「Minimum Digitization Requirement -2」でお終いにするつもりだったが、もうひとつ追加する。
それはSiemensであれ、Samsungであれ、ユーザ登録をさせてEmailニュースレターを送っていることだ。
いや、うちはRSSフィードを提供しているから、わざわざユーザ登録をさせて、個人情報を管理する手間暇をかける必要もなく、同じ効果を発揮できているという企業・ブランドもいるだろう。
しかし、下のようなRSSフィードでユーザのトリガーになるとは思えない。
いや、フルフィードしているという企業・ブランドは、Siemensと同様のコンテンツだろうか?
Email + Social Mediaで紹介したように、「個人的なコミュニケーションのツールとしてEmailが北米、EMEA、APACでトップ」、北米は87%、EMEAが74%、APACが63%となっている。
参考:Email + Social Media (Online Ad 2010/03/29)
そして、昨年の「Marketing & Media Survey 2009」で紹介したDatran Mediaの最新データによれば、2009年企業が行った広告チャネルの中で最も大きなパフォーマンスを発揮したのは検索の23.6%を大きく引き離してEmailが39.4%でトップを獲得している。
参考:Marketing & Media Survey 2009 (Online Ad 2009/03/12)
Source:Datran Media / 4th Annual Marketing & Media Survey
ジャンクメールでごった返すメールボックスではあるけれど、個人のコミュニケーションツールのトップに来るEmailだからこそ、広告チャネルとしてトップのパフォーマンスを上げているEmailだからこそ、そして、昨年その著しい効果を実感し、今年、ビデオ付きEmailを増やそうというマーケターが11.9%おり、昨年はやっていないが今年はビデオ付きEmailを計画するというマーケターが64%もいるEmailだからこそ、また、ソーシャルメディアと相性の良いEmailだからこそ活用する必要がある。
Source:implix / GetResponse
テキストベースのEmailニュースレターを出している世界的なメーカーが日本にもいる。ただし、残念ながら、そのクオリティやトリガー性をSiemensやSamsungと比べることさえ憚られるほどだ。しかし、ユーザ登録を推奨してEmailニュースレターを出していない企業・ブランドと比べれば少なくとも一歩先を行っている。Email登録ユーザDBという時間と手間、コストのかかる資産を築きあげてきたのだから。HTMLメールに変更しさえすればその資産は最適、最大活用ができるのだから。
Emailユーザ登録を行っていない企業・ブランドは何をやるにしても、これから相応以上の時間、コスト、手間暇を負担しなければならないし、広がるばかりのギャップを手をこまねいて見ているだけになる。
2010/04/30
2010/04/28
Minimum Digitization Requirement -2
昨日に続き、最低限のデジタル化に加えてSiemensが何をやっているかと言うと、それは「Webユーザ調査」だ。
参考:Minimum Digitization Requirement -1 (Online Ad 2010/04/26)
下の画面は3月24日にSiemens.comへアクセスした際、表示されたものだ。8分ほどで終わると言うので調査に協力してみた。
まず、Siemens.comへのアクセス目的を訊かれ、その後、アクセス頻度や理由、そして、Webサイトのどのセクションにアクセスしたのかとか、例えばプレスリリースの内容に満足したかを訊かれる。
もし、満足できなかった場合はその理由などを訊き、Webサイト全体の印象や構成、内容に対して5段階評価も訊いてくる。
加えて、今後3カ月以内に再訪する可能性があるかとか、友人や家族、同僚にWebサイトを勧めるかどうか、Siemensの企業イメージを訊いて、Webサイトへアクセスしたことによってそれが改善したか、悪くなったのかまで訊いてくる。
最後に、居住地、インターネットの経験、性別、年齢を入れさせて、自由コメントを書かせていた。
こういったWebアクセスユーザ調査をSiemensは年に一回、ひと月ぐらいはしているのだろうと思っているとそれは大間違いだ。Siemensのみならず、Philipsであれ、Samsungであれ、かれらは毎年、毎月、千人・万人といった単位でユーザ調査をやっている。それはそうだろう。特定年、特定月だけやっていては常時、変化し続けるユーザのWebコンテンツ評価、自社に対するイメージ、彼らの要求についていくことはできないからだ。
自社Webサイトの情報・コンテンツにアクセスし、消費し、それをユーザ個人のリレーション、コネクション、ネットワークに露出、共有してくれるユーザの求めるもの、ユーザが何を評価し、何を評価しないのか、そして、例えば競合企業・ブランドとの比較評価を理解しなければ、何のためにWebサイトを構築し、定期的に情報・コンテンツを更新しているのかということになる。
ユーザを無視し、独りよがりのWebサイトであればまったくかまわないが、このインターネット時代にユーザ、読者、顧客の声を訊かないWebサイト、それを立ち上げている企業・ブランドなど存在理由も意義もない。
情報・コンテンツを最低限デジタル化することに加えて、Siemensが行っているWebユーザ調査を、日本のグローバル企業のグローバルサイトの一体いくつがやっているのだろう?1社もやっていないとすると、Siemens、Philips、Samsungといったグローバル企業とのギャップは、何もオンライン露出だけではなく、ユーザ・顧客・消費者を理解する姿勢、体制にまで広がってしまうことになる。そんな体制でグローバルなブランディングができると思いますか?
参考:Minimum Digitization Requirement -1 (Online Ad 2010/04/26)
下の画面は3月24日にSiemens.comへアクセスした際、表示されたものだ。8分ほどで終わると言うので調査に協力してみた。
まず、Siemens.comへのアクセス目的を訊かれ、その後、アクセス頻度や理由、そして、Webサイトのどのセクションにアクセスしたのかとか、例えばプレスリリースの内容に満足したかを訊かれる。
もし、満足できなかった場合はその理由などを訊き、Webサイト全体の印象や構成、内容に対して5段階評価も訊いてくる。
加えて、今後3カ月以内に再訪する可能性があるかとか、友人や家族、同僚にWebサイトを勧めるかどうか、Siemensの企業イメージを訊いて、Webサイトへアクセスしたことによってそれが改善したか、悪くなったのかまで訊いてくる。
最後に、居住地、インターネットの経験、性別、年齢を入れさせて、自由コメントを書かせていた。
こういったWebアクセスユーザ調査をSiemensは年に一回、ひと月ぐらいはしているのだろうと思っているとそれは大間違いだ。Siemensのみならず、Philipsであれ、Samsungであれ、かれらは毎年、毎月、千人・万人といった単位でユーザ調査をやっている。それはそうだろう。特定年、特定月だけやっていては常時、変化し続けるユーザのWebコンテンツ評価、自社に対するイメージ、彼らの要求についていくことはできないからだ。
自社Webサイトの情報・コンテンツにアクセスし、消費し、それをユーザ個人のリレーション、コネクション、ネットワークに露出、共有してくれるユーザの求めるもの、ユーザが何を評価し、何を評価しないのか、そして、例えば競合企業・ブランドとの比較評価を理解しなければ、何のためにWebサイトを構築し、定期的に情報・コンテンツを更新しているのかということになる。
ユーザを無視し、独りよがりのWebサイトであればまったくかまわないが、このインターネット時代にユーザ、読者、顧客の声を訊かないWebサイト、それを立ち上げている企業・ブランドなど存在理由も意義もない。
情報・コンテンツを最低限デジタル化することに加えて、Siemensが行っているWebユーザ調査を、日本のグローバル企業のグローバルサイトの一体いくつがやっているのだろう?1社もやっていないとすると、Siemens、Philips、Samsungといったグローバル企業とのギャップは、何もオンライン露出だけではなく、ユーザ・顧客・消費者を理解する姿勢、体制にまで広がってしまうことになる。そんな体制でグローバルなブランディングができると思いますか?
ラベル:
Case Study,
Email,
Visitor Survey
2010/04/27
Minimum Digitization Requirement -1
Siemensから定期的に以下のようなプレス・ニュースレターがemailで送られてくる。
これは一週間分のプレスリリースをまとめて送ってくれるサービスだ。基本的にはプレス関係者へ送られるものだが、登録さえしておけばプレス関係でなくとも送ってくれる。
今回のemailには、4月30日に開催予定のeMobilityの案内や上半期の業績発表予定と、16日から23日までに発信された発電所、人材雇用、Hanoverフェア、ベニスの新交通システムなどのプレスリリースがまとまっている。
そして、例えばeMobilityのリンクをクリックしたWebサイトのページには、当然のように共有ツールが装備されている。Digg、Delicious、Facebook、Twitterはもちろんだが、Yigg、Xingといった独ベースのちょっと耳慣れないサービス、ツールも装備している。
Source:Siemens / Emobility
Siemensは、テキスト、画像、動画、共有ツール、そしてFacebookにあるeMobilityへのリンク、そのWebコンテンツを幅広く配布するemailやRSSフィードなど最低限のコンテンツや機能がそろったWebページを準備している。
どこかのメーカーのニュースリリースのようにテキストだけで画像はなく、クリックしようと言う気さえ起こさせないケースとは違い、メリハリの付いたテキストと画像、クリッカブルの組み合わせなど、Siemensのやっていることは最低限のデジタル化だ。
さて、Viral Video from Ciscoで以下のように書いた。
Siemensが最低限のデジタル化に加えて行っていることがある。それは明日。
これは一週間分のプレスリリースをまとめて送ってくれるサービスだ。基本的にはプレス関係者へ送られるものだが、登録さえしておけばプレス関係でなくとも送ってくれる。
今回のemailには、4月30日に開催予定のeMobilityの案内や上半期の業績発表予定と、16日から23日までに発信された発電所、人材雇用、Hanoverフェア、ベニスの新交通システムなどのプレスリリースがまとまっている。
そして、例えばeMobilityのリンクをクリックしたWebサイトのページには、当然のように共有ツールが装備されている。Digg、Delicious、Facebook、Twitterはもちろんだが、Yigg、Xingといった独ベースのちょっと耳慣れないサービス、ツールも装備している。
Source:Siemens / Emobility
Siemensは、テキスト、画像、動画、共有ツール、そしてFacebookにあるeMobilityへのリンク、そのWebコンテンツを幅広く配布するemailやRSSフィードなど最低限のコンテンツや機能がそろったWebページを準備している。
どこかのメーカーのニュースリリースのようにテキストだけで画像はなく、クリックしようと言う気さえ起こさせないケースとは違い、メリハリの付いたテキストと画像、クリッカブルの組み合わせなど、Siemensのやっていることは最低限のデジタル化だ。
さて、Viral Video from Ciscoで以下のように書いた。
デジタル化しただけではターゲットに届かないのだから、CSRレポートをpdf化してWebにアップしてもターゲットに近いス ペースに置いたことにはなら ない。プレス・ニュースリリースをデジタル化し、共有ボタンや画像・動画を張り付けただけではソーシャルメディア化したことにはならない。コンテンツを消 費してくれるターゲットが行動する範囲にそれは存在していないのだから。そして、以前からの広報や広告のように、リリースを発信したり、出稿したら手を出 さなくてもいいのものではなく、出した後の方が手間暇をかけてメンテナンスをしっかりとやっていかなければならないものなのだから。参考:Viral Video from Cisco (Online Ad 2010/04/24)
Siemensが最低限のデジタル化に加えて行っていることがある。それは明日。
ラベル:
Case Study,
PR
2010/04/26
LG Dear Personal Hero
季節外れの話で恐縮だが、昨年12月に入り、あと何日でX'mas、あと何日で大みそか、あと何日でNew Yearという時期になって、多くの企業・ブランドがホリデー用のキャンペーンを仕掛けていた。
そんな中で、9カ国で10,737人に対して行った調査、
例えば、
(クリックでサイトへ)
YouTubeにビデオも上がっている。
