2008/03/31

Human Face on Your Company

毎週木曜日、NYTimes.comのCircuitsにDavid Pogueがコラムを書いている。

今週は、何週間か前に開かれた広報業界のコンファレンスでWeb 2.0について講演した際のことから書き始めている。彼の講演の前に、司会者が「PRに関連する質問」を訊ねたところ、「あなたの会社(あるいはクライアント)はなぜ、Web 2.0のメリットを活かしていないのか?」という質問があった。それに対して132の回答が出席者から出た。(質問も回答も会場の人数分準備されている無線PCから入力され、正面のスクリーンに瞬時に表示される)
  • 予算が十分ではない
  • (Web 2.0が)よく分からない
  • 技術スタッフがいない
  • 人手が足りない
  • 目に見える投資リターンがない
  • 嘲笑されることが不安
  • 中傷されることが不安
  • いつまで続けられるかが不安
  • 炎上してしまうことが不安
日常、Blog、SNS、掲示板などでやらせ、あおり、誹謗中傷、生活情報暴露、荒らしなどを見聞きしているだけにこれらの不安ももっともだ。

しかし、とPogueは次のように書いている。少し長くなるが引用する。

企業が外部へ発信しようとするイメージはどんなものであれ、個性や不安定要素を持ち個人生活を送っている普通の人間が造り出している。だが、マーケティングやPRチームがその企業イメージをピカピカに磨きたて、コントロールし、最終製品パッケージとして送り出しているため、一般市民は企業イメージに人間性を見出せない。

企業がWeb 2.0の可能性を受け入れたとすると、一般市民とよりカジュアルで、荒削りな形で接することになり、結果としてあげつらいは減ることになる。Web 2.0は過去になかったほどダイレクトに、より信頼を得る通信チャネルを提供するわけだ。

それはBlogだけではない。Podcastsかもしれない。あるいはビデオ(iPhoneをミキサーでブレンドした会社、WillItBlend.comはへアマチュアビデオを投稿することで売上を3倍に伸ばした)かもしれない。貴社の個性、ロゴ、音楽や製品を使ったマッシュアップを一般市民に許可しなさい。製品開発サイクルでのフォーカスグループ、破棄されたデザイン、従業員のビデオなど内部に目を向けてみてはどうですか?

当然、こういったものは調整しなければなりません。ということはすぐに目に見える投資効果がないにも関わらず、予算が必要なわけです。すなわち、みんなの仕事が増えるわけです。

でも、信頼、好意、肯定的な注目が得られます。(ピカピカのイメージを脱ぎ捨てて)「会社に人間の顔」を着せてください。そうすれば、他の方法では決して見えなかった顧客に関する情報を得ることができるのです。

Source:NYTimes.com Circuits / Are You Taking Advantage of Web 2.0?

この「会社に人間の顔」をという彼の言葉は非常に重い。

2008/03/28

PPC Magic

HubSpotがGoogleのAdWords、PPCの面白い試算をしている。

そこでHubSpotが試算に用いた「weight loss」を「ダイエット」に置き換えて試算してみる。まず、Google Traffic Estimator Sandbox へ行ってキーワードを入力してみる。

次に「Continue」をクリックすると、キーワードごとにクリック単価、推定ポジション、推定クリック数、推定コストが算出される。

Source:HubSpot / How to Size Up a Market in PPC

ダイエットというキーワードで平均単価206~278円、3,500~4,400クリック@日、72万~122万円@日という結果だ。ここに50社とか、100社の競合がいれば単価、コストは上がっていく。「ダイエット」を競るのは数百社に上るだろうから、SOHOやパパママストアでは大手資本には太刀打ちできない。

また、キーワードコストをかけて売ろうとするダイエット補助食品が5,000円、粗利が4,000円、コンバージョン率が1%とすると、100クリックのうち99クリックは販売に結びつかない。260円を高値とするブロードキーワードなら、初めての売りが立つまでに約25,000円を払わなければならない。そして一日で考えればその約21倍、52万5千円を支払うことになる。一日10万5千円の売上をあげるためにその5倍を支払うことになる。

[ダイエット]というEXACTキーワード(524円x253)なら13万2千円@日だから、粗利が4,000円であれば33個の栄養補助食品が売れなければ収支は均衡しない。253回のクリックで33個の販売だから、コンバージョン率は13%という高率になる。こんな左団扇の生活があるのだろうか?

