01/19)
参考:Best Blogs of 2007 (Online Ad 2008/01/17)
参考:Why Do I Blog? (Online Ad 2007/08/30)
Source:Forrester / Creating a Coherent Social Strategy for Business (pdf 登録必要)

2008/06/05

Mobile SNS

Operaから携帯ブラウザのユーザ行動データが出てきた。全世界で累計4,400万のOpera Miniユーザの行動を分析したものだ。

トップトレンド;
  • SNSへのトラフィックが全世界で40%を占めている。
  • 米国、南アフリカ、インドネシアでは60%以上にも達している。
  • WAP(Wireless Application Protocol)や.mobiサイトのコンテンツは23%にしか過ぎず、フルWebサイトがトラフィックの77%を占めている。
Opera Miniのユーザ;
2008年3月にOpera Miniのユーザは24億ページを閲覧し、2008年Q1は前期比57%もアップし、3月はユーザあたり202ページを消費している。そして、3月に1,190万人のOpera Miniユーザは3,300MBのデータを消費している。この急激な伸びは何が原因なのだろう?どの国の伸びがどれだけあったというデータが無いが、調査対象国でローカル化された大手SNSが開始されたということかもしれない。
消費されているコンテンツ;
  • SNSが全世界で人気
  • 人気のあるフルWebサイトは、携帯ユーザにも訴求
  • デバイスに関わらずユーザはリッチなWeb環境へ向かう(WAPへのトラフィックは減少傾向)
  • 四分の一近いトラフィックは、ポータルあるいは検索エンジンへ向かう
最後に各国ごとのサマリとトップ10サイトを挙げている。
  • ロシア
    ウクライナを除き、世界で最もエンタテイメント系コンテンツを消費。40%前後がエンタテイメントおよび娯楽、スポーツサイト
  • インドネシア
    63%のトラフィックがSNSへ。米国と同じ高率。
  • 中国
    55%がポータルと検索エンジンへ。ECおよびEmailは2%にしか過ぎない
  • 米国
    63%のトラフィックがSNSへ
  • インド
    48.9%がSNSへ
  • 南アフリカ
    61%がSNSへ。Emailは4%以上で、世界で2番目にEmailが普及
  • ウクライナ
    61%がエンタテイメント・スポーツへ。43%がWAPサイトへ
  • 英国
    Emailは11%で、世界でトップの普及
  • ドイツ
    7%がEC。28%がエンタテイメント・スポーツへ
  • ポーランド
    フルWebトラフィックが大半でWAPサイトへは4%のみ
Source:Opera / Mobile Report

10カ国のOpera Miniユーザがアクセスするトップ10サイトを見ると、ローカルサイトがトップを占めている国もあるが、MySpace、Facebook、Orkut、Friendsterなどが必ず上位には入っている。モバイルSNSが本格化してきている。

次の機会には、SMSの利用率・量や各国ごとのユーザ数、消費コンテンツなどの数字を出してくれるとありがたい。

WAPへのアクセスが減少し、フルWebへのアクセスが増えているということは、携帯ユーザへの訴求可能性を検討する必要がある。それはグローバルなブランディングの方法のひとつとしてSMS発信の可能性もあるということだ。

2008/06/04

PR Media Survey

PR WeekとPR Newswireが共同で調査したデータが公開されている。PRに関して、1,231人の新聞、雑誌、ラジオ、TV、オンラインマガジン、Bloggerなどのメディアプロフェッショナルを調査したものだ。

全員の86.1%はPRプロフェッショナルからリリース、素材などを受け取っている。と、左下の「YES」には86.1とあるのだが、「No」も27.4もある。多分正しくは、76.1%と、23.9%あたりだと思う。

それはさておき、それを79人のBloggerだけに絞ってみると、PRプロフェッショナルから送られてくる非請求のリリース、素材をどれくらい記事にしたかというと、素材の21~80%を記事にしたのが25.3%、1-20%が49.4%、まったく記事にしなかったのが24.1%いる。

また、PRプロフェッショナルから送られてくる非請求のリリース、素材がBloggerがカバーする領域に関係しているかというと、51~100%関係しているのは30.4%にしか過ぎず、半分近くの49.4%は25%以下しか関連していない。
調査対象のメディアプロフェッショナルが記事を書く際の調査、データ収集にBlogをどれくらい使うのかというと、「いつも」と「たまに」を合わせて44.9%を占めている。が、「めったにしない」と「まったくしない」も55.1%だ。調査対象のメディアプロフェッショナルのうち、雑誌が29.5%、新聞が41.3%も占めているため、多分、この大半が55.1%に貢献しているのだろう。