すでに47,641人(12月11日時点)が個人ヒーローにメールを送っていた。
Source:LG Dear Hero
こういったユーザ個人が持っている小さな価値を取上げたり、ユーザに新しい価値を提供するキャンペーンこそが、「ブランディング」だと感じる。企業・ブランドがダイレクトにエンドユーザ、消費者、あるいは既存の顧客とつながり、対話できる時代なだけにもっと多くの企業・ブランドが実行すべきマーケティングだと感じる。
そんな中で、9カ国で10,737人に対して行った調査、
例えば、
- 「あなたのマンガヒーローは誰?」、
- 「マンガヒーローに頼みたいこと」、
- 「2009年のヒーローは誰?」、
- 「グローバルヒーローに贈る最も元気の出る贈り物は?」、
- 「毎日、周りにいるけど日の当らないあなた個人のヒーローは誰?」、
- 「その個人ヒーローに感謝の意を伝えるのは何がベスト?」
(クリックでサイトへ)
YouTubeにビデオも上がっている。
すでに47,641人(12月11日時点)が個人ヒーローにメールを送っていた。
Source:LG Dear Hero
こういったユーザ個人が持っている小さな価値を取上げたり、ユーザに新しい価値を提供するキャンペーンこそが、「ブランディング」だと感じる。企業・ブランドがダイレクトにエンドユーザ、消費者、あるいは既存の顧客とつながり、対話できる時代なだけにもっと多くの企業・ブランドが実行すべきマーケティングだと感じる。
ラベル:
Case Study,
Marketing,
Online Branding
2010/04/23
LinkedIn for B2B
eMarketerが1月にHubSpotのデータから、LinkedInを使っているB2B企業のうち45%がLinkedInから新しい顧客を獲得したという表を出していた。Blog、Facebook、そしてTwitterよりもLinkedInのほうがB2B企業にとっては効果が高いわけだ。
そして、その高い効果に誘われてB2B企業はLinkedInの活用を一層進めているというデータが出てきた。昨年よりもっと活用するようになった企業は47.8%もいる。
Source:eMarketer / Leads for Less with Social Media
Source:eMarketer / B2B Sales Pros Turn to LinkedIn
といってもB2B企業の大半はこれらソーシャルメディアスペースを活用していない。YouTubeを使っていないB2Bが77.9%、Twitterが69.2%、Facebookが63.1%、Blogが51.9%と過半数を越えている。
しかし、一方、YouTubeにしても16.8%は昨年同様、あるいはそれ以上活用している現状がありながら、競合の動きをモニターしていないB2Bが大半だと言いかえることもできる。
ま、すべてのB2B企業がソーシャルメディアを使えないのはわかるが、それにしても如何に従来からのアプローチを強固な縦型サイロ組織で固めているかがわかる。LinkedInに限らず、ソーシャルメディアがB2Cであれ、B2Bであれ、企業のビジネスを変えつつあることは明らかなのだが...。
そして、その高い効果に誘われてB2B企業はLinkedInの活用を一層進めているというデータが出てきた。昨年よりもっと活用するようになった企業は47.8%もいる。
Source:eMarketer / Leads for Less with Social Media
Source:eMarketer / B2B Sales Pros Turn to LinkedIn
といってもB2B企業の大半はこれらソーシャルメディアスペースを活用していない。YouTubeを使っていないB2Bが77.9%、Twitterが69.2%、Facebookが63.1%、Blogが51.9%と過半数を越えている。
しかし、一方、YouTubeにしても16.8%は昨年同様、あるいはそれ以上活用している現状がありながら、競合の動きをモニターしていないB2Bが大半だと言いかえることもできる。
ま、すべてのB2B企業がソーシャルメディアを使えないのはわかるが、それにしても如何に従来からのアプローチを強固な縦型サイロ組織で固めているかがわかる。LinkedInに限らず、ソーシャルメディアがB2Cであれ、B2Bであれ、企業のビジネスを変えつつあることは明らかなのだが...。
2010/04/22
iPad application
iPadが発売されるや否や、GapがiPadアプリをリリースしている。
このアプリを使い、ジーンズ、セレブ、デザイナービデオや音楽も聞けるし、オンラインショッピングもできるようだ。
ただし、iTunesのレビューによるとクラッシュしているようだ。
Source:Adverblog / Gap + iPad = cool
Source:iTunes / Gap 1969 Stream
電子ブックリーダーとして持ち運びの良さ、画面の大きさ、高い処理能力などが広く、高く評価されているが、ひょっとすると、電子ブックリーダーとしてよりも企業・ブランドにとって見ると携帯デバイスを押さえて3番目のスクリーンになってしまうのではないのだろうか。そんな気がする。
このアプリを使い、ジーンズ、セレブ、デザイナービデオや音楽も聞けるし、オンラインショッピングもできるようだ。
ただし、iTunesのレビューによるとクラッシュしているようだ。
Source:Adverblog / Gap + iPad = cool
Source:iTunes / Gap 1969 Stream
電子ブックリーダーとして持ち運びの良さ、画面の大きさ、高い処理能力などが広く、高く評価されているが、ひょっとすると、電子ブックリーダーとしてよりも企業・ブランドにとって見ると携帯デバイスを押さえて3番目のスクリーンになってしまうのではないのだろうか。そんな気がする。
ラベル:
Misc.
2010/04/21
Viral Video from Cisco
「The Future of Shopping」というビデオがある。YouTubeだけで視聴160万回を越え、Viral Video Chartによれば234のBlogが記事を書き、138件のコメントがあり、2,600のFacebook Shareをたたき出している。
ブティックで店員さんを横に、前後、左右、上下に右手を振りまわしている女性を見ると、ちょっと大丈夫かと思うが、少しすると合点が行く。鏡のようなディスプレイに向かい、バーチャルに服を試着したり、色違いを試したりした後、非接触カードで支払を済ませるまでを描いているビデオだ。
Source:YouTube / The Future of Shopping
Source:ViralVideoChart / The Future of Shopping
このビデオはBtoB OnlineがInteractive Marketing Guide 2010の中で、優秀バイラルビデオの最終候補としてHPとCiscoを選出しているが、そのCiscoのビデオだ。他にも「The Future of Healthcare」、「The Future of Education」があり、3本まとめて選出されている。
Source:BtoB Online / Interactive Marketing Guide 2010 (pdf)
Ciscoのバイラルビデオは、いずれも医療、教育、お買い物といった一般消費者の身近にある近い将来を描き出し、そのバックボーンを支えるCiscoのCatalystスイッチ、TrustSecセキュリティソリューション、G2ルーターを紹介するボーダレスネットワークのプレゼンへトラフィックを誘引している。
Ciscoによればビデオから6,000人がプレゼンへ誘引されたそうだ。SamsungのExtreme Sheep LED Artならいざ知らず、B2Bの総本山的なCiscoのバイラルビデオからIT・ネットワーク系の決定権者6,000人が誘引されたとすると大変な数字だ。
参考:Extreme Sheep LED Art (Online Ad 2009/03/24)
なぜ、「IT・ネットワーク系の決定権者6,000人が」と書いたかと言うと、簡単にプレゼンを見せてくれるわけではないのだ。氏名から始まり、所属部門、職位、業界、予算規模、世界の従業員数、職務詳細などを入力した後でなければプレゼンは見られないのだ。そこまで情報を入力してもプレゼンを見ようとする決定権者なのだ。
さて、3つのバイラルビデオを合計して約165万回の視聴、6,000回のアクセスからすると直接的CTRは0.36%ということになる。間接的にはFacebookユーザの平均友人数は130人なので2,600のFacebook ShareがあったことからするとFacebookだけで約34万人にビデオが露出した可能性があるし、234のBlogが記事を書いた露出も加えねばならない。BtoB Onlineのようなメディア系での露出もある。
従来からのB2Bマーケティングをやっている限り、こういった新しい試みは試されることもなく、先進企業・ブランドの後塵を拝するだけだ。この新しい試みとはバイラルマーケティングということではない。ターゲットにより近いスペースにタッチポイントを設置し、コンテンツやリンク、引用の共有や拡散を図り、ターゲットに自発的に独自コンテンツを作成してもらうことだ。その独自コンテンツをターゲットの個人的コネクション、リレーションズ、ネットワークで共有してもらうことだ。
B2Bというと対面営業・プレゼン、展示会、電話・Email、DMといったところがマーケティング上位を占め、ソーシャルメディアマーケティングの取り組みはまだまだ遅れている。そして、B2BやB2Cといった分類ではなく、広報、広告、総務、人事、CSR、環境・グリーン、顧客対応・サービスといった企業そのものの各部署の取り組みも遅れている。
デジタル化しただけではターゲットに届かないのだから、CSRレポートをpdf化してWebにアップしてもターゲットに近いスペースに置いたことにはならない。プレス・ニュースリリースをデジタル化し、共有ボタンや画像・動画を張り付けただけではソーシャルメディア化したことにはならない。コンテンツを消費してくれるターゲットが行動する範囲にそれは存在していないのだから。そして、以前からの広報や広告のように、リリースを発信したり、出稿したら手を出さなくてもいいのものではなく、出した後の方が手間暇をかけてメンテナンスをしっかりとやっていかなければならないものなのだから。
ブティックで店員さんを横に、前後、左右、上下に右手を振りまわしている女性を見ると、ちょっと大丈夫かと思うが、少しすると合点が行く。鏡のようなディスプレイに向かい、バーチャルに服を試着したり、色違いを試したりした後、非接触カードで支払を済ませるまでを描いているビデオだ。
Source:YouTube / The Future of Shopping
Source:ViralVideoChart / The Future of Shopping
このビデオはBtoB OnlineがInteractive Marketing Guide 2010の中で、優秀バイラルビデオの最終候補としてHPとCiscoを選出しているが、そのCiscoのビデオだ。他にも「The Future of Healthcare」、「The Future of Education」があり、3本まとめて選出されている。
Source:BtoB Online / Interactive Marketing Guide 2010 (pdf)
Ciscoのバイラルビデオは、いずれも医療、教育、お買い物といった一般消費者の身近にある近い将来を描き出し、そのバックボーンを支えるCiscoのCatalystスイッチ、TrustSecセキュリティソリューション、G2ルーターを紹介するボーダレスネットワークのプレゼンへトラフィックを誘引している。
Ciscoによればビデオから6,000人がプレゼンへ誘引されたそうだ。SamsungのExtreme Sheep LED Artならいざ知らず、B2Bの総本山的なCiscoのバイラルビデオからIT・ネットワーク系の決定権者6,000人が誘引されたとすると大変な数字だ。
参考:Extreme Sheep LED Art (Online Ad 2009/03/24)
なぜ、「IT・ネットワーク系の決定権者6,000人が」と書いたかと言うと、簡単にプレゼンを見せてくれるわけではないのだ。氏名から始まり、所属部門、職位、業界、予算規模、世界の従業員数、職務詳細などを入力した後でなければプレゼンは見られないのだ。そこまで情報を入力してもプレゼンを見ようとする決定権者なのだ。
さて、3つのバイラルビデオを合計して約165万回の視聴、6,000回のアクセスからすると直接的CTRは0.36%ということになる。間接的にはFacebookユーザの平均友人数は130人なので2,600のFacebook ShareがあったことからするとFacebookだけで約34万人にビデオが露出した可能性があるし、234のBlogが記事を書いた露出も加えねばならない。BtoB Onlineのようなメディア系での露出もある。