大手資本にしてもこれだけのコンバージョン率を上げることは不可能ではと思わせるし、PPCがローーーーーーングテールに欠かせないツールだとしても費用効果を納得させられないのではと思える。

Marketing Sherpaの「Search Marketing Benchmark Guide 2008」によれば、PPCを強力な戦術とするのが16%、効率的なROI手段だとするのが35%もいるが、本当にそうなのだろうか。どなたかPPC、SEMに詳しい方、説明していただけませんか?
Source :Marketing Sherpa / Search Marketing Benchmark Guide 2008 (pdf)

2008/03/27

HP Disaster Proof Solution

昔から強靭、強固なディスクアレー、サーバ、ネットワーク機器を打ち出すためにハンマーでたたいたり、銃で打ち抜いたりといったパターンがある。

今回が違うのは、通常起こりえる自然災害をシミュレートしていることだ。例えば天然ガスパイプラインから漏れたガスに引火してデータセンターが木っ端微塵になった場合を想定し、プライマリデータセンターとバックアップデータセンターでのフェイルオーバーを取り上げている。

金魚のフェイルオーバーにかかった時間が294秒というのは余計だが、Open VMSが13.71秒、Non stopが33.96秒、HP-UXが72.63秒、Windowsが104.33秒、そしてLinuxが113.71秒と、すべて2分以内でバックアップセンターが立ち上がっている。

迫力と緊迫感のある映像で聴衆を惹き付けるのだが、如何せん、6分を越える長尺なのでYouTubeにアップされてから1年たっているが視聴数は2万を越えただけだ。だが、面白い。


Source:YouTube / HP Disasterproof

2008/03/26

Skyrock.com in France

昨日、ForresterのSocial Technographics Profileについて書いた。

参考:Social Technographics Profile (Online Ad 2008/3/25)

そこで仏のOJDが公査しているSNS、SkyRockのデータを見てみる。下のトップ画面には、14,679,298Blog、5,134,472プロファイル、6,553Chatter Onlineと表示されている。結構どころか、非常に大規模なサイトだ。
(下をクリックでオリジナルサイトへ)
下は2007年の第5週から2008年の第8週における週ごとのアクセスユーザ数だ。バカンスシーズンである2007年第32週に895万と底を打っているが、今年の第8週に1,281万人とピークを迎えている。今のところは右肩上がりの増加傾向が見える。
そしてビジット数を見ると2008年1月で2億500万、2月に少し下がって2億300万となっている。2007年の1月が分からないがグラフにある2月は1億4,722万と年間で最低だ。それからすると2008年2月の減少は季節要因なのだろう。
最後にPVを見ると驚くしかない。2007年の2月に34億1,437万で、今年の2月は58億8,412万と72%強の伸びを示している。
Source:OJD / Skyrock.com (pdf)

Skyrock.comのユーザ数、ビジット数、PV数を見るとForresterが言うように欧州の消費者、少なくとも仏のユーザは「Inactives」でもないように見える。Skyrock.comの数字は、日本のMixiと比べてもまったく遜色がない。いや、人口が日本の半分程度の6,370万しかない点を考えると、Mixiの倍の活況を呈しているといってもいい。

OJDにはDailymotionは加盟していないようでデータがない。が、AlexaでDailymotionを見ると、アクセスランク28位、リーチは16,000@million、3ヶ月平均で23%アップとなっている。Skyrock.comとDailymotionだけを見ても、「Active」な仏のユーザ像が見えているように思える。

本当に欧州の消費者は「Inactives」が多いのだろうか?

と、ここまで書いてきて、今朝確認したところGroundswellのProfileツールが使えるようになっていた。そこで、仏、男性、18-24歳に限ってProfileを出してみると、「Creaters」、「Critics」、「Spectators」が増加し、「Inactives」が減っている。(棒の途中にある白線は性別や年代を指定しない時のプロファイル)
性別や年代のフィルターをかけて詳しく確認する前にツールが消えていたため、早とちりをしたようだ。昨日書いたように「Forresterが言うSocial Technographics Profileと、Hitwiseがデータとして示すトラフィック増加傾向があっていない」ということはなく、SNSは若年層(18-24歳)が中心となって急速に欧州でも普及している。ただ、年齢、性別を指定せずプロファイルを出すと「Inactives」が増加しているだけだった。

2008/03/25

Social Technographics Profile

ForresterのGroundswellというBlogが面白いツールというか、データを紹介している。
(昨日までは、スカスカと動いていたツールがあったが、今日、確認してみるとツールが消えている。どうしたんでしょう?Forresterさん?)

