Sun MicrosystemのCEO、Jonathan Schwartsは2004年6月28日からBlogを開始している。毎日というわけではないが、少なくとも1ヶ月に3~4回以上書き込んでいる。
Technoratiによれば彼のBlogランクは1,474位、991Blogから1,996個のリンクを張られている(2006年11月27日時点)。英語はもちろんのこと、アラビア語もあれば、スペイン語、仏語、独語などのリンクもあるし、インドなどからのリンクもある。そしてリンクしているBlog自体が数十、数百のリンクを持っているBlogが多く見受けられる。英語圏だけではなく、非英語圏のユーザにも彼のBlogが露出していることが分かるし、その国内ユーザにも露出しているだろうことは明らかだ。
Technorati.comへ行くと何人かのお気に入りがトップページにローテーションで表示されるが、Schwartsのお気に入りもあるので、彼に見覚えのある方は多いのではないだろうか。
また、最近、彼のBlogへリンクする非英語圏のBloggerを意識してか、10ヶ国語に翻訳されるようになった。ただし、そのすべてではなく、ポスティングによって翻訳される言語に幅があるようだ。
加えて、OracleがRed Hat (Linux)を派生させると決めたことに対するSunの見解を自身のBlog (日本語版はこちら)、YouTubeで流している。
様々な情報をより多くのユーザ、社員、パートナー、金融機関などのステークホルダーに伝えようとするCEOたる彼の意思が見える。
Guardian Unlimitedの「Why CEOs should learn to love the blog」という記事によれば、Fortune 500のCEOでBlogを始めたのはSun MicrosystemsのSchwartzが最初だとされている。
さて、FastCompany.comによれば、IBMは2004年12月に社内Blogを開始、2月までには30カ国以上、500人以上の社員が、ソフトウェア開発、ビジネス戦略を検討するために利用した。それがCorporate Bloggingによれば、2005年6月14日時点で3,612の内部Blog、30,429のポスティングにまで急拡大している。
これほど強烈で感染爆発的な普及は例を見ない。これは多分、1997年、IBMは他社が社員のインターネットアクセスを制限する中、積極的にネットへ出て行くことを奨励したことが素地としてあり、社内Blog開始を受けて2005年春に制定されたIBMのBlogガイドラインが社員に責任あるBlog公開を後押ししたからだろう。また、社外パートナーとのBlogを通したマーケティング、開発、プロジェクト推進も影響しているのだろう。
参考:SunのCEO、Jonathan SchwartsのBlog
参考:FAST Company / It's a Blog World After All
参考:Alex Barnett Blog / IBM Running 3600 Internal Blogs
参考:Corporateblogging / 3,600+ blogs: A glance into IBM's internal blogging
参考:IBM / Blog Guidelines
前述のGuardianによれば、Blogの第一の波は個人、勝手気ままに書き込む連中が主体。第二、第三の波は、コンサルタント、学識者、中小企業経営者、そして中堅、大企業へと広がってきている。しかし企業(公式)Blogはまだまだ創成期で、英国ではCEOクラスのBlogは稀もマレだ。多くの企業は社内Blogを利用しているが、英国の企業がBlogを公開しているのは全体の5%以下にしかすぎない。
ところが、米国ではFortune500にランクされる企業のうち、40社が企業Blogを公開している。これは500社の8%にしか過ぎないが、6ヶ月前には24社、5%以下だったものが8%、40社に増えている。
それに比べると英国の場合、FTSE 100にランクされる企業のCEOによるBlogは皆無、しかし、中小企業の経営者は時流を捉え、顧客とのコミュニケーションチャネルとして活用し始めている。また、中小企業にとってBlogは、安価、ダイレクトに、どこにいる顧客にもリーチできるツールとなりつつあるとしている。
最後にGuardianは、CEOのベストBlogとしてSun MicrosystemsのSchwartzを挙げ、「投資家、ジャーナリスト、アナリストとコミュニケートするたったひとつの最も効果的なビークル」と彼の言葉を載せ、「Corporate Blogging」の著者であるDebbie Weilの企業Blog10ヶ条で記事を結んでいる。
Source:Guardian Unlimited / Why CEOs should learn to love the blog
少なくとも先進的な米国企業はCEOを初めとし、多数の社員らによるBlogからの露出、情報発信、共有、交換、フィードバック受信などが進みつつある。そこでGuardianはまだ対応の後れている英国のCEOによるBlog、企業Blogに光を当てているわけだ。しかし、後れているのは英国だけだろうか?
日本のグローバル企業も英国企業同様に、いや本社からの情報発信量を考えれば、それ以上に、米国企業のWebサイトからの情報発信、RSSフィード、Podcast、Webinarなどによる多様なオンライン露出ギャップに加え、Blogによる露出ギャップも抱えているのではないだろうか。特にCEO、CTO、CMOといったトップクラスのBlog発信となると皆無なのではないだろうか。そして、一方的な情報発信ではなく、アイディアや意見交換、外部とのプロジェクト推進にも発展するこのBlog露出ギャップをどのように解消してゆくのか、非常に大きな問題に直面している。
なお、企業Blogとして集められたFortune 500の40社(サイト)は以下の通り。
Source:Fortune 500 Business Blogging Wiki
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