GigaOMのRobert Youngが、「Google...the OS for Advertising」を書いている。
YouTube の買収、新聞・ラジオ広告の販売など、Googleの本音がどこにあるのか、敵なのか味方なのか、既成メディア会社が頭を悩ましている。Googleのア ナウンス、取引やイニシャティブを総合し、Youngは、全メディアを通して機能する「Ad/OS」を開発していると結論する。
すべての ハードウェアそしてソフトウェアを統括するMSのWindowsのように、GoogleのAd/OSはメディアタイプには関係なく、広告キャンペーンの重 要コンポーネントを同様に管理するようになる。Windowsが行うメモリ管理や配分をするのではなく、広告予算の配分を行う。システム要求の優先度をつ けるのではなく、IN/OUTデバイスを管理するのでもなく、GoogleのAd/OSは広告インベントリのバイイングとプレースメントを行う。ネット ワークやファイルを管理するのではなく、GoogleのAd/OSは全局面でメディアバイイングを最適化し、創造的なプレースメントを管理する。
Google のAd/OSは、MySpace、YouTube、AOL、Ask、Google自身、そして数千のBlogの広告バイイングと管理を行う。また、 NYT、Boston Globe、Washington Post、Tribune、Gannet、McClatchy、ラジオ局などの広告バイイングにも活用される。また、もしGoogleが計画を実行すれ ば、三大TV局、CATV局なども広告インベントリをGoogleのAd/OSで管理できるようになる。
パパママストアから Fortune1000までの全ての企業で、誰もがPCを使い、Webサイト、新聞、ラジオ、TV用に広告を思いのままに発注できるとなれば、毎年 5,000億㌦が投下されるこれら既存メディアマーケットは、今まで創造だにしなかったメディアの広告プラットフォームで処理されることになる。このプ ラットフォームがGoogleのテクノロジーを使うことになる。
以前、「一体、Googleは敵なのか、味方なのか?」という質問に、あ るメディアの管理職は、「Googleが自前のコンテンツを作らない限り、安全だ」と言っていた。しかし、Googleの競争力の本質は、既成プロセスに ある非効率性を抽出することで既成業界の価値を下げ、競争力を削いできたことだ。
Google効果は単純な業界内の序列調整といった話ではなく、旧体制の競争力を陳腐化し、自動化され拡張性のある技術でそれを置き換えることになる。
だから、既成メディア企業が今日の競争力をテコとしてGoogleのAd/OSと競合するには、長期的に、全メディアプラットフォームで広告販売できる広告営業マンを育成することだとYoungは結んでいる。
Source:GigaOM
Google のAd/OSがいつ全メディア環境で機能し始めるかどうかは不明だが、既成メディア企業は、従来からのプリント・TVメディアの売上がオンラインへシフト していく中、もはやコストとプロフィットのバランスだけではなく、一歩も二歩も先を見据えたデジタル化戦略を構築・実行しなければ、Googleの Ad/OSにいいとこ取りされるだけだ。
また、Googleがいつディスプレイ広告に進出するかは秒読み段階に入っていると言ってもおかしくない。極秘裏にFortune1000を対象にCPMベースのディスプレイ、ビデオ広告の提案をしているのだから。
Source:MarketingVOX : 'Secrect' Google Display Advertising Network Rumored
ボーダレスのインターネットユーザを獲得している大手メディアサイトであれば、グローバルなオンラインブランディングの提案も可能だし、それを提案しなければ生き残れない。もはやプリントやTVとの抱き合わせ販売や、それら戦略の延長上で考えていてはオンラインの優位性をアピールすることはできない。国、地域、言語を越えたメディアとして全世界のグローバル企業にオンラインブランディングビークルとして提案すべき時だ。
2006/11/30
2006/11/29
Global Compact and ISO 26000 (CSR)
GC (Global Compact) からISO (International Organization of Standarization) が準備を進めている ISO 26000に関して、ISOとのMOU (Memorandum of Understanding) をリリースした。
2008年(注)にISOはSR(社会的責任)ガイドラインをリリースする予定だ。これによって、共通理解と社会的責任に対する自発的なコミットメントと、社会的責任の概観、定義、評価方法などのガイドラインを提供することになる。
そしてGCは、ISOの標準化作業に対してコメント、ワーキンググループへの参加を通したコラボレーションを提供するとしている。
Source:LOHAS Newsletter
Source:Global Compact / GC and ISO sign Memorandum of Understanding (pdf)
参考:グローバル・コンパクトの10原則
ところで、ISOのプレスリリースを見ると、GCのpdf内容と違い、ISO 26000のターゲットは2009年第一四半期となっている。まだ、GCとISOの共同作業はうまく機能していないようだ。
(注):ISO / Press Release
ISO 26000により、メセナでもなく、コーポレートガバナンスでもなく、国際標準化機構による評価をベースとしたお墨付きがついた新しい企業価値が作られることになる。そしてこれが当然のごとく、全世界のステークホルダーの評価ベースとなっていくだろう。
話はちょっと遡るが、2004年にEUとEABIS (European Academy of Business in Society) が開催した「"Business Case For CSR: Reflections On Research and Experience"」というセミナーがあった。これはCSRは持続可能な開発に貢献し、競争力を後押しし、ビジネスの財務状況を改善することにより、CSRがビジネスとして成り立ち、ビジネスに必要な戦略であることを、業界横断のマクロレベルの解析や、企業レベルのビジネスケースから説明したものだ。
プレゼン資料の中からいくつか拾ってみる。
Source:Shell Input
Source:Unilever Input
Source:Investors and the Business Case
プレゼンに参加した企業はどこも、CSRに倫理的なメセナやコーポレートガバナンスの影や形もなく、ニュースビジネスの可能性や、ブランド評価、質の高い人材募集、顧客ロイヤルティなどを掲げ、高株価による企業価値向上を訴えている。
また、以下のようにCSR 06 「How Does CSR Affect Brand Reputation?」というセミナーが、先週の11月23・24日の両日、ロンドンで開催されたばかりだ。その内容も、以下のように非常に実践的なものばかりだ。(詳細はバナーをクリック)
彼らが様々なメディアチャネルをどう活用するとしても、幹細胞として使われるのはインターネットだ。ボーダレスでユビキタスのネットワークを活用した情報発信、共有、交換、転送などによる累積露出を獲得するオンラインでのブランドマーケティングが実施される。
昨日取り上げたSunのCEO、Schwartzではないが、例えば人間味溢れ、顔の見えるCEOのオンライン露出が様々なオンラインメディアを通して世界へ波及する効果は計り知れない。
さて、日本のグローバル企業はどこまで、このCSRマーケティングに対応することができるだろうか。
2008年(注)にISOはSR(社会的責任)ガイドラインをリリースする予定だ。これによって、共通理解と社会的責任に対する自発的なコミットメントと、社会的責任の概観、定義、評価方法などのガイドラインを提供することになる。
- それに先立ち、1999年に国連のアナン事務総長が提唱したGlobal Compact (GC) は、現在、全世界で3,810の団体、企業、都市などが参加している。人権、労働、環境、そして途中で追加された腐敗防止の10原則を掲げ、「各企業に対してそれぞれの影響力の及ぶ範囲内で、人権、労働基準、環境に関して、国際的に認められた規範を支持し、実践するよう要請」している。
- その後、ISOで企業の社会的責任の標準化が持ち上がり、水面下でGCとISOで綱引きに近いやり取り、多分主導権の取り合いが行われていた。GCは自己申告制だから、評価にまで踏み込めていなかった点が弱かったし、ISOにしても標準化ビジネスを推進することでの巨大化を危ぶむ声も出ていた。最終的に双方が歩み寄り、どちらの顔も立てて折衷案に持ち込んだように見られる。
そしてGCは、ISOの標準化作業に対してコメント、ワーキンググループへの参加を通したコラボレーションを提供するとしている。
Source:LOHAS Newsletter
Source:Global Compact / GC and ISO sign Memorandum of Understanding (pdf)
参考:グローバル・コンパクトの10原則
ところで、ISOのプレスリリースを見ると、GCのpdf内容と違い、ISO 26000のターゲットは2009年第一四半期となっている。まだ、GCとISOの共同作業はうまく機能していないようだ。
(注):ISO / Press Release
ISO 26000により、メセナでもなく、コーポレートガバナンスでもなく、国際標準化機構による評価をベースとしたお墨付きがついた新しい企業価値が作られることになる。そしてこれが当然のごとく、全世界のステークホルダーの評価ベースとなっていくだろう。
話はちょっと遡るが、2004年にEUとEABIS (European Academy of Business in Society) が開催した「"Business Case For CSR: Reflections On Research and Experience"」というセミナーがあった。これはCSRは持続可能な開発に貢献し、競争力を後押しし、ビジネスの財務状況を改善することにより、CSRがビジネスとして成り立ち、ビジネスに必要な戦略であることを、業界横断のマクロレベルの解析や、企業レベルのビジネスケースから説明したものだ。
プレゼン資料の中からいくつか拾ってみる。
- Shell
SD (Sustainable Development) レンズを通してみると、7つのブロックが見えている。
CSRは人材、効率化、リスク低減、革新、ポートフォリオ、顧客ロイヤルティ、ブランド評価の7ブロックに効果があるとしている。
- Unilever
CSRは、事業継続の許認可、ブランド構築・評価、人材、行政介入最小化、リスク管理強化に役立ち、ビジネスの可能性を創造するとしている。
- Dow Jones Sustainability IndexDJSIに組み込まれた株価と、それ以外の株価推移を見れば一目瞭然に、CSR貢献を評価されている企業群の株価は高評価となっている。
Source:Shell Input
Source:Unilever Input
Source:Investors and the Business Case
プレゼンに参加した企業はどこも、CSRに倫理的なメセナやコーポレートガバナンスの影や形もなく、ニュースビジネスの可能性や、ブランド評価、質の高い人材募集、顧客ロイヤルティなどを掲げ、高株価による企業価値向上を訴えている。
また、以下のようにCSR 06 「How Does CSR Affect Brand Reputation?」というセミナーが、先週の11月23・24日の両日、ロンドンで開催されたばかりだ。その内容も、以下のように非常に実践的なものばかりだ。(詳細はバナーをクリック)
- 顧客に企業を信頼させるものは?
- CSRをいかにブランドに組み込んで行くか?
- どのようにCSR、ブランド評価、企業戦略をリンクさせるか?
- CEOを活用したCSRメッセージ強化策
彼らが様々なメディアチャネルをどう活用するとしても、幹細胞として使われるのはインターネットだ。ボーダレスでユビキタスのネットワークを活用した情報発信、共有、交換、転送などによる累積露出を獲得するオンラインでのブランドマーケティングが実施される。
昨日取り上げたSunのCEO、Schwartzではないが、例えば人間味溢れ、顔の見えるCEOのオンライン露出が様々なオンラインメディアを通して世界へ波及する効果は計り知れない。
さて、日本のグローバル企業はどこまで、このCSRマーケティングに対応することができるだろうか。
ラベル:
CSR,
Internet,
Marketing,
Online Branding
2006/11/28
Why CEOs should learn to love the blog
Sun MicrosystemのCEO、Jonathan Schwartsは2004年6月28日からBlogを開始している。毎日というわけではないが、少なくとも1ヶ月に3~4回以上書き込んでいる。
Technoratiによれば彼のBlogランクは1,474位、991Blogから1,996個のリンクを張られている(2006年11月27日時点)。英語はもちろんのこと、アラビア語もあれば、スペイン語、仏語、独語などのリンクもあるし、インドなどからのリンクもある。そしてリンクしているBlog自体が数十、数百のリンクを持っているBlogが多く見受けられる。英語圏だけではなく、非英語圏のユーザにも彼のBlogが露出していることが分かるし、その国内ユーザにも露出しているだろうことは明らかだ。
Technorati.comへ行くと何人かのお気に入りがトップページにローテーションで表示されるが、Schwartsのお気に入りもあるので、彼に見覚えのある方は多いのではないだろうか。
また、最近、彼のBlogへリンクする非英語圏のBloggerを意識してか、10ヶ国語に翻訳されるようになった。ただし、そのすべてではなく、ポスティングによって翻訳される言語に幅があるようだ。
加えて、OracleがRed Hat (Linux)を派生させると決めたことに対するSunの見解を自身のBlog (日本語版はこちら)、YouTubeで流している。
様々な情報をより多くのユーザ、社員、パートナー、金融機関などのステークホルダーに伝えようとするCEOたる彼の意思が見える。
Guardian Unlimitedの「Why CEOs should learn to love the blog」という記事によれば、Fortune 500のCEOでBlogを始めたのはSun MicrosystemsのSchwartzが最初だとされている。
さて、FastCompany.comによれば、IBMは2004年12月に社内Blogを開始、2月までには30カ国以上、500人以上の社員が、ソフトウェア開発、ビジネス戦略を検討するために利用した。それがCorporate Bloggingによれば、2005年6月14日時点で3,612の内部Blog、30,429のポスティングにまで急拡大している。
これほど強烈で感染爆発的な普及は例を見ない。これは多分、1997年、IBMは他社が社員のインターネットアクセスを制限する中、積極的にネットへ出て行くことを奨励したことが素地としてあり、社内Blog開始を受けて2005年春に制定されたIBMのBlogガイドラインが社員に責任あるBlog公開を後押ししたからだろう。また、社外パートナーとのBlogを通したマーケティング、開発、プロジェクト推進も影響しているのだろう。
参考:SunのCEO、Jonathan SchwartsのBlog
参考:FAST Company / It's a Blog World After All
参考:Alex Barnett Blog / IBM Running 3600 Internal Blogs
参考:Corporateblogging / 3,600+ blogs: A glance into IBM's internal blogging
参考:IBM / Blog Guidelines
前述のGuardianによれば、Blogの第一の波は個人、勝手気ままに書き込む連中が主体。第二、第三の波は、コンサルタント、学識者、中小企業経営者、そして中堅、大企業へと広がってきている。しかし企業(公式)Blogはまだまだ創成期で、英国ではCEOクラスのBlogは稀もマレだ。多くの企業は社内Blogを利用しているが、英国の企業がBlogを公開しているのは全体の5%以下にしかすぎない。
ところが、米国ではFortune500にランクされる企業のうち、40社が企業Blogを公開している。これは500社の8%にしか過ぎないが、6ヶ月前には24社、5%以下だったものが8%、40社に増えている。
それに比べると英国の場合、FTSE 100にランクされる企業のCEOによるBlogは皆無、しかし、中小企業の経営者は時流を捉え、顧客とのコミュニケーションチャネルとして活用し始めている。また、中小企業にとってBlogは、安価、ダイレクトに、どこにいる顧客にもリーチできるツールとなりつつあるとしている。
最後にGuardianは、CEOのベストBlogとしてSun MicrosystemsのSchwartzを挙げ、「投資家、ジャーナリスト、アナリストとコミュニケートするたったひとつの最も効果的なビークル」と彼の言葉を載せ、「Corporate Blogging」の著者であるDebbie Weilの企業Blog10ヶ条で記事を結んでいる。
Source:Guardian Unlimited / Why CEOs should learn to love the blog
少なくとも先進的な米国企業はCEOを初めとし、多数の社員らによるBlogからの露出、情報発信、共有、交換、フィードバック受信などが進みつつある。そこでGuardianはまだ対応の後れている英国のCEOによるBlog、企業Blogに光を当てているわけだ。しかし、後れているのは英国だけだろうか?