メディアプロフェッショナルがBlogを利用する目的のトップは(読者、ユーザの)見方・意見を測るためが57.7%、他のMSMが何を書いているかを知るためが51%、記事を書くためのレポートを見つけるためが38.7%、業界のレポートを見つけるためが29.5%などとなっている。結構、コアな部分でBlogを使っている。
メディアプロフェッショナルの情報収集方法だが、何をおいてもその企業のWebサイトが89%でこれは当然といえば当然。次にGoogle/Blogチェック、自分宛のプレスリリース、会話/PR会社からの自分宛emailが70%台だ。RSSフィードが13.9%となっているが、これはRSSフィードを利用してるPRプロフェッショナルが少ないための結果だろう。

記事のネタを探している時、「非常に重要」、「とても重要」なソースはどこかというと、企業Webが64.7%、マスコミ報道が62.5%、企業のプレスリリースが50.5%となっている。企業Blog/Podcastsや、CEO/取締役のBlogはそれらに比べると低い評価だ。Fortune 500 Business Blogs(Online Ad 2008/04/17)で書いたように、Fortune 500にランクされるような企業でBlogをやっているのは今年4月時点でようやく57社にしか過ぎない。まだ11%ちょっとだ。SunやMarriottのCEO Blogがいかに効果を上げているか、いかにフラットな情報提供が重要なのかがまだまだ理解されていない。
メディアプロフェッショナルが好む情報の受け取り方は、新聞、雑誌の記者が多いからなのか、Emailによる情報提供が良いとする意見が一番多い。ずっと離れてPRニュース配信会社、電話、RSSフィードがある。でもまだFaxで情報を送ってくれという記者が10%前後もいる。博物館行きだ。

メディアプロフェッショナルがPRプロフェッショナルに望むコンタクト方法として、emailがダントツの80.9%。コンタクトして欲しくないのが6.7%、6.3%が電話、郵送が3.3%、Faxが1.2%もいる。
Source:PR Newswire / New Media, New Roles: PR Newswire and PRWeek Discuss Media Survey Results (登録必要)

雑誌、新聞メディアの記者が多いからなのか、今時、Faxで情報をもらいたいという調査対象者がいるのには驚いた。また、PR側はいままでの既成メディアと同じようにプレスリリースを闇雲に送っているだけなので、Bloggerからすると自分のBlogに関係のない情報が送られてきている。だからBlog記事にすることもなく、捨てられている素材が24%もあるし、20%以下しか使われていない素材が半分近い49.4%もある。

この調査では触れられていないが、プレスリリース素材のコンテンツも重要になる。PDFファイルを送付するだけでは会話は成り立たないから素材のカンバセーション力をつけなければならないし、ランディングページの改善も行わなければならない。

やはりPRはメディアおよびPRプロフェッショナル側の両方で相当遅れているようだ。

2008/06/03

Comment from Sharon Stone

内外で大きく取り上げられているカンヌ映画祭でのSharon Stoneのコメントを見てみたい。

Viral Video Chartで見ると、このビデオは118万回以上視聴され、72Blogの書き込み、約6,600コメントがある。Buzzは当然、中国語が57%を占めている。彼女のコメントは以下のようになっている。

"Well you know it was very interesting because at first, you know, I am not happy about the ways the Chinese were treating the Tibetans because I don't think anyone should be unkind to anyone else. And so I have been very concerned about how to think and what to do about that because I don't like that. And I had been this, you know, concerned about, oh how should we deal with the Olympics because they are not being nice to the Dalai Lama, who is a good friend of mine.

And all these earthquake and stuff happened and I thought: Is that karma, when you are not nice that bad things happen to you? And then I got a letter, from the Tibetan Foundation that they want to go and be helpful. And that made me cry. And they ask me if I would write a quote about that and I said,"I would."And it was a big lesson to me, that some times you have to learn to put your head down and be of service even to people who are not nice to you. And that's a big lesson for me..."

