2006/11/09

Europe's Politician Embrace Web 2.0

Business Weekにある「ヨーロッパの政治家はWeb 2.0を寵愛する」という記事を紹介する。

Emailや個人のWebページは捨て、ヨーロッパの有権者と関与を深めるには最新のWeb事情に通じなければならない。それは英国の次期政権を狙う保守党党首、David Cameronに訊いてみればわかる。

Flickr、YouTube、MySpaceなどからアイディアを借用し、CameronはビデオBlogを9月30日から開始。初めてのクリップは、朝食後の後片付けをしながら、イギリスの政治をクリーンアップしたいと訴えた。

最近Emailをマスターしたばかりの政治家が、YouTube世代に対して影響力を行使しようとへつらっているとしか見えない。有権者にリーチするうまい作戦か?もちろんそうだ。しかし、Cameronや増え続けるヨーロッパの政治家がようやく有権者が集うWeb 2.0という世界へ足を踏み入れてきたことになり、演説するだけではなく、双方向の公開討論に関与しようとしていると称えられるべきだ。

時期尚早ではあるが、Blog、ビデオBlog、Podcastのようなニューメディアツールが21世紀の演台と同一となり、政治家が若く、Webを良く知る有権者にリーチできることになる。

また、ネットの大きなメリットは、厳しいメディア時間の制限を回避できることだ。BlogやPodcastに時間制限はないし、政治家は無制限にサイバースペースで演説を続けていられる。「政界でBlogやPodcastは既成メディアよりもパワーを持つようになる」と、フランスで一番影響力があるとされるBloggerでSix ApartのヨーロッパのManaging DirectorであるLoic Le Meurが語っている。

他にもフランスの前財務大臣で大統領候補のDominique Strauss-Kahnは2年前からBlogを開始。フランスの内務大臣で大統領候補のNicolas Sarkozyは昨年12月からPodcastを開始、15万人以上の視聴者を集めている。

 参考:Loic Le MeurがNicolas Sarkozyにインタビューした話
 (右をクリック:Bloggerが大統領候補にインタビューする時代だ) 

フランス社会党のLaurent Fabiusは定期的にPodcastをやっており、保守系政党のUMPはフリーBlog、PodcastやBlogトレーニングを党員に提供している。YouTubeのフランス版、Dailymotion(注)にビデオをアップしている政治家の数は増加している。

(注) Dailymotion
フランスに本拠、9月に750万ユニークビジターがアクセスし、10月中旬には一日で100万人のアクセスを達成したビデオ共有サイト。まだまだ小規模だが、今後の成長を注目したいサイト。

「18ヶ月前、オランダの政治家はオンラインを使うのに躊躇していた」と、オランダのトップBloggerであるGuido Van Nispenは語る。11月22日に予定される選挙のおかげで大物政治家はすべからくWeb 2.0的な露出を行っている。オランダ首相Jan Peter BalkenendeはBlog、労働党首Wouter BosはPodcastとBlogを開始、オランダ社会党のJan Marijnissenはもっと先を行っている。Podcast用スタジオを持っているのだ。

しかし、ドイツに眼を転じるとWeb 2.0対応が遅い。昨年の選挙時、政党や政治家はWebサイトやBlogを立ち上げていた。しかし、政治家Blogのポータルサイト、Wahl.deを見ると、ほんの少ししか更新されていないことが分かる。「有権者と関係を深める代わりに、用意されている文書などをBlogなどでリサイクルしているだけなので政治的なインパクトは少ない」と、ドイツを代表するBlogg.deを運営するNico Lummaは語る。

また別のドイツのBlogエキスパートであるNicole Simonは、「文化的にいってWeb2.0への敷居が高い。ドイツの人はPodcastを聴くのはいいが、インタラクティブなBlogは好かない」という。

最後にBlogやPodcastにはユーザとの間ですれ違いや落とし穴のあることも指摘し、「まだ始まったばかりだ」とBusiness Weekは結んでいる。

Source:Business Week / Europe's Politician Embrace Web 2.0

どこの国でも新しいものが出てくると、伝統に縛られて一番対応が遅いのが政治や、政治家だろう。しかし、こと選挙になればそんなことは言ってもいられない。政治への無関心層、若年有権者、浮動票層にリーチするためなら新しいものを率先して取り入れることになる。

そこまで政治家の心理を切り替えさせたのは、ブロードバンド、SNS、BlogやPodcastが既成メディアの地位を脅かし、インターネットが一般市民の主要メディアになりつつあるという現実だ。

また、この新しいメディアが取り上げるのは国内ニュース、イベントだけではない。非英語Blogであろうと取り上げるテーマに米国、英語の影響が隠せないし、世界の注目ニュースを取り上げている。
例えば、TechnoratiとEdelmanが調査し、発表した各国で最も影響力のあるBlogの中で;
  • ドイツのBlog2位となっているSpreeBlickは、YouTubeに10月27日にアップされている米CBSが放映したM. J. Foxのインタビュー番組を11月1日にアップ。
  • 仏のBlog2位になっているPointblogは、Googleが10月31日に公式Blogで発表したJotSpotの買収を同日掲載。
  • イタリアのBlog1位のBlog di Beppe Grilloは、Al Goreがプロデュースし、注目を集め、11月21日に英語版がリリース予定の映画「Inconvenient Truth」を10月31日に紹介。
  • イギリスのBlog4位のTech Digestは、11月1日に日本で発表された世界一軽量のLaptop PCを11月2日に紹介。
参考:Blogs in UK、Germany、France and Italy

非英語圏のBlogであろうと世界の最新情報、ニュースを提供してゆくには英語、米国発のニュースは欠かせない。デジタルイノベーターを自認するBloggerであればあるほど、世界中から英語のニュース、米国のニュースを国内にフィードしている。各国のBlogユーザは英語が理解できなくても、既成メディアが取り上げないようなニッチな情報であっても、最新の情報を手にすることができる。これは何もITやインターネットに関係する事柄ばかりではない。広告、マーケティング、金融やファイナンス、スポーツや音楽、映画にビデオと、必要とされる最新情報であれば非英語圏ユーザの手元に届くことを意味する。インターネットがグローバルなコミュニケーションチャネルとして機能している。

これを活用するオンラインブランディングが求められている。

なお、Business Weekの記事で「フランスの前財務大臣で大統領候補のDominique Strauss-KahnのBlogが、イタリアのBlogであるBeppo Grilloに次いでヨーロッパで2番目に人気のあるBlogとなっている」と書いているのはいただけない。

人気のあるBlogをどんな指標で計っているのか不明だが、上のリンクで示したTechnoratiとEdelmanの調査によると、英国のGapingVoidがリンク数、Blogテーマ、他の国内グループとのネットワークから最も影響力のあるヨーロッパのトップ100Blogサイトとして選ばれており、そのリンク数はヨーロッパ随一だ。コメディアンから政治Bloggerへ変身したイタリアのBeppo Grilloが二番目というのは分かるが、Dominique Strauss-KahnのBlogはフランスの上位10サイトにも入っていない。

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