日本のグローバル企業も英国企業同様に、いや本社からの情報発信量を考えれば、それ以上に、米国企業のWebサイトからの情報発信、RSSフィード、Podcast、Webinarなどによる多様なオンライン露出ギャップに加え、Blogによる露出ギャップも抱えているのではないだろうか。特にCEO、CTO、CMOといったトップクラスのBlog発信となると皆無なのではないだろうか。そして、一方的な情報発信ではなく、アイディアや意見交換、外部とのプロジェクト推進にも発展するこのBlog露出ギャップをどのように解消してゆくのか、非常に大きな問題に直面している。
なお、企業Blogとして集められたFortune 500の40社(サイト)は以下の通り。
Source:Fortune 500 Business Blogging Wiki
Technoratiによれば彼のBlogランクは1,474位、991Blogから1,996個のリンクを張られている(2006年11月27日時点)。英語はもちろんのこと、アラビア語もあれば、スペイン語、仏語、独語などのリンクもあるし、インドなどからのリンクもある。そしてリンクしているBlog自体が数十、数百のリンクを持っているBlogが多く見受けられる。英語圏だけではなく、非英語圏のユーザにも彼のBlogが露出していることが分かるし、その国内ユーザにも露出しているだろうことは明らかだ。
Technorati.comへ行くと何人かのお気に入りがトップページにローテーションで表示されるが、Schwartsのお気に入りもあるので、彼に見覚えのある方は多いのではないだろうか。
また、最近、彼のBlogへリンクする非英語圏のBloggerを意識してか、10ヶ国語に翻訳されるようになった。ただし、そのすべてではなく、ポスティングによって翻訳される言語に幅があるようだ。
加えて、OracleがRed Hat (Linux)を派生させると決めたことに対するSunの見解を自身のBlog (日本語版はこちら)、YouTubeで流している。
様々な情報をより多くのユーザ、社員、パートナー、金融機関などのステークホルダーに伝えようとするCEOたる彼の意思が見える。
Guardian Unlimitedの「Why CEOs should learn to love the blog」という記事によれば、Fortune 500のCEOでBlogを始めたのはSun MicrosystemsのSchwartzが最初だとされている。
さて、FastCompany.comによれば、IBMは2004年12月に社内Blogを開始、2月までには30カ国以上、500人以上の社員が、ソフトウェア開発、ビジネス戦略を検討するために利用した。それがCorporate Bloggingによれば、2005年6月14日時点で3,612の内部Blog、30,429のポスティングにまで急拡大している。
これほど強烈で感染爆発的な普及は例を見ない。これは多分、1997年、IBMは他社が社員のインターネットアクセスを制限する中、積極的にネットへ出て行くことを奨励したことが素地としてあり、社内Blog開始を受けて2005年春に制定されたIBMのBlogガイドラインが社員に責任あるBlog公開を後押ししたからだろう。また、社外パートナーとのBlogを通したマーケティング、開発、プロジェクト推進も影響しているのだろう。
参考:SunのCEO、Jonathan SchwartsのBlog
参考:FAST Company / It's a Blog World After All
参考:Alex Barnett Blog / IBM Running 3600 Internal Blogs
参考:Corporateblogging / 3,600+ blogs: A glance into IBM's internal blogging
参考:IBM / Blog Guidelines
前述のGuardianによれば、Blogの第一の波は個人、勝手気ままに書き込む連中が主体。第二、第三の波は、コンサルタント、学識者、中小企業経営者、そして中堅、大企業へと広がってきている。しかし企業(公式)Blogはまだまだ創成期で、英国ではCEOクラスのBlogは稀もマレだ。多くの企業は社内Blogを利用しているが、英国の企業がBlogを公開しているのは全体の5%以下にしかすぎない。
ところが、米国ではFortune500にランクされる企業のうち、40社が企業Blogを公開している。これは500社の8%にしか過ぎないが、6ヶ月前には24社、5%以下だったものが8%、40社に増えている。
それに比べると英国の場合、FTSE 100にランクされる企業のCEOによるBlogは皆無、しかし、中小企業の経営者は時流を捉え、顧客とのコミュニケーションチャネルとして活用し始めている。また、中小企業にとってBlogは、安価、ダイレクトに、どこにいる顧客にもリーチできるツールとなりつつあるとしている。
最後にGuardianは、CEOのベストBlogとしてSun MicrosystemsのSchwartzを挙げ、「投資家、ジャーナリスト、アナリストとコミュニケートするたったひとつの最も効果的なビークル」と彼の言葉を載せ、「Corporate Blogging」の著者であるDebbie Weilの企業Blog10ヶ条で記事を結んでいる。
Source:Guardian Unlimited / Why CEOs should learn to love the blog
少なくとも先進的な米国企業はCEOを初めとし、多数の社員らによるBlogからの露出、情報発信、共有、交換、フィードバック受信などが進みつつある。そこでGuardianはまだ対応の後れている英国のCEOによるBlog、企業Blogに光を当てているわけだ。しかし、後れているのは英国だけだろうか?
日本のグローバル企業も英国企業同様に、いや本社からの情報発信量を考えれば、それ以上に、米国企業のWebサイトからの情報発信、RSSフィード、Podcast、Webinarなどによる多様なオンライン露出ギャップに加え、Blogによる露出ギャップも抱えているのではないだろうか。特にCEO、CTO、CMOといったトップクラスのBlog発信となると皆無なのではないだろうか。そして、一方的な情報発信ではなく、アイディアや意見交換、外部とのプロジェクト推進にも発展するこのBlog露出ギャップをどのように解消してゆくのか、非常に大きな問題に直面している。
なお、企業Blogとして集められたFortune 500の40社(サイト)は以下の通り。
Source:Fortune 500 Business Blogging Wiki
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Blog
2006/11/27
PPC : Pay Per Click?
eMarketerの記事、「Pay-Per-Click Not-So-Easy」にデータソースとして挙げられている e-tailing groupの「1st Annual Pay-Per-Click E-Tailers Stress Study」を紹介する。
eMarketerは、11月22日付けの記事で、オンラインマーケターはpay-per-click (PPC) を取り入れ、多くが活用しているが、明らかに全てがそれをよく理解しているとは言えない。数年にわたり、オンラインマーケターはPPPCに投資してきているが、e-tailing groupによる新しい調査から、PPCプログラムを管理していく課題が明らかになったとしている。
さて、PPCの導入経験年数だが、グラフのように2年以上というマーケターが66%を占める。
そして1から10までの段階評価(10が最高)によるPPCマーケティングの自己採点をすると;
PPCマーケティングにつぎ込む予算だが、44%が総広告費の20%以上を投下している。
そして驚くのは、40%が5000以上のキーワードを使ったPPCマーケティングを実施していることだ。100~5,000までのキーワードを使うケースも44%に達している。
e-tailerは、「小売商はこのPPCというマーケティング方式に価値を見出している」とコメントしている。
そして、どこに予算を投下しているのかというと、以下のように基本的にGoogleとYahoo!を使っていることがわかる。
コンバージョンの売上に対する比率を見ると、46%がコンバージョンコストは15%以下となっているが、27%がキャンペーン実績のうちコンバージョンコストがいくらを占めているか分かっていない。このデータは、より正確なコストと売上の測定と解析が必要なことを示している。
さて、キーワードの単価だが、50㌣以下が47%、50~99㌣以下が34%、合計81%が1㌦以下となっている。
PPCキャンペーンの結果としてWebへアクセスしたユーザの比率は以下の通り。
キャンペーンにより自社Webサイトへアクセスしたユーザの21~50%を占めたとするのが28%、50%以上が10%となっているが、1~20%しか占めなかったのが合計で49%に達している。
Source:eMarketer / Pay-Per-Click Not-So-Easy (注:eMarketerの記事は1週間程度で購読契約が必要となる)
Source:e-tailing / 1st Annual Pay-Per-Click E-Tailers Stress Study (pdf)
参考:e-tailing
eMarkterは、e-tailingの論調に沿って、PPCプログラム、キャンペーンを実施・管理する人員不足などを結論としている。
それはさておき、まず、44%が総広告費に占めるPPC予算が20%以上、11~20%を占めるマーケターが20%もいる事実をどう理解すればいいのだろう。
ブランド企業はオンライン広告費を増やしつつあるが、Ad AgeのFact Pak 2006 (Universal McCann USが調査したトップ100企業の2004年におけるメディアごとの広告費) を見ると、インターネットは2.6%にしか達していない。2年前のデータではあるが、総広告費に占めるオンライン広告の比率から考えると、上のように総広告費の20%以上もPPCに投下する企業はトップ100にはいない。いや、TV、DM、新聞など多様なメディアへ露出するブランド企業はPPC広告に20%も予算を投下しないのだ。
Source:Advertising Age / Fact Pack 2006 (pdf)
次に40%が5,000以上、44%が100~5,000ものキーワードを使っていることは何を意味するのか?
それは e-tailerがコメントしているように、「小売商はこのPPCというマーケティング方式に価値を見出している」のだ。数百、数千のキーワードを駆使し、あらゆる検索結果ページにスポンサーリンクを掲出することで、CTを稼ぎ、エンドユーザへ直接販売する小売、大規模小売、あるいは販社、ディーラー、ショップがPPCを実施することで高いROI、コンバージョン、売上を上げているわけだ。
ブランド企業が数百、数千のキーワードを使ってPPCマーケティングをしているわけではない。
また、キーワード単価の大半、81%が1㌦以下ということからブランド企業がこぞって入札するキーワードが主流を占めているとは言いがたい。
やはり、少なくともこe-tailingのデータから導き出されるものは、ブランドがなく、総体的露出もなく、検索エンジンキーワード広告によるコンタクトポイント獲得しかない(特に超ロングテイルに属する)小売にとって効果があること、あるいは、Wal-Mart、Target、Home Depot、Amazonのような大規模小売サイトには効果があること、あるいは販社、ディーラー、ショップにとって効果があること、あるいはまた、購入製品を調査する段階を過ぎ、製品が決まり、あとはどこが一番安く売っているかを探すステージに到達したユーザに対して、検索広告を実施する小売、直販、モールサイトにとって効果があるということだ。
eMarketerは、11月22日付けの記事で、オンラインマーケターはpay-per-click (PPC) を取り入れ、多くが活用しているが、明らかに全てがそれをよく理解しているとは言えない。数年にわたり、オンラインマーケターはPPPCに投資してきているが、e-tailing groupによる新しい調査から、PPCプログラムを管理していく課題が明らかになったとしている。
さて、PPCの導入経験年数だが、グラフのように2年以上というマーケターが66%を占める。
そして1から10までの段階評価(10が最高)によるPPCマーケティングの自己採点をすると;
- 7~10 54%
- 4~6 30%
- 1~3 16%
PPCマーケティングにつぎ込む予算だが、44%が総広告費の20%以上を投下している。
そして驚くのは、40%が5000以上のキーワードを使ったPPCマーケティングを実施していることだ。100~5,000までのキーワードを使うケースも44%に達している。
e-tailerは、「小売商はこのPPCというマーケティング方式に価値を見出している」とコメントしている。
そして、どこに予算を投下しているのかというと、以下のように基本的にGoogleとYahoo!を使っていることがわかる。
- Google 100%
- Yahoo! 90%
- MSN 76%
- Ask.com 27%
コンバージョンの売上に対する比率を見ると、46%がコンバージョンコストは15%以下となっているが、27%がキャンペーン実績のうちコンバージョンコストがいくらを占めているか分かっていない。このデータは、より正確なコストと売上の測定と解析が必要なことを示している。
さて、キーワードの単価だが、50㌣以下が47%、50~99㌣以下が34%、合計81%が1㌦以下となっている。
PPCキャンペーンの結果としてWebへアクセスしたユーザの比率は以下の通り。
キャンペーンにより自社Webサイトへアクセスしたユーザの21~50%を占めたとするのが28%、50%以上が10%となっているが、1~20%しか占めなかったのが合計で49%に達している。
Source:eMarketer / Pay-Per-Click Not-So-Easy (注:eMarketerの記事は1週間程度で購読契約が必要となる)
Source:e-tailing / 1st Annual Pay-Per-Click E-Tailers Stress Study (pdf)
参考:e-tailing
eMarkterは、e-tailingの論調に沿って、PPCプログラム、キャンペーンを実施・管理する人員不足などを結論としている。
それはさておき、まず、44%が総広告費に占めるPPC予算が20%以上、11~20%を占めるマーケターが20%もいる事実をどう理解すればいいのだろう。
ブランド企業はオンライン広告費を増やしつつあるが、Ad AgeのFact Pak 2006 (Universal McCann USが調査したトップ100企業の2004年におけるメディアごとの広告費) を見ると、インターネットは2.6%にしか達していない。2年前のデータではあるが、総広告費に占めるオンライン広告の比率から考えると、上のように総広告費の20%以上もPPCに投下する企業はトップ100にはいない。いや、TV、DM、新聞など多様なメディアへ露出するブランド企業はPPC広告に20%も予算を投下しないのだ。
Source:Advertising Age / Fact Pack 2006 (pdf)
次に40%が5,000以上、44%が100~5,000ものキーワードを使っていることは何を意味するのか?