従来からのB2Bマーケティングをやっている限り、こういった新しい試みは試されることもなく、先進企業・ブランドの後塵を拝するだけだ。この新しい試みとはバイラルマーケティングということではない。ターゲットにより近いスペースにタッチポイントを設置し、コンテンツやリンク、引用の共有や拡散を図り、ターゲットに自発的に独自コンテンツを作成してもらうことだ。その独自コンテンツをターゲットの個人的コネクション、リレーションズ、ネットワークで共有してもらうことだ。
B2Bというと対面営業・プレゼン、展示会、電話・Email、DMといったところがマーケティング上位を占め、ソーシャルメディアマーケティングの取り組みはまだまだ遅れている。そして、B2BやB2Cといった分類ではなく、広報、広告、総務、人事、CSR、環境・グリーン、顧客対応・サービスといった企業そのものの各部署の取り組みも遅れている。
デジタル化しただけではターゲットに届かないのだから、CSRレポートをpdf化してWebにアップしてもターゲットに近いスペースに置いたことにはならない。プレス・ニュースリリースをデジタル化し、共有ボタンや画像・動画を張り付けただけではソーシャルメディア化したことにはならない。コンテンツを消費してくれるターゲットが行動する範囲にそれは存在していないのだから。そして、以前からの広報や広告のように、リリースを発信したり、出稿したら手を出さなくてもいいのものではなく、出した後の方が手間暇をかけてメンテナンスをしっかりとやっていかなければならないものなのだから。
ラベル:
B2B/B2C,
Case Study,
Marketing,
Online Video,
Viral
2010/04/20
Ford Reputation Soars
今回で11回目になるReputation QuotientをHarris Interactiveが出している。
このReputation Quotientは、6分野の20属性を指標として各社を評価している。
2009年のトップ10には、Berkshire Hathaway、J&J、Google、3M、SC Johnson、Intel、Microsoft、Coca-Cola、Amazon、General Millsが入っている。
調査が行われたのは、2009年12月29日から2010年2月15日まで、29,963人を対象にしたインタビューが行われている。
明らかなのは新顔が3社入り、Sony、Kraft Foods、Toyotaがトップ10から陥落している。Sonyは3位から16位へ、Kraft Foodsは5位から13位へ、Toyotaは10位から20位へ落ちた。
しかし、中でも2008年から2009年にかけてとてつもなくRQ上昇を見せた企業・ブランドがいる。Harrisが11年間行ってきた毎年の調査の中でも最も大きな伸び、11.28アップをたたき出したのがFordだ。2008年の51位から2009年は37位まで順位を上げている。
Source:Over the Wire / Company Reputation is as Good as its Communication
Source:Harris Interactive / Reputation Quotient 2009 (pdf)
Fordと言えば、Fiesta Movement、Scott Monty、Online Monitoringなどに絡めて、数多く書いてきたようにソーシャルメディア戦略、マーケティングで最先端を走っている企業・ブランドだ。1月にはPRWeekの「Best Use of Social/Digital Media」を受賞している。
参考:Social Media Policy Tool (Online Ad 2010/03/15)
参考:Ford: Social Media Monitoring (Online Ad 2009/09/17)
参考:Ford Social Media Strategy (Online Ad 2009/09/30)
参考:Leadership of Ford and Toyota in Social Media (Online Ad 2010/04/01)
ビッグスリーの中で唯一、政府から支援を受けずリーマンショックを乗り切り、ソーシャルメディアスペースでユーザとの対話を進めるFordであれば、エモーショナルも職場環境も、財務パフォーマンスも、製品・サービスやビジョン、そしてSRも評価が上るのは当然だろう。
さて、Harrisだけではなくいろいろなブランドランキングがあるが、KPIとしてソーシャルメディアスペースにおけるユーザとの対話の有無、その体制、評価などを追加してもいい時期ではないだろうか。それなしにはコミュニケーションや対話が成り立たなくなりつつあるのだから。
このReputation Quotientは、6分野の20属性を指標として各社を評価している。
- エモーショナル(尊敬、信頼など)
- 製品&サービス
- 職場環境
- 財務パフォーマンス
- ビジョン&リーダーシップ
- 社会的責任(社会貢献支援、環境責任、コミュニティ責任)
2009年のトップ10には、Berkshire Hathaway、J&J、Google、3M、SC Johnson、Intel、Microsoft、Coca-Cola、Amazon、General Millsが入っている。
調査が行われたのは、2009年12月29日から2010年2月15日まで、29,963人を対象にしたインタビューが行われている。
明らかなのは新顔が3社入り、Sony、Kraft Foods、Toyotaがトップ10から陥落している。Sonyは3位から16位へ、Kraft Foodsは5位から13位へ、Toyotaは10位から20位へ落ちた。
しかし、中でも2008年から2009年にかけてとてつもなくRQ上昇を見せた企業・ブランドがいる。Harrisが11年間行ってきた毎年の調査の中でも最も大きな伸び、11.28アップをたたき出したのがFordだ。2008年の51位から2009年は37位まで順位を上げている。
Source:Over the Wire / Company Reputation is as Good as its Communication
Source:Harris Interactive / Reputation Quotient 2009 (pdf)
Fordと言えば、Fiesta Movement、Scott Monty、Online Monitoringなどに絡めて、数多く書いてきたようにソーシャルメディア戦略、マーケティングで最先端を走っている企業・ブランドだ。1月にはPRWeekの「Best Use of Social/Digital Media」を受賞している。
参考:Social Media Policy Tool (Online Ad 2010/03/15)
参考:Ford: Social Media Monitoring (Online Ad 2009/09/17)
参考:Ford Social Media Strategy (Online Ad 2009/09/30)
参考:Leadership of Ford and Toyota in Social Media (Online Ad 2010/04/01)
ビッグスリーの中で唯一、政府から支援を受けずリーマンショックを乗り切り、ソーシャルメディアスペースでユーザとの対話を進めるFordであれば、エモーショナルも職場環境も、財務パフォーマンスも、製品・サービスやビジョン、そしてSRも評価が上るのは当然だろう。
さて、Harrisだけではなくいろいろなブランドランキングがあるが、KPIとしてソーシャルメディアスペースにおけるユーザとの対話の有無、その体制、評価などを追加してもいい時期ではないだろうか。それなしにはコミュニケーションや対話が成り立たなくなりつつあるのだから。
2010/04/19
Greenpeace Campaign Against Nestle
4月15日、スイス、ローザンヌで開催されたNestleの株主総会に合わせてGreenpeaceは様々なキャンペーンを実施していた。
Greenpeaceのメール登録者には下のメールが送られ、株主総会会場の内外でバナーを掲げたり、オランウータンの縫ぐるみを着てNestleの株主に「Give the orang-utans a break」と訴えていた。以前から行われていたEmailキャンペーンにより、20万通以上のメールがNestleのCEOなどに送られたそうだ。
下はGreenpeaceの対Nestleキャンペーンサイト。
Source:Greenpeace / Kitcat campaign
なお、Nestleに対するGreenpeaceのキャンペーンそのもの、NestleのYouTube、Facebookに関連する対応の顛末は以下に詳しく書かれている。
Source: 日本にソーシャルメディアの風を! / ネスレのFacebookページが炎上
さて、上のメールにはTwitterからの発信リンクもあり、以下のTweetが発信されることになる。
Greenpeaceは、Email、Twitter、Facebook、YouTube、RSSフィードで情報・メッセージ・コンテンツの露出、共有、再発信(露出)を図り、キャンペーン効果を最大化させている。そして、株主総会会場での実力行使となったわけだ。
一方、NestleはGreenpeaceのキャンペーンをただ黙って見過ごしていたのか、それとも?
下は、NestleのTwitterアカウントで、3月18日、3月20日、そして4月14日にパーム油関連Tweetがある。Facebookでもアナウンスされていたが、FacebookのページはアンチNestle派が乗っ取っているような状況だったので、「人殺し」といった書込みに紛れてしまっている。
Source:Twitter / Nestle
14日のTwitterで書かれていたアップデートは、13日付けでNestle会長名でGreenpeaceに送付したEmailレターについてだ。この中でNestleはインドネシアのSinar Masとのパーム油取引を中止、その他サプライヤーに対しても非持続可能ソースからのブレンドパーム油提供による取引中止を警告、パーム油円卓会議への参加などを説明していた。
そして、15日に再度アップデートがあり、株主総会での会長によるコメントまでビデオで流していた。
Source:Nestle / Statement on deforestation and palm oil
Nestleの対応は後手後手に回った感は否めない。特にYouTube、Facebookに関するひどい対応がバズ化した後の対応がまずい。自社Webサイトにアクセスするユーザを前提とした対応は、森の中で狩人が獲物を取るために仕掛けていた穴に自ら足を踏み入れるのに近い暴挙だ。彼らのスペース、セクション、エリアで、彼らの言葉を使って話をしなければいけないにも関わらず、大きなメガホンを口にし、大声で私は悪くないと言いまわっても誰も聞いてくれない。
ブランドレピュテーションや企業価値が音を立てて崩れていく様、あるいは少なくとも損なわれる様をオンラインで高みから見物できる現在、多くの企業・ブランドが今回のケースから学習するだろう。
車のようにオーナーの命に関るケースもあれば、エレクトロニクス製品からの出火や不具合、初期不良もあるし、今回のようにサプライチェーンの一部が原因となってほころびるケースもある。そして、発火点が自国だけとは限らず、外国のケースもある。それが世界中のインターネットユーザに波及してゆく。
なお、2009年にSinar Masの子会社とのパーム油取を取りやめていたUnileverは、ほっと胸をなで下ろしているのか、それとも...?
Greenpeaceのメール登録者には下のメールが送られ、株主総会会場の内外でバナーを掲げたり、オランウータンの縫ぐるみを着てNestleの株主に「Give the orang-utans a break」と訴えていた。以前から行われていたEmailキャンペーンにより、20万通以上のメールがNestleのCEOなどに送られたそうだ。
下はGreenpeaceの対Nestleキャンペーンサイト。
Source:Greenpeace / Kitcat campaign
なお、Nestleに対するGreenpeaceのキャンペーンそのもの、NestleのYouTube、Facebookに関連する対応の顛末は以下に詳しく書かれている。
Source: 日本にソーシャルメディアの風を! / ネスレのFacebookページが炎上
さて、上のメールにはTwitterからの発信リンクもあり、以下のTweetが発信されることになる。
Good afternoon Nestle shareholders! You can act to protect rainforests, climate AND your investment: http://j.mp/nestlepalmoilそして、他にもFacebook、YouTubeでもキャンペーンが行われている。
Greenpeaceは、Email、Twitter、Facebook、YouTube、RSSフィードで情報・メッセージ・コンテンツの露出、共有、再発信(露出)を図り、キャンペーン効果を最大化させている。そして、株主総会会場での実力行使となったわけだ。
一方、NestleはGreenpeaceのキャンペーンをただ黙って見過ごしていたのか、それとも?
