2006/12/04

B2B Online Survey = B2B Marketing Strategy

最近、あるUSサイトへアクセスした折、Online Surveyを受ける機会があった。

その中でどのようなプリント媒体を読み、どのようなオンラインサイトへアクセスしているかを問うものがある。各媒体をいつも読む・アクセスする、たまに読む・アクセスする、めったに読まない・アクセスしないという尺度でチェックしてゆくものだ。

対象となった媒体は以下の通り。
Print
  • Entrepreneur
  • Harvard Business Review
  • Business 2.0
  • Time
  • Barrons
  • Forbes
  • Economist
  • Time Global Business /Top Managemet
  • Fortune
  • Wall Street Journal
  • Business Week
Online
  • HarvardBusinessReview.com
  • CNNMoney.com
  • WSJ.com
  • MarketWatch.com
  • Wired.com
  • Reuters.com
  • Economist.com
  • Forbes.com
  • CNET/News.com
  • Time.com
  • InfoWorld.com
  • MSN.com
  • Yahoo.com
  • CFO.com
  • BusinessWeek.com
  • CIO.com
このオンライン調査はB2B系のIT企業が行ったもののようで、選択肢に挙がっているのは;
  1. ビジネス・ファイナンス関連のプリント媒体
  2. 上記プリント媒体のオンラインサイト
  3. オンラインだけというサイトは
    • ビジネス系 :Market Watch、CFO
    • IT系     :CNET、Wired、CIO、InfoWorld
    • ニュース系 :MSN、Yahoo、Reuters
B2Bの購入決定権者に訴求するため、ビジネス・ファイナンス系のプリント媒体をベースに、そのオンラインサイト、そしてオンラインだけのサイトを挙げている。オンラインだけのサイトにはビジネス、IT、ニュース(ポータル)系などを取り揃えている。

B2B系なので当然、専門誌・紙も使うはずだが、プリント媒体リストには出てこないことから、ブランドを意識したキャンペーン用のデータ収集かと思われる。

ここで言えるのは、プリント媒体に引きずられたオンラインサイトの選択だということだ。プリント系オンラインサイトにどれだけアクセスがあるのか、例えば、主要サイトのAlexaによるランキング(11月29日時点)を見ると;
  • HarvardBusinessReview.com (hbr.com)
    Alexaでは、10万位以内に入っていないのでデータなし
  • Forbes.com
    334位
  • Economist.com
    ランク2,330位
  • Time.com
    ランク845位
  • BusinessWeek.com
    ランク608位
調査の選択肢に入っているからキャンペーンに使われるというわけではないが、ランク1,000位以下のEconomist.comとランク外のHarvardBusinessReview.comを使うのはちょっと勇気がいる。

さて、B2Cなら様々なキャンペーンで露出し、ECサイトのショッピングカートに商品を入れてもらえば済む話かもしれないが、B2Bの購入決定権者を対象としたサイト選択とはいっても、B2Bの購入決定プロセスは複雑だ。

B2B購入決定プロセスには、例えばマーケティング、IT部門、決定権者の購入判断と複数の部門が関与するステップが必要だ。マーケティングがリサーチし、ホワイトペーパーなどを入手。それに基づきIT部門がスペックを入手。マーケティングは展示会、セミナー等で製品・サービスのデモを見たり、購入手続きをチェック。マーケティング・IT部門は競合製品との仕様・価格を比較したり、導入費用や販売目標、ROIを見積もる。その後で、ベンダーにプロポーザルを要求し、社内提案、稟議を経て購入決定となる。Cクラスや、Vクラス、Sクラスが社内部門の関与なしにB2B製品・サービスの購入を決めることはできない。このことから、マーケティング・IT部門への露出もC/V/Sクラスに劣らず重要となる。

そうであれば、今、使うべきコミュニケーションビークルはBlog、RSSだし、企業Blogということになる。
4,500人のビジネス・テクノロジーの専門家を対象にBlogとRSS、特に製品・システム購入決定権にかかわるBlog読者の行動、信用、価値、そしてインパクトを調査したKnowledgeStormとUniversal McCannのレポートを以前、紹介した。

参考:Blog and RSS for B2B

それによれば、回答者の80%はBlog読者だ。53%はビジネス情報、そして57%は技術情報を毎週、あるいは毎日、Blogから入手している。53%はBlogコンテンツが製品購入決定に影響する"とまで回答している。
スタティックなWebサイトよりも、日々更新され、最新情報を提供してくれるBlogが提供するコンタクトポイントが重要になっている。
この状況下で、単純にCクラスや、Vクラス、Sクラスがアクセスするだろうと予想するプリント媒体のオンラインサイトをリストアップしても大きな露出効果や結果が得られるキャンペーンは期待できない。

B2B系のブランド認知向上を意識したキャンペーン用のデータ収集だと思われる今回のオンラインサーベイだが、プリント媒体の呪縛から解き放たれていない。プリントとオンラインはまったく別のメディアであるという理解と、Blogコンテンツの誘引力が増加していることを考慮したサイト選択基準が求められている。

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