2005年の10月から12月にかけて、250人以上のCMO (Chief Marketing Officer) を対象に調査されたものだ。マーケティング戦略にWebがどれほど大きなインパクトを持つか、そしてCMO、およびその他の管理職がどこまでオンラインマーケティングのパフォーマンス測定ができ、どこまでROIの考え方を企業内に浸透させることができるかといった現状を明らかにしている。
CMOやその他マーケティング担当者の現実や目標、希望が見えてくる中で、重要な結果として次の3点を挙げている。
- Webはハブだ
56%以上のマーケティング担当管理職は、Webはすでに企業のマーケティング戦略のハブである、あるいは来年そうなると答えている - 企業自体がまだ対応できていない
マーケティング担当管理職は、最新のWebマーケティングトレンド、戦略、技術に関する知識ということになると、自身、あるいは企業自体があまり知らないと判断している - マーケティング部そのものがより説明責任を負う
大半のマーケティング担当管理職は、トレーニングに投資し、社員評価や報奨を行う評価基準を作成することで説明責任を向上させようと予定している
重要ではないという3.9%は問題外としても、39.5%がWebは戦術チャネルだが、他チャネルよりは重要度は低いと見なしている。そして、すでにハブと答えた31.3%と、これから今後12ヶ月の間にはハブになると答えた25.3%を足した56.8%ものマーケティング担当者がWebの重要性を理解している。
次に、「最新のWebマーケティングトレンド、戦略や技術に関するマーケティング部員の集合的な知識をどう評価するか」という問いに対し、自身や部員がエキスパートだと答えたのは、4%のCMOしかいない。
1から10までの段階評価でマーケティング部員の加重平均点は5.5で、CMOの自己評価の加重平均点は6.3だから、CMOは自分よりは部員をあまり高くは評価していないことになる。企業はマーケティング部員の教育に予算をつぎ込むか、外部から調達するしかないという現状を表わしている。
「Webマーケティングのパフォーマンスを測定する企業の能力」について問われて、「自信を持っている」と回答した15.1%を除く、84%のCMOは、現状を改善の余地があると考えていたり、弱い、あるいは測定能力そのものが存在しないと考えている。
前述したように、56%のCMOは「Webはすでに企業のマーケティングのハブだ、あるいは今後そうなる」と答えている。それなのに、たった15%しか、その重要なマーケティングチャネルの効果を測定できると回答していない。
また、「2006年のマーケティングプランにWebはどのような変化をもたらすか」という問いに、83%のマーケティング担当管理職は、2006年にはもっと予算をつけると答えている。減らすと答えた担当者は一人もいない。
予算を増やしただけ、マーケティング効果をよりよく理解し、最適・最大化することが重要となってくる。
ところで、「Webマーケティングのパフォーマンスを測定するスタッフはどうなっているか」という問いに、複数のスタッフや一人の専任者でパートタイム的にやっていると答えた企業が合計で52%にも達している。15.7%のCMOは、パフォーマンス解析はやっていないとまで答えている!!!!
最後に、「企業内にROIマインドを根付かせ、マーケティングの説明責任を向上させるため2006年に何をしますか?」という問いに、多くのCMOは1)社員のトレーニングに予算をつける、2)社員評価と報奨を行うために評価基準を作成すると答えている。
また、25.5%は部内に解析の専門家を雇うと答え、19.4%は外部に解析を委託すると答えている。
Source:WebTrends / The 2006 CMO Web-Smart Report
(注:pdfをダウンロードする前に、登録必要)
Webマーケティングの重要性は理解され、マーケティング戦略の根幹を成す位置を与えられつつあるが、反面、その効果測定や人員およびそのレベルになると心もとないといった現状が明らかにされている。
WebTrendsは、そこから自社製品への落とし込みを計っている訳だが、最後に調査対象を見て驚かされる。
B2Cの企業は10%しかなく、B2BあるいはB2B/B2Cの企業が86%を構成している。特にB2B専門企業が52%というのは驚くしかない。
展示会・プライベートショー、DM、業界紙誌、客先でのデモなど等、B2B企業のマーケティングの最大目的は引き合い獲得にある。その意味でWebマーケティングが既存のマーケティング戦術と同様、あるいはそれ以上に評価されてきたということだろう。
eMarketerのCEO、Geoff Ramsaseyは、「米国であろうと、欧州であろうとB2B企業を対象としたマーケティングに関する調査結果のいの一番に来るのは、引き合いだ。そしてその次に来るのはブランディングとなっている。この両方をカバーすることができるのがWebだ」と語っている。
欧米B2B企業がWebマーケティングのメリットを認識し、予算を投入しながら効果測定能力の向上とROI精神の浸透を図る中、「うちはB2B企業だから...」という話が日本では聴かれるのだろうか?
次回、典型的なB2B企業のオンラインブランディングを紹介する。
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