2009/06/22

Visit Japan 2009 -1

もうずいぶん昔、「Visit Britain, Visit Korea, Visit Japan」を書いたことがある。

参考:Visit Britain, Visit Korea, Visit Japan (Online Ad 2006/09/08)

それから3年近く経って見ると、Visit Japanキャンペーンの効果もあり、昨年、日本を訪問した外国人旅行者は835万人に達している。

ところが昨年の金融危機以降、世界同時不況、円高などが影響し、訪日客が減ってきている。4月の訪日外客数は9カ月連続で前年同月比19.7%減の62.7万人にとどまっている。4月までの累計で前年比25%も減っている。

訪日トップの韓国が4月までの累計で48.9%減の45.8万人、台湾も29.4%減の32.3万人、香港も18%減の14.4万人。主要国で増えているのは5%増の38万人強が訪日した中国だけだ。
Source:日本政府観光局(JNTO) / 2009年4月推計値 2月暫定値 (pdf)

日本政府観光局は、「2010年までに訪日外国人旅行者数1,000万人を実現します」と大きな目標を掲げ、2003年以降、様々なオン+オフラインの広告・広報施策、プロモーションを実施し、今では世界13カ国にWebサイトを展開している。また、現在、Baidu.comでは「日本旅游」をキーワードとした検索連動型広告を実施中だ。

通年で前年比25%減ということにはならないだろうが、仮に15%減となった場合でも710万人前後だ。2010年に1,000万人を実現するには300万人増を果たさなければならない。ということは、2008年の通年であわせて338万人が訪日した韓国と中国クラスの国を増やさなければならない勘定だ。
訂正:「通年で344万人が訪日した中国クラスの国をもうひとつ増やさなければならない勘定だ」と書いたが、344万人は日本から中国への訪問者数だったので、上記のように訂正します)

これはとてつもなく大きなチャレンジになる。景気回復は国・地域単位で違うし、秋口以降の2009年新型インフルエンザの影響も考慮しなければならない。Visit Japanと競合する各国の旅行者獲得キャンペーンもある。従来からのチャネルパートナー経由のプロモーションは最大活用しているだろうから、何かやれるとするとオンラインマーケティング・プロモーションしか残っていないのではないだろうか。

ただし、オンラインで何をやるにしても、まず、オンライン露出やトラフィック、検索実績を見なければ先に進めない。そこで上の参考でも比較した、Visit Britain、Visit Korea、Visit JapanにJNTOを加えてWebトラフィックをAlexaで見ると、大差でVisit Koreaへのトラフィックが多い。JNTOはVisit Britainと肩を並べる所にはあるが、Visit Japanはまるでリーチがない。
国によってはVisit JapanではなくJNTOであったり、JapanTravelInfoのWebであったりと、トラフィックが分散しているので、単純な比較はできない。しかし、Yokoso Japanキャンペーンの本丸であるVisit Japanへのトラフィックが少ないことは事実だろう。

それはGoogle Insightsで、Japan、UK、USA、China、Franceという検索キーワードの出現を「Travel」カテゴリに絞った比較をしてみると明白だ。
Franceが「45」の検索実績に対して、Japanはたったの「5」でしかない。Chinaの「10」にも後れを取っている。実績値は6月21日時点。(クリックでGoogle Insightsへ)
これを「Visit Britain, Visit Korea, Visit Japan」というキャンペーン名で比較すると、「Visit Britain」が72で断トツだ。
ま、英語で検索しない国のユーザは拾えていないのは事実だ。

ただし、少なくとも中国や韓国、その他一部の国を除くとGoogleが検索エンジントップだし、Googleからのアップストリーム(流入)トラフィックがどのWebサイトもトップを占めているのが基本だ。

そのGoogleにおいて英語による国名検索で最下位を走るJapan、またVisit Britainに大差をつけられている検索実績からしてもWebサイトへのトラフィックはあまりないということになる。

また、AlexaでVisit BritainとVisit Japanへアクセスする国別シェアを見ても、自国からのアクセスはそれぞれ20%台後半で同じくらい。ところがVisit Britainはアジア、パシフィック、欧米、南米と満遍なく世界中からアクセスがあるが、Visit Japanはアジア諸国からのみのようだ。
Source:Alexa / VisitJapan
Source:Alexa / VisitBritain

どうやら日本企業・ブランドのグローバルWebサイトと同じ傾向のようだ。

オンライン露出コンテンツが少ないというわけではないが、キャンペーンWebサイトのトラフィック、そしてキャンペーン関連検索実績が少ない。ということは、インターネットユーザにキャンペーンのコンテンツが露出していない。コンテンツが消費されず、共有もされず、ユーザによって友人たちに再露出されていないということになる。また、一方的な情報提供を目的としたコンテンツがバラバラに露出されているだけだ。

訪日外客1,000万人を2010年に達成するには、積極的なオンラインマーケティングが求められる。しかし、検索連動広告だけではコンテンツの消費、共有、拡散、再露出は為し得ない。クリック詐欺もあれば、14%しか検索広告をクリックしてくれない現実もある。
参考:Search Syndication and Traffic Quality (Online Ad 2008/09/09)

となると、検討すべきはソーシャルメディアマーケティングだ。実は、Visit JapanはYouTubeにチャネルを持っている。そこら辺は次回へ。

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