随分長いこと、印刷媒体に関して書いていないと思っていたが、Silicon Alley Insiderが送ってきた6月3日付のChart of the Dayを見るとそうも行かない。
奈落の底へ落ちてゆくような急降下を見せているのは四半期ごとの米国新聞広告費だ。2009年Q1は前年比30%ダウン。オンライン広告も2004年から初めて、ふたケタの減少となり前年比13%ダウンだ。
Source:Silicon Alley Insider / Chart of the day : The end of Newspapers
これは昨年の金融危機、その後の世界同時不況によって広告費が大幅にカットされたからだし、案内広告・不動産広告がオンラインへ流れたことや、購読者が減る媒体に広告は出せないからだ。また、広告効果が可視化できず、測定できない媒体であることも影響しているだろう。
ということは、この傾向は新聞だけではなく、TVなど他のマス媒体にも反映されるということだ。
この不況から回復した時には新聞に広告費が戻ると考える楽観的な業界人はいない。同じように減らされたTV広告費が復活する理由はない。
「過去50年間に起こったことよりも、今後5年間に広告業界に起こる変革は大きい。力を持った消費者、独立独歩色を強める広告主、そして変革を継続する新技術が、どのように広告が販売され、消費され、追跡されるかを決定する。消費者、ビジネスモデル、ビジネスデザインにおける革新をうまく実装していかなけ れば、伝統的な広告業界のプレイヤー、TV局、広告代理店などは弾き飛ばされるかもしれない」というイントロから書き起こしているIBMの「The End of Advertising」を紹介したことがある。
参考:The End of Advertising (Online Ad 2008/08/29)
そしてIBMは、「The End of Advertising」に続いて「Beyond Advertising」で、2002年に47%だったTV、Print、ラジオ、OOHなど既存マス媒体広告費のシェアは、2007年に41%に落ち、2012年には32%へダウンすると予想している。
参考:Beyond Advertising (Online Ad 2009/4/30)
広告というメッセージ配信システム、あるいはビジネスモデルが存亡の時を迎えている。
以下の参考で紹介したのはソーシャルメディア(スペース)を活用して企業・ブランドが行っているマーケティングだ。すべてが広告抜きというわけでもない。しかし、本質は広告は不要で、ダイレクトに企業・ブランドが顧客・ユーザとオープンで対等な会話をすることにある。その会話の中からアドボケーター、サポーター、ブランドアンバサダーといったユーザを育成し、ともに力を合わせてブランドの価値を伝えてゆくことにある。ユーザの意見をしっかりと聴き、オープンな形でコンテンツやメッセージを修正してゆくことになる。言いぱなし、送りっぱなしの一方通行のメッセージ配信では立ち行かないことになる。
こういったマーケティングが増えれば増えるほど、中心になればなるほど、マスメディアを使った広告や効果を可視化できないメディアは出番がなくなる。とすると、新聞もTVも出番はないことになる。
参考:Kodak Facebook Strategy (Online Ad 2009/04/17)
参考:P&G Digital Hack Night (Online Ad 2009/03/25)
参考:Virgin Atlantic Social Media Approach (Online Ad 2009/03/09)
参考:HP - Social Media Marketing (Online Ad 2008/12/01)
参考:Royal Customer Advocacy (Online Ad 2008/09/01)
参考:Olympic Marketing : Lenovo (Online Ad 2008/07/10)
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