下は、NestleのTwitterアカウントで、3月18日、3月20日、そして4月14日にパーム油関連Tweetがある。Facebookでもアナウンスされていたが、FacebookのページはアンチNestle派が乗っ取っているような状況だったので、「人殺し」といった書込みに紛れてしまっている。
Source:Twitter / Nestle
14日のTwitterで書かれていたアップデートは、13日付けでNestle会長名でGreenpeaceに送付したEmailレターについてだ。この中でNestleはインドネシアのSinar Masとのパーム油取引を中止、その他サプライヤーに対しても非持続可能ソースからのブレンドパーム油提供による取引中止を警告、パーム油円卓会議への参加などを説明していた。
そして、15日に再度アップデートがあり、株主総会での会長によるコメントまでビデオで流していた。
Source:Nestle / Statement on deforestation and palm oil
Nestleの対応は後手後手に回った感は否めない。特にYouTube、Facebookに関するひどい対応がバズ化した後の対応がまずい。自社Webサイトにアクセスするユーザを前提とした対応は、森の中で狩人が獲物を取るために仕掛けていた穴に自ら足を踏み入れるのに近い暴挙だ。彼らのスペース、セクション、エリアで、彼らの言葉を使って話をしなければいけないにも関わらず、大きなメガホンを口にし、大声で私は悪くないと言いまわっても誰も聞いてくれない。
ブランドレピュテーションや企業価値が音を立てて崩れていく様、あるいは少なくとも損なわれる様をオンラインで高みから見物できる現在、多くの企業・ブランドが今回のケースから学習するだろう。
車のようにオーナーの命に関るケースもあれば、エレクトロニクス製品からの出火や不具合、初期不良もあるし、今回のようにサプライチェーンの一部が原因となってほころびるケースもある。そして、発火点が自国だけとは限らず、外国のケースもある。それが世界中のインターネットユーザに波及してゆく。
なお、2009年にSinar Masの子会社とのパーム油取を取りやめていたUnileverは、ほっと胸をなで下ろしているのか、それとも...?
ラベル:
Case Study,
Email,
Marketing,
NGO,
PR,
Social Media Power
2010/04/16
Twitter Stats
Business Insiderが、TwitterのDevelopers Conferenceで明らかにされた各種データを上げている。
Source:Business Insider / Twitter Finally Reveals All Its Secret Stats
ようやく外からしかうかがいしれなかったTwitterのデータが出てきたわけだ。そして、TwitterのBlogにあるように登録ユーザの60%以上が米国以外のユーザだ。また、インドの携帯最大手Bharti Airtelとも提携したようなのでインドにおける5.5億のモバイルユーザの多くがTwitterにやってくる。それにインドネシアのキャリアとも提携しているからここからもTwitterに大挙してやってくる。
Source:Twitter Blog / Growing Around the World
なお、Twitter、モバイルユーザを該当国内だけのチャネルと見ているのなら大きな間違いを犯すことになる。
Source:Business Insider / Twitter Finally Reveals All Its Secret Stats
ようやく外からしかうかがいしれなかったTwitterのデータが出てきたわけだ。そして、TwitterのBlogにあるように登録ユーザの60%以上が米国以外のユーザだ。また、インドの携帯最大手Bharti Airtelとも提携したようなのでインドにおける5.5億のモバイルユーザの多くがTwitterにやってくる。それにインドネシアのキャリアとも提携しているからここからもTwitterに大挙してやってくる。
Source:Twitter Blog / Growing Around the World
なお、Twitter、モバイルユーザを該当国内だけのチャネルと見ているのなら大きな間違いを犯すことになる。
2010/04/15
Corporate Social Media Summit
6月15、16日にNYで「The Corporate Social Media Summit 2010」が開催される。
それに参加する各社の講演者リストがある。
21人のうち、肩書にSocial Media、Digital、Online、Interactiveという名称がついているところを赤字にしてみると14人が赤くなった。三分の二だ。
これが現状だ。企業ソーシャルメディアサミットに講師、パネリストとして出てくる人達なので当然と言えば、当然だが、例えば4、5年前には存在していなかったようなタイトル、部署の人達が、あるいは既存組織の名称はそのままで変更されていないが、業務が拡大してソーシャルメディアを担当しているような人達がサミットに登壇を予定している。
そして、World BankにはHead of Social Mediaがおり、SiemensにはDirector of Online Marketingがいる。お堅いイメージの世界銀行やB2Bの代名詞のようなSiemensにもオンラインマーケティング部の部長がいる。もはやソーシャルメディア抜きにマーケティングは語れないことを各社はよく知っている。
面白いのはIntelだ。サミットにDirector of CSR Strategy and CommunicationsのSuzanne Fallenderが出てくる。社会貢献活動などで接する活動団体、支援者、ユーザとのコミュニケーションにソーシャルメディアが欠かせないことを理解しているわけだ。年1回、英文CSRレポートをpdfでWebにアップしておけばそれで事足れりとするどこかの国のグローバル企業とは違い、社会貢献活動の目的とその活動をいかに理解してもらい、支援してもらえるかを考えればCSRにソーシャルメディアが必須だと理解している。
また、SamsungからはSocial Media ManagerのEsteban Contrerasが出てくる。家電、エレクトロニクス分野から出てくるのがSamsungであり、そのSamsungにはSocial Media Managerがいることを日本のグローバル企業・ブランドはどう考えるのだろう?
さて、FlickrにSocial Media Democracyという画像が上っていた。これはScott Montyのインタビューを見たIntersection Consultingが上げているものだ。「民主化するソーシャルメディアは、社員、顧客、ベンダー、その他ブランドインフルエンサーがソーシャル能力を拡張する際に、企業がコンテンツやコミュニケーションベースを拡大することで認知、インフルエンス、エンゲージメント、そして行動を育成する支援を行うことができる」とある。
こういった理解がなければソーシャルメディア戦略は行えない。広告やPRといった技術面で理解しても仕方がない。今までのマインドセットを脱ぎ捨てた全く新しい組織、考え方が必要になっている。
Source:Flickr / Intersection Consulting
これでもまだ、既存組織や既存エージェンシーがソーシャルメディアを先導できると思いますか?強固な縦割りサイロ組織の既得権を存続させて、新しい動きを理解しながら、競合に伍すことができると思いますか?CEO・企業Blog(もちろん、「どこそこの社長」といった読者に提供する価値のないBlogを喰 い物と風景写真で埋めているようなものは論外)はなく、管理職がTwitterをやったこともなく、企業FacebookページやYouTubeチャネルも持っておらず、担当者もBlogはおろかFacebookに友人がいないにもかかわらず、iPhoneだけはこれ見よがしにちらつかせているエージェンシーが提案するソーシャルメディアマーケティングのどこに信がおけますか?
欧米のことは欧米の販社、子会社に任せておけばいいと思いますか?国内市場が縮小する中、本社の存在意義はグローバルなブランディング、マーケティングだとは思いませんか?
それに参加する各社の講演者リストがある。
- Whole Foods、Bill Tolany、Head of Social Media
- Adidas、Chris Barbour、Head of Digital Marketing
- Pepsi、Josh Karpf、Senior Manager, Digital Media Communications
- Paramout Pictures、Amy Powell、Head of Interactive Marketing and Social Media
- McDonald's、Heather Oldani、Director, US Communications
- Nokia、Molly Schonthal、Head of Social Media, North America
- General Motors、Connie Burke、Communications Manager
- Intuit、Kira Wampler、Social Marketing Leader, Small Business Div.
- Dell、Caroline Dietz、Social Media and Communications Representative
- Citi、Paul Butcher、Head of Digital Media
- Johnson & Johnson、Robert Halper、Director, Video Communications
- Siemens、Stefan Heeke、Director of Online Marketing
- Intel、Suzanne Fallender、Director of CSR Strategy and Communications
- Samsung、Esteban Contreras、Social Media Manager
- Interface Americas、Steve Arbaugh、VP, Brand Marketing, Alignment and Experience
- Mars、Lisa Foley、Social Media Manager
- SunLife、Steven Gangbar、Director of Social Media
- Marriott International、John Wolf、Senior Director, Public Relations
- The Rainforest Alliance、Jennifer Bass Vogel、Communications Manager
- The World Bank、Nicole Frost、Head of Social Media
- Virgin Mobile USA、Lisa D'Aromando、Social Media and Communications Associate
21人のうち、肩書にSocial Media、Digital、Online、Interactiveという名称がついているところを赤字にしてみると14人が赤くなった。三分の二だ。
これが現状だ。企業ソーシャルメディアサミットに講師、パネリストとして出てくる人達なので当然と言えば、当然だが、例えば4、5年前には存在していなかったようなタイトル、部署の人達が、あるいは既存組織の名称はそのままで変更されていないが、業務が拡大してソーシャルメディアを担当しているような人達がサミットに登壇を予定している。
そして、World BankにはHead of Social Mediaがおり、SiemensにはDirector of Online Marketingがいる。お堅いイメージの世界銀行やB2Bの代名詞のようなSiemensにもオンラインマーケティング部の部長がいる。もはやソーシャルメディア抜きにマーケティングは語れないことを各社はよく知っている。
面白いのはIntelだ。サミットにDirector of CSR Strategy and CommunicationsのSuzanne Fallenderが出てくる。社会貢献活動などで接する活動団体、支援者、ユーザとのコミュニケーションにソーシャルメディアが欠かせないことを理解しているわけだ。年1回、英文CSRレポートをpdfでWebにアップしておけばそれで事足れりとするどこかの国のグローバル企業とは違い、社会貢献活動の目的とその活動をいかに理解してもらい、支援してもらえるかを考えればCSRにソーシャルメディアが必須だと理解している。
また、SamsungからはSocial Media ManagerのEsteban Contrerasが出てくる。家電、エレクトロニクス分野から出てくるのがSamsungであり、そのSamsungにはSocial Media Managerがいることを日本のグローバル企業・ブランドはどう考えるのだろう?
さて、FlickrにSocial Media Democracyという画像が上っていた。これはScott Montyのインタビューを見たIntersection Consultingが上げているものだ。「民主化するソーシャルメディアは、社員、顧客、ベンダー、その他ブランドインフルエンサーがソーシャル能力を拡張する際に、企業がコンテンツやコミュニケーションベースを拡大することで認知、インフルエンス、エンゲージメント、そして行動を育成する支援を行うことができる」とある。
こういった理解がなければソーシャルメディア戦略は行えない。広告やPRといった技術面で理解しても仕方がない。今までのマインドセットを脱ぎ捨てた全く新しい組織、考え方が必要になっている。
Source:Flickr / Intersection Consulting
これでもまだ、既存組織や既存エージェンシーがソーシャルメディアを先導できると思いますか?強固な縦割りサイロ組織の既得権を存続させて、新しい動きを理解しながら、競合に伍すことができると思いますか?CEO・企業Blog(もちろん、「どこそこの社長」といった読者に提供する価値のないBlogを喰 い物と風景写真で埋めているようなものは論外)はなく、管理職がTwitterをやったこともなく、企業FacebookページやYouTubeチャネルも持っておらず、担当者もBlogはおろかFacebookに友人がいないにもかかわらず、iPhoneだけはこれ見よがしにちらつかせているエージェンシーが提案するソーシャルメディアマーケティングのどこに信がおけますか?
欧米のことは欧米の販社、子会社に任せておけばいいと思いますか?国内市場が縮小する中、本社の存在意義はグローバルなブランディング、マーケティングだとは思いませんか?
