eMarketerは、11月22日付けの記事で、オンラインマーケターはpay-per-click (PPC) を取り入れ、多くが活用しているが、明らかに全てがそれをよく理解しているとは言えない。数年にわたり、オンラインマーケターはPPPCに投資してきているが、e-tailing groupによる新しい調査から、PPCプログラムを管理していく課題が明らかになったとしている。
さて、PPCの導入経験年数だが、グラフのように2年以上というマーケターが66%を占める。
そして1から10までの段階評価(10が最高)によるPPCマーケティングの自己採点をすると;
- 7~10 54%
- 4~6 30%
- 1~3 16%
PPCマーケティングにつぎ込む予算だが、44%が総広告費の20%以上を投下している。
そして驚くのは、40%が5000以上のキーワードを使ったPPCマーケティングを実施していることだ。100~5,000までのキーワードを使うケースも44%に達している。
e-tailerは、「小売商はこのPPCというマーケティング方式に価値を見出している」とコメントしている。
そして、どこに予算を投下しているのかというと、以下のように基本的にGoogleとYahoo!を使っていることがわかる。
- Google 100%
- Yahoo! 90%
- MSN 76%
- Ask.com 27%
コンバージョンの売上に対する比率を見ると、46%がコンバージョンコストは15%以下となっているが、27%がキャンペーン実績のうちコンバージョンコストがいくらを占めているか分かっていない。このデータは、より正確なコストと売上の測定と解析が必要なことを示している。
さて、キーワードの単価だが、50㌣以下が47%、50~99㌣以下が34%、合計81%が1㌦以下となっている。
PPCキャンペーンの結果としてWebへアクセスしたユーザの比率は以下の通り。
キャンペーンにより自社Webサイトへアクセスしたユーザの21~50%を占めたとするのが28%、50%以上が10%となっているが、1~20%しか占めなかったのが合計で49%に達している。
Source:eMarketer / Pay-Per-Click Not-So-Easy (注:eMarketerの記事は1週間程度で購読契約が必要となる)
Source:e-tailing / 1st Annual Pay-Per-Click E-Tailers Stress Study (pdf)
参考:e-tailing
eMarkterは、e-tailingの論調に沿って、PPCプログラム、キャンペーンを実施・管理する人員不足などを結論としている。
それはさておき、まず、44%が総広告費に占めるPPC予算が20%以上、11~20%を占めるマーケターが20%もいる事実をどう理解すればいいのだろう。
ブランド企業はオンライン広告費を増やしつつあるが、Ad AgeのFact Pak 2006 (Universal McCann USが調査したトップ100企業の2004年におけるメディアごとの広告費) を見ると、インターネットは2.6%にしか達していない。2年前のデータではあるが、総広告費に占めるオンライン広告の比率から考えると、上のように総広告費の20%以上もPPCに投下する企業はトップ100にはいない。いや、TV、DM、新聞など多様なメディアへ露出するブランド企業はPPC広告に20%も予算を投下しないのだ。
Source:Advertising Age / Fact Pack 2006 (pdf)
次に40%が5,000以上、44%が100~5,000ものキーワードを使っていることは何を意味するのか?
それは e-tailerがコメントしているように、「小売商はこのPPCというマーケティング方式に価値を見出している」のだ。数百、数千のキーワードを駆使し、あらゆる検索結果ページにスポンサーリンクを掲出することで、CTを稼ぎ、エンドユーザへ直接販売する小売、大規模小売、あるいは販社、ディーラー、ショップがPPCを実施することで高いROI、コンバージョン、売上を上げているわけだ。
ブランド企業が数百、数千のキーワードを使ってPPCマーケティングをしているわけではない。
また、キーワード単価の大半、81%が1㌦以下ということからブランド企業がこぞって入札するキーワードが主流を占めているとは言いがたい。
やはり、少なくともこe-tailingのデータから導き出されるものは、ブランドがなく、総体的露出もなく、検索エンジンキーワード広告によるコンタクトポイント獲得しかない(特に超ロングテイルに属する)小売にとって効果があること、あるいは、Wal-Mart、Target、Home Depot、Amazonのような大規模小売サイトには効果があること、あるいは販社、ディーラー、ショップにとって効果があること、あるいはまた、購入製品を調査する段階を過ぎ、製品が決まり、あとはどこが一番安く売っているかを探すステージに到達したユーザに対して、検索広告を実施する小売、直販、モールサイトにとって効果があるということだ。
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