彼はその根拠として、月ごとのメディアへの広告費とユニークビジターを比較している。3月にオフラインメディア(中心はTV)に重点投下したにもかかわらず効果が見えにくい。30日程度のレスポンス遅延は普通だから、4~5月にかけてのユニークビジター増に若干貢献したともいえる。しかし、その増加はオンライン広告の出稿パターンによる貢献が一層効果を上げている。
また、月ごとのメディアへの広告費と検索エンジンシェアを比較してみるとそれが一層際立つ。9月と10月に検索エンジンシェアが増加しているが、その時期はオンライン広告だけで、オフライン広告はなされていない。
2005年11月から2006年11月までの検索エンジンシェアを見ると、オフラインメディアではなく、オンラインメディアへの広告出稿による相関性が認められる。
ゆえに、オフライン広告キャンペーンはAsk.comにとり、(少なくとも今のところまだ)機能していないと結論している。
Source:Blog.Compete.com / Ask.com: Crossing the Digital Divide
こんな乱暴なデータの取り扱いと、雑な結論の出し方を見たことがない。
我々一般消費者・ユーザは、毎日、新聞、雑誌、TV、ラジオ、屋外、インターネットなどのクロスメディアからブランド、メッセージを露出されている。ひとつのメディアが露出効果を独占できるものではない。IAB、OPA、EIAA、MPA、NAAなど多くの業界団体が出しているのはクロスメディア環境で、各メディアのリフト効果だ。単一メディアが消費者・ユーザの認知、自然想起、ブランド好感度、購入意思を決定するものではない。また、季節要因や競合との露出差も関係してくる。
このデータを元に推測できることは;
- Ask.comの知名度、認知度の低さはTVなどへのオフライン広告によっても、オンライン広告によっても一朝一夕に向上させられるものではない。何年にもわたる競合検索エンジンの認知度が大きく勝っている。
- しかし、オフライン広告の露出によって、若干、ユーザの認知が高まり、オンライン広告での反復も合わさって、4・5月にユニークビジター数が増加したように見える。
- 7・8月は夏休み時期になるため、オン・オフライン広告を実施しても効果がなかったように見える。(この時期にオフライン広告を実施した失敗は大きい。ユビキタスメディアとしてのオンライン広告は夏休みであろうと効果が期待できるがオフライン広告は難しい)
- しかし、9月に入り、学校に戻った学生達がまたビジター数を増やし、シェアを伸ばしたように見える。
Alexaが独占していたWebサイトのランキング、リーチ、ページビューなどの指標に、Compte.comが独自の指標を公開して分け入って来たことは喜ぶべきことだ。どちらにも長所があり、短所があるが、マーケターは必要に応じて使い分ければいいわけだ。
しかし、自前のデータを勝手に解釈し、それをBlogで公開するとなると話は変わってくる。オンラインの効果を大きく見せたいのは分かる気がするが、先走りすぎた感がある。Hitwiseも複数のアナリストが自社データを元にBlogを書いているが、より地に足がついた説得力のある書き込みを読むことができる。
12月13日(米国時間:12日、7:53 pm)にコメントを投稿しておいたが、今のところ返事はない。
参考:http://blog.compete.com/2006/12/12/askcom-offline-media-spending/#comment-9468
0 件のコメント:
コメントを投稿