このSocial Technographics Profileは、どのように人々がソーシャルテクノロジーを利用するかに応じて「Creators」、「Critics」、「Collectors」、「Juniors」、「Spectators」、「Inactives」という互いにオーバーラップする6つの参加レベルを定め、分類している。そのプロファイルをベースとして米、欧、英、仏、独、豪、中国、日本、韓国の消費者を分析した結果を見ることができる。
(クリックでオリジナルへ)
各国別に「Creators」を見ると韓国が38%で最高、日本が23%で続いている。それに比べると欧州10%、英9%、仏10%、独8%だ。「Creators」はソーシャルコンテンツを作成する人々だ。Blogを書いたり、ビデオ、音楽などをアップロードするわけだ。このプロファイルで見ると欧州の消費者はまだソーシャルテクノロジーを使いこなすレベルまで至っていないように見える。

また、コンテンツを作成も、消費もしない「Inactives」は伊が57%、豪が56%、欧州で53%となっている。どう見ても欧州や豪の消費者はソーシャルテクノロジーに無関心のように見える。本当にそうだろうか?

なお、性別、年代別のフィルターをかけで、国別のインデックスを見ることもできる。

6つの参加レベルの詳細は、以下のスライドをどうぞ。
Source:Forrester / Groundwell Profile tool
Source:Forrester / Social Technographics Ladder

つい最近、HitwiseのUKやAsiaのSNSレポートを紹介した。UKのレポートではSNSへのトラフィックは増加を続け、SNSから他カテゴリサイトへのアップストリームトラフィックも増えている。「Creators」が9%しかいないとされるUKだが、それではUKのユーザはどの国のコンテンツを消費しているのだろう。

Asiaのレポートでは豪のトップサイトはMySpaceで44.16%のシェアを占め、カテゴリとしてのSNSは他カテゴリを押しのけて過去1年間で1.8%ポイントも上昇している。「Inactives」が56%とされる豪でSNSが満開の春を迎えているように見える。

Forresterが言うSocial Technographics Profileと、Hitwiseがデータとして示すトラフィック増加傾向があっていない。

参考:Hitwise Asia SNS Report (Online Ad 2008/3/6)
参考:Impact of Social Networking in the UK (Online Ad 2008/2/1)

2008/03/24

SEM Insights into B2B Buyers

先日、EnquiroとOmnitureが開催したWebinarを視聴した。

その中で購買プロセスの全段階で、オン+オフラインにおけるB2Bバイヤーへの影響ファクターとして次のスライドを使っていた。
B2Bバイヤーが影響を受けるトップは、ベンダーのWebサイトのコンテンツであり、その次に影響を受けるのは同僚のクチコミとなっている。WOMはその他にも友人WOMと有料コンサルタントのWOMが上位8位までに入っている。

WOMはオフもあれば、オンもある。そのWOMの元になったソースもオフもあれば、オンもあるだろう。どちらにしてもWOMの元になる情報、コンテンツをいかに発信し、消費してもらうかが鍵であることに間違いはない。
次に面白かったのは、調査対象者のB2Bバイヤーの約四分の三はオンライン広告に目もくれず、オーガニック検索結果をクリックしていることだ。
  • 74.2% オーガニック検索結果
  • 12.2% PPC広告トップ
  • 6.5%  PPC広告右
  • 0.2%  PPC広告ボトム
他の調査でもだいたい75%はオーガニックをクリックしているようだ。もの売りで、ロングテール系で、他に露出のしようがないSOHOやワンマンショップ なら検索エンジンしか使いようがない。しかし、B2BバイヤーへのタッチポイントはSEMというよりは、やはりSEOだろうし、いかにして露出を拡散し、 共有、再発信してもらうかだろう。
Source:Enquiro Research / Search Marketing Insights into B2B Buyers

2008/03/21

Motorola Solution Campaign

Motorolaが新しく、「Technology That's Second Nature.」というキャンペーンを開始したとBtoB Onlineが伝えている。

現実社会で出会う様々な事件、事故、災害がある。そこでバーチャル都市を構築し、例えば大規模火災発生モニター、消火作業、避難、通信指令センターなど、様々な場所や局面で使用されるMotorolaの多様なソリューションを紹介している。
(クリックでオリジナルサイトへ)
Source:BtoB Online / For Motorola, it takes a city