それは e-tailerがコメントしているように、「小売商はこのPPCというマーケティング方式に価値を見出している」のだ。数百、数千のキーワードを駆使し、あらゆる検索結果ページにスポンサーリンクを掲出することで、CTを稼ぎ、エンドユーザへ直接販売する小売、大規模小売、あるいは販社、ディーラー、ショップがPPCを実施することで高いROI、コンバージョン、売上を上げているわけだ。
ブランド企業が数百、数千のキーワードを使ってPPCマーケティングをしているわけではない。
また、キーワード単価の大半、81%が1㌦以下ということからブランド企業がこぞって入札するキーワードが主流を占めているとは言いがたい。
やはり、少なくともこe-tailingのデータから導き出されるものは、ブランドがなく、総体的露出もなく、検索エンジンキーワード広告によるコンタクトポイント獲得しかない(特に超ロングテイルに属する)小売にとって効果があること、あるいは、Wal-Mart、Target、Home Depot、Amazonのような大規模小売サイトには効果があること、あるいは販社、ディーラー、ショップにとって効果があること、あるいはまた、購入製品を調査する段階を過ぎ、製品が決まり、あとはどこが一番安く売っているかを探すステージに到達したユーザに対して、検索広告を実施する小売、直販、モールサイトにとって効果があるということだ。
ラベル:
Search
2006/11/24
Search Engine Marketing?
Ad Ageから「Search Fact 2006」というデータが出た。
まず、2010年までの検索市場規模だが、額で見れば当然のように64%も増加すると見られている。
しかし、全体のシェアを見るとそう喜んでばかりもいられない。2010年にはシェア40.8%へ落ち、前年比も7.4%増へ下がると予想されている。
例えばHealth and Medicalカテゴリのサイトへのアクセスの43.19%は検索エンジン経由、すべてのカテゴリのサイトへのアクセスの20.07%は検索エンジン経由だということになる。
どのカテゴリにしても検索エンジン以外から、すなわちブックマークや直接URLを入力してアクセスするユーザが多いということだ。あるいは他の様々な露出、すなわちTV、新聞、雑誌、他のWeb、BlogなどにあるURL、あるいはリンクをクリックしてアクセスするユーザが大半だということだ。当然ながら、この総体的な露出の中でもオンライン露出が重要なことは言うまでもない。
また、「Business and finance」、「Computers and internet」、「Sports」というカテゴリへのアクセスに検索エンジンがあまり寄与していないことも明らかだ。
「Computers and internet」は90%弱、「Automotive」は80%弱が検索エンジン経由ではないトラフィックということだ。加えて、「Shopping & Classified」カテゴリを製品の販売チャネルと見ても75%弱が検索エンジン以外のトラフィックということになる。
この結果を、まだまだ検索エンジンが機能する場所がある、検索エンジンはこれからも伸びると思うか、あるいは、検索エンジン経由ではなく、ブックマークや直接URL入力することでアクセスしているユーザや、総体的な露出からアクセスするユーザが大半なら検索エンジンの効果は何だと思うか、あなたはどちらだろう?
ニュースやメディア、ビジネスやファイナンス、そしてコンピュータやインターネットというカテゴリへのアクセスは検索エンジン経由が少ない。ということは、検索エンジンの手を借りなくても、相当のブランドメディアサイトであれば、ブックマーク経由や直接URLを入力するユーザに露出しているということだ。あるいはメーカー・製品・サービス名など、ブランドが認知、想起されていれば、自然(Organic)検索結果からアクセスしてくるし、ブックマークや、直接URL入力からアクセスしてくるユーザに露出できるということになる。
そういった形でアクセスするユーザが大半だということだ。
検索エンジンがすべてを解決できるソリューションではないことが明らかだ。
Ad Ageの資料では、このデータから少し飛んで、ユーザの検索結果に関する視線トラッキングのデータが出てくる。
視線トラッキング
Google、Yahoo!、MSNの検索結果ページにおけるユーザ視線の動態調査を行ったEnquiro Search Solutionsのデータによれば、最も明るくなっているエリア、ゴールデントライアングルがユーザの注目を最も集めるとされる。Yahoo!やMSNに比べGoogleのゴールデントライアングルは小さく、ユーザにとっては必要な情報が的確に結果として表示され、すばやく目的地へアクセスできると結論付けている。
しかし、本質は別にある。
この視線トラッキングで明らかにされているのは、ユーザの視線の大半は自然(Organic)検索結果に向かっていること、赤い「X」で示されるユーザがクリックした箇所の大半も検索結果に向かっていること、そして検索スポンサーや検索キーワードのテキストリンクにはまるで視線が向いていないし、クリックもまったく少ないということだ。
検索スポンサーリンクや検索キーワード広告のクライアントは、コスト効果がわかるCPC/CPAだからよしとしているかもしれないが、とてつもなく大きなコンタクトポイント、タッチポイントを失っている。
自然な検索結果が一番なのだ。SEOが重要なのだ。
Click Fraud
次に検索エンジンが直面するクリック詐欺という問題がある。
SEMPOによれば、
Source:'Ad Age' Search Marketing Fact Pack Released
Source:Ad Age / Search Marketing Fact Pack 2006(pdf)
Source:Click Forensics
このAd Ageのデータは検索エンジンの効果を証明しているのだろうか?
2004年とすこし古い資料だがEnquiro Search Solutionsから、「Inside the Mind of the Searcher」というデータがある。それを見ると以下のようになっており、Ad Ageの視線トラッキングデータと整合性がある。2004年時点で、すでにユーザは検索結果と広告スポンサーを識別し、無視している。いまどきのユーザは、その仕組みや料金まで理解している。
(注:ダウンロードにはユーザ登録必要)
検索エンジンを金科玉条のように使うべきクライアントはいる。例えば、AlexaのBlog、「Traffic on Long...Long...Tail...」に出てくるような、ブランドもなく、露出もなく、検索エンジンのキーワード広告でしかコンタクトポイントを獲得できないローーーングテイルに属するクライアントだ。
あるいは、Wal-Mart、Target、Home Depot、Amazonのような大規模小売サイトだ。
しかし、次の現状を理解するブランド企業が検索エンジンを使う理由はあるのだろうか?
まず、2010年までの検索市場規模だが、額で見れば当然のように64%も増加すると見られている。
しかし、全体のシェアを見るとそう喜んでばかりもいられない。2010年にはシェア40.8%へ落ち、前年比も7.4%増へ下がると予想されている。
- Paid inclusion Froogle、Yahoo Shoppingなどのディレクトリ掲載費
- Contextual listings 検索エンジン、アグリゲータネットワークの文脈連動広告費
- Paid search 検索エンジン広告費
- Agency fees 上記広告のバイイングを行う代理店、SEM費
例えばHealth and Medicalカテゴリのサイトへのアクセスの43.19%は検索エンジン経由、すべてのカテゴリのサイトへのアクセスの20.07%は検索エンジン経由だということになる。
どのカテゴリにしても検索エンジン以外から、すなわちブックマークや直接URLを入力してアクセスするユーザが多いということだ。あるいは他の様々な露出、すなわちTV、新聞、雑誌、他のWeb、BlogなどにあるURL、あるいはリンクをクリックしてアクセスするユーザが大半だということだ。当然ながら、この総体的な露出の中でもオンライン露出が重要なことは言うまでもない。
また、「Business and finance」、「Computers and internet」、「Sports」というカテゴリへのアクセスに検索エンジンがあまり寄与していないことも明らかだ。
「Computers and internet」は90%弱、「Automotive」は80%弱が検索エンジン経由ではないトラフィックということだ。加えて、「Shopping & Classified」カテゴリを製品の販売チャネルと見ても75%弱が検索エンジン以外のトラフィックということになる。
この結果を、まだまだ検索エンジンが機能する場所がある、検索エンジンはこれからも伸びると思うか、あるいは、検索エンジン経由ではなく、ブックマークや直接URL入力することでアクセスしているユーザや、総体的な露出からアクセスするユーザが大半なら検索エンジンの効果は何だと思うか、あなたはどちらだろう?
ニュースやメディア、ビジネスやファイナンス、そしてコンピュータやインターネットというカテゴリへのアクセスは検索エンジン経由が少ない。ということは、検索エンジンの手を借りなくても、相当のブランドメディアサイトであれば、ブックマーク経由や直接URLを入力するユーザに露出しているということだ。あるいはメーカー・製品・サービス名など、ブランドが認知、想起されていれば、自然(Organic)検索結果からアクセスしてくるし、ブックマークや、直接URL入力からアクセスしてくるユーザに露出できるということになる。
そういった形でアクセスするユーザが大半だということだ。
検索エンジンがすべてを解決できるソリューションではないことが明らかだ。
Ad Ageの資料では、このデータから少し飛んで、ユーザの検索結果に関する視線トラッキングのデータが出てくる。
視線トラッキング
Google、Yahoo!、MSNの検索結果ページにおけるユーザ視線の動態調査を行ったEnquiro Search Solutionsのデータによれば、最も明るくなっているエリア、ゴールデントライアングルがユーザの注目を最も集めるとされる。Yahoo!やMSNに比べGoogleのゴールデントライアングルは小さく、ユーザにとっては必要な情報が的確に結果として表示され、すばやく目的地へアクセスできると結論付けている。
しかし、本質は別にある。
この視線トラッキングで明らかにされているのは、ユーザの視線の大半は自然(Organic)検索結果に向かっていること、赤い「X」で示されるユーザがクリックした箇所の大半も検索結果に向かっていること、そして検索スポンサーや検索キーワードのテキストリンクにはまるで視線が向いていないし、クリックもまったく少ないということだ。
検索スポンサーリンクや検索キーワード広告のクライアントは、コスト効果がわかるCPC/CPAだからよしとしているかもしれないが、とてつもなく大きなコンタクトポイント、タッチポイントを失っている。
自然な検索結果が一番なのだ。SEOが重要なのだ。
Click Fraud
次に検索エンジンが直面するクリック詐欺という問題がある。
SEMPOによれば、
- クリック詐欺を重大な問題、あるいは問題だと捉えているのは合計39%
- クリック詐欺の被害にあったのは42%
- クリック詐欺が競合によるものが53%(ライバル企業がクリック数を増やしてキャンペーン予算を枯渇させる)
Source:'Ad Age' Search Marketing Fact Pack Released
Source:Ad Age / Search Marketing Fact Pack 2006(pdf)
Source:Click Forensics
このAd Ageのデータは検索エンジンの効果を証明しているのだろうか?
2004年とすこし古い資料だがEnquiro Search Solutionsから、「Inside the Mind of the Searcher」というデータがある。それを見ると以下のようになっており、Ad Ageの視線トラッキングデータと整合性がある。2004年時点で、すでにユーザは検索結果と広告スポンサーを識別し、無視している。いまどきのユーザは、その仕組みや料金まで理解している。
- 約80%のユーザはスポンサーリストを無視する
- 検索パターン
- 自然検索結果の最初の3、4個までしかスキャンしない
- 大半は自然検索結果をクリックする
(もし、何かを買おうとしている場合、スポンサーリストもスキャン) - 最初の検索結果のタイトル、内容をよく読まずにクリックする
(最初の結果が最適だと思うため) - クリックしてアクセスしたサイトがマッチするかすばやく判断(10-15秒)
- 検索結果上位4個までに適当なものがない場合のみ、スクロールダウンする
(あるいは検索キーワードを修正、追加するほうが可能性が高い。検索結果2ページ目へはいかない)
(注:ダウンロードにはユーザ登録必要)
検索エンジンを金科玉条のように使うべきクライアントはいる。例えば、AlexaのBlog、「Traffic on Long...Long...Tail...」に出てくるような、ブランドもなく、露出もなく、検索エンジンのキーワード広告でしかコンタクトポイントを獲得できないローーーングテイルに属するクライアントだ。
あるいは、Wal-Mart、Target、Home Depot、Amazonのような大規模小売サイトだ。
しかし、次の現状を理解するブランド企業が検索エンジンを使う理由はあるのだろうか?