2010/04/14
Negative Sentiment of Tiger Woods
Tiger Woodsを使ったNikeのTVCFが4月7日にESPNやGolf Channelで放送された。
このCFには、"Tiger, I am more prone to be inquisitive to promote discussion. I want to find out what your thinking was. I want to find out what your feelings are, and did you learn anything?"という父親の声が聞こえてくる。
このTVCFの意味、スポンサーの戦略を検討する間もなく、何番目かの女性が名乗り出たようだ。同じ日に「Tiger Woodsが隣人の娘と寝た」という報道がされていた。
Source:The Hollywood Gossip / Raychel Coudriet Alleges Affair with Tiger Woods
Tiger Woodsの不倫騒動によってAccentureやAT&Tはスポンサーを降り、P&GのGilletteは広告にTigerを使うのを中止した。一方、スポンサーを降りなかった中にはElectronic ArtsやNikeがいる。
そして、そのNikeはマスターズ開催に合わせて新しいTVCFをぶつけてきた。しかし、もう出尽くしたはずだった不倫話がまた出てきた。Raychelのようなケースは、真贋はともかく、これからも出てくる。そのたびに修復されたはずの古傷が開き、出血してしまう。
Tiger Woodsに関するオンラインバズのセンチメントはここ1カ月間ほどポジティブが2%、ネガティブが3%となっている。3%というネガティブ比率は通常の3倍だが、終息しそうな落ち着きを見せていた。しかし、TVCFなどの新しい露出があり、それを追いかけるような新しいスキャンダルが出てくると、そのたびにネガティブが跳ね上がるといったパターンは当分続きそうだ。
以前であればこんなリアルタイムに近いセンチメント分析などできなかった。だから関係者の損得に合わせてごり押しに近い復活CFもあったかもしれない。しかし、現在、スポンサーの意図した露出、訴求をそのまま受け入れる消費者、ユーザはいない。彼らのネガティブセンチメントを計測することができる現在、Nikeがどうするのか興味が尽きない。
このCFには、"Tiger, I am more prone to be inquisitive to promote discussion. I want to find out what your thinking was. I want to find out what your feelings are, and did you learn anything?"という父親の声が聞こえてくる。
このTVCFの意味、スポンサーの戦略を検討する間もなく、何番目かの女性が名乗り出たようだ。同じ日に「Tiger Woodsが隣人の娘と寝た」という報道がされていた。
Source:The Hollywood Gossip / Raychel Coudriet Alleges Affair with Tiger Woods
Tiger Woodsの不倫騒動によってAccentureやAT&Tはスポンサーを降り、P&GのGilletteは広告にTigerを使うのを中止した。一方、スポンサーを降りなかった中にはElectronic ArtsやNikeがいる。
そして、そのNikeはマスターズ開催に合わせて新しいTVCFをぶつけてきた。しかし、もう出尽くしたはずだった不倫話がまた出てきた。Raychelのようなケースは、真贋はともかく、これからも出てくる。そのたびに修復されたはずの古傷が開き、出血してしまう。
Tiger Woodsに関するオンラインバズのセンチメントはここ1カ月間ほどポジティブが2%、ネガティブが3%となっている。3%というネガティブ比率は通常の3倍だが、終息しそうな落ち着きを見せていた。しかし、TVCFなどの新しい露出があり、それを追いかけるような新しいスキャンダルが出てくると、そのたびにネガティブが跳ね上がるといったパターンは当分続きそうだ。
以前であればこんなリアルタイムに近いセンチメント分析などできなかった。だから関係者の損得に合わせてごり押しに近い復活CFもあったかもしれない。しかし、現在、スポンサーの意図した露出、訴求をそのまま受け入れる消費者、ユーザはいない。彼らのネガティブセンチメントを計測することができる現在、Nikeがどうするのか興味が尽きない。
ラベル:
Misc.
2010/04/13
Insights from Coke
4月5日に行われたIABのSocial Media Marketplaceの基調講演はCoca-ColaのMedia & Interactive Integrated Communications Director、Linda Croninが行った。
プレゼン後のQ&AがSmartBlog on Social Mediaに上がっている。
Q1:マーケティング部内で(ソーシャルメディアは)どんな組織になっているのか?PR、広告、消費者向け販促、業界向け販促担当などがある。Cokeはこれらマーケティング組織にどのようにしてソーシャルメディアを統合しているのか?
A1:我々は2つのソーシャルメディアカウンシル、国内、グローバルを立ち上げた。これらには、Coca-Cola全体にまたがるメディア、マーケティング、法務、広報、そしてその他の部門からの人間が結集している。ひとたび委員会に参加したら、全員が一緒に働く。これらグループは最善策、アイディア、計画しているプログラムなどを検討するだけではなく、社員が一緒に快適に働き、ゴールを一緒に目指す非公式な反響板ともなる。実質的にはカウンシル以上のもので、各部門を横断するコネクションとして機能する。
Q2:ソーシャルネットワークはCoke.comが以前やらなかった何を可能にしたのか?
A2:ソーシャルネットワークは、消費者がいる場所へ行き、そこで価値を追加する、カンバセーションに参加することを可能にした。
Q3:代理店を最大活用するためにどうやったのか?
A3:既存代理店、PRエージェンシー、インタラクティブエージェンシー、指定代理店を束ねる統合マーケティング委員会を立ち上げた。複数の代理店が協調して業務を遂行することが重要だ。
Q4:ネガティブセンチメントへの対処は?
A4:いつ対処するのか、いつ対処しないのかが難しい問題だ。一般的にソーシャルメディアが自制するに任せている。幸運なことにコミュニティは情熱的で、ネガティブセンチメントに対してCokeのために立ち上がってくれるブランドアドボケートが沢山いる。事が重大な場合は、外部エージェンシーのコンサルを受けている。特に、流布した情報が正しくない場合、正しい情報を提供することが重要だ。
Q5:Cokeのようにソーシャルメディアに大予算を投下できない、例えば予算規模25,000㌦のマーケターへのアドバイスは?
A5:戦略がないままこのソーシャルメディアスペースに参入するべきではない。プラットフォーム自体、カンバセーションを始めるだけならそんなに予算はいらない。ただ、カンバセーションを継続するための予算は必要だ。
Source:SmartBlog on Social Media / Live from IABSM: Coke's ingredients for social media
組織、代理店、ネガティブセンチメント、予算などが取上げられ、Cokeのソーシャルメディア取り組みのほんの一部が語られているが、彼女の肩書、Media & Interactive Integrated Communications Directorが全てを物語っている。
既存の縦割り組織ではなく、統合コミュニケーション部があり、そこがソーシャルメディア戦略を取り仕切っている。それには上層部のソーシャルメディアに対する正確、適切な認識がなければならない。どんな規模の企業・ブランドであれ、それがあればソーシャルメディア戦略は動くが、それがなければ動かない。ただそれだけだ。
それがあれば彼女の回答は役に立つ。
ただ、彼女には、統合マーケティング委員会がうまく機能しているのか聞いてみたい。フルサービス広告エージェンシーとインタラクティブエージェンシーのビジネスモデルは違う。コストもゴールも違う雑多なエージェンシーはそれこそ委員会内部で足の引っ張り合いをしていないのだろうか。談合的なプロジェクトごとの落とし所を探る動きはないのだろうか。結局、フルサービスエージェンシーが内部で取り仕切ってはいないのだろうか。
プレゼン後のQ&AがSmartBlog on Social Mediaに上がっている。
Q1:マーケティング部内で(ソーシャルメディアは)どんな組織になっているのか?PR、広告、消費者向け販促、業界向け販促担当などがある。Cokeはこれらマーケティング組織にどのようにしてソーシャルメディアを統合しているのか?
A1:我々は2つのソーシャルメディアカウンシル、国内、グローバルを立ち上げた。これらには、Coca-Cola全体にまたがるメディア、マーケティング、法務、広報、そしてその他の部門からの人間が結集している。ひとたび委員会に参加したら、全員が一緒に働く。これらグループは最善策、アイディア、計画しているプログラムなどを検討するだけではなく、社員が一緒に快適に働き、ゴールを一緒に目指す非公式な反響板ともなる。実質的にはカウンシル以上のもので、各部門を横断するコネクションとして機能する。
Q2:ソーシャルネットワークはCoke.comが以前やらなかった何を可能にしたのか?
A2:ソーシャルネットワークは、消費者がいる場所へ行き、そこで価値を追加する、カンバセーションに参加することを可能にした。
Q3:代理店を最大活用するためにどうやったのか?
A3:既存代理店、PRエージェンシー、インタラクティブエージェンシー、指定代理店を束ねる統合マーケティング委員会を立ち上げた。複数の代理店が協調して業務を遂行することが重要だ。
Q4:ネガティブセンチメントへの対処は?
A4:いつ対処するのか、いつ対処しないのかが難しい問題だ。一般的にソーシャルメディアが自制するに任せている。幸運なことにコミュニティは情熱的で、ネガティブセンチメントに対してCokeのために立ち上がってくれるブランドアドボケートが沢山いる。事が重大な場合は、外部エージェンシーのコンサルを受けている。特に、流布した情報が正しくない場合、正しい情報を提供することが重要だ。
Q5:Cokeのようにソーシャルメディアに大予算を投下できない、例えば予算規模25,000㌦のマーケターへのアドバイスは?