このコメント、特に2段目の始めにあるKarma(報い、宿命、業、因果応報)が大きく取り上げられ、「悪いことをした報い」という発言として内外から避難の嵐が沸き起こっている。

しかし、そう思っていた彼女の元に「被災地へ入り、救援活動をしたいというチベット財団からの手紙が届き、(アホな考えをしていたことを知らされ)泣いた」と書いている。だから、彼女は「人に優しくない人にも、時にはそれを忘れ、困っている時には手助けしなければならない。大きな教訓になった」と続けている。

と、ここまで読まないと、2段目の始めまでを取り上げてセンセーションを巻き起こしたジャーナリズムの餌食となってしまう。実は、筆者も最初は「また、アホな肉体派女優がトレンドに乗った物言いをしている」と思っていた。NYTの記事と香港のタレント志望の女性のBlogを見るまでは...。

「アホな考え方」だということはNYTが電話インタビューした時に自身で認めている。しかし、「アホな考え方をしていた自分を反省し、未曾有の災害に救いの手を求める多くの被災者の助けになりたい」というコメントの一部、「アホな考え」だけを取り上げて大々的に報道するマスコミと、その尻馬に乗る多くの人間がいる。しかし、今、情報の出し手は一部マスコミに限られているわけではない。また、マスコミが提供する情報を鵜呑みにしない人間も数多くいる。そして、インターネットを操る14億人のユーザがいる。

清濁合わさった情報を個人が最終的に判断するためにはインターネットは必須だ。そして個人ユーザが発信する意見、アドバイス、お奨めも最終判断に大きく影響する。ここにオープンなコミュニケーションがあり、知の共有がある。階層的な情報伝達ではなく、フラットな情報発信、共有と拡散がある。そしてこの方が正しい最終判断に結びつくから、生産性が上がる。だから個人ユーザはインターネットで情報を収集するし、多くの企業もフラットな情報発信、集合知を活かそうとWeb 2.0の仕組みを取り入れようとしている。

一方的な情報提供では、この新しい流れに乗れないし、Web 1.0では誰も相手にしてくれない。だからPRやマーケティングにもWeb 2.0的な仕組みを導入するケースが増えてくる。

Source:YouTube / Chinese Cinema to Ban Sharon Stone after quake comments
Source:Viral Video Chart / Sharon Stone's cold blooded speech about China earthquake
Source:NYTimes.com / Actress Stone and Dior Differ Over Apology
Source:袁彌明 Erica's blog~~*

2008/06/02

B2B Lead Generation

BtoB Onlineに「Lead Generation Guide 2008」がe-Bookで上がっている。e-Bookのチュートリアルではダウンロードできるかのように説明してはいるが、残念なことにダウンロードはできない。

中から2つほど拾ってみる。B2B企業・マーケターにとって何が一番重要かという、IDCの調査が出ている。1~5までの5段階評価で7項目を訊ねたところ、当然、それは引き合い生成がトップで4.3ポイント、続いてブランド認知が4.0、オンライン・インタラクティブマーケティングが4.0となっている。

それでは引き合いを生成するためにどんな戦術を利用し、その戦術の効果をどう評価するかのかというForresterの調査がある。利用する引合生成戦術としてEmailが80%台後半、PRが80%、展示会が70%代後半。そしてその効果が高いものとして、エグゼクティブセミナーが50%強、自社営業が40%前後、WebinarとSEO/SEMが同率くらいで30%代前半という結果になっている。

Source:BtoB Online / Lead Generation Guide

非常に乱暴だが、利用している引合生成戦術として挙げられてる17項目を次の4つに分類する。Email、検索、Webinar、Online Ad、Video、Blog、Web 2.0などをオンライン戦術、PRも含めDMとPrintを印刷媒体系、自社戦術に展示会、スポンサー、セミナー、営業の4項目、そして既成マスメディアをラジオ、屋外、TVとし、その利用率および効果の累計%を計算してみる。
  •            利用        効果
  • オンライン系   347%      147%
  • 印刷系       206%      38%
  • 自社系       261%      129%
  • マス系       33%        55%
すでにB2Bの引合生成においてオンライン系がもっとも利用される戦術となっており、その効果ももっとも高いと認識されている。一方、印刷系は4分類の中で最低の効果しか上げられていない。マス系の中でラジオおよびTVは、効果は大きいと評価されているが、利用率が低いのはB2Bの引合生成との親和性、予算や効果が期待できるカテゴリの制約があるからではないだろうか。

先日、「B2B Print Ad in 2007」を書いたが、B2B向け印刷媒体への広告費は大手100社で前年比7,686万㌦(7.6%)も減少していた。引合生成だけを目的としているわけではなく、ブランド認知やパートナー支援目的もあるから、この減少原因は引合生成効果が低いからというわけではない。しかし、この群を抜く印刷系の効果の低さを見ると、B2B向け印刷媒体の広告費が一層、削減されるとしても無理はないと感じる。

参考:B2B Print Ad in 2007 (Online Ad 2008/05/28)