まず、2010年までの検索市場規模だが、額で見れば当然のように64%も増加すると見られている。
しかし、全体のシェアを見るとそう喜んでばかりもいられない。2010年にはシェア40.8%へ落ち、前年比も7.4%増へ下がると予想されている。
- Paid inclusion Froogle、Yahoo Shoppingなどのディレクトリ掲載費
- Contextual listings 検索エンジン、アグリゲータネットワークの文脈連動広告費
- Paid search 検索エンジン広告費
- Agency fees 上記広告のバイイングを行う代理店、SEM費
例えばHealth and Medicalカテゴリのサイトへのアクセスの43.19%は検索エンジン経由、すべてのカテゴリのサイトへのアクセスの20.07%は検索エンジン経由だということになる。
どのカテゴリにしても検索エンジン以外から、すなわちブックマークや直接URLを入力してアクセスするユーザが多いということだ。あるいは他の様々な露出、すなわちTV、新聞、雑誌、他のWeb、BlogなどにあるURL、あるいはリンクをクリックしてアクセスするユーザが大半だということだ。当然ながら、この総体的な露出の中でもオンライン露出が重要なことは言うまでもない。
また、「Business and finance」、「Computers and internet」、「Sports」というカテゴリへのアクセスに検索エンジンがあまり寄与していないことも明らかだ。
「Computers and internet」は90%弱、「Automotive」は80%弱が検索エンジン経由ではないトラフィックということだ。加えて、「Shopping & Classified」カテゴリを製品の販売チャネルと見ても75%弱が検索エンジン以外のトラフィックということになる。
この結果を、まだまだ検索エンジンが機能する場所がある、検索エンジンはこれからも伸びると思うか、あるいは、検索エンジン経由ではなく、ブックマークや直接URL入力することでアクセスしているユーザや、総体的な露出からアクセスするユーザが大半なら検索エンジンの効果は何だと思うか、あなたはどちらだろう?
ニュースやメディア、ビジネスやファイナンス、そしてコンピュータやインターネットというカテゴリへのアクセスは検索エンジン経由が少ない。ということは、検索エンジンの手を借りなくても、相当のブランドメディアサイトであれば、ブックマーク経由や直接URLを入力するユーザに露出しているということだ。あるいはメーカー・製品・サービス名など、ブランドが認知、想起されていれば、自然(Organic)検索結果からアクセスしてくるし、ブックマークや、直接URL入力からアクセスしてくるユーザに露出できるということになる。
そういった形でアクセスするユーザが大半だということだ。
検索エンジンがすべてを解決できるソリューションではないことが明らかだ。
Ad Ageの資料では、このデータから少し飛んで、ユーザの検索結果に関する視線トラッキングのデータが出てくる。
視線トラッキング
Google、Yahoo!、MSNの検索結果ページにおけるユーザ視線の動態調査を行ったEnquiro Search Solutionsのデータによれば、最も明るくなっているエリア、ゴールデントライアングルがユーザの注目を最も集めるとされる。Yahoo!やMSNに比べGoogleのゴールデントライアングルは小さく、ユーザにとっては必要な情報が的確に結果として表示され、すばやく目的地へアクセスできると結論付けている。
しかし、本質は別にある。
この視線トラッキングで明らかにされているのは、ユーザの視線の大半は自然(Organic)検索結果に向かっていること、赤い「X」で示されるユーザがクリックした箇所の大半も検索結果に向かっていること、そして検索スポンサーや検索キーワードのテキストリンクにはまるで視線が向いていないし、クリックもまったく少ないということだ。
検索スポンサーリンクや検索キーワード広告のクライアントは、コスト効果がわかるCPC/CPAだからよしとしているかもしれないが、とてつもなく大きなコンタクトポイント、タッチポイントを失っている。
自然な検索結果が一番なのだ。SEOが重要なのだ。
Click Fraud
次に検索エンジンが直面するクリック詐欺という問題がある。
SEMPOによれば、
- クリック詐欺を重大な問題、あるいは問題だと捉えているのは合計39%
- クリック詐欺の被害にあったのは42%
- クリック詐欺が競合によるものが53%(ライバル企業がクリック数を増やしてキャンペーン予算を枯渇させる)
Source:'Ad Age' Search Marketing Fact Pack Released
Source:Ad Age / Search Marketing Fact Pack 2006(pdf)
Source:Click Forensics
このAd Ageのデータは検索エンジンの効果を証明しているのだろうか?
2004年とすこし古い資料だがEnquiro Search Solutionsから、「Inside the Mind of the Searcher」というデータがある。それを見ると以下のようになっており、Ad Ageの視線トラッキングデータと整合性がある。2004年時点で、すでにユーザは検索結果と広告スポンサーを識別し、無視している。いまどきのユーザは、その仕組みや料金まで理解している。
- 約80%のユーザはスポンサーリストを無視する
- 検索パターン
- 自然検索結果の最初の3、4個までしかスキャンしない
- 大半は自然検索結果をクリックする
(もし、何かを買おうとしている場合、スポンサーリストもスキャン) - 最初の検索結果のタイトル、内容をよく読まずにクリックする
(最初の結果が最適だと思うため) - クリックしてアクセスしたサイトがマッチするかすばやく判断(10-15秒)
- 検索結果上位4個までに適当なものがない場合のみ、スクロールダウンする
(あるいは検索キーワードを修正、追加するほうが可能性が高い。検索結果2ページ目へはいかない)
(注:ダウンロードにはユーザ登録必要)
検索エンジンを金科玉条のように使うべきクライアントはいる。例えば、AlexaのBlog、「Traffic on Long...Long...Tail...」に出てくるような、ブランドもなく、露出もなく、検索エンジンのキーワード広告でしかコンタクトポイントを獲得できないローーーングテイルに属するクライアントだ。
あるいは、Wal-Mart、Target、Home Depot、Amazonのような大規模小売サイトだ。
しかし、次の現状を理解するブランド企業が検索エンジンを使う理由はあるのだろうか?
- どのカテゴリも検索エンジン経由ではないアクセスが大半
=(ソーシャル)ブックマークや、直接URL入力からアクセスするユーザ、あるいは様々な露出(他Web、Blog、TV、雑誌など)からアクセスするユーザが大半
=総体的な露出が重要(特にオンライン露出) - ユーザは自然検索結果と、広告を区別し、広告を無視する
=2004年時点で約80%が広告を無視
=2006年もユーザ視線がスキャンするのは自然検索結果が大半 - ユーザは自然検索結果をスキャン、クリックする
=ユーザは検索結果をクリックしてコンテンツを判断する
=購入予定があるときにのみスポンサーエリアをスキャンするだけ - 検索広告にはクリック詐欺被害が13~14%発生する
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