A5:戦略がないままこのソーシャルメディアスペースに参入するべきではない。プラットフォーム自体、カンバセーションを始めるだけならそんなに予算はいらない。ただ、カンバセーションを継続するための予算は必要だ。
Source:SmartBlog on Social Media / Live from IABSM: Coke's ingredients for social media
組織、代理店、ネガティブセンチメント、予算などが取上げられ、Cokeのソーシャルメディア取り組みのほんの一部が語られているが、彼女の肩書、Media & Interactive Integrated Communications Directorが全てを物語っている。
既存の縦割り組織ではなく、統合コミュニケーション部があり、そこがソーシャルメディア戦略を取り仕切っている。それには上層部のソーシャルメディアに対する正確、適切な認識がなければならない。どんな規模の企業・ブランドであれ、それがあればソーシャルメディア戦略は動くが、それがなければ動かない。ただそれだけだ。
それがあれば彼女の回答は役に立つ。
ただ、彼女には、統合マーケティング委員会がうまく機能しているのか聞いてみたい。フルサービス広告エージェンシーとインタラクティブエージェンシーのビジネスモデルは違う。コストもゴールも違う雑多なエージェンシーはそれこそ委員会内部で足の引っ張り合いをしていないのだろうか。談合的なプロジェクトごとの落とし所を探る動きはないのだろうか。結局、フルサービスエージェンシーが内部で取り仕切ってはいないのだろうか。
2010/04/12
Future of Legacy Media Online Site
先週、久しぶりにNYTimes.comへアクセスした処、なんとも寂しい思いをした。
下の画面はNYTのグローバル版で、その下は米国版だ。
グローバル版のHome Page SOV(Share of Voice=NYTロゴの左右に位置するスペース)には、IHT購読プロモーションが掲出されているが、米国版は空白だ。
もう5年ほど前の話だが、SOVには毎月、5クライアントがユーザアクセスごとのローテーションで入り、最低3,000万impression、確か10万㌦程度の広告スペースだったはずだ。そのSOVに自社広告と空白スペースしかないというのは、世界の新聞とも言えるNYTのトップページとしては実に寂しい。
IHTと合併させたグローバルサイトのオーディエンスセクションには、780万人の海外読者がついており、世界とビジネスニュースのソースとして毎日数回アクセスし、FT.comやWSJ.comより欧州およびアジアからのユニークユーザは多いと書いている。また、欧州とアジアの詳細データを挙げている。
そして、HPSOV、HPMPU、Videoなどの広告スペース・オプションごとに、ブランディング、ターゲッティングなどの可能性を説明している。
しかし、今、必要なのは上のようなスタティックデータではない。上のようなスタティックデータは新聞をレガシー広告媒体として売るためには必要だが、Webサイトをオンライン広告媒体として売るためには役に立たない。
現在、いかなるWebサイトも単独で存在していないし、存在できない。それはNYTに限らず、CNNであれ、Yahooであれ同じだ。レガシーメディアの新聞が地域的に隔離されたり、業務・職務の読者で分類されたりと、差別化要素を個々に持ち得るのとは違い、いかなるWebサイトであろうと世界中をひとつのオンラインスペースに抱合するインターネットのごく一部でしかない。そこに、昔からのマインドセット通り、購読者数だとか、デモグラフィックスだとか、UU数だとか持ってきても意味を成さない。
ひとつの宇宙の中に浮かんでいる小島が、宇宙の中でどのようなリレーションズ、コネクションズ、ネットワークを構成し、一部となっているかを示すデータが必要だ。それはソーシャルメディア関連データでしかあり得ないし、ソーシャルメディアスペースにおけるユーザ評価でしかない。
そしてレガシーメディアのオンラインサイトと同様に、企業・ブランドのWebサイトも全く同じだ。裸の王様は、おとぎ話の世界だけにいるのではなく、リアルな世界にもいることはわれわれ自身が身をもって体験している。そして、我々だけではなく、裸の王様になってしまった経験を持つ世界に冠たる企業・ブランドも多く存在する。寒々しい風が吹き付ける裸のわが身を認めない限り、レガシーメディアのオンラインサイトはCNNであれ、NYTであれ、存続することは非常に困難だと思う。
下の画面はNYTのグローバル版で、その下は米国版だ。
グローバル版のHome Page SOV(Share of Voice=NYTロゴの左右に位置するスペース)には、IHT購読プロモーションが掲出されているが、米国版は空白だ。
もう5年ほど前の話だが、SOVには毎月、5クライアントがユーザアクセスごとのローテーションで入り、最低3,000万impression、確か10万㌦程度の広告スペースだったはずだ。そのSOVに自社広告と空白スペースしかないというのは、世界の新聞とも言えるNYTのトップページとしては実に寂しい。
IHTと合併させたグローバルサイトのオーディエンスセクションには、780万人の海外読者がついており、世界とビジネスニュースのソースとして毎日数回アクセスし、FT.comやWSJ.comより欧州およびアジアからのユニークユーザは多いと書いている。また、欧州とアジアの詳細データを挙げている。
そして、HPSOV、HPMPU、Videoなどの広告スペース・オプションごとに、ブランディング、ターゲッティングなどの可能性を説明している。
しかし、今、必要なのは上のようなスタティックデータではない。上のようなスタティックデータは新聞をレガシー広告媒体として売るためには必要だが、Webサイトをオンライン広告媒体として売るためには役に立たない。
現在、いかなるWebサイトも単独で存在していないし、存在できない。それはNYTに限らず、CNNであれ、Yahooであれ同じだ。レガシーメディアの新聞が地域的に隔離されたり、業務・職務の読者で分類されたりと、差別化要素を個々に持ち得るのとは違い、いかなるWebサイトであろうと世界中をひとつのオンラインスペースに抱合するインターネットのごく一部でしかない。そこに、昔からのマインドセット通り、購読者数だとか、デモグラフィックスだとか、UU数だとか持ってきても意味を成さない。
ひとつの宇宙の中に浮かんでいる小島が、宇宙の中でどのようなリレーションズ、コネクションズ、ネットワークを構成し、一部となっているかを示すデータが必要だ。それはソーシャルメディア関連データでしかあり得ないし、ソーシャルメディアスペースにおけるユーザ評価でしかない。
そしてレガシーメディアのオンラインサイトと同様に、企業・ブランドのWebサイトも全く同じだ。裸の王様は、おとぎ話の世界だけにいるのではなく、リアルな世界にもいることはわれわれ自身が身をもって体験している。そして、我々だけではなく、裸の王様になってしまった経験を持つ世界に冠たる企業・ブランドも多く存在する。寒々しい風が吹き付ける裸のわが身を認めない限り、レガシーメディアのオンラインサイトはCNNであれ、NYTであれ、存続することは非常に困難だと思う。
2010/04/09
Pan European and Gobal Campaign
この間、昨年12月に出ていたOfcomのICMRchartを見ていたら、欧米・日本のメディアごとの広告支出比率があった。
それによると2008年、英広告費の23%がインターネット、仏は16%、独が15%、伊が9%、ポーランドが11%、西が9%、蘭が18%、スウェーデンは19%だ。TVのシェアが30%を切っているのは、英、仏、独、蘭、スウェーデン、アイルランドとなっている。紙離れが深刻な日本は新聞・雑誌の合計で27%だが、26%のポーランドを除けばほかの国はまだ30%以上のシェアを死守している。
そして、2008年の2007年対比で見た場合、アイルランドを除く各国で伸びているのはインターネットだ。シェアを減らしているのは新聞、雑誌、TV、ラジオと相場が決まっている。ただし、米ではTVも伸びている。
Source:Ofcom / ICMRcharts (pdf)
先週、「Digital Natives vs. Immigrants」を書いたが、これら欧米圏のユーザの中核を成すのはデジタルネイティブでしかなく、今後、彼らが消費の中心とするメディアはインターネットをおいて他にない。
参考:Digital Natives vs. Immigrants (Online Ad 2010/04/02)
もう随分昔、2006年の8月に「English Next」を紹介した。それによると2010年にはすべての世代を通じて20億人が英語を学ぶと推測さ れている。
参考:Lingua Franca & Internet/Online Marketing (Online Ad 2006/08/29)
だから、彼らデジタルネイティブに日本人のような語学音痴はいない。少なくとも自国語と英語に加え、独、仏、伊、西、果ては露、アラビア、中国語くらいからひとつや二つはネイティブに近い読み書き、会話能力を持っている。
そして、彼らがアクセスするのは自国サイトだけではない。Facebookの友人には海外のユーザもいる。Twitterでフォローしているのは海外のイノベーター、アーリーアダプターが多いかもしれない。そして、彼らは海外から仕入れたコンテンツを自国語に翻訳して国内ユーザと共有、再露出している。
日本のIT、PC、ソフト、インターネット、ソーシャルメディア系Blogのコンテンツを調べたことがありますか?国内メディアが報道する海外コンテンツだけを引用、リンクしたサイトよりも、海外、米国サイトのコンテンツを直に翻訳して引っ張ってきているサイトのほうが断然多いことに疑いの目はない。また、国内メディアが提携サイトのコンテンツを全て翻訳しているわけではないし、紙と連携する必要性から翻訳できないコンテンツもあるため、ニッチなBlogが深堀したコンテンツを伝えているケースが多い。そして、そういったBlogへのアクセスはレガシーメディア、マスメディア系サイトを上回ることもある。これだけを見ても海外サイト、英語サイトのコンテンツと非英語ユーザとのコネクション、リレーション、ネットワークが構成されることは確かだ。
ターゲットとチャネルが決まれば、あとは英語を活用したパンヨーロッパ、あるいはグローバルキャンペーンの方法論だ。
それによると2008年、英広告費の23%がインターネット、仏は16%、独が15%、伊が9%、ポーランドが11%、西が9%、蘭が18%、スウェーデンは19%だ。TVのシェアが30%を切っているのは、英、仏、独、蘭、スウェーデン、アイルランドとなっている。紙離れが深刻な日本は新聞・雑誌の合計で27%だが、26%のポーランドを除けばほかの国はまだ30%以上のシェアを死守している。
そして、2008年の2007年対比で見た場合、アイルランドを除く各国で伸びているのはインターネットだ。シェアを減らしているのは新聞、雑誌、TV、ラジオと相場が決まっている。ただし、米ではTVも伸びている。
Source:Ofcom / ICMRcharts (pdf)
先週、「Digital Natives vs. Immigrants」を書いたが、これら欧米圏のユーザの中核を成すのはデジタルネイティブでしかなく、今後、彼らが消費の中心とするメディアはインターネットをおいて他にない。
参考:Digital Natives vs. Immigrants (Online Ad 2010/04/02)
もう随分昔、2006年の8月に「English Next」を紹介した。それによると2010年にはすべての世代を通じて20億人が英語を学ぶと推測さ れている。
参考:Lingua Franca & Internet/Online Marketing (Online Ad 2006/08/29)
だから、彼らデジタルネイティブに日本人のような語学音痴はいない。少なくとも自国語と英語に加え、独、仏、伊、西、果ては露、アラビア、中国語くらいからひとつや二つはネイティブに近い読み書き、会話能力を持っている。
そして、彼らがアクセスするのは自国サイトだけではない。Facebookの友人には海外のユーザもいる。Twitterでフォローしているのは海外のイノベーター、アーリーアダプターが多いかもしれない。そして、彼らは海外から仕入れたコンテンツを自国語に翻訳して国内ユーザと共有、再露出している。
日本のIT、PC、ソフト、インターネット、ソーシャルメディア系Blogのコンテンツを調べたことがありますか?国内メディアが報道する海外コンテンツだけを引用、リンクしたサイトよりも、海外、米国サイトのコンテンツを直に翻訳して引っ張ってきているサイトのほうが断然多いことに疑いの目はない。また、国内メディアが提携サイトのコンテンツを全て翻訳しているわけではないし、紙と連携する必要性から翻訳できないコンテンツもあるため、ニッチなBlogが深堀したコンテンツを伝えているケースが多い。そして、そういったBlogへのアクセスはレガシーメディア、マスメディア系サイトを上回ることもある。これだけを見ても海外サイト、英語サイトのコンテンツと非英語ユーザとのコネクション、リレーション、ネットワークが構成されることは確かだ。
ターゲットとチャネルが決まれば、あとは英語を活用したパンヨーロッパ、あるいはグローバルキャンペーンの方法論だ。
ラベル:
Early Adaptor,
Europe,
Marketing,
Online Branding
2010/04/08
Ad feedback
