つい先週、Harris InteractiveとFleishman-Hillardが公表した英・独・仏3カ国での消費者行動および購買決定に関わるインターネットのインパクトをトラックし、計測するDigital Influence Index (DII)を紹介した。
その中で「購買判断にとても、非常に、絶対的に影響したメディア」に関して、「他のどの調査結果でも2番目以下のメディアを大きく引き離して最上位が約束されているはずの「WOM」と「Internet」が互角だ。英を除けば仏・独では「Internet」が「WOM」を上回っている」と紹介した。
参考:Digital Influence Index Study (Online Ad 2008/07/02)
そうすると、Keller FayからオフラインWOMはインターネットよりも信頼できるし、購買意思にもより大きな影響を与えているという調査結果が出てきた。
それによると、米国では一日に35億WOMが発生しており、オフラインWOMはその92%(対面が75%、電話が17%)を占めている。オンラインと判断されるものは合計7%(EmailとIM/テキストが3%ずつ、Chat/Blogが1%)、その他が2%となっている。
WOMを0~10までの段階評価で9、あるいは10という非常に高い信頼をおく比率を見ると、トータルで58%が高い評価をしている。その中でオフラインWOMは59%なのに対してオンラインWOMは49%にしか過ぎない。
対面や電話WOMが59%に比べると、Emailが46%、Text/IMおよびChat/Blogが51%だ。オフラインWOMがオンラインを上回っている。
そして、強く購買意思に影響する点で、オフラインWOMは50%に対してオンラインWOMは43%でしかないとしている。
また、「オフラインに比べオンラインWOMの場合、知らない人同士のコミュニケーションだから信頼性が低い」という説明に加え、調査は、「オフラインWOMでも配偶者、親戚、親友からのWOMが、その他の友人、同僚などよりも高い評価を受ける」としている。
Source:KellerFay /Offline Word of Mouth More Positive and Credible than Online Buzz
Source:Marketing Charts / Offline WOM More Prevalent, Positive and Credible than Online Buzz
Keller FayおよびPQ Mediaは、インターネットに偏っているWOM戦略にオフラインWOMの可能性を示しているのだが、さてこの調査結果をどう解釈すればいいのだろう?
先のHarris InteractiveとFleishman-Hilardの調査は間違いで、やはり対面WOMが購買決定に最大のインパクトを持っているのは事実で、その最新データを明らかにしたKeller Fayが正しいとするのは早計だろう。
何故なら、オフラインでもオンラインでも情報が溢れかえっている現在、オフとオンの情報ソースを切り分けるのは容易ではない。オフラインの新聞、TV、雑誌、OOHなどから仕入れた情報をオフラインWOMに使っていることもあるし、オンラインのWeb/Emial/Chat/IM/Blog/SNSなどから仕入れた情報をオフラインWOMに使っていることもあるからだ。
現在、ユーザの社会生活に浸透してきたインターネットがTV、新聞、雑誌の消費時間を減らしてきている。対面・電話WOMより信頼度は低いが、オンラインWOMも相応の信頼を勝ち得ている。この信頼をベースに対面・電話WOMで語られるコンテンツの中にオンラインWOMが入ってきているのではないだろうか?
逆に考えると会話の92%を占めている対面+電話WOMにしては、信頼度や購買影響度に圧倒的な存在がない。たった7%の会話でしかないオンラインWOMは、信頼や購買影響にそれぞれ49%、43%を獲得している。それだけオンラインの浸透力が大きいということではないだろうか。
また、オフラインWOMが購買決定に影響を及ぼしたとしても、それだけで製品・サービスを購入するだろうか?オフラインWOMを受けた後に行われる仕様、機能、価格の調査、アフターサービスの詳細を調べ、オンラインあるいはリアルショップでの購買まで、大半はオンラインでの情報収集だ。そして価格比較やユーザレビューなどを通してオンラインWOMの信頼性も上がっていくのではないだろうか?
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