このキャンペーンはユーザに製品の技術仕様を紹介、説明するものではない。警官、消防士など災害発生に際して、活動する人々が直面する状況にどのように対処してゆくかをバーチャル都市の中で紹介している。

例えば停電のため競技場から大人数の人間を避難させるケースでは、警察指揮官はMotorolaのデジタル無線機、タフなノートPCを使って避難計画を練り上げる。緊急医療チームのテクニシャンはMotorolaのPDAを使って病院と連絡、電力会社はMotorolaの顧客サービス要請システムを使って交通およびワークフロー要求を管理するといった現場でのソリューションを紹介している。

メーカー、ベンダーがこう使えという仕様書ベースではなく、ユーザセントリックなキャンペーンに仕上がっている。また、従来とは違い、Motorolaはオンライン広告素材を最初に制作した。その後、紙媒体、DM、パンフなどオンラインキャンペーンを補助するマーケティング分野用の素材を制作したそうだ。

このユーザセントリックで、オンラインセントリックなキャンペーンはQ1は北米、以降、グローバルマーケットで開始されるようだ。

以前にもMotorolaのキャンペーンを紹介しているが、前回はB2Cだった。今回はB2Bにおけるユーザ体験ベースのソリューションキャンペーンとなっている。

参考:New Motorola Campaign Go Beyond the Banner (Online Ad 2006/12/1)

2008/03/19

Blog in China

CNNICによれば、2007年11月末の中国で、4,700万人のBloggerが7,282万のBlogを書いているようだ。

ということは「中国の30人に一人はBlogを書き、インターネットユーザの四人に一人はBlogを書いていることになる」とニュースリリースに書いている。グラフがないので箇条書きで紹介する。
  • Blogger総数
    • 2006年末      1,750万人
    • 2007年11月末   4,700万人 (約1年で3,000万人近くBloggerが増加!!)

  • アクティブな
    • Blogger 約1,700万人(Blogger総数の36%)
    • Blogサイト 2,875万

  • Blogger男女比 (実際の中国の人口比では男性55%、女性45%)         
    • 男性 43%
    • 女性 57%

  • Blogコンテンツ
    • 47% 個人的な日記、記録

  • Blogアクセス目的
    • 娯楽 43%

  • Blogの信頼度
    • 63% オンラインニュースサイトを信頼
    • 20% Blogを信頼
Source:CNNIC / Weblog in China

昨年、中国だけで約3,000万人のBloggerが増えたということはとてつもないことだ。2007年4月付けでTechnoratiのSifyが発表していたデータを見ると、Blog総数を約7,000万、言語別シェアでは日本語が37%でトップ、そして中国語は8%とされている。

多分、今年の4月か、5月にはSifyが最新のデータを公開してくれるだろうから、大きく様変わりしたBlogs界を見ることになるだろう。

Source:Sify's Alert

2008/03/18

Broadband in China

CNNICから新しい統計データが出ている。

昨年12月に46,300人を対象に行われた調査だ。それによると2007年末で中国のインターネット人口は2.1億人、2007年1年間で7,300万増、2007年6月から4,000万増だという。そして平均すると一日に20万人増えている。日本の地方都市ひとつ分のインターネットユーザが一日で増えているという強烈な増加ペースだ。
そのおかげで普及率は2006年12月の10.5%、2007年6月の12.3%から急上昇し、12月には16%に達している。
さて目を惹くのは、中国でのBB普及だ。1億6,338万人がブロードバンドユーザとしている。以前「Internet in China」でCNNICの2007年7月発表資料をベースに他媒体との比較、IMとemailなどを紹介した。その時には気づかなかったが、その資料ではBBユーザ数を1億2,240万人としていた。

参考:Internet in China (Online Ad 2007/9/12)

しかし、Point Topicの2007年Q3の資料を見ると中国のBBユーザを6,306万、米国は6,550万としている。その差は246万だ。そしてQ3に増加した中国のBBユーザ数を350万以上としている。同時期のUSの増加ユーザ数は209万だ。Q3で差が141万も縮まっている。
Source:CNNIC / The 21st Survey Report (pdf)
Source:Point Topic / 2007Q3 (pdf)

CNNICのグローサリにはブロードバンドもナローバンドもないため、どこまでをBBで、どこまでをNBとしているのか分からない。しかし、CNNICのデータを使わずとも中国のBBユーザ数が2008Q1には必ず米国を抜いて世界トップになるのは確実だろう。

さて、中国では2005年に1億7,670万人が英語を学び、1億3,700万人の小学生が英語を学ぶことになると随分昔に書いた。WTO加盟、そして今年8月のオリンピックと中国での英語熱は留まることを知らない。当局による検閲はあるが、多様な情報ソースへのアクセスを可能とするインターネットで消費するコンテンツは中国語だけだろうか?圧倒的な中国BBユーザが消費するのは英語コンテンツになるのではないだろうか?

