2006/12/20

DoubleClick : Influencing the Influencer

先日、DoubleclickのTouchpoint IVを紹介したが、そのデータで「製品やサービスを購入する判断にもっとも影響を及ぼしたものは何か?」という問いがあり、「クチコミ」が14%でWebサイトの18%、ショップの15%に次いで3番目に高い結果となっていた。

参考:DoubleClick Touchpoint IV

最近は「クチコミ」がホットなマーケティングトピックとして取り上げられている。それでは、「クチコミ」を活かしたマーケティングをどのように実施すればいいのかという問題が提起される。そこでDoubleclickはTouchpoint回答者6,000人から1,000人のインフルエンサー、アクティブなネットワーカーで、テーマごとのエキスパート、Bloggerで、オンラインコミュニティの参加者を特定した。そこでこれら核となるオーディエンスグループを調査したところ、一般的には企業のWebサイト、そして特にオンライン広告が彼らに影響を及ぼす重要なソースだということを明らかにした新しい資料をリリースした。これを紹介する。

オンライン広告はインフルエンサーのショッピングの鍵
Touchpoint IVのデータを、初期認知ではなく、製品・サービスの学習(サーチ)ステップでインフルエンサーと、それ以外を分けた場合、企業Webサイトの影響力がインフルエンサーにとってトップだが、インフルエンサーの19%が製品・サービス購入決定を行うリサーチ段階で重要な役割を果たすとしており、非インフルエンサーの8%と大きな開きがある。

クチコミに影響させるマーケティング方法は?」と問われた場合、それはオンライン広告ということになる。それは潜在顧客層に訴求するだけではなく、彼らを通して友人、同僚、家族といったインフルエンサーが影響力を及ぼす全ての人々に広告を露出していることになるからだ。
インフルエンサーの行動は製品カテゴリで違う ということで、自動車、そして旅行を取り上げて比較している。
  • 自動車
    • インフルエンサーの場合:自動車メーカーのWebサイトが学習(リサーチ)段階でもっとも重要
    • 非インフルエンサーは40%がメーカーWeb、37%がディーラーWeb
    • インフルエンサーは48%がメーカーWeb、31%がディーラーWeb
  • 旅行
    • インフルエンサーの場合:Webサイトが学習(リサーチ)段階でもっとも重要
    • 非インフルエンサーは40%前後がWeb、およびディーラーWeb
    • インフルエンサーは50%弱がWebサイト、30%強がディーラーWeb
    • インフルエンサーの場合:TV広告よりもオンライン広告が重要
    • 非インフルエンサーはTVが21%、オンライン広告が19%
    • インフルエンサーはオンライン広告が24%、TV広告が13%
インフルエンサーは広告に敏感
インフルエンサーは一般的に広告に対して、非インフルエンサーと比べ、より肯定的な関連づけをしている。
特に製品・サービス購入モード時により広告に対して注目することが報告されている。製品メリットをハイライトする広告や使える情報を提供する広告を評価している。また、インフルエンサーは、彼らの行動パターンをベースとして、ターゲッティングしたオンライン広告を実施するよう広告主に期待しているし、アクセス頻度制限をすることで同じメッセージを消費し尽すことがないように考えている。
インフルエンサーは、クッキーを削除するし、TV広告の早送りもする。しかし、広告を見た後、オンラインでフォローアップリサーチを行い、それを友人や家族に話す傾向が非インフルエンサーよりも強く出ている。また、露出された広告を認知し、評価し、そしてそれをコントロールしようとしている。
インフルエンサーはオンライン時間が長い
消費エキスパート、そしてアクティブにアイディアを共有するインフルエンサーは、アクティブなメディア消費者でもある。インフルエンサーは様々なメディアタイプを利用している中でもインターネットの消費が際立つ。一日5時間以上オンライン時間を消費する非インフルエンサーは23%なのに対して、インフルエンサーの39%は5時間以上消費している。
インフルエンサーは新しいメディアがお好き
15タイプの振興メディアの利用率を見ると、インフルエンサーは非インフルエンサーよりもおおよそ全てのメディアで10ポイントパーセント以上の差を開き、その多くが利用している。57%のインフルエンサーはオンラインビデオを視聴(非インフルエンサーは40%)し、44%がBlogへアクセス(同28%)し、36%がPDAなどでインターネットへアクセス(同21%)している。
結論
  • インフルエンサーは、Webサイトに次ぎ、オンライン広告を製品・サービス購入プロセスの重要な一部だと認識している。製品詳細や学習(リサーチ)段階にターゲティングされている広告はエコー効果を呼び、他者へ大きな影響を及ぼす。このためオンライン広告は潜在顧客に訴求するだけではなく、広範なオーディエンスに影響することができる
  • 消費者行動は製品・サービスタイプで変動する。マーケターはオリジナル顧客層調査に投資し、マーケティングプランを適応させる必要がある
  • インフルエンサーは製品・サービス購入プロセスにおける広告を情報チャネルとして高く評価する。加えて必要としない、価値のない広告をフィルターする術も見に付けている。クチコミ顧客のロイヤルティにもっとも効果のあるマーケティング戦略が必要だ
  • インフルエンサーはデジタルメディアをより利用している。インフルエンサーにリーチし、クチコミ効果を狙うにはデジタルメディアを活用するメディアプランが必要。オンラインビデオ、モバイルWebコンテンツ、Blogといったものがインフルエンサーに効果的だ
Source:DoubleClick / Influencing the Influencer How Online Advertising and Media Impact Word of Mouth
参考:Doubleclick

このように前回紹介したYahoo!は「ブランド主唱者(Brand Advocate)」、そしてDoubleClickは「インフルエンサー」としてのパワーを説明している。Timeが今年の顔として「You」を選んだように、インターネット、デジタルメディアを活用する個人ユーザのパワーは既成メディアを凌駕するほど大きくなりつつある。既成メディアから情報を流し続けるだけではオンラインのブランド確立は困難なステージにまで達している。いままでの既存マーケティング戦略はB2Cであれ、B2Bであれ再検討を迫られている。

しかし、この「クチコミ」パワーの訴求力が魅力的なだけに、様々な問題も産んでいる。Wal-Marting America、Lonelygirl15でも止まらず、今度はSonyのPSPでもやらせBlogが判明した。

関連するマーケティング戦略、Blogger/Blogの倫理などを別の機会に取り上げたい。

Source:Adotas / Sony PSP Viral Site Busted
Source:MediaPost / Sony Confesses To Creating 'Flogs,' Shtters Comments
参考:Wal-Mart Enlist Bloggers in P.R. Campaign
参考:WOMMA : Ethical Blogger Contact Guideline

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