今回は、英、仏、独、伊、西、蘭、そしてパンヨーロッパを対象に、FMCG (Fast Moving Consumer Goods:一般消費材)、エンターテイメント、自動車、エレクトロニクス、旅行業界の各企業のマーケティング管理職に電話インタビューを行い、変貌しつつあるメディア戦略と、オンライン広告への対応をレポートしている。
調査により、2008年までの3年間にオンライン広告費は67%以上の増加が見込まれている。特にFMCG、エンターテイメントブランドがオンライン広告を最も活用すると見られる。また、クライアントはTVやプリント媒体予算をオンライン広告へ振り向けていることも明らかになってきた。
2005年の同調査でオンライン広告の最大の障害だと報告されていたオンライン広告の専門用語やキャンペーンの効果測定も、もはや大きな障害とはなっていない。
調査参加企業は以下の通り。
- 自動車
Citroen、DaimlerChrysler、Ford、Peugeot、Toyota、Lexus、SAAB、Honda、FIATなど - エレクトロニクス
Panasonic、Samsung、Philips、Sony、Canon、Clarion、Pioneerなど - エンターテイメント
Sega、MGM、Columbia、Sony、20th Fox、Lego、Nintendo、Disneylandなど - FMCG
KRAFT、Kellogg's、Unilever、P&G、L'oreal、Gillette、Coca Colaなど - 旅行
Thomas Cook、KLM、Club Med、Expedia.it、Visit Britainなど
調査によれば;
- 2008年までの3年間でオンライン広告費は67%増加する
- 調査対象企業の43%は、総予算の1~5%をオンライン広告へ支出
- 調査対象企業の42%は、総予算の6%以上をオンライン広告へ支出
- 調査対象企業の9%は、2005年にオンライン広告を実施していない。その三分の一は2006年にオンライン広告を実施すると回答
また業界ごとの平均を見ると以下のようになっている。
- 全調査対象
2006年:21%増、2007年:19%増、2008年:16%増 - エレクトロニクス
2006年:14%増、2007年:15%増、2008年:12%増 - 自動車
2006年:16%増、2007年:18%増、2008年:11%増
- FMCG TVからシフト
- エンターテイメント TVおよびプリントからシフト
- エレクトロニクス TVおよびプリントからシフト
- 旅行 プリントからシフト
- 自動車 全メディアからシフト
ダイレクトレスポンス広告ほどではないが、オンラインのブランド広告を増やす企業は40%に達している。TVなどのブランド効果と比較されるケースが多いオンライン広告だが、DRだけではなく、ブランディングビークルとしての認識も高まってきたということだ。
- 40% 全業種平均でブランド広告費を一層増加、少し増加させる企業
- 42% オンラインが広告費の1-5%を占める場合、オンライン広告を一層、少し増加させる企業
- 41% オンラインが広告費の6%以上を占める場合、オンライン広告を一層、少し増加させる企業
各国ごとのマーケティングとパンヨーロッパでのマーケティングの現状:
調査対象企業は;
- 各国ごとにニーズやマーケティングアプローチに違いがあるため、通常各国ごとに予算を持つ
- 企業によってはパンヨーロッパ予算(クリエイティブおよびメディア用)と国ごとの予算を持つ
- 企業によってはキャンペーンに応じて、特定国、あるいはパンヨーロッパ向けの切り替えを実施
- マーケットシェア、あるいは販売規模によって予算規模が決定する。各国市場で強大なシェアを持つ企業はパンヨーロッパキャンペーンに意欲
- 一括発注によるコスト削減
- 広範な対象地域
- 他広告キャンペーンとの統合
- (グローバルマーケティング戦略に依存)グローバルメッセージとの統一が可能
さて、パンヨーロッパ向けのオンライン広告キャンペーンを実施するとして、どういったサイトが候補に挙がってくるのだろうか?
AlexaのBlogにLong Tailの話が上がっている。Yahoo!がインターネット全トラフィックの28%を占め、サイトランク1,000位のimagehigh.comが0.11%、ランク10万位のmum.eduが0.00120%を占めている。Alexaツールバーを利用しているユーザのトラフィックデータだけに完全なものではなく、バイアスがあることは明らかだ。しかし、グラフを見る限り、限りなく独占に近い形で寡占状態にあるのが分かる。
サイトランク100、あるいは500位くらいまでのサイトに総トラフィックの限りなく100%に近いトラフィックが集中しているのではないだろうか。トラフィックランク100位までを見てみると、Yahoo!、Google、MSNなど米国、英語系サイトは84サイトがランクイン、日本、中国、ドイツ、ロシア、ポーランドの現地語化されたGoogleや各国固有のサイトが16サイトとなっている。ヨーロッパベースのメディアサイトはひとつも入っていない。インターネットのトラフィックが一握りの有名サイト、英語、米国サイトに偏重しているのは事実だ。
トラフィックが特定サイトへ集中する状況で、パンヨーロッパをカバーするサイトはあるのだろうか?ヨーロッパにあるWebサイトをパンヨーロッパ向けキャンペーンのコアサイトとする必要性はあるのだろうか?
ヨーロッパのサイトが存在する可能性も、コアサイトとする必要性もないと言える。なぜなら、寡占状態にあり、世界中からアクセスを獲得している英語・米国トップWebサイトを使うことでグローバルキャンペーンも、パンヨーロッパも、あるいはパンアジアキャンペーンも可能だからだ。
comSocreが最近出したデータを見ると、米国のTop25サイトには米国以外からのアクセスが大半を占めるWebサイトが14もある。米国以外から米国サイトへアクセスするユーザはどこから来るのか?
当然、インターネット普及がクリティカルマスを超え、個人目的やビジネス等で最新情報・ニュースを入手できるサイトへアクセスすることが必要なユーザ、企業、国、地域、すなわち丸めると非英語圏からのユーザということになる。
この非英語圏ユーザは個人的にはデジタルイノベーター、アーリーアダプターであるし、企業組織内では、開発・マーケティング、IT/MISに所属、あるいはVP、SVP、CIO、CTO、CMO、および他の管理職ということになる。これらデジタルイノベーター、アーリーアダプターは、英語・米国トップのWeb・Blogサイトから持ち込んだ情報・ニュースを翻訳し、国内および企業内へ普及、浸透させていく。
また、非英語圏ということは、大半が欧州、アジアからのユーザが占めているのは間違いない。とすると、パンヨーロッパキャンペーンだからと言って、トラフィックが少なく、影響力も弱いヨーロッパのサイトを選択することは、百害あって一利なしだ。
このリストにあるサイトなどを使い、キャンペーンを実施するのであればIPアドレス、ドメイン、ユーザ登録データなどをベースとしたジオターゲティングするだけで、パンヨーロッパであれ、パンアジアであれ、そしてグローバルキャンペーンも可能だ。
参考:Alexa : Traffic on the Long... Long... Tail...
参考:Global Online Branding and Marketing Available
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