参考:Lingua Franca & Internet/Online Marketing (Online Ad 2006/8/29)

2008/03/17

TweetVolume

この頃、ちょっとTwitterずいているが、Twitterユーザが入力したキーワードの回数をグラフにしてくれるTweetVolumeという面白いツールがあった。

さっそくゲーム機、Wii、PS3、Xboxの3ブランドで試してみた。
次に、JapanとBricsだ。Source:TweetVolume

以前、「Twitter Web Traffic and Twittermeter」で紹介したTwittermeterと組み合わせると少しは面白いグラフが描けるかもしれない。
ただし、残念ながらダブルバイトには対応していないようだ。

参考:Twitter Web Traffic and Twittermeter (Online Ad 2008/3/4)

2008/03/14

Mindset Shift Required-2

Green Peaceのゲーム機グリーンキャンペーンだが今までのところ3社のCEOに送られたメール数は以下の通り。
  • PS3    1,724
  • Xbox   1,567
  • Nitendo 2,033
昨年の12月から開始されたにしては3社ともにまだ少ないようだ。


さて、Green Peaceが行ったAppleのiPhone向けキャンペーンを「Greenpeace Ranks Apple Last in Greenness」で紹介した。その時点でAppleのCEO、Steve Jobsへ送られたメール数は、43,034だった。その後、2007年5月2日にJobsが公開したオープンレターを「Panasonic and LGE will be the Worst in Greenness」で紹介した。

「製品からの有害化学物質排除、製品のリサイクルに関してAppleは、リーダーではないとある環境団体から批判されて」という書き出しから始まり、「将 来計画を声高に言いつらうことはAppleの方針ではない。しかし顧客、株主、従業員そして業界に対して語られていない面があり、ステークホルダーがそれ を求めるのも尤もだ」として、有害化学物質排除と製品リサイクルに関して説明している。

参考:Greenpeace Ranks Apple Last in Greenness (Online Ad 2007/4/09)
参考:Panasonic and LGE Will Be the Worst in Greenness (Online Ad 2007/5/7)
参考:Greenpeace Ranks Nintendo Last in Greenness (Online Ad 2008/1/28)

単なる環境保護団体であるGreenpeaceに何を言われても、Appleの広報が言うように「このランキングを拒否する」のもいいし、今までの取り組みを説明するだけでもいい。Emailのホワイトリストを作ってそれ以外は迷惑メールとして隔離しておくのも可能だ。しかし、なぜ、AppleのCEOはオープンレターを出してまで説明したのだろう

「Mindset Shift Required」で紹介したP&GのCMO、Jim Stengelが次のように述べている。

「消費者は、信頼に基づき"正直で"、"本物の"関係を切望している」、だから「我々に必要なのはマインドセットの切り替え」であり、「消費者にとり何が 重要なのか、どうすれば誠実に消費者と関係できるのか。我々は本当のパートナーシップを構築するにはどうしたらいいかというマインドセットに切り替える必 要がある」

今やグリーン抜きにモノづくりやサービスはありえないし、企業単独ではなくSCMをひっくるめてグリーンを追い求める顧客も無視できない。また、顧客とオープンに対話する姿勢も求められられている。これを実質的に理解するのか、理解しないのか。Greenpeaceのグリーンキャンペーンだけではなく、多様な局面で判断が求められる。

参考:Mindset Shift Required (Online Ad 2007/3/7)

2008/03/13

Nissan Qashqai

GuardianがNissanのQashqaiの広告キャンペーンを取り上げている。
(クリックでGuardianへ)

それよりもMakingのほうが面白いかもしれない。さて、この撮影で壊した車の台数は?