- どのカテゴリも検索エンジン経由ではないアクセスが大半
=(ソーシャル)ブックマークや、直接URL入力からアクセスするユーザ、あるいは様々な露出(他Web、Blog、TV、雑誌など)からアクセスするユーザが大半
=総体的な露出が重要(特にオンライン露出) - ユーザは自然検索結果と、広告を区別し、広告を無視する
=2004年時点で約80%が広告を無視
=2006年もユーザ視線がスキャンするのは自然検索結果が大半 - ユーザは自然検索結果をスキャン、クリックする
=ユーザは検索結果をクリックしてコンテンツを判断する
=購入予定があるときにのみスポンサーエリアをスキャンするだけ - 検索広告にはクリック詐欺被害が13~14%発生する
ラベル:
Search
2006/11/23
Fake News Story Games Thousands of Digg Users
ロイター速報:65万台のPS3がリコール
東京:2006年11月20日(ロイター) - ソニーは、月曜日、最新のビデオゲームコンソール、PlayStation 3のグラフィックプロセッサーに致命的な欠陥があり、65万台近いリコールを行うと発表した。
ついにここまで来たかという「ガセネタ」をユーザ参加型ニュースサイトのDiggが、フロントページに載せてしまった。載っている間に数百人がクリックし、ガセネタの餌食になってしまったようだ。
また、先週、正式な発表はまだされていないが、TechCrunchの伝えたYahoo!がMyBloglogを買収したという記事でBlog社会は持ちきりだった。
我々が情報ソースの信頼性を計るものは人気しかない。例えば、インバウンドリンク数、投票数、その他だ。人気とクオリティは通常、隣り合わせになっている。しかし、この2つの事件は、この人気度による信頼性を計るシステムが機能していないことを示している。
他の尺度が必要だ。
eBayでうまく機能している☆評価システムのように、信頼できる第三者機関による評価システムが必要だ。うまく行かないとしても、Diggが類似システムを適用し、フロントページ掲載のアルゴリズムを第三者評価と、投票を取り入れて、どんな記事がフロントページに掲載されるべきかを決定するシステムとするべきだ。
Source:Mircopersuasion / Fake News Story Games Thousands of Digg Users
正しく単純に人気度や、リンク数などから、そのBlogや情報ソースの公平性や正確さが判断されるものではない。特にDiggのように誰もがニュース・記事をアップでき、それをDiggユーザが投票することで、コンテンツを共有、閲覧、ブックマークし、それを広めていくサイトなら、なお更コンテンツの信頼性が重要だ。
Digg自体には乱用・誤用防止のメール送信機能しかなかったわけで、Slashdotのように編集部門が存在していない。そのため、悪質マーケティング会社による悪用・乱用を懸念する声があったのは事実だ。今回、ユーザによるニュース・記事の収集、コンテンツ判断に任せた分、おつりが来たのも明らかだ。少なくともMicropersuasionの指摘するとおり、Diggにアップされたニュース・記事がUpcoming Storiesにプールされている12~24時間の間にチェックするアルゴリズムの改善が必要だろう。
なお、このMicropersuasionというBlogは、EdlemanのSVP、Steve Rubelが書いているわけだが、このポスティングのように彼の所属するEdelmanと利害関係のある内容の場合、必ず、下のようなコメントを入れている。
(Edelman, my employer, represents Xbox, which competes with Sony.)
こういったBloggerの透明性も必要になってくる。
参考:WOMMA : Ethical Blogger Contact Guideline
東京:2006年11月20日(ロイター) - ソニーは、月曜日、最新のビデオゲームコンソール、PlayStation 3のグラフィックプロセッサーに致命的な欠陥があり、65万台近いリコールを行うと発表した。
ついにここまで来たかという「ガセネタ」をユーザ参加型ニュースサイトのDiggが、フロントページに載せてしまった。載っている間に数百人がクリックし、ガセネタの餌食になってしまったようだ。
また、先週、正式な発表はまだされていないが、TechCrunchの伝えたYahoo!がMyBloglogを買収したという記事でBlog社会は持ちきりだった。
我々が情報ソースの信頼性を計るものは人気しかない。例えば、インバウンドリンク数、投票数、その他だ。人気とクオリティは通常、隣り合わせになっている。しかし、この2つの事件は、この人気度による信頼性を計るシステムが機能していないことを示している。
他の尺度が必要だ。
eBayでうまく機能している☆評価システムのように、信頼できる第三者機関による評価システムが必要だ。うまく行かないとしても、Diggが類似システムを適用し、フロントページ掲載のアルゴリズムを第三者評価と、投票を取り入れて、どんな記事がフロントページに掲載されるべきかを決定するシステムとするべきだ。
Source:Mircopersuasion / Fake News Story Games Thousands of Digg Users
正しく単純に人気度や、リンク数などから、そのBlogや情報ソースの公平性や正確さが判断されるものではない。特にDiggのように誰もがニュース・記事をアップでき、それをDiggユーザが投票することで、コンテンツを共有、閲覧、ブックマークし、それを広めていくサイトなら、なお更コンテンツの信頼性が重要だ。
Digg自体には乱用・誤用防止のメール送信機能しかなかったわけで、Slashdotのように編集部門が存在していない。そのため、悪質マーケティング会社による悪用・乱用を懸念する声があったのは事実だ。今回、ユーザによるニュース・記事の収集、コンテンツ判断に任せた分、おつりが来たのも明らかだ。少なくともMicropersuasionの指摘するとおり、Diggにアップされたニュース・記事がUpcoming Storiesにプールされている12~24時間の間にチェックするアルゴリズムの改善が必要だろう。
なお、このMicropersuasionというBlogは、EdlemanのSVP、Steve Rubelが書いているわけだが、このポスティングのように彼の所属するEdelmanと利害関係のある内容の場合、必ず、下のようなコメントを入れている。
(Edelman, my employer, represents Xbox, which competes with Sony.)
こういったBloggerの透明性も必要になってくる。
参考:WOMMA : Ethical Blogger Contact Guideline
2006/11/22
EIAA : Marketers' Internet Ad Barometer 2006
EIAA (European Interactive Advertising Association) から今年のInternet Ad Barometerが出ているので紹介する。
今回は、英、仏、独、伊、西、蘭、そしてパンヨーロッパを対象に、FMCG (Fast Moving Consumer Goods:一般消費材)、エンターテイメント、自動車、エレクトロニクス、旅行業界の各企業のマーケティング管理職に電話インタビューを行い、変貌しつつあるメディア戦略と、オンライン広告への対応をレポートしている。
調査により、2008年までの3年間にオンライン広告費は67%以上の増加が見込まれている。特にFMCG、エンターテイメントブランドがオンライン広告を最も活用すると見られる。また、クライアントはTVやプリント媒体予算をオンライン広告へ振り向けていることも明らかになってきた。
2005年の同調査でオンライン広告の最大の障害だと報告されていたオンライン広告の専門用語やキャンペーンの効果測定も、もはや大きな障害とはなっていない。
調査参加企業は以下の通り。
調査によれば;
また業界ごとの平均を見ると以下のようになっている。
ダイレクトレスポンス広告ほどではないが、オンラインのブランド広告を増やす企業は40%に達している。TVなどのブランド効果と比較されるケースが多いオンライン広告だが、DRだけではなく、ブランディングビークルとしての認識も高まってきたということだ。
各国ごとのマーケティングとパンヨーロッパでのマーケティングの現状:
調査対象企業は;
さて、パンヨーロッパ向けのオンライン広告キャンペーンを実施するとして、どういったサイトが候補に挙がってくるのだろうか?
AlexaのBlogにLong Tailの話が上がっている。Yahoo!がインターネット全トラフィックの28%を占め、サイトランク1,000位のimagehigh.comが0.11%、ランク10万位のmum.eduが0.00120%を占めている。Alexaツールバーを利用しているユーザのトラフィックデータだけに完全なものではなく、バイアスがあることは明らかだ。しかし、グラフを見る限り、限りなく独占に近い形で寡占状態にあるのが分かる。
サイトランク100、あるいは500位くらいまでのサイトに総トラフィックの限りなく100%に近いトラフィックが集中しているのではないだろうか。トラフィックランク100位までを見てみると、Yahoo!、Google、MSNなど米国、英語系サイトは84サイトがランクイン、日本、中国、ドイツ、ロシア、ポーランドの現地語化されたGoogleや各国固有のサイトが16サイトとなっている。ヨーロッパベースのメディアサイトはひとつも入っていない。インターネットのトラフィックが一握りの有名サイト、英語、米国サイトに偏重しているのは事実だ。
トラフィックが特定サイトへ集中する状況で、パンヨーロッパをカバーするサイトはあるのだろうか?ヨーロッパにあるWebサイトをパンヨーロッパ向けキャンペーンのコアサイトとする必要性はあるのだろうか?
ヨーロッパのサイトが存在する可能性も、コアサイトとする必要性もないと言える。なぜなら、寡占状態にあり、世界中からアクセスを獲得している英語・米国トップWebサイトを使うことでグローバルキャンペーンも、パンヨーロッパも、あるいはパンアジアキャンペーンも可能だからだ。
comSocreが最近出したデータを見ると、米国のTop25サイトには米国以外からのアクセスが大半を占めるWebサイトが14もある。米国以外から米国サイトへアクセスするユーザはどこから来るのか?
当然、インターネット普及がクリティカルマスを超え、個人目的やビジネス等で最新情報・ニュースを入手できるサイトへアクセスすることが必要なユーザ、企業、国、地域、すなわち丸めると非英語圏からのユーザということになる。
この非英語圏ユーザは個人的にはデジタルイノベーター、アーリーアダプターであるし、企業組織内では、開発・マーケティング、IT/MISに所属、あるいはVP、SVP、CIO、CTO、CMO、および他の管理職ということになる。これらデジタルイノベーター、アーリーアダプターは、英語・米国トップのWeb・Blogサイトから持ち込んだ情報・ニュースを翻訳し、国内および企業内へ普及、浸透させていく。
また、非英語圏ということは、大半が欧州、アジアからのユーザが占めているのは間違いない。とすると、パンヨーロッパキャンペーンだからと言って、トラフィックが少なく、影響力も弱いヨーロッパのサイトを選択することは、百害あって一利なしだ。
このリストにあるサイトなどを使い、キャンペーンを実施するのであればIPアドレス、ドメイン、ユーザ登録データなどをベースとしたジオターゲティングするだけで、パンヨーロッパであれ、パンアジアであれ、そしてグローバルキャンペーンも可能だ。
参考:Alexa : Traffic on the Long... Long... Tail...
参考:Global Online Branding and Marketing Available
今回は、英、仏、独、伊、西、蘭、そしてパンヨーロッパを対象に、FMCG (Fast Moving Consumer Goods:一般消費材)、エンターテイメント、自動車、エレクトロニクス、旅行業界の各企業のマーケティング管理職に電話インタビューを行い、変貌しつつあるメディア戦略と、オンライン広告への対応をレポートしている。
調査により、2008年までの3年間にオンライン広告費は67%以上の増加が見込まれている。特にFMCG、エンターテイメントブランドがオンライン広告を最も活用すると見られる。また、クライアントはTVやプリント媒体予算をオンライン広告へ振り向けていることも明らかになってきた。
2005年の同調査でオンライン広告の最大の障害だと報告されていたオンライン広告の専門用語やキャンペーンの効果測定も、もはや大きな障害とはなっていない。
調査参加企業は以下の通り。
- 自動車
Citroen、DaimlerChrysler、Ford、Peugeot、Toyota、Lexus、SAAB、Honda、FIATなど - エレクトロニクス
Panasonic、Samsung、Philips、Sony、Canon、Clarion、Pioneerなど - エンターテイメント
Sega、MGM、Columbia、Sony、20th Fox、Lego、Nintendo、Disneylandなど - FMCG
KRAFT、Kellogg's、Unilever、P&G、L'oreal、Gillette、Coca Colaなど - 旅行
Thomas Cook、KLM、Club Med、Expedia.it、Visit Britainなど
調査によれば;
- 2008年までの3年間でオンライン広告費は67%増加する
- 調査対象企業の43%は、総予算の1~5%をオンライン広告へ支出
- 調査対象企業の42%は、総予算の6%以上をオンライン広告へ支出
- 調査対象企業の9%は、2005年にオンライン広告を実施していない。その三分の一は2006年にオンライン広告を実施すると回答
また業界ごとの平均を見ると以下のようになっている。
- 全調査対象
2006年:21%増、2007年:19%増、2008年:16%増 - エレクトロニクス
2006年:14%増、2007年:15%増、2008年:12%増 - 自動車
2006年:16%増、2007年:18%増、2008年:11%増
- FMCG TVからシフト
- エンターテイメント TVおよびプリントからシフト
- エレクトロニクス TVおよびプリントからシフト
- 旅行 プリントからシフト
- 自動車 全メディアからシフト
ダイレクトレスポンス広告ほどではないが、オンラインのブランド広告を増やす企業は40%に達している。TVなどのブランド効果と比較されるケースが多いオンライン広告だが、DRだけではなく、ブランディングビークルとしての認識も高まってきたということだ。
- 40% 全業種平均でブランド広告費を一層増加、少し増加させる企業
- 42% オンラインが広告費の1-5%を占める場合、オンライン広告を一層、少し増加させる企業
- 41% オンラインが広告費の6%以上を占める場合、オンライン広告を一層、少し増加させる企業
各国ごとのマーケティングとパンヨーロッパでのマーケティングの現状:
調査対象企業は;
- 各国ごとにニーズやマーケティングアプローチに違いがあるため、通常各国ごとに予算を持つ
- 企業によってはパンヨーロッパ予算(クリエイティブおよびメディア用)と国ごとの予算を持つ
- 企業によってはキャンペーンに応じて、特定国、あるいはパンヨーロッパ向けの切り替えを実施
- マーケットシェア、あるいは販売規模によって予算規模が決定する。各国市場で強大なシェアを持つ企業はパンヨーロッパキャンペーンに意欲
- 一括発注によるコスト削減
- 広範な対象地域
- 他広告キャンペーンとの統合
- (グローバルマーケティング戦略に依存)グローバルメッセージとの統一が可能
さて、パンヨーロッパ向けのオンライン広告キャンペーンを実施するとして、どういったサイトが候補に挙がってくるのだろうか?
