それはHarris InteractiveとFleishman-Hillardが公表した英・独・仏3カ国での消費者行動および購買決定に関わるインターネットのインパクトをトラックし、計測するDigital Influence Index (DII)という調査だ。
調査項目として下の5つがある。
- インターネットの影響
- オンライン行動
- 購買判断へのインパクト
- インターネットのメリット、信頼性
- 国別差異
- インターネットの影響
右の消費時間比率ではTVが最大(仏は除外)なのだが、影響度は3カ国共にインターネットが最大となっている。この影響度というのは、他メディアを消費しないというユーザ比率、そして他メディアが購買判断に影響しないというユーザ比率から算出している。
3カ国の影響度インデックスはインターネットが44~46%、TVは34~30%となっている。媒体順位が逆転している。
- 購買判断へのインパクト
過去12ヶ月に航空券、プラズマ・LCD TV・携帯電話・クレジットカードなどを購入・契約した人たちへの影響度を分析している。
1)購買判断にインターネットが助けになった、2)企業Webサイトへアクセスした、3)他消費者のコメント・意見を探した、4)オンライン広告を見た、5)製品・価格比較サイトへアクセスしたなどで切り分けている。
例えば下にあるプラズマ・LCD TV(青線)を見ると、製品・価格比較サイトが最大だが、他消費者のコメントが3番目に来ている。検索エンジンを使ってTV購買を決定することはないので、仕様・価格を確かめるのはもちろんだが、他消費者のコメントが大きな地位を占めていることがわかる。
当然、オン・オフライン広告やPRなどでの露出があって想起やブランドビルディングが背景にあることが必要なのだが、「Someone like me」のコメント・意見が重要なのだ。そして、それが今、発信も受信も可能だということだ。また、これが企業のコントロール外にあるということも事実で、かつ、その絶対露出量と影響度が企業のそれを超えているわけだ。
それはAppendixにある右下のグラフからも見て取れる。「とても」、「非常に」、「絶対的に」購買判断に影響したメディアを各国ごとにリストアップしている。驚くことは、他のどの調査結果でも2番目以下のメディアを大きく引き離して最上位が約束されているはずの「WOM」と「Internet」が互角だということだ。英を除けば仏・独では「Internet」が「WOM」を上回っている。
B2CでもB2Bでも「WOM」は次の顧客・ユーザを獲得する絶対的な影響力を持っている(はずだった)。企業側からの広告・広報などの直接的な露出に加 え、既存顧客やユーザの「WOM」が裏打ちするブランド・製品価値が相乗効果となり、想起や認知、リストアップなどに対する大きな力になる(はずだっ た)わけだ。
これは尋常ではない。
ただし、ここでいう「WOM」は、「対面WOM」のはずで、「Internet」が「対面WOM」をひっくり返したということではない。多分、「Internet」の中に「Internet WOM」が含まれてきたということだろう。「(対面)WOM」が力を失ったということではなく、「WOM」が「対面」だけではなく、「Internet」でも力を発揮してきたということだ。
個別詳細は以下のスライドを参照のこと。
Source:Harris Interactive / the Impact of the Internet on Consumer Behaviour in Europe
Source:SlideShare / The Digital Index Influence Key Findings
Source:Fleishman Hillard / Digital Influence Index
欧州3カ国では、TV時代の幕がおりつつあるのが明らかだ。また、「対面WOM」をしのぐほど「Internet WOM」を含む「Internet」がメディアとして最大の影響力を獲得してきた。
この結果は何も欧州3カ国に限られるものではない。「対面WOM」をしのぐ「Internet」に国境などないし、自国語と英語さえ理解できれば言語も関係ない。
先週の25日、最初にドイツの読者からリンクをいただいたのは12日付けの英語のプレスリリースだった。
http://www.harrisinteractive
詳細資料はないかと探したところ、見つけたpdfファイルは仏語だった。仏語では手が出ないため、そのファイルをアップロードした仏ユーザにコンタクトし、次にプレスリリースの広報担当者(Fleishman Hillard Europe)にemailを送り、最後にFleishman HillardのDirector (UK)から英語pdfファイルのリンクをもらったのは27日の夕方で、2日とかかっていない。(ただし、27日付けでMarketing Chartsにはデータが公開されている)
一面識もない日本のBloggerから突然、飛んできたリクエストに答えてくれる対話が成立していた。
ここにオープンな対話と、ここでこうして書いている「Internet WOM」がある。そして、この対話と「Internet WOM」の始まりには「Digital Influence Index Study」という興味を惹くコンテンツがあった。このコンテンツがあったからこそ、欧・仏と日本をつないだ対話が始まったわけだ。それも英文のテキストベースの標準的なプレスリリースをドイツの読者が送ってくれたからだ。
「Internet」で語られるコンテキストを提供しなければ、対話は始まらないし、「WOM」も発生しない。企業から見れば、語られるコンテキストを提供しない限り、グローバルにブランドが語られることはない。そのコンテキストの導火線は英語なのだ。
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