Qashqaiは同じだが、別の広告がYouTubeに上がっていた。こちらの方が個人的にはお勧めだ。


Source:Guardian / Nissan ad brings city to life

2008/03/12

SNS World Map -2

以前、紹介したValley Wagの「World SNS Map」だが、Le Mondeがもう少し分かり易いマップを出している。(クリックでオリジナルへ)

参考:World Map of Social Networks (Online Ad 2007/8/14)

Le Mondeは、大陸ごとに各SNSのユーザ数も出しており、Valley Wagでは影も形もなかったMixiも出ている。しかし、Mixiの発表ではまだ1,331万人のはずだが3,600万ユーザとされている。

Source:Le Monde / A chaque continent ses preferences
Source:Mixi / 2007年度第3四半期決算説明資料

2008/03/11

Twitter in Plain English

以前、Common Craftの「Social Bookmarking」を紹介したが、今度は、「Twitter」版が出ている。



Source:Common Craft
Source:Viral Video Chart / Twitter in Plain English
参考: Social Bookmarking in Plain English (Online Ad 2007/8/22)

2008/03/10

TNS Aquired Compete.com

Compete.comが7,500万㌦でTNSに買収された。

TNSといえばEOS Gallup Europeとともに、EU内での健康、失業、環境、開発、貨幣、EU統合など様々なトピックに関する一般市民の声を調査して多様なEurobarometerとしてまとめている。この買収によりTNSは、オンライン消費者の行動が購買意思にどのように影響しているかを明らかにし、オンラインおよびオフラインのマーケティング効果を向上させるとプレスリリースで書いている。

期待したいことがひとつある。Competeはアクティブな200万ユーザ(Competeツール利用者)、ISP/ASPパネルなどをベースとしてオンラインのデータを収集している。しかし、この大半は米国のものだ。そこに全世界のインターネットユーザ、ISP/ASPなども追加して全世界のインターネットユーザの検索行動、検索キーワード、サイト比較などのデータを提供して欲しい。

すでにCompeteは、Site Analyticsで登録ユーザには5サイトの比較データを無料で提供している。
また、Search Analytics (Beta) では、Site Referrals、Keyword Destination、Compare Siteという分析ツールを提供している。ただし、これは10クレジット以内であれば無料だが、それ以上は有料ということになる。

しかし、クレジットを使わなくても例えば、Nintendo.comへアクセスした検索キーワードのトップ5、キーワードごとのアクセスシェア、キーワードごとのサイトでの滞在時間インデックス、特定キーワードが誘引したユーザ数と滞在時間を組み合わせたエンゲージメントインデックスは見ることができる。
Source:TNS /TNS extends digital capability through acquisition of Compete
Source:Compete / Brilliant! TNS buys Compete

TNSが買収したからには、少なくとも欧州のISP/ASPパネルなどを追加してくるだろうし、ツールバー利用者を増やすプロモーションも考えられる。米国だけではなく欧州のインターネットユーザの検索行動、エンゲージメントなどの精度が上がってくることは期待できる。

そして、欧州だけではなくアジア、特に日本でのパネルやユーザ増加も進めて欲しい。

2008/03/07

Wal-Mart Blog Killed HD DVD

去る2月15日にWal-Martの映画部門のバイヤー、Susan Chronisterが「Check Out」というWal-MartのBlogに、「Wal-Mart Chooses a Hi Def Platform」というエントリを書き込んでいる。
Wal-Mart自体も同日に「Wal-Mart Moving Exclusively Toward Blu-ray Format Movies and Players」というプレス・リリースを出している。

このWal-MartがBlu-rayに転換するという話から日本では19日に東芝の発表があったわけだ。

Source:SearchView / Wal-Mart Finally Gets Blogs
Source:NYTimes.com /Wal-Mart Tastemakers Write Unfiltered Blog
Source:Wal-Mart / Wal-Mart Moving Exclusively Toward Blu-ray Format Movies and Players
Source:Check Out / Wal-Mart Chooses a Hi Def Platform

ここで問題なのはSusanの書込みが15日の午前4時34分だということだ。この時間がどのタイムゾーンでのものなのか、またWal-Martの正式リリースが何時にアップされていたのかは分からない。しかし、フライング気味の書き込みを指摘しているコメントが彼女のBlogにある。

Susan,

First, please understand that this is not directed at you. I hope you still have a job since the blog was published before Mr. Severson's "official" statement.