AlexaのBlogにLong Tailの話が上がっている。Yahoo!がインターネット全トラフィックの28%を占め、サイトランク1,000位のimagehigh.comが0.11%、ランク10万位のmum.eduが0.00120%を占めている。Alexaツールバーを利用しているユーザのトラフィックデータだけに完全なものではなく、バイアスがあることは明らかだ。しかし、グラフを見る限り、限りなく独占に近い形で寡占状態にあるのが分かる。
サイトランク100、あるいは500位くらいまでのサイトに総トラフィックの限りなく100%に近いトラフィックが集中しているのではないだろうか。トラフィックランク100位までを見てみると、Yahoo!、Google、MSNなど米国、英語系サイトは84サイトがランクイン、日本、中国、ドイツ、ロシア、ポーランドの現地語化されたGoogleや各国固有のサイトが16サイトとなっている。ヨーロッパベースのメディアサイトはひとつも入っていない。インターネットのトラフィックが一握りの有名サイト、英語、米国サイトに偏重しているのは事実だ。
トラフィックが特定サイトへ集中する状況で、パンヨーロッパをカバーするサイトはあるのだろうか?ヨーロッパにあるWebサイトをパンヨーロッパ向けキャンペーンのコアサイトとする必要性はあるのだろうか?
ヨーロッパのサイトが存在する可能性も、コアサイトとする必要性もないと言える。なぜなら、寡占状態にあり、世界中からアクセスを獲得している英語・米国トップWebサイトを使うことでグローバルキャンペーンも、パンヨーロッパも、あるいはパンアジアキャンペーンも可能だからだ。
comSocreが最近出したデータを見ると、米国のTop25サイトには米国以外からのアクセスが大半を占めるWebサイトが14もある。米国以外から米国サイトへアクセスするユーザはどこから来るのか?
当然、インターネット普及がクリティカルマスを超え、個人目的やビジネス等で最新情報・ニュースを入手できるサイトへアクセスすることが必要なユーザ、企業、国、地域、すなわち丸めると非英語圏からのユーザということになる。
この非英語圏ユーザは個人的にはデジタルイノベーター、アーリーアダプターであるし、企業組織内では、開発・マーケティング、IT/MISに所属、あるいはVP、SVP、CIO、CTO、CMO、および他の管理職ということになる。これらデジタルイノベーター、アーリーアダプターは、英語・米国トップのWeb・Blogサイトから持ち込んだ情報・ニュースを翻訳し、国内および企業内へ普及、浸透させていく。
また、非英語圏ということは、大半が欧州、アジアからのユーザが占めているのは間違いない。とすると、パンヨーロッパキャンペーンだからと言って、トラフィックが少なく、影響力も弱いヨーロッパのサイトを選択することは、百害あって一利なしだ。
このリストにあるサイトなどを使い、キャンペーンを実施するのであればIPアドレス、ドメイン、ユーザ登録データなどをベースとしたジオターゲティングするだけで、パンヨーロッパであれ、パンアジアであれ、そしてグローバルキャンペーンも可能だ。
参考:Alexa : Traffic on the Long... Long... Tail...
参考:Global Online Branding and Marketing Available
ラベル:
Europe,
Internet,
Marketing,
Online Branding
2006/11/21
29.1% Response to SMS Campaign
モバイルマーケティングのリサーチをやっているM:Metricsが、モバイル市場初めてのリサーチデータを発表している。
それによれば調査を行った5カ国、仏、独、スペイン、英、米で、3,650万人のモバイルユーザがSMS (Short Message Service) 経由の広告に反応している。SMへの毎月のレスポンス率は最大で29.1%に達している。スペインが最大の29.1%、UKが18.5%、仏が10.1%、米が7%、独が3.4%となっている。
Will Hodgman、M:MetricsのCEOで、AdRelevanceの開発者は、「これらレスポンス率は90年代にWebが広告メディアとして出現し、Emailを使ったキャンペーンへのレスポンス率と異なるものではない」、「より多くのメジャーブランドがSMSを使ったキャンペーンを実施していること、そして高率の消費者レスポンス率により、商用メディアとしてのモバイルは活況を呈し、マルチメディアによるコンバージェンスは本物だ」と語る。
ショートコード広告のソースとして利用されたメディアは以下の通り。各国ともに1万人以上、米国では3.5万人のモバイル契約者が対象となっている。このベースに対してTV、ラジオ、雑誌、新聞、その他のメディアを活用し、ショートコードを露出した各メディアごとの想定契約者数とそれぞれのセグメントの%が出ている。
ゲーム、TV番組、懸賞募集などのコンテストはショートコード利用で最もよく使われており、1,800万人もの契約者が参加している。スペインが最も参加しており17.8%、英国が10.6%で続いている。次に1,100万人が参加した(着メロやアプリの)ダウンロードが続いている。
SMS広告を受け取る契約者数はもっと多い。スペインでは66.8%の携帯契約者がSMS広告を受信している。仏は50.1%、UKが36.8%、独が29.6%、米が12.8%にも及んでいる。程度の差こそあれ、どの国でも最大の広告主は携帯電話会社だ。
「インターネット勃興期、SPAMがまだEmailの副産物だったころ、ISPがEmailサービスを謳う広告Emailの中心だった。現在、モバイルオペレーターが同じように機能している。たった2~3年しか経っていないショートコードだが、現状の活発な利用と消費者のレスポンス率を考えれば、ブランド広告がモバイルオペレーターを追い抜くのにそう時間はかからない」とHodgmanは言う。
各国でのコンテンツおよびアプリケーション消費状況:
ヨーロッパ各国と米国の間に大きな差が見られる。カメラ付携帯の利用がこれからというよりも、累計600万ユーザを超えたBlackberryの利用が先んじている現状を示している。
Source:M:Metrics / Press Release (pdf)
M:Metricsの調査から、米国モバイルマーケットが今後、大きく伸びてくるのが分かる。当然、Googleが積極的に仕掛けているし、Yahoo!やMSNなども追随している。Informa Groupのレポートによれば2011年までに110億㌦規模と見込まれるモバイル検索市場で早晩、ブランド広告が他広告を圧倒するのは間違いない。
Source:MarketWatch
Source:CNET
それによれば調査を行った5カ国、仏、独、スペイン、英、米で、3,650万人のモバイルユーザがSMS (Short Message Service) 経由の広告に反応している。SMへの毎月のレスポンス率は最大で29.1%に達している。スペインが最大の29.1%、UKが18.5%、仏が10.1%、米が7%、独が3.4%となっている。
Will Hodgman、M:MetricsのCEOで、AdRelevanceの開発者は、「これらレスポンス率は90年代にWebが広告メディアとして出現し、Emailを使ったキャンペーンへのレスポンス率と異なるものではない」、「より多くのメジャーブランドがSMSを使ったキャンペーンを実施していること、そして高率の消費者レスポンス率により、商用メディアとしてのモバイルは活況を呈し、マルチメディアによるコンバージェンスは本物だ」と語る。
ショートコード広告のソースとして利用されたメディアは以下の通り。各国ともに1万人以上、米国では3.5万人のモバイル契約者が対象となっている。このベースに対してTV、ラジオ、雑誌、新聞、その他のメディアを活用し、ショートコードを露出した各メディアごとの想定契約者数とそれぞれのセグメントの%が出ている。
ゲーム、TV番組、懸賞募集などのコンテストはショートコード利用で最もよく使われており、1,800万人もの契約者が参加している。スペインが最も参加しており17.8%、英国が10.6%で続いている。次に1,100万人が参加した(着メロやアプリの)ダウンロードが続いている。
SMS広告を受け取る契約者数はもっと多い。スペインでは66.8%の携帯契約者がSMS広告を受信している。仏は50.1%、UKが36.8%、独が29.6%、米が12.8%にも及んでいる。程度の差こそあれ、どの国でも最大の広告主は携帯電話会社だ。
「インターネット勃興期、SPAMがまだEmailの副産物だったころ、ISPがEmailサービスを謳う広告Emailの中心だった。現在、モバイルオペレーターが同じように機能している。たった2~3年しか経っていないショートコードだが、現状の活発な利用と消費者のレスポンス率を考えれば、ブランド広告がモバイルオペレーターを追い抜くのにそう時間はかからない」とHodgmanは言う。
各国でのコンテンツおよびアプリケーション消費状況:
ヨーロッパ各国と米国の間に大きな差が見られる。カメラ付携帯の利用がこれからというよりも、累計600万ユーザを超えたBlackberryの利用が先んじている現状を示している。
- 米国:38.0% 欧州では70~80%台のテキスト送信が米国では少ない
- 米国:14.5% 欧州では20~30%台の写真送信が米国では少ない
- 米国:個人・仕事でのEmail利用の伸びが大きい
- 10.1% 個人Email利用の伸び率最大
- 11.0% 仕事Email利用の伸び率最大
- 米国:全体的に各コンテンツ・アプリケーションの消費伸び率が欧州よりも大きい
Source:M:Metrics / Press Release (pdf)
M:Metricsの調査から、米国モバイルマーケットが今後、大きく伸びてくるのが分かる。当然、Googleが積極的に仕掛けているし、Yahoo!やMSNなども追随している。Informa Groupのレポートによれば2011年までに110億㌦規模と見込まれるモバイル検索市場で早晩、ブランド広告が他広告を圧倒するのは間違いない。
Source:MarketWatch
Source:CNET
2006/11/20
WOMMA : Ethical Blogger Contact Guideline
「Blogs becoming advertising force」で触れたWOMMA (Word of Mouth Marketing Association) の「The Ethics 20 Question」もあるが、マーケターがBloggerとコンタクトする際の倫理規定、「10 Principles for Ethical Contact by Marketers」もつい最近アップされている。
拙い翻訳で恐縮だが、この10ヶ条はパブリックコメント用のドラフトだ。大づかみの指針と言ってもいい。
さて、最近、Blogの信頼性が疑われるような事件が起こっている。言うまでもなく「Wal-Marting Across America」のEdelman/Wal-Martスキャンダルだ。こちらはまったくのやらせBlog(=Flog)だ。
また、それよりも前にYouTubeで人気を博したvlog、Lonelygirl15がある。15歳の少女BreeがアップするビデオBlogに累計1,500万以上の視聴を集めていたが、9月12日、本当は19歳のJessica Lee Roseが台本通りに演じていたフィクションだということが明らかになった。人物の詐称ということになるだろうか。
そして、ようやく遅ればせながら、WOMMAが11月2日にBloggerとのコンタクトを律するための10ヶ条をリリースしたのだが、大枠のガイドラインとして使えというだけに、細部が詰めきれていない、穴だらけのガイドラインだ。
ここに、このガイドラインに難癖をつけてきているDisclosurePolicy.orgという団体(組織?)がある。これはPayPerPostというBloggerに金を払って企業の製品・サービスの書き込みをさせようという企業が10月30日に起こした団体(組織?)だ。
例えば、第8条に関して:これは現金や無償提供のプレスリリースなども含むのか?またBloggerに報奨を与え、クリックさせたり、購入させるコンテンツを書かせるアフィリエートプログラムにもこの条項は反映されるはずだが、LinkShareなどのアフィリエートネットワークや、Amazonなどの特定ブランド指定プログラムなどにも適用されるのか?私(マーケター)が開示するのであり、私がBloggerに要求することはないのか?Bloggerに支払われる報酬を正確に明示するのなら、アフィリエートプログラムに参加するサイトも同様に明示することが適当ではないのか?
