2006/11/08

European Online Ad Format and Reconnect Europe

EIAA (European Interactive Advertising Association) がヨーロッパにおけるオンライン広告のフォーマットを調査し、加えて今年はじめにOrange から出されたReconnect Europeという調査データも参照したEuropean Ad Formatレポートを出している。

EIAA加盟メンバー
2006年1月から6月までにEIAA加盟各メンバーサイトに掲出された1,500億impressionを収集したものだ。加盟メンバーは以下の通り。
  • AD Europe (Orange、United Internet Media、Libero)
  • AdLINK Internet Media AG
  • AOL Europe
  • MSN International
  • Tiscali
  • Yahoo! Europe
  • LYCOS Europe
調査対象となった国とオンライン広告フォーマット
comScoreによると、ヨーロッパ15カ国におけるEIAA加盟各メンバーサイト合計で毎月1.5億の重複していないユニークユーザを抱えている。これはアクティブなヨーロッパのオンラインオーディエンスの95%にあたる。

全10カ国ですべての広告フォーマットが利用されている。その国ごとのシェアは以下の通り。
インパクトとクリエイティブスペースからSuper Bannerと、Medium Rectangle - MPUがクライアントの人気を集めている。MPUの人気はストリーミングビデオによるところが大きい。Traditional Bannerの利用が全10カ国で減少するのとは対照的に、MPUは前年比100%増となっている。
  • UK、フランス、ドイツ、イタリア、スペイン、オランダ、ベルギー、デンマーク、ノルウェー、スウェーデン

  • 468 x 60   Traditional Banner
  • 120 x 600  Skyscraper
  • 160 x 600  Wide Skyscraper
  • 180 x 150   Rectangle
  • 300 x 250  Medium Rectangle - MPU (Messagin Plus Units)
  • 728 x 90   UAP Super Banner
国ごとの差
  • Supper Bannerはイタリア、デンマークで最も使われている
  • Medium Rectangle - MPUはフランス、イギリスで最も受け入れられている
  • Wide Skyscraperは他ヨーロッパ諸国と比べ、ベルギーでより受け入れられている
  • Traditional Bannerはイギリス、フランスで最も人気がある
さて、Orangeによる「Reconnect Europe」の調査では、オンライン広告のフォーマットによって国ごとに違ったレスポンスがあることが明らかにされている。(Orange自体、EIAAのメンバー)
  • UK
    一般に、MPUビデオ、Skyscraper、インタラクティブバナーなどフラッシュやインタラクティブな広告が受け入れられると見なされている。EIAAの調査によると、UKの消費者は、メディア操作に関しては最も進んでおり、UKでのオンライン広告がインタラクティブで、クリエイティブ性が高いことを反映している。
  • イタリア
    ノンリッチ、リッチメディアの別はなく、Skyscraper、Medium Rectangle - MPU、Super Bannerなど大きなフォーマットがより受け入れられている。これらが最もインパクトが高いとしている。
  • スペイン
    フラッシュ、ビデオなどのフォーマットに高い得点を与え、ジャマになるものではないとしている。全10カ国中、スペインはほとんどのオンライン広告フォーマットに最も高い得点を与えている。
  • フランス
    広告が非常に規制されているため、オンライン広告フォーマットに対して保守的な見方が反映されている。中位のインパクトと、あまりジャマにならないという受け止め方により、狭い範囲での低い受け入れ度という結果となっている。しかし、Overlayを含み、全オンライン広告フォーマットが受け入れられるとされている。
  • ドイツ
    埋め込み(Embedded)広告(記事や他コンテンツの上に現れない広告)が最も高い得点を挙げた。Skyscraper、Banner、Medium Rectangle - MPUのビデオが次に高い得点を上げている。

    ---が、調査対象国中、オランダに次ぎドイツはオンライン広告をジャマなものとして認識している。受け入れているスコアも高いだけに、ユーザの視線を遮るOverlayやInterstitialが多く使われているため、否定的な意見が多いのかもしれない。
  • オランダ
    オンライン広告フォーマットは、少なければ構わないし、小さければもっと良いと判断している。Banner、スポンサーシップやSkyscraperに最も高い得点が集まっている。ドイツと同様に、ユーザスペースに侵入してくる広告、そしてページスペースの多くを占めるフォーマットを最もジャマになるものと判断している。太字やフラッシュフォーマットは受け入れられないと見なされる。

    ---調査対象国中、最も受け入れられない度数が高い国となっており、ドイツとあわせてオンライン広告のフォーマットに注意を払う必要がある。
広告フォーマットの変化
オンライン広告のフォーマットごとのボリュームを2004年と2006年で比べてみる。2004年時点では、Traditional Bannerが56.3%を占め、圧倒的な人気だったわけだが、2006年になるとSuper BannerとMedium Rectangle - MPUが最も利用されているフォーマットに入れ替わっている。
ブロードバンド普及とリッチメディア
ヨーロッパでのBB (Broadband) の普及はEUのICT政策やユーザの人気により、オンライン広告に拍車をかけている。クライアントの88%は、BB普及率の上昇によりインターネットをブランディングメディアとして活用することができるようになってきたと考えている。BB普及により、クライアントとユーザ間により密な関係性、関与を構築することから、日常のオンライン広告から直接的な影響を及ぼすことになる。

フォーマットに関し、BBは特にMedium Rectangle - MPUの伸びに大きく影響している。リッチメディアがビデオ、オーディオ、アニメ、データ取得機能、そしてその他インタラクティブ機能などを組み込むことでWebのディスプレー広告の可能性を高め、クライアントの人気をより高めている。リッチメディアキャンペーンは前年比57%増、そのボリュームは前年比100%増となっている。

Source:EIAA / Ad Format (pdf)
Source:Orange / Reconnect Europe

BB普及率が上がり、様々なリッチメディアが取り入れられ、オンライン広告の可能性は大きくなるばかり。日常生活におけるコアメディアとしての位置を活用したオンラインブランディングが一層、可能性を持ってきた。

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