もしフライングだったとしても、大勢が決まっていたのだから彼女の書込みがHD DVDの息の根を止めたわけではない。しかし、NYTimes.comも次のように書いている。

It was a blogger on the Check Out, after all, who first disclosed last month that Wal-Mart would stock only high-definition DVDs and players using the Blu-ray format, rather than the rival HD DVD system. The decision was considered the death knell for HD DVD.

Wal-Martだけではなく、多くの企業でBlogを使った情報発信、共有、対話を行い、フィードバックを受け顧客とのコミュニケーションを高めようとしている。セレブを引っ張り出してきたり、CEO自身が書き続けているBlogもあるし、社員が様々なトピックを書き連ねたりしているものもある。
しかし、経営者を含め社員・従業員が書く企業の傘の下にあるBlogでは透明性が求められるとともに、公平な事実に基づいた書き込みが欠かせない。

とくにWal-Martは悪評高き前例があるだけに、ライターの正体を明らかにし、会社の押し付けではなく、内容をフィルターすることなく、ライター(Wal-Martのバイヤーなど)の生の声を消費者に届けるために「Check Out」を開始し、それなりの評価をあげている。
しかし、もしSusanの書き込みがフライングであるならば、また「Check Out」に書き込まれている限り、Wal-Martは上のコメントで心配しているようなことも行わなければならないのでは?

参考:Wal-Mart Enlists Bloggers in P. R. Campaign (Online Ad 2006/10/19)

さて、Awareness Networkの「Six Myths and Realities of Blogging and Social Media in the Enterprise」が伝えるEconomist Intelligenceの調査によれば、調査対象社の79%はソーシャルメディアやWeb 2.0を売上増加とコスト削減のひとつの方法だと考え、71%はすでにマーケティングや製品開発にオンラインコミュニティを利用している、あるいは今後2年以内にそうする予定だという。

しかし、まだ大半の企業はBlogやWikiといったソーシャルメディアツールを調査している初期段階であり、その本格採用に躊躇しており、何がソーシャルメディア利用を成功に導くカギなのかを探っている段階だというのが事実のようだ。そこでAwareness Networkは、企業がBlog、Wiki、その他のソーシャルメディアを企業として利用する際の神話とその現状をまとめている。

神話
  1. ガイドラインはコーポレートBlogのリスクを減らす
  2. コーポレートBlogを成功させるには、Blogする最適な人材を活用すべき
  3. 企業BlogはPR、そしてマーケティングツールとして効果がある
  4. セレブBlogがカギだ
  5. 全社員にBlogをやらせれば企業全体としてうまく行く
  6. Blogは従業員のコミュニケーションや顧客とのやり取りを活気付ける唯一のツールだ
Awareness Networkはこの神話に対する現実として6つを説明しているが、企業それぞれで持つ行動指針と照らし合わせてみることはいかがだろう。

Source:Awareness Network / Six Myths and Realities of Blogging and Social Media in the Enterprise
Source:Awareness Network (pdf)

2008/03/06

Hitwise Asia SNS Report

先日、UKのSNS事情について書いたばかりだが、Hitwise Australiaから「Asia Pacific Social Networking Report 2008」というレポートが出てきた。

参考:Impact of Social Networking in the UK (Online Ad 2008/2/1)

タイトルにアジア・パシフィックとはあるが、残念ながら豪、ニュージーランド、香港、シンガポールの英語圏の四カ国だけに関するレポートだ。まず、以下のように各国ごとにSNSトップサイトをリストアップしている。

面白いことに四カ国それぞれでトップSNSブランドが違う。しかし、どうやらFacebookが四カ国合わせて約三分の一のシェアを握っている。ただ、豪ではMySpaceがダントツで、1月は平均の12分1秒の倍以上の27分46秒をセッション時間をあげている。
UKの記事でも取り上げたのだが、アジア・パシフィックの四カ国でもEmailとSNSの関係が目を惹く。ここでもSNSとのエンゲージメントが深まるにつれてEmailサービスの利用が減っている。また検索エンジンの利用も減少気味だ。
Source:Hitiwise / Asia Pacific Social Networking Report 2008
(注:ダウンロードにはユーザ登録必要)

SNSがemail、検索エンジン、ポータルに対する影響だが、どこにでも適用される現象なのだろうか?日本あるいは米国ではどうなのだろう?

2008/03/05

Sustainability and CPG

IRI (Information Resources, Inc.) から「A Snapshot of Trends Shaping the CPG Industry」というレポートが