2006/12/14

Sun CEO's Blog

今日の書き込みで100回目を数える。今まで様々なデータ、資料を元にオンライン広告、ブランディング、マーケティングを紹介し、オンライン露出ギャップが米国だけではなく、全世界に波及していること。インターネットがコアのメディアとして確立し、他メディアを凌駕しつつあることを紹介し、日本のグローバル企業が日本からインターネットを使ったブランディングをしない限り、露出ギャップを埋められず、その差は開くばかりだと言い続けてきた。

一区切りというわけではないが、100回目にあたり注目すべきデータや資料、書き込みの中から、やはりもう一度、SunのCEO、Jonathan SchwartzのBlogを取り上げようと思う。
Fortune500にリストアップされる企業のCEOである彼は、Blogアクセスユーザに対して平易に、普通の話し言葉で語りかけている。新製品の紹介、プ リント媒体のインタビュー、PCと携帯電話、Blogでの財務・企業情報開示の必要性、データセンターの検討、企業の透明性、オープンソースの話など、時 には脱線してしまうこともあるがストレートに書いている。これが非常に印象に残る。

例えば11月28日に、「Tomorrow's Fortune 500」というエントリーがある。
これは環境配慮型のT2000の根付け根拠、発売後の売上高・シェア増加、そして大企業、金融機関、大手キャリア、データセンターなどを重要顧客とするSunのイメージとは違い、「設立4年未満、社員150人未満」規模の新興企業を対象とした販売戦略を説明している。

広報部が用意した文書を元に書いているのではなく、社内での軽い衝突も明らかにし、最初から最後まで彼の言葉で説明している。

Source:Sun CEO / Jonathan's Blog : Tomorrow's Fortune 500
Source:日本語版:将来のFortune500企業

上記のエントリーは英・独・仏・中・日・韓・露・伊・西・ポルトガルの10ヶ国語に翻訳されているので、インターネットで使われている言語のトップ10を網羅し、理論的には約8.6億のインターネットユーザに訴求することができる。(ただし、comScoreのデータを見ればわかるように米国Top(=世界Top)25Webサイトのうち14サイトは米国以外からのアクセスが大半なことから、非英語圏ユーザであっても必要な情報を提供するサイトであれば自国語に翻訳されていなくてもアクセスすることは間違いない)
Source:InternetWorldStats.com / Internet World Users by Language

そして、Technoratiによれば彼のBlogはランク1,321位、1,059Blogから2,224個のリンクがなされている(数字は12月13日時点)。11月27日時点ではランク1,474位、991Blogから1,996個のリンクだったので、2週間ほどの間にランクもアップし、リンク数も増えている。それだけ、彼の人柄、考え、言葉が世界中に伝わったことになる。

2004年6月28日に初めてBlogを開始した際、彼はこう書いている。
「範を示す」
上場企業のトップがBlogを始めてはなぜいけないのだろう。ある意味、論理的には米国のRegFD (Regulation Fair Disclosure :公平開示規則)により、企業情報の排他的提供を禁じられているわけだが、Blogを始めることで外部とコミュニケートすることが我々のやり方だ。
今、JavaOneの新チームはルーツに立ち返り、変革を推進し、攻撃に出ようとしている。破壊的な革新者となる。そして我々はこれから少なからずリスクを負うことになる。私を知っていれば私が自分の信念を言葉にすることを知っているはずだ。
なぜBlogを始めるかと言うと、革新がその予言力を失うとき、革新自体が自立し道を開くと考えている。だからまず私から責任を果たすべきだと考えた。次に私の言葉が文書化されるフォーマットとその正確性を変更するためだ。文中に識者のコメントなしでストレートに伝えるためだ。そしてコミュニティからフィルターのかかっていないフィードバックを受けるためだ。と書いて、自分のEmailアドレスを明記している。

2004年と言えば4月の業績発表で12四半期連続減収、その結果経営幹部の交代が相次ぎ、3,000人以上の従業員削減などが続いていた時期だ。しかし、6月28日と言えば、SunがSFの「JavaOne 2004」でデスクトップアプリケーション向けの4つの新技術を発表し、それらをオープンソース化し、Java.netで公開するとした日でもある。
まなじりを決してBlogを始めることで、改革者としてイバラの道を進み、自身の言葉をステークホルダーに直接伝え、そしてフィードバックをもらうことで病めるSunを回復のトラックへ戻そうとするトップの姿が見えてくるようだ。

一部のグローバル企業のトップは公式WebやマイクロサイトにビデオやFlashで登場し、マーケティング戦略を説明するGEのCEOなどもいた。しかし、日本のCEO、COO、CMO、SVP、VPの大半の人たちの「書き言葉」はスタティックなWebページに掲載され、何年もそのままのことがある。

トップセールスとはしばしば聞かれるが、その中でもSchwartzは、世界中で最も知られ、影響力を持つトップセールスマンであり、トップPRマンだということになる。日本のグローバル企業のトップが来年早々には世界を対象にしたトップセールスを開始することに是非、期待したい。

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