など、大枠のガイドラインだという性格をいいことに好き放題のパブリックコメントをWOMMAに出している。
DisclosurePolicy.org自体のBlogのコメントは6件、大半はWOMMAのBloggerコンタクト倫理規定に関するものだ。コメントを閲覧したのは筆者を含めて5人だけ(11月20日時点)。Wal-Mart/Edelmanスキャンダルの後、PPPが力技で立ち上げ、WOMMAのガイドラインを攻撃するため、Blogからパブリックコメントを書き込んだ観が拭えない。
PPPはBusiness Week、TechCrunchなどから批判を浴びているし、著名なBloggerからも糾弾されている。なぜなら、PPPは企業が書いてもらいたい製品・サービスをBloggerに書かせて金を支払うわけだが、記事を書いたBloggerがこのプログラムに参加していることも、記事そのものに金が支払われることも明示するよう指定しないからだ。
参考:iMediaConnection
参考:Wikipedia / Lonelygirl15
参考:Wal-Mart Enlists Bloggers in P. R. Campaign
参考:PayPerPost
参考:DisclosurePolicy.org
Bluestreakの調査によれば、Blogの利用は63%に達している。
また、個人、仕事、両方でどのオンラインメディアをどれくらい利用するかを見ると、Emailは85%に達し、完全に両方で活用されている。アーリーアダプターが個人利用で活用し、その後、ビジネス向けアプリが開発され、ビジネスコンテンツが使えるようになるとオンラインメディアの商用利用が活発となるという形が見える。他のメディアの中ではBlogの個人利用が81%でダントツだ。IBMやHPが社内・外向けBlogを活用していることからもBlogの商用利用がどんどん活性化されてゆくのがわかる。
今後、Blogの影響力が増すことは疑いなく、Blogを活用したマーケティングに魅力を感じるのは中小・零細企業だけではなく、中堅・大企業もいる。ただし、このままPPPの活動が広がってゆくとBlog、Bloggerの信頼性に疑問符がつくことになる。WOMMAが出したマーケターに対する倫理規定ではなく、Blogger自体で透明性を確保する倫理規定が必要になっているのかもしれない。
Source:Bluestream(pdf)
参考:Blogs becoming advertising force
- 私はいつも正直であり、誤った情報を知りながら提供しません。私は私のためにBloggerをだますよう誰にも頼みません。
- Bloggerにコンタクトしたり、Blogにコメントする際、初めから私が誰であり、誰のために仕事をしているかを開示します。
- 私はBloggerが設定した規定に反して行動しません。私はメッセージやコメントの書き込みに際してすべてのコミュニティガイドラインを遵守します。
- 私は私のためにBloggerにウソをつくよう頼みません。
- 私は未成年者、あるいは未成年者が読むと思われるBlogとコンタクトする際は、特に注意を払います。
- 私はBloggerの収入にインパクトを与える広告やアフィリエートプログラムを操作しません。
- 私はコメントを書き込んだり、情報を配信する自動システムを使いません。
- 私はBloggerに報酬を与えることは利害関係がある印象を与えることを理解し、ゆえに、すべての報酬、報奨を開示します。
- 私はBloggerへ評価用製品を送付した際、Bloggerは製品に対するコメントを書き込む義務はないことを理解しています。Bloggerは製品を自由裁量で返送することができます。
- 送付した製品に対してBloggerが書き込んだ場合、私は率先してBloggerに製品出所を開示するよう依頼します。
拙い翻訳で恐縮だが、この10ヶ条はパブリックコメント用のドラフトだ。大づかみの指針と言ってもいい。
さて、最近、Blogの信頼性が疑われるような事件が起こっている。言うまでもなく「Wal-Marting Across America」のEdelman/Wal-Martスキャンダルだ。こちらはまったくのやらせBlog(=Flog)だ。
また、それよりも前にYouTubeで人気を博したvlog、Lonelygirl15がある。15歳の少女BreeがアップするビデオBlogに累計1,500万以上の視聴を集めていたが、9月12日、本当は19歳のJessica Lee Roseが台本通りに演じていたフィクションだということが明らかになった。人物の詐称ということになるだろうか。
そして、ようやく遅ればせながら、WOMMAが11月2日にBloggerとのコンタクトを律するための10ヶ条をリリースしたのだが、大枠のガイドラインとして使えというだけに、細部が詰めきれていない、穴だらけのガイドラインだ。
ここに、このガイドラインに難癖をつけてきているDisclosurePolicy.orgという団体(組織?)がある。これはPayPerPostというBloggerに金を払って企業の製品・サービスの書き込みをさせようという企業が10月30日に起こした団体(組織?)だ。
例えば、第8条に関して:これは現金や無償提供のプレスリリースなども含むのか?またBloggerに報奨を与え、クリックさせたり、購入させるコンテンツを書かせるアフィリエートプログラムにもこの条項は反映されるはずだが、LinkShareなどのアフィリエートネットワークや、Amazonなどの特定ブランド指定プログラムなどにも適用されるのか?私(マーケター)が開示するのであり、私がBloggerに要求することはないのか?Bloggerに支払われる報酬を正確に明示するのなら、アフィリエートプログラムに参加するサイトも同様に明示することが適当ではないのか?
など、大枠のガイドラインだという性格をいいことに好き放題のパブリックコメントをWOMMAに出している。
DisclosurePolicy.org自体のBlogのコメントは6件、大半はWOMMAのBloggerコンタクト倫理規定に関するものだ。コメントを閲覧したのは筆者を含めて5人だけ(11月20日時点)。Wal-Mart/Edelmanスキャンダルの後、PPPが力技で立ち上げ、WOMMAのガイドラインを攻撃するため、Blogからパブリックコメントを書き込んだ観が拭えない。
PPPはBusiness Week、TechCrunchなどから批判を浴びているし、著名なBloggerからも糾弾されている。なぜなら、PPPは企業が書いてもらいたい製品・サービスをBloggerに書かせて金を支払うわけだが、記事を書いたBloggerがこのプログラムに参加していることも、記事そのものに金が支払われることも明示するよう指定しないからだ。
参考:iMediaConnection
参考:Wikipedia / Lonelygirl15
参考:Wal-Mart Enlists Bloggers in P. R. Campaign
参考:PayPerPost
参考:DisclosurePolicy.org
Bluestreakの調査によれば、Blogの利用は63%に達している。
また、個人、仕事、両方でどのオンラインメディアをどれくらい利用するかを見ると、Emailは85%に達し、完全に両方で活用されている。アーリーアダプターが個人利用で活用し、その後、ビジネス向けアプリが開発され、ビジネスコンテンツが使えるようになるとオンラインメディアの商用利用が活発となるという形が見える。他のメディアの中ではBlogの個人利用が81%でダントツだ。IBMやHPが社内・外向けBlogを活用していることからもBlogの商用利用がどんどん活性化されてゆくのがわかる。
今後、Blogの影響力が増すことは疑いなく、Blogを活用したマーケティングに魅力を感じるのは中小・零細企業だけではなく、中堅・大企業もいる。ただし、このままPPPの活動が広がってゆくとBlog、Bloggerの信頼性に疑問符がつくことになる。WOMMAが出したマーケターに対する倫理規定ではなく、Blogger自体で透明性を確保する倫理規定が必要になっているのかもしれない。
Source:Bluestream(pdf)
参考:Blogs becoming advertising force
2006/11/17
TV Ad Dollars to Shift to Online Video by 2010
AAF (American Advertising Federation) が広告業界管理職168人を対象に行った調査によると、地上波およびCATVへの広告予算からかなりの規模で、数年以内にオンラインビデオ広告予算へ振り向けられるという結果が出た。調査対象の33%はTV広告予算の10%~19%の幅でシフトすると予想している。加えて、2007年のオンライン広告費は平均すると前年比42%増と予想されている。
この「2006 AAF Survey of Industry Leaders on Advertising Industry and New Media Trends」を紹介する。
まず、調査対象者だが、
次にオンライン広告に割り当てる(予定)広告予算の伸びだが、来年は今年の約7ポイント%アップの23.2%程度と答えている。予算シェアアップのドライバとして、業界団体は「オーディエンスシフト」、代理店管理職は「引き合い生成プログラムや検索エンジン」、「他メディアとのROI比」、「iPodがビデオ携帯電話になるといった新製品登場」と答えている。
そこで、他メディアとの予算配分を見ると、オンライン広告が最大限に予算シェアを獲得すると地上波TVの29%に次ぐ24%。最もシェアが少ない場合は地上波・CATVについで11.5%が予想されている。いずれにしてもオンラインがラジオ、雑誌、新聞、屋外広告を上回る規模となることは間違いない。
次に、オンラインとどのメディアを統合させてゆくのがベストか、あるいはどのメディアがトラフィック誘導に最も効果があるかという問いに、地上波TVとの統合がベスト、トラフィック誘導には雑誌との統合が効果的とする結果が出ている。
Source:AAF
Source:PPT ファイル
紹介したデータ以外にも、
とにかく米企業が広告予算をオンラインへシフトしていくのは確実だ。バナー広告を出すだけというのではなく、検索エンジン、オンラインビデオ、SNS、Podcast、ビデオゲーム、モバイル、Blogなど多様なオンライン広告メディアに予算を投下してくる。露出が様々なオンラインメディアに蓄積され、波及してゆく。
また、それ以外での露出も予想される。まだ住民が140万人を超えたばかりだが、IBM、Dell、AdidasなどはすでにSecond Life(3次元バーチャルワールド:毎日、土地取引など様々な取引で50万㌦が消費されている。日本語版はまだ準備中)に出先を作り、バーチャルなマーケティング、販売促進を開始している。ReutersもすでにSecond Lifeに支局を開設している。
特にIBMは来年、1,000万㌦を投下する予定だし、すでにバーチャルワールドで20程度のクライアント用の開発を行っている。IBMは今後、バーチャルワールドはインターネットの新しい顔になるという。すでにUKの雑貨チェーンとバーチャルストアを開き、実際の雑貨をオンラインで購入できるよう検討中だ。そのほかにも、Winbledonテニストーナメントのシミュレーションなども開発されている。
Source:MarketingVox
この「2006 AAF Survey of Industry Leaders on Advertising Industry and New Media Trends」を紹介する。
まず、調査対象者だが、
- 31.7% 広告代理店
- 15% 媒体社
- 21.6% その他(コンサルタント、PR、業界団体)
- 25.7% 学識経験者・研究機関
- 6% 広告主
- 34.9% 業界経験25年以上
- 23.5% 同16-24年
- 14.5% 同11-15年
- 12% 同7-10年
- 15% 同1-6年
次にオンライン広告に割り当てる(予定)広告予算の伸びだが、来年は今年の約7ポイント%アップの23.2%程度と答えている。予算シェアアップのドライバとして、業界団体は「オーディエンスシフト」、代理店管理職は「引き合い生成プログラムや検索エンジン」、「他メディアとのROI比」、「iPodがビデオ携帯電話になるといった新製品登場」と答えている。
そこで、他メディアとの予算配分を見ると、オンライン広告が最大限に予算シェアを獲得すると地上波TVの29%に次ぐ24%。最もシェアが少ない場合は地上波・CATVについで11.5%が予想されている。いずれにしてもオンラインがラジオ、雑誌、新聞、屋外広告を上回る規模となることは間違いない。
次に、オンラインとどのメディアを統合させてゆくのがベストか、あるいはどのメディアがトラフィック誘導に最も効果があるかという問いに、地上波TVとの統合がベスト、トラフィック誘導には雑誌との統合が効果的とする結果が出ている。
Source:AAF
Source:PPT ファイル
紹介したデータ以外にも、
- オンライン広告におけるターゲティングの有効性
- 最も成功しているオンライン・他メディアとの統合事例トップ5
- 広告業界の将来
- 広告業界での人材育成
- 2005/6年に最も成功したキャンペーントップ5
- 2005/6年に最も成功したブランド
- 広告業界のリーダー
とにかく米企業が広告予算をオンラインへシフトしていくのは確実だ。バナー広告を出すだけというのではなく、検索エンジン、オンラインビデオ、SNS、Podcast、ビデオゲーム、モバイル、Blogなど多様なオンライン広告メディアに予算を投下してくる。露出が様々なオンラインメディアに蓄積され、波及してゆく。
また、それ以外での露出も予想される。まだ住民が140万人を超えたばかりだが、IBM、Dell、AdidasなどはすでにSecond Life(3次元バーチャルワールド:毎日、土地取引など様々な取引で50万㌦が消費されている。日本語版はまだ準備中)に出先を作り、バーチャルなマーケティング、販売促進を開始している。ReutersもすでにSecond Lifeに支局を開設している。
特にIBMは来年、1,000万㌦を投下する予定だし、すでにバーチャルワールドで20程度のクライアント用の開発を行っている。IBMは今後、バーチャルワールドはインターネットの新しい顔になるという。すでにUKの雑貨チェーンとバーチャルストアを開き、実際の雑貨をオンラインで購入できるよう検討中だ。そのほかにも、Winbledonテニストーナメントのシミュレーションなども開発されている。
Source:MarketingVox
2006/11/16
Blogs becoming advertising force
Ipsos MORIの新しいレポートが出たと、Reutersが伝えている。
Ipsos MORIの調査は、Blogは製品の広告手段として考慮されるメディアになりつつあり、インターネットジャーナルが、TV広告やEmailマーケティングよりも信頼される情報ソースだということを明らかにしている。
まず、ヨーロッパの2,200人に対して、Blogを知っているかどうかを調べている。フランスが群を抜き、調査対象の90%がBlogを知っていると答えている。この中では英国が50%で最も認知が低い結果となっている。
Source:Reuters.co.uk
MarketingVoxも、いかにBlogがパワフルなものかを証明している今回の調査によって、「Wal-Marting Across America」というやらせBlogの正体がばれた最近の騒動によって捻じ曲げられたBlogの姿に、正しい見方がなされたとしている。
ただし、三分の一が購入を中止したり、52%が購入を決めたというBlogの影響力を挙げた上で、ベタほめや、あるいはちょっとしたツッコミに依存することは、へつらいであり、かつ危険なことだとしている。金をもらったサクラや、匿名モードで競合他社をこき下ろすことが、まだまだ脆弱なオンライン環境を混乱させてしまう危険性を指摘し、WOMMA (Word of Mouth Marketing Association) が用意している倫理評価ツール、正しい行動をサポートするための「20ステップのプログラム」を早期に導入することが、少なくとも、正しい方向への一歩になると締めくくっている。
Source:MarketingVox / Ethical WOM: Blogs Influence, Flogs Fool
参考:Wal-Mart Enlists Bloggers in P.R. Campaign
参考:WOMMA / The Ethnics 20 Questions
さて、Reutersが伝える情報ソースとしての信頼度だが、新聞が最も信頼されているメディアだと判断するのが正しいのだろうか?