AOLのトップページ右には広告スペースがある。下には、「ideeli」がデザイナーズブランドファッションを最大80%割引で購入できるという会員募集広告を出稿している。
その枠の右下に。「Ad Feedback」というボタンがある。
それをクリックすると以下のページが表示される。
今日の広告に対するフィードバックを寄せてくれてありがとうと感謝し、広告を5段階評価し、通常AOLホームページと比べ今日の広告の表示スピードを判定してもらい、最後に自由にコメントを書いてもらう形になっている。
これは広告主ではなくAOLがホームページトップの広告に対するユーザ評価とサイト側のレスポンススピードを訊いているため、あまり深堀の質問にはなっていない。だとしても、広くアクセスユーザから意見を求めている。
AOLという昔はいざ知らず、今はやや傍流サイトだからなのではなく、傍流だからこそ、アクセスするユーザの意見を求めている。「苦情&問合せ」といったちょっと目を凝らして見つけなければならないユーザフィードボタンではなく、トップページ広告の下にボタンをリンクしている。Googleにしても、どんなメジャーサイトにしてもユーザからの「苦情&問合せ」はなんとか受け付けないようにあの手この手を駆使している。果てはユーザグループに対応、解決まで任せているところもある。そんなメインではないファンクションはアウトソースするに越したことはないというのが実情だろう。
しかし、このAd Feedbackがあるということは、フィードバックを受け付ける担当がおり、サマリ・詳細レポートを上げる部署があり、そこでサイトのユーザビリティやテクニカル面でのアセスメントが成されるということだ。
ソーシャルメディアサイト、サービス、ツールでこういったユーザ対応をしているところはあまりない。いや、ほとんど見かけない。しかし、ソーシャルメディアスペースのユーザが求めるものは、いつでも、どこでも、意見、感想、改善アイディア、苦情、困りごとをサイトへ連絡できることだ。
ちょっと探しまくったくらいでは見つけられないところに「苦情&問合せ」ボタンをつけていたり、ソーシャルメディア対応の糸口を見つけられていない企業・ブランドサイトこそ、「ユーザフィードバック」ボタンをトップページにつけるべきだ。当然、フィードバックを収集、分析、レポートする担当者をつけて。
ソーシャルメディアに関するインサイト満載の話題の本を読もうと、高名なThought Leader(実践的先駆者)の講演を聞き、実態に即したケーススタディをもらっても、あるいはコンサルタントを雇ったところで企業・ブランドとして、ソーシャルメディアに対応する社員のリテラシーが低ければ何も前に進まない。まず、ユーザフィードバックを聞かなければ、そして、ソーシャルメディアスペースでユーザが何を言っているのか聞かなければ、企業・ブランドの言いたいこと、聞かせたいことを聞いてくれる優しいユーザはどこにもいない。
その枠の右下に。「Ad Feedback」というボタンがある。
それをクリックすると以下のページが表示される。
今日の広告に対するフィードバックを寄せてくれてありがとうと感謝し、広告を5段階評価し、通常AOLホームページと比べ今日の広告の表示スピードを判定してもらい、最後に自由にコメントを書いてもらう形になっている。
これは広告主ではなくAOLがホームページトップの広告に対するユーザ評価とサイト側のレスポンススピードを訊いているため、あまり深堀の質問にはなっていない。だとしても、広くアクセスユーザから意見を求めている。
AOLという昔はいざ知らず、今はやや傍流サイトだからなのではなく、傍流だからこそ、アクセスするユーザの意見を求めている。「苦情&問合せ」といったちょっと目を凝らして見つけなければならないユーザフィードボタンではなく、トップページ広告の下にボタンをリンクしている。Googleにしても、どんなメジャーサイトにしてもユーザからの「苦情&問合せ」はなんとか受け付けないようにあの手この手を駆使している。果てはユーザグループに対応、解決まで任せているところもある。そんなメインではないファンクションはアウトソースするに越したことはないというのが実情だろう。
しかし、このAd Feedbackがあるということは、フィードバックを受け付ける担当がおり、サマリ・詳細レポートを上げる部署があり、そこでサイトのユーザビリティやテクニカル面でのアセスメントが成されるということだ。
ソーシャルメディアサイト、サービス、ツールでこういったユーザ対応をしているところはあまりない。いや、ほとんど見かけない。しかし、ソーシャルメディアスペースのユーザが求めるものは、いつでも、どこでも、意見、感想、改善アイディア、苦情、困りごとをサイトへ連絡できることだ。
ちょっと探しまくったくらいでは見つけられないところに「苦情&問合せ」ボタンをつけていたり、ソーシャルメディア対応の糸口を見つけられていない企業・ブランドサイトこそ、「ユーザフィードバック」ボタンをトップページにつけるべきだ。当然、フィードバックを収集、分析、レポートする担当者をつけて。
ソーシャルメディアに関するインサイト満載の話題の本を読もうと、高名なThought Leader(実践的先駆者)の講演を聞き、実態に即したケーススタディをもらっても、あるいはコンサルタントを雇ったところで企業・ブランドとして、ソーシャルメディアに対応する社員のリテラシーが低ければ何も前に進まない。まず、ユーザフィードバックを聞かなければ、そして、ソーシャルメディアスペースでユーザが何を言っているのか聞かなければ、企業・ブランドの言いたいこと、聞かせたいことを聞いてくれる優しいユーザはどこにもいない。
2010/04/07
Internet Users in Dec 2009
InternetWorldStats.comから2009年12月時点でのインターネットユーザ数が出た。
全世界で18億人、普及率26.6%となっている。
2005年12月時点はどうだったかというと、同じInternetWorldStatsのデータによれば、インターネットユーザ数10億人、普及率15.7%だ。
この4年間に8億人増えて、普及率は約11%ポイントも高くなった。
欧州は1.35億人、北米は3,400万人、南米が約1.1億人、中東が4,000万人、アフリカが6,300万人増えているが、どの地域が一番普及が進んだかと言うと、これはアジアで3.6億人が7.6億人へと4億人も増えている。ただし、伸び率では約380%のアフリカがトップだ。
Source:InternetWorldStats.com
この4年間にレガシーメディアからオンラインメディアへの消費者、ユーザシフトは明らかとなり、続いてオンライン(マス)メディアからソーシャルメディアへのシフトも明らかになってきた。4年前、YouTube、MySpace、Facebook、果てはTwitterといったサイト、サービスは影も形もなく、あったとしても異形、傍流も傍流といった存在でしかなかった。しかし、今、インターネットのコアを形成しているのは「共有」「ファン」「フォロー」といった属性を抱合するサイト、サービスとなっている。そして、PCから携帯へのシフトも明らかになりつつある。
インターネット、ソーシャルメディアは、ユーザのメディア消費時間、行動・コンテンツ消費パターン、ユーザのコンテンツ発信・共有・再露出力を大きく変えて、レガシーマスメディアと消費者の位置関係、立場を逆転させた。
だから、2009年10月のBusinessWeekは、
Source:BusinessWeek/ Ford Spending 25% of Marketing on Digital and Social Media
この4年間に、マーケティング戦略が大きくデジタル化し、その中でもFordのような先進企業はソーシャルメディアにシフトしている。
さて、この4年間に、御社のマーケティング戦略は何か変わりましたか?レガシーメディア予算は削減されましたか?何%オンライン化しましたか?何%がソーシャルメディア化しましたか?ユーザフィードバックを受け入れていますか?オンラインのバズモニタリングをしていますか?
全世界で18億人、普及率26.6%となっている。
2005年12月時点はどうだったかというと、同じInternetWorldStatsのデータによれば、インターネットユーザ数10億人、普及率15.7%だ。
この4年間に8億人増えて、普及率は約11%ポイントも高くなった。
欧州は1.35億人、北米は3,400万人、南米が約1.1億人、中東が4,000万人、アフリカが6,300万人増えているが、どの地域が一番普及が進んだかと言うと、これはアジアで3.6億人が7.6億人へと4億人も増えている。ただし、伸び率では約380%のアフリカがトップだ。
Source:InternetWorldStats.com
この4年間にレガシーメディアからオンラインメディアへの消費者、ユーザシフトは明らかとなり、続いてオンライン(マス)メディアからソーシャルメディアへのシフトも明らかになってきた。4年前、YouTube、MySpace、Facebook、果てはTwitterといったサイト、サービスは影も形もなく、あったとしても異形、傍流も傍流といった存在でしかなかった。しかし、今、インターネットのコアを形成しているのは「共有」「ファン」「フォロー」といった属性を抱合するサイト、サービスとなっている。そして、PCから携帯へのシフトも明らかになりつつある。
インターネット、ソーシャルメディアは、ユーザのメディア消費時間、行動・コンテンツ消費パターン、ユーザのコンテンツ発信・共有・再露出力を大きく変えて、レガシーマスメディアと消費者の位置関係、立場を逆転させた。
だから、2009年10月のBusinessWeekは、
Fordはそのマーケティング予算の25%をデジタルメディアへ投下する予定だ。これは業界平均の2倍以上だ。という記事を上げている。
そして、J.D. Powerによれば、2009年、自動車メーカーのマーケティング予算の9%はデジタルで、2012年には12%に増加すると予想されている。
Source:BusinessWeek/ Ford Spending 25% of Marketing on Digital and Social Media
この4年間に、マーケティング戦略が大きくデジタル化し、その中でもFordのような先進企業はソーシャルメディアにシフトしている。
さて、この4年間に、御社のマーケティング戦略は何か変わりましたか?レガシーメディア予算は削減されましたか?何%オンライン化しましたか?何%がソーシャルメディア化しましたか?ユーザフィードバックを受け入れていますか?オンラインのバズモニタリングをしていますか?
ラベル:
Internet
2010/04/06
CEO and Social Media
去年の6月とちょっと古いのだが、Fortune 100にランクされる企業のCEOと、そのソーシャルメディア活用について調べたレポートがSlideShareに上がっている。
その結果はというと;
Twitterを使う一人として挙げられたBerkshire HathawayのWarren Buffettには3万人以上のフォロワーがついているが、2月に1回初めてTweetしただけで、後は音さたなしの状況だ。
Source:Twitter / W_Buffett
こんなにもひどいとはまったく想像もしていなかった状況だ。
Fortune 500の企業ユースに限れば、Twitterは137社(35%)、Blogは108社(22%)がやっており、少しずつだが数は増えている。それは顧客、ユーザのスペースに参加しなければコミュニケーションが成立しないことを学習しつつあるからだ。いままでのやり方、流儀ではユーザとのタッチポイント効果が減衰していることを実感しつつあるからだ。大量発信してきたブランドメッセージ・コンテンツを上回り思いもかけない効果をもたらすUGCとそのスペースが存在すること、それは対等の評価をベースとして共有されることを実体験しつつあるからだ。
参考:Fortune 500 and Social Media (Online Ad 2010/03/03)
そんな中、Fortune 100のCEOはデジタルイミグラントどころか、デジタルラガードといったところだ。社会の大勢がオンライン、ソーシャルメディア化するなかで、あくまでも今までの伝統、慣れ親しんだ流儀を貫き、最後までイノベーションを採用しないグループを構成している。
さて、レポートの結論は;
レポートが書いていない「CEOがソーシャルメディアを使うべき必要性」には、
ここをCEOがどう判断するかだけだ。あるいは、状況の見えないCEOに根気強くその必要性を説く社内チーム、あるいは外部組織がいるかどうかだ。
その結果はというと;
- Twitterアカウントを持っているのは2人だけ
- LinkedInプロファイルを持っているのは13人(ただし、10人以上のコネクションがあるのは3人だけ)
- 81%は個人のFacebookページを持っていない
- 約四分の一はWikipediaにエントリがない(31%はエントリがあるが限られた内容だったり、アップデートされていない)
- Blogは一人もやっていない
Twitterを使う一人として挙げられたBerkshire HathawayのWarren Buffettには3万人以上のフォロワーがついているが、2月に1回初めてTweetしただけで、後は音さたなしの状況だ。
Source:Twitter / W_Buffett
こんなにもひどいとはまったく想像もしていなかった状況だ。