新聞購読者数は減少の一途で、増加の兆しも見えない。また、フリーペーパーの宅配や、EUのICT政策の根幹を成すインターネットによって他メディアの影響力は今後、一層、低下すると見られる。加えて、ニューメディアを使わないLaggard層が新聞に固執しているとすると、この層の影響力は激減するはずだ。
また、Young challenge mainstream mediaで取り上げたように、
参考:Future of the Print Media in Europe
参考:Young challenge mainstream media
なお、Blogの認知度がフランスで90%だという結果があるが、TechnoratiとEdelmanが最近行った欧州のBlog調査を見ると、フランスのトップ10Blogに対するリンク数は主要4ヶ国中最低となっている。同じようにイギリスでの認知度が50%で最低とされているが、下のグラフのように英国トップBlogへのリンク数は欧州最大となっている。
単純にリンク数からBlogの認知度は計れない。しかし、各国のトップBlogへのリンク数はBlogger数を反映しているはずだし、各国語のBlog数もリンク数へ反映しているはずだ。主要4ヶ国中、トップ10のBlogに対するリンク数が最も少ないフランスで、Blogの認知度が90%という点はどうも腑に落ちない。
参考:Blogs in UK、Germany、France and Italy
Ipsos MORIの調査は、Blogは製品の広告手段として考慮されるメディアになりつつあり、インターネットジャーナルが、TV広告やEmailマーケティングよりも信頼される情報ソースだということを明らかにしている。
まず、ヨーロッパの2,200人に対して、Blogを知っているかどうかを調べている。フランスが群を抜き、調査対象の90%がBlogを知っていると答えている。この中では英国が50%で最も認知が低い結果となっている。
- 90%(フランス) Blogを知っている
- 50%(イギリス) Blogを知っている
- 51%(スペイン) Blogを知っている
- 55%(ドイツ) Blogを知っている
- 58%(イタリア) Blogを知っている
- 約三分の一 製品購入者やWebユーザからのネガティブコメントを読んだ場合、購入を中止
- 52% ポジティブなコメントがBlogにあった場合、製品を購入
- Blog 24%
- TV 17%
- Emailマーケティング 14%
- 新聞 30%
Source:Reuters.co.uk
MarketingVoxも、いかにBlogがパワフルなものかを証明している今回の調査によって、「Wal-Marting Across America」というやらせBlogの正体がばれた最近の騒動によって捻じ曲げられたBlogの姿に、正しい見方がなされたとしている。
ただし、三分の一が購入を中止したり、52%が購入を決めたというBlogの影響力を挙げた上で、ベタほめや、あるいはちょっとしたツッコミに依存することは、へつらいであり、かつ危険なことだとしている。金をもらったサクラや、匿名モードで競合他社をこき下ろすことが、まだまだ脆弱なオンライン環境を混乱させてしまう危険性を指摘し、WOMMA (Word of Mouth Marketing Association) が用意している倫理評価ツール、正しい行動をサポートするための「20ステップのプログラム」を早期に導入することが、少なくとも、正しい方向への一歩になると締めくくっている。
Source:MarketingVox / Ethical WOM: Blogs Influence, Flogs Fool
参考:Wal-Mart Enlists Bloggers in P.R. Campaign
参考:WOMMA / The Ethnics 20 Questions
さて、Reutersが伝える情報ソースとしての信頼度だが、新聞が最も信頼されているメディアだと判断するのが正しいのだろうか?
新聞購読者数は減少の一途で、増加の兆しも見えない。また、フリーペーパーの宅配や、EUのICT政策の根幹を成すインターネットによって他メディアの影響力は今後、一層、低下すると見られる。加えて、ニューメディアを使わないLaggard層が新聞に固執しているとすると、この層の影響力は激減するはずだ。
また、Young challenge mainstream mediaで取り上げたように、
- 年代によってニュースソースの利用に大きな違いがあり、若年層は、TV、あるいは新聞よりもインターネットを重要な ニュースソースとしている
- インターネット/携帯などによるニュース入手を利用するというデモグラフィックグループは、男女を問わず過半数を超えており、18-54歳までの過半数を超え、中高等教育を受けた者の過半数を超している
- また、BBCは「メインストリームメディアが直面する課題は、欲しい時に、どんな形でも、彼らが望むようにニュースを要求する世代によって、どんどん主流から押しやられるリスクが増加することだ」と、記事を結んでいる
参考:Future of the Print Media in Europe
参考:Young challenge mainstream media
なお、Blogの認知度がフランスで90%だという結果があるが、TechnoratiとEdelmanが最近行った欧州のBlog調査を見ると、フランスのトップ10Blogに対するリンク数は主要4ヶ国中最低となっている。同じようにイギリスでの認知度が50%で最低とされているが、下のグラフのように英国トップBlogへのリンク数は欧州最大となっている。
単純にリンク数からBlogの認知度は計れない。しかし、各国のトップBlogへのリンク数はBlogger数を反映しているはずだし、各国語のBlog数もリンク数へ反映しているはずだ。主要4ヶ国中、トップ10のBlogに対するリンク数が最も少ないフランスで、Blogの認知度が90%という点はどうも腑に落ちない。
参考:Blogs in UK、Germany、France and Italy
2006/11/15
JVC Embraces CGM
JVC of Americaが始めたキャンペーン、JVCのイメージを向上させる30~60秒のTV用CFを一般消費者に製作してもらうという「Create Our Commercial」をMediaPostが伝えている。
これは、JVCがリリースしたばかりで編集機能を向上させたというHDD搭載ビデオカメラ、Everioの認知を向上させることを目的としている。自作ビデを募り、優勝者には2,500ドルの優勝賞金に加え、Spike TVでJVCのCFとして放映される権利を与える。キャンペーンは10月18日から12月31日までの期間、応募締め切り1ヵ月後に結果発表予定。
JVCのSVP、Karl Bearnarthは「CGM (Consumer Generated Media)、オンラインビデオ、そして共有サイトは巨大なマーケットだ。我々にとってこれは自社製品を利用してもらうまたとないマーケットだ」、「Everioがあれば、消費者はビデオカメラで撮影するだけでいいし、ビデオをドラッグ・ドロップするのに必要なソフトは提供する」と語る。
JVCはオンラインビデオ共有サイト、VMIXと提携。VMIXはビデオをホスティングし、投稿ビデオに投票させ、コメントさせる。
「我々が人々を後押ししているのはビデオを共有させることだ。我々の製品は、人々が自分のコンテンツを作り、友人、家族、世界と共有する著作権侵害のない適正な社会でのYouTubeのゴールのようなものだ」、「HDD搭載ビデオカメラでビデオを共有するのは大きなメリットがある」とBearnarthは語っている。
なお、ビデオクリップを編集できる「Cutting Room Floor」というオンラインゲームも平行して開始されている。
Source:MediaPost
参考:VMIX
参考:JVC America / Press Release
このキャンペーンを実施、運用面で見ると、当然のように、VMIX側でMySpaceやBlogへのアップロード、Diggへの投稿、Del.icio.usへのソシアルブックマーキング機能をビデオ投稿募集ページなどに提供しているし、プリントおよびオンライン広告のクリエイティブに加え、ゲームのコンセプトやデザインはクリエイティブエージェンシー、メディアプラニングは広告代理店のインタラクティブ部門があたるといったように黒子をそろえるのは簡単だ。
注目すべきはこのキャンペーンがJVCのマーケティング部門から出てきたアイディアだということだ。キャンペーンのオリジナルコンセプトをもって、提携と実施に関してVMIXにコンタクトしたということだ。また、通常なら、ビデオクリップ募集、YouTubeなどへアップ、バイラル化、その視聴回数で膨大な露出と波及を図るわけだが、JVCのTVCFとして放映するという大きなニンジンをぶら下げることで反響を拡大しようとするヒネリにJVCのマーケティング部門の質の高いミーティング内容がうかがい知れる。
これは、JVCがリリースしたばかりで編集機能を向上させたというHDD搭載ビデオカメラ、Everioの認知を向上させることを目的としている。自作ビデを募り、優勝者には2,500ドルの優勝賞金に加え、Spike TVでJVCのCFとして放映される権利を与える。キャンペーンは10月18日から12月31日までの期間、応募締め切り1ヵ月後に結果発表予定。
JVCのSVP、Karl Bearnarthは「CGM (Consumer Generated Media)、オンラインビデオ、そして共有サイトは巨大なマーケットだ。我々にとってこれは自社製品を利用してもらうまたとないマーケットだ」、「Everioがあれば、消費者はビデオカメラで撮影するだけでいいし、ビデオをドラッグ・ドロップするのに必要なソフトは提供する」と語る。
JVCはオンラインビデオ共有サイト、VMIXと提携。VMIXはビデオをホスティングし、投稿ビデオに投票させ、コメントさせる。
「我々が人々を後押ししているのはビデオを共有させることだ。我々の製品は、人々が自分のコンテンツを作り、友人、家族、世界と共有する著作権侵害のない適正な社会でのYouTubeのゴールのようなものだ」、「HDD搭載ビデオカメラでビデオを共有するのは大きなメリットがある」とBearnarthは語っている。
なお、ビデオクリップを編集できる「Cutting Room Floor」というオンラインゲームも平行して開始されている。
Source:MediaPost
参考:VMIX
参考:JVC America / Press Release
このキャンペーンを実施、運用面で見ると、当然のように、VMIX側でMySpaceやBlogへのアップロード、Diggへの投稿、Del.icio.usへのソシアルブックマーキング機能をビデオ投稿募集ページなどに提供しているし、プリントおよびオンライン広告のクリエイティブに加え、ゲームのコンセプトやデザインはクリエイティブエージェンシー、メディアプラニングは広告代理店のインタラクティブ部門があたるといったように黒子をそろえるのは簡単だ。
注目すべきはこのキャンペーンがJVCのマーケティング部門から出てきたアイディアだということだ。キャンペーンのオリジナルコンセプトをもって、提携と実施に関してVMIXにコンタクトしたということだ。また、通常なら、ビデオクリップ募集、YouTubeなどへアップ、バイラル化、その視聴回数で膨大な露出と波及を図るわけだが、JVCのTVCFとして放映するという大きなニンジンをぶら下げることで反響を拡大しようとするヒネリにJVCのマーケティング部門の質の高いミーティング内容がうかがい知れる。
ラベル:
Blog,
Case Study,
Marketing,
SNS
Hitwise CGM Report
ソシアルネットワーキング、Blog、CGM (Consumer Generated Media) が一般ユーザの注目を集め、ユーザが作成したコンテンツをポスティング、共有するWebサイトへのトラフィックが急増しているため、既成のメインストリームメディアはそれを利用しようと先を争っている。
その現状から、SNS、画像ホスティング・共有、オンラインビデオの影響を検証し、これら商用Webサイトの潜在能力にスポットを当てる「SNS、画像ホスティング・共有、オンラインビデオ」に関する最新のレポートがHitwiseから出た。
ソシアルネットワーキング
同様に、Facebookは学生以外お断りのネットワークだったため、MySapceよりも学生にとり安全なネットワークで、ピア接続を求める学生のお勧めネットワークとなった。
(注:9月に入り、筆者に突然、Facebookから招待メールが届いた。Facebookのトップページへ行くと、「Register Everyone can join.」と、あるように現在、Facebookは一般ユーザにも開放されている。これは学生専門ネットワークでは規模の拡大や、最適デモグラフィックが提供できないというサイト側の論理が前面に出てきたからだ)
画像共有、ホスティングWebサイト
オンラインビデオ共有
YouTubeの直後、MySpaceがビデオセクションを立ち上げ、My Yahoo!もビデオアップロードをサポートした。現在、TV局、映画スタジオ、音楽レーベルなどが提携したり、提携を模索しているが、YouTubeへアクセスが集中する鍵はUGC (User Generated Content) にある。毎日、毎週ビデオをアップする多くのユーザ達、そして新しい出来事や他のユーザに対してビデオを通じて答えるユーザ達によってYouTubeはマイナーなセレブを作り出した。メディア行動の変化は、家庭にビデオカメラがある時代に育った子供たち、演出なしのTV番組の人気、他の人たちと触れ合いたいというソシアルネットワーキングそのものの普遍性など数多くのファクターが影響している。そして、ソシアルネットワーキングだからこそ、消費者が個人的な経験を大勢の赤の他人と共有したいわけだ。
Source:Hitwise
(注:pdfを入手するには上記URLで登録が必要)
このほかにも
SNS、画像、ビデオ共有サイト関連資料として非常に役立つ内容だ。
特に、ビデオ共有でHitwiseは、既成メディアがSNS風味付けをした共有サービスを開始、模索している現状に対して、YouTubeの魅力は一般ユーザがコンテンツを作成・発信・共有したいというソシアルネットワークの根源性にあるため、同様のメカニズムがない場合、あるいは規制メディアの取り組みが一方的な押し付けになった場合、YouTube的な爆発力はないことを示唆しているのが印象に残る。
MySpace、Google、Yahoo!、NetcafeにしてもYouTubeの右肩上がりのシェアとは大きく引き離されている。数多くのプレイヤーが参入し、参入を狙っているが、インターネットの市場鉄則通り、カテゴリごとのOnly Top Oneしか生き残れないだろう。
その現状から、SNS、画像ホスティング・共有、オンラインビデオの影響を検証し、これら商用Webサイトの潜在能力にスポットを当てる「SNS、画像ホスティング・共有、オンラインビデオ」に関する最新のレポートがHitwiseから出た。
ソシアルネットワーキング
- 2006年9月:SNSのTop20サイトへのアクセスは、全インターネットアクセスの4.9%に達した。前年同月比94%増
- MySpaceの伸びはSNSカテゴリの伸びを上回り、前年比129%増、2006年3月からの半年間に51%増
- SNSユーザは複数サイトへアクセスする傾向がある。2006年9月、MySpace以外の19サイトへアクセスしたユーザの24%はMySpaceから。
- 2006年3~9月に大きく伸びたのは、271%増のBolt、95%増のBebo、41%増のGaia Online
- MySpaceから通信、ショッピング、案内、銀行、金融機関、そして旅行カテゴリへのアップストリームは2006年3~9月に70%増加
- 上記ショッピング、案内サブカテゴリの中で最もアクセスを受けているのは、音楽、チケット、衣料、アクセサリ、オークション、ビデオ、ゲームなどMySpaceユーザの興味を反映
同様に、Facebookは学生以外お断りのネットワークだったため、MySapceよりも学生にとり安全なネットワークで、ピア接続を求める学生のお勧めネットワークとなった。
(注:9月に入り、筆者に突然、Facebookから招待メールが届いた。Facebookのトップページへ行くと、「Register Everyone can join.」と、あるように現在、Facebookは一般ユーザにも開放されている。これは学生専門ネットワークでは規模の拡大や、最適デモグラフィックが提供できないというサイト側の論理が前面に出てきたからだ)
画像共有、ホスティングWebサイト
- Photobucketが画像ホスティングWebサイトをリードし、シェアは2006年3月から9月までで43%増加
- 過去半年の間にSlideが立ち上がり、最もアクセスされるサイトのひとつとなり、シェアは1,300%増加
- ユーザは画像やリンクをプロファイルページにアップするため、Photobucket、Slide、Imageshackはトラフィックの大半をMySpaceから受けている
- ソシアルネットワーク、および画像サイトとしても機能するFlickrへのトラフィックは2006年3月から9月までの半年間に49%増加
オンラインビデオ共有
- 2006年3月から9月までの半年間に、YouTubeへのトラフィックは249%増加。9月時点で米国ユーザがアクセスするサイトの26位
- 2006年3月から9月までの半年間に、MySpace Videoのトラフィックシェアは253%増加。Yahoo Videoは13%増加、Metacafeは133%増加
- 2006年10月7日までの1週間に、YouTubeからのダウンストリームトラフィックの3.3%は、Hitwiseで言うところのEntertainment - Televisionカテゴリへ向かった。1.1%のトラフィックはEntertainment - Movieカテゴリへ向かった。
YouTubeの直後、MySpaceがビデオセクションを立ち上げ、My Yahoo!もビデオアップロードをサポートした。現在、TV局、映画スタジオ、音楽レーベルなどが提携したり、提携を模索しているが、YouTubeへアクセスが集中する鍵はUGC (User Generated Content) にある。毎日、毎週ビデオをアップする多くのユーザ達、そして新しい出来事や他のユーザに対してビデオを通じて答えるユーザ達によってYouTubeはマイナーなセレブを作り出した。メディア行動の変化は、家庭にビデオカメラがある時代に育った子供たち、演出なしのTV番組の人気、他の人たちと触れ合いたいというソシアルネットワーキングそのものの普遍性など数多くのファクターが影響している。そして、ソシアルネットワーキングだからこそ、消費者が個人的な経験を大勢の赤の他人と共有したいわけだ。
Source:Hitwise
(注:pdfを入手するには上記URLで登録が必要)
このほかにも
- ソシアルネットワーキングとコミュニティアクティビティ(MySpaceからのアップストリーム分析)
- ショッピング・案内カテゴリへのMySpaceの影響力
- Flickr現象
- YouTubeでの検索
- YouTubeとメインストリームメディア
SNS、画像、ビデオ共有サイト関連資料として非常に役立つ内容だ。
特に、ビデオ共有でHitwiseは、既成メディアがSNS風味付けをした共有サービスを開始、模索している現状に対して、YouTubeの魅力は一般ユーザがコンテンツを作成・発信・共有したいというソシアルネットワークの根源性にあるため、同様のメカニズムがない場合、あるいは規制メディアの取り組みが一方的な押し付けになった場合、YouTube的な爆発力はないことを示唆しているのが印象に残る。
MySpace、Google、Yahoo!、NetcafeにしてもYouTubeの右肩上がりのシェアとは大きく引き離されている。数多くのプレイヤーが参入し、参入を狙っているが、インターネットの市場鉄則通り、カテゴリごとのOnly Top Oneしか生き残れないだろう。
2006/11/14
Cargill : B2B Branding Campaign
Cargillという企業をご存知だろうか。
日本では2000年に東食を100%子会社に収め、世界59カ国に12万人の社員を擁する世界最大の穀物メジャーだ。穀物メジャーといっても食品、農畜産物だけを扱うのではなく、金融やリスク管理分野にも進出している大企業で、それも典型的なB2B企業ということになる。
通常であればCargillは、一般消費者向けにブランド広告をやる必要はまったくなく、パートナー企業にマーケティング努力を集中すれば良いだけだ。実際、2004年のオンライン広告は、Nutrenaというペットフードや懸賞募集で39万impression(推定広告費約2,500㌦)程度の実績しかなかった。
ところが、2005年になると状況が一変し、6,000万impression(同約60万㌦)前後にまで急増している。それもペットフードではなくブランドキャンペーンを開始したのだ。impression数、推定広告費のどちらもIBM、Siemens、Philipsなどの企業広告と比べても遜色のない規模だ。
なぜCargillはブランドキャンペーンを開始したのか?
そのなぞを解く鍵は、ブランド広告を説明しているWebページにある。
厨房大学、パルメザンチーズ、冷凍食品、品質保証ステーキ、鶏卵価格のリスク管理、砂糖抜きの甘味料、大豆パン、冷めないハンバーガー、安全な乳児食など、すべてCargillがレストランチェーン、大学生協、スーパーなどのニーズに合わせたコラボレーションを行い、高品質な食材の安定供給や、消費者の健康嗜好にあわせた食材開発を行ったミニストーリーを紹介している。
当然、オンラインだけではなく、プリントとTVも動員したキャンペーンだが、それにしても前年比240倍のオンライン広告予算を投下したキャンペーンは、B2B企業として類を見ないものだ。
B2B企業だから一般消費者向け、マス媒体を使ったブランドキャンペーンなど不要だとする声はある。しかし、B2B企業であったとしても、顧客企業が直接対する一般消費者の目やトレンドを意識しないわけにはいかないし、顧客企業から挙げられる消費者ニーズに即した製品やサービス、システム開発をすることが重要なことは言を待たない。
それだからこそ、原材料供給、加工食品卸だけではなく、高付加価値サービスを提供し、顧客企業および一般消費者に最高の食品、食材を提供するCargillというB2B企 業の戦略、現状を告知し、認知を向上させ、理解を深めるという戦略だと言える。一般的に商社的な業務が多いと思われる穀物メジャーという典型的なB2B企業である Cargillが、顧客企業と一般消費者をここまで意識し、オンラインでのブランディングキャンペーンを実施したことに頭が下がる。
B2B企業のオンラインブランディングキャンペーンの説明としては、ここまででOKだ。しかし、続きの話がある。実は、今年はプリントとTV広告に絞ったようで、その影響がWebリーチに如実に出ている。昨年は右肩上がりできたリーチだが、今年は一段低く、かつ、右肩下がりのパフォーマンスだ。
いくらプリントやTVキャンペーンをかけたところで、最も重要なポイントである11にも及ぶケーススタディや、ストリーミングで伝えたいコンテンツへアクセスさせ、企業ブランドの認知や理解向上を行うことはできない。またマイクロサイトから友人・知人へコンテンツをEmailさせ、バイラル化を図るのにもアクセスしてもらうことが重要だ。もっとオンライン露出からマイクロサイトへのアクセスを誘導するべきなのだが...。
加えて、TVにも、プリントにもURLが記載されていないといった初歩的なブランディングキャンペーンの統合方法に欠陥があるように見える。(実際のところ、プリント広告にはURLが記載されている。しかし、「4 Ways to Integrate Online with Print -1」で指摘されているようにURLが、小さく見にくい。例えば、「Better Beef」というプリント広告は、まるでWebアクセスを拒否しているかのような配置とサイズ、色だ。サンプルはこちら)
また、オンラインのブランディングキャンペーンであるからこそ、ボーダレスな訴求を検討すべきだった。特にケーススタディには、イタリアのチーズ工場での生産性向上、中南米でのサプライチェーン構築など、国内に留まらず、海外のパートナー企業とのコラボレーション例がある。これを全世界の顧客企業や一般消費者に告知できるチャンスだった。残念でならない。
折角、B2B企業として空前ともいえるブランドキャンペーンを開始したにもかかわらず、Cargillは足踏みしているように見える。
その一端は前回の話のように;
しかし、これら懸案をクリアすることでCargill、そして次のグローバル企業が続く。すでにIBM、Siemsen、Philipsなどはオンラインの企業広告を開始している。米国・英語トップサイトで露出されるこれらオンラインの企業広告は米国ユーザのみならず、全世界のインターネットユーザに波及し、蓄積されてゆく。
参考:Cargill公式Webページ
参考:Cargill Brand Advertising 説明ページ
参考:Cargill Brand キャンペーンサイト
参考:CMO Web-Smart Report by WebTrends
日本では2000年に東食を100%子会社に収め、世界59カ国に12万人の社員を擁する世界最大の穀物メジャーだ。穀物メジャーといっても食品、農畜産物だけを扱うのではなく、金融やリスク管理分野にも進出している大企業で、それも典型的なB2B企業ということになる。
通常であればCargillは、一般消費者向けにブランド広告をやる必要はまったくなく、パートナー企業にマーケティング努力を集中すれば良いだけだ。実際、2004年のオンライン広告は、Nutrenaというペットフードや懸賞募集で39万impression(推定広告費約2,500㌦)程度の実績しかなかった。
ところが、2005年になると状況が一変し、6,000万impression(同約60万㌦)前後にまで急増している。それもペットフードではなくブランドキャンペーンを開始したのだ。impression数、推定広告費のどちらもIBM、Siemens、Philipsなどの企業広告と比べても遜色のない規模だ。
なぜCargillはブランドキャンペーンを開始したのか?
そのなぞを解く鍵は、ブランド広告を説明しているWebページにある。
- Cargillは、21世紀に入り、10年以内に食料や農畜産物の顧客企業に対して最高のソリューションプロバイダーになるという新しい目標を達成する旅を開始しました。価値を創造するため顧客企業と協業することによってのみ成功への道が開けることを我々は理解しています。
- Cargillのブランド広告は、プリントとTV広告を使い、幅広い農畜産分野の知識と経験からどのようにCargillが顧客企業とコラボレートしているかを示しています。サプライチェーンや製品保証ソリューション、リスク管理の実績、新しい食材開発、健康や栄養問題への対応などについて顧客企業を支援しているミニストーリーをご覧いただけます。
- 継続する全ての広告のテーマは、Cargillとのコラボレーションが顧客企業を成功へ導くというものです。我々は、現在の、そしてこれからの顧客企業が我々を消費財サプライヤーだという理解から、今、理解されているよりも多くのエリアでソリューションを提供するパートナーだという理解へ広げてもらうことを期待しています。
厨房大学、パルメザンチーズ、冷凍食品、品質保証ステーキ、鶏卵価格のリスク管理、砂糖抜きの甘味料、大豆パン、冷めないハンバーガー、安全な乳児食など、すべてCargillがレストランチェーン、大学生協、スーパーなどのニーズに合わせたコラボレーションを行い、高品質な食材の安定供給や、消費者の健康嗜好にあわせた食材開発を行ったミニストーリーを紹介している。
当然、オンラインだけではなく、プリントとTVも動員したキャンペーンだが、それにしても前年比240倍のオンライン広告予算を投下したキャンペーンは、B2B企業として類を見ないものだ。
B2B企業だから一般消費者向け、マス媒体を使ったブランドキャンペーンなど不要だとする声はある。しかし、B2B企業であったとしても、顧客企業が直接対する一般消費者の目やトレンドを意識しないわけにはいかないし、顧客企業から挙げられる消費者ニーズに即した製品やサービス、システム開発をすることが重要なことは言を待たない。
それだからこそ、原材料供給、加工食品卸だけではなく、高付加価値サービスを提供し、顧客企業および一般消費者に最高の食品、食材を提供するCargillというB2B企 業の戦略、現状を告知し、認知を向上させ、理解を深めるという戦略だと言える。一般的に商社的な業務が多いと思われる穀物メジャーという典型的なB2B企業である Cargillが、顧客企業と一般消費者をここまで意識し、オンラインでのブランディングキャンペーンを実施したことに頭が下がる。
B2B企業のオンラインブランディングキャンペーンの説明としては、ここまででOKだ。しかし、続きの話がある。実は、今年はプリントとTV広告に絞ったようで、その影響がWebリーチに如実に出ている。昨年は右肩上がりできたリーチだが、今年は一段低く、かつ、右肩下がりのパフォーマンスだ。
いくらプリントやTVキャンペーンをかけたところで、最も重要なポイントである11にも及ぶケーススタディや、ストリーミングで伝えたいコンテンツへアクセスさせ、企業ブランドの認知や理解向上を行うことはできない。またマイクロサイトから友人・知人へコンテンツをEmailさせ、バイラル化を図るのにもアクセスしてもらうことが重要だ。もっとオンライン露出からマイクロサイトへのアクセスを誘導するべきなのだが...。
加えて、TVにも、プリントにもURLが記載されていないといった初歩的なブランディングキャンペーンの統合方法に欠陥があるように見える。(実際のところ、プリント広告にはURLが記載されている。しかし、「4 Ways to Integrate Online with Print -1」で指摘されているようにURLが、小さく見にくい。例えば、「Better Beef」というプリント広告は、まるでWebアクセスを拒否しているかのような配置とサイズ、色だ。サンプルはこちら)
また、オンラインのブランディングキャンペーンであるからこそ、ボーダレスな訴求を検討すべきだった。特にケーススタディには、イタリアのチーズ工場での生産性向上、中南米でのサプライチェーン構築など、国内に留まらず、海外のパートナー企業とのコラボレーション例がある。これを全世界の顧客企業や一般消費者に告知できるチャンスだった。残念でならない。
折角、B2B企業として空前ともいえるブランドキャンペーンを開始したにもかかわらず、Cargillは足踏みしているように見える。
その一端は前回の話のように;
- 社内、マーケティング部門の体制充実
- 広告効果測定能力向上
- ROIマインドの浸透
しかし、これら懸案をクリアすることでCargill、そして次のグローバル企業が続く。すでにIBM、Siemsen、Philipsなどはオンラインの企業広告を開始している。米国・英語トップサイトで露出されるこれらオンラインの企業広告は米国ユーザのみならず、全世界のインターネットユーザに波及し、蓄積されてゆく。
参考:Cargill公式Webページ
参考:Cargill Brand Advertising 説明ページ
参考:Cargill Brand キャンペーンサイト
参考:CMO Web-Smart Report by WebTrends
ラベル:
B2B/B2C,
Case Study,
Marketing,
Online Branding
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