Fortune 500の企業ユースに限れば、Twitterは137社(35%)、Blogは108社(22%)がやっており、少しずつだが数は増えている。それは顧客、ユーザのスペースに参加しなければコミュニケーションが成立しないことを学習しつつあるからだ。いままでのやり方、流儀ではユーザとのタッチポイント効果が減衰していることを実感しつつあるからだ。大量発信してきたブランドメッセージ・コンテンツを上回り思いもかけない効果をもたらすUGCとそのスペースが存在すること、それは対等の評価をベースとして共有されることを実体験しつつあるからだ。
参考:Fortune 500 and Social Media (Online Ad 2010/03/03)
そんな中、Fortune 100のCEOはデジタルイミグラントどころか、デジタルラガードといったところだ。社会の大勢がオンライン、ソーシャルメディア化するなかで、あくまでも今までの伝統、慣れ親しんだ流儀を貫き、最後までイノベーションを採用しないグループを構成している。
さて、レポートの結論は;
トップ100のCEOは、社員、パートナー、顧客とは違い、まったくコネクトされているとは言い難く、遠く離れ、興味を持たれることもエンゲージすることもない。としている。
ただし、CEOにはソーシャルメディアに参加することで企業・ブランドの認知、可視性、ブランド体験にポジティブな効果を及ぼす可能性があり、ソーシャルメディアを使う、使わないではなく、問題は、もし、使うべきだとしたら、いつ、どうやってかということだ。
レポートが書いていない「CEOがソーシャルメディアを使うべき必要性」には、
- リーダーシップを発揮するため
- 直接、顧客、ユーザと対話するため
- フィルターされないフィードバックを受けるため
- 企業を見える化するため
ここをCEOがどう判断するかだけだ。あるいは、状況の見えないCEOに根気強くその必要性を説く社内チーム、あるいは外部組織がいるかどうかだ。
2010/04/05
PR Tip
昔、「Stupid press release SPAM」で取上げたDavid Meermanが、「PR売り込みのコツ」を書いていた。
彼も以前はいくつかの企業でマーケティングやPRのVPをしていたとのこと。そして、現在、PR売り込みを受ける立場になって、如何に売り込まれるPRが的外れであり、役に立たないものかを実感しているらしい。
そこで、PR売り込みのコツを書いている。
Source:Webinknow / Single most essential PR pitching tip
彼のように何冊も本を出し、各地で基調講演をし、日本にも招聘されるほどではなくとも、ソーシャルメディアスペースでインフルエンサーとされる人間のもとに、各社はこぞってプレスリリースを送ったり、Emailでのやり取りからBloggerミーティングなどを開催して、製品・サービスを取上げてもらおうと手を尽くしている。
そのため、製品カタログそのものに近いBlog記事を目にしたり、また、プレスリリースと一字一句違わない提灯記事を目にすることもある。反面、製品やサービスを購買することで客は何が得られるのかを並べている、比較している記事に出会うことは少ない。
提灯記事があるくらいなので、大抵のジャーナリストが製品に関心がないかどうかは異論のあるところだが、ユーザの興味を惹きつける記事はカタログやリリースベースのものでないことだけは確かだろう。
実際のところ製品を購買し、長時間利用しているユーザだからこそ気がつくメリットや問題がBlogやForumで取り上げられ、それをマスメディアが取上げてバズ化するケースがある。カタログやリリースでは取り上げない、分からない製品特性こそユーザの興味を惹くことは確かだ。
彼も以前はいくつかの企業でマーケティングやPRのVPをしていたとのこと。そして、現在、PR売り込みを受ける立場になって、如何に売り込まれるPRが的外れであり、役に立たないものかを実感しているらしい。
そこで、PR売り込みのコツを書いている。
- 製品を売り込むな
- 大抵のジャーナリストは製品に関心はない
- 客が抱える問題をどのようにして解決したかを教えてくれ
Source:Webinknow / Single most essential PR pitching tip
彼のように何冊も本を出し、各地で基調講演をし、日本にも招聘されるほどではなくとも、ソーシャルメディアスペースでインフルエンサーとされる人間のもとに、各社はこぞってプレスリリースを送ったり、Emailでのやり取りからBloggerミーティングなどを開催して、製品・サービスを取上げてもらおうと手を尽くしている。
そのため、製品カタログそのものに近いBlog記事を目にしたり、また、プレスリリースと一字一句違わない提灯記事を目にすることもある。反面、製品やサービスを購買することで客は何が得られるのかを並べている、比較している記事に出会うことは少ない。
提灯記事があるくらいなので、大抵のジャーナリストが製品に関心がないかどうかは異論のあるところだが、ユーザの興味を惹きつける記事はカタログやリリースベースのものでないことだけは確かだろう。
実際のところ製品を購買し、長時間利用しているユーザだからこそ気がつくメリットや問題がBlogやForumで取り上げられ、それをマスメディアが取上げてバズ化するケースがある。カタログやリリースでは取り上げない、分からない製品特性こそユーザの興味を惹くことは確かだ。
2010/04/02
Digital Natives and Immigrants
Enquiroが「The Rise of Digital Native」というレポートを出している。
20世紀初頭から今世紀に入った2005年までの間に米国世帯に普及した様々な家電、エレクトロニクス製品、その他の普及スピードを見ている。
固定電話が普及率80%を越えたのは60年代始めなので60年以上かかっている。自動車が80%を越えたのは70年前後だから60年ちょっと。冷蔵庫はそれらよりも早く80%に達するまでに25年程度だろうか。カラーTVは20年程度のようだ。
携帯は普及率80%までに25年、PCは普及率70%までに20年、インターネットは普及率60%までに15年と言ったところだ。
とにかく20世紀後半、1960年以降に登場した家電、エレクトロニクス製品の普及率スピードはすさまじい。特にPC、インターネットなど日常生活に必須ではなかった製品、サービスが日常生活のコアを構成するほどに浸透してきているのが分かる。
例えば、今年20歳を迎えるユーザが生まれた1990年にはなんでもあった。そして、彼らが学齢を迎えるころにはPCも、インターネットも、携帯も身近にあった。学校でPCやインターネットで学び、クラスメートとは携帯でおしゃべりし、今はSMS、IM、Blog、MySpace、Bebo、Facebook、Twitterなどお茶の子さいさいだ。PC、携帯、ネット、ゲーム、SNSについてこられない友達、兄弟、親、親戚、近所のおばちゃん・おじちゃんに手ほどきし、学校では先生のPC関連授業の手伝いをしている。家の中に固定電話はないので、電話と言うとセルしか頭に浮かんでこない。宿題や論文の資料調べはすべてインターネット。ネットで知り合ったユーザともすぐ友達になり、国を越えたリレーションを広げている。家電、エレクトロニクスに詳しいので誰彼となく、新しい製品の説明やお買い得情報・製品を教えている。
こんな世代をデジタルネイティブと言う。
そんなデジタルネイティブを1980年生まれ以降、それ以前をデジタルイミグラントに分け、職場、および家庭でのオンライン行動を比較したデータがある。なお、通常、デジタルネイティブの切り分けを1985年とするが、enquiroはB2B調査が目的なので1980年に広げている。
まず、職場での消費時間をもとにした行動比較がある。ネイティブ、イミグラントともにEmail、そしてWebアクセスが群を抜いている。そして固定電話が来ているがネイティブと比べてイミグラントの方が電話を良く使っている。モバイルの音声系は同じようなものだが、データ通信はネイティブ。SNS、Twitter、RSS、Blogはネイティブの利用が勝っている。
次に家庭で消費時間をもとにした行動比較がある。ここもWebアクセスとEmailが群を抜いている。そして家庭ではモバイルの音声もデータもネイティブが優勢で、SNS、Twitter、RSS、Blogも同様だ。
そして、行動ごとの消費時間を差し引いてデジタルネイティブとイミグラントの行動を比較している。ネイティブはSNS、Twitter、RSS、Blog、モバイル・データ通信などでイミグラントを圧倒している。イミグラントが圧倒しているのは固定電話と、Email、印刷媒体だけとなっている。
Source:Enquiro
こんなに行動に差のあるデジタルネイティブとデジタルイミグラントに対して、同じマーケティングチャネル、マーケティングメッセージ、マーケティングオファー、マーケティングコンテンツで対応しているのが現状だ。
誰もいない原野に向かって大金をはたいたTVCF、プリント広告を垂れ流している企業・ブランドもあれば、このデジタルネイティブをターゲットとして新しいマーケティング戦略・戦術を実行しているところもある。
その違いは、例えばWebサイトへアクセスするユーザ調査であったり、フォーカスグループ調査であったり、ソーシャルメディアスペースでの対話であったりする。あるいはソーシャルメディアスペースに参加する企業・ブランドの担当者、他部門の人間、社内的な調査、コンサルタント会社、第三者の視点などの知見や調査などのこともある。これらをひっくるめてリテラシーと呼べば彼我の差は一目瞭然となる。
20世紀初頭から今世紀に入った2005年までの間に米国世帯に普及した様々な家電、エレクトロニクス製品、その他の普及スピードを見ている。
固定電話が普及率80%を越えたのは60年代始めなので60年以上かかっている。自動車が80%を越えたのは70年前後だから60年ちょっと。冷蔵庫はそれらよりも早く80%に達するまでに25年程度だろうか。カラーTVは20年程度のようだ。
携帯は普及率80%までに25年、PCは普及率70%までに20年、インターネットは普及率60%までに15年と言ったところだ。
とにかく20世紀後半、1960年以降に登場した家電、エレクトロニクス製品の普及率スピードはすさまじい。特にPC、インターネットなど日常生活に必須ではなかった製品、サービスが日常生活のコアを構成するほどに浸透してきているのが分かる。
例えば、今年20歳を迎えるユーザが生まれた1990年にはなんでもあった。そして、彼らが学齢を迎えるころにはPCも、インターネットも、携帯も身近にあった。学校でPCやインターネットで学び、クラスメートとは携帯でおしゃべりし、今はSMS、IM、Blog、MySpace、Bebo、Facebook、Twitterなどお茶の子さいさいだ。PC、携帯、ネット、ゲーム、SNSについてこられない友達、兄弟、親、親戚、近所のおばちゃん・おじちゃんに手ほどきし、学校では先生のPC関連授業の手伝いをしている。家の中に固定電話はないので、電話と言うとセルしか頭に浮かんでこない。宿題や論文の資料調べはすべてインターネット。ネットで知り合ったユーザともすぐ友達になり、国を越えたリレーションを広げている。家電、エレクトロニクスに詳しいので誰彼となく、新しい製品の説明やお買い得情報・製品を教えている。
こんな世代をデジタルネイティブと言う。
そんなデジタルネイティブを1980年生まれ以降、それ以前をデジタルイミグラントに分け、職場、および家庭でのオンライン行動を比較したデータがある。なお、通常、デジタルネイティブの切り分けを1985年とするが、enquiroはB2B調査が目的なので1980年に広げている。
まず、職場での消費時間をもとにした行動比較がある。ネイティブ、イミグラントともにEmail、そしてWebアクセスが群を抜いている。そして固定電話が来ているがネイティブと比べてイミグラントの方が電話を良く使っている。モバイルの音声系は同じようなものだが、データ通信はネイティブ。SNS、Twitter、RSS、Blogはネイティブの利用が勝っている。
次に家庭で消費時間をもとにした行動比較がある。ここもWebアクセスとEmailが群を抜いている。そして家庭ではモバイルの音声もデータもネイティブが優勢で、SNS、Twitter、RSS、Blogも同様だ。
そして、行動ごとの消費時間を差し引いてデジタルネイティブとイミグラントの行動を比較している。ネイティブはSNS、Twitter、RSS、Blog、モバイル・データ通信などでイミグラントを圧倒している。イミグラントが圧倒しているのは固定電話と、Email、印刷媒体だけとなっている。
Source:Enquiro
こんなに行動に差のあるデジタルネイティブとデジタルイミグラントに対して、同じマーケティングチャネル、マーケティングメッセージ、マーケティングオファー、マーケティングコンテンツで対応しているのが現状だ。
誰もいない原野に向かって大金をはたいたTVCF、プリント広告を垂れ流している企業・ブランドもあれば、このデジタルネイティブをターゲットとして新しいマーケティング戦略・戦術を実行しているところもある。
その違いは、例えばWebサイトへアクセスするユーザ調査であったり、フォーカスグループ調査であったり、ソーシャルメディアスペースでの対話であったりする。あるいはソーシャルメディアスペースに参加する企業・ブランドの担当者、他部門の人間、社内的な調査、コンサルタント会社、第三者の視点などの知見や調査などのこともある。これらをひっくるめてリテラシーと呼べば彼我の差は一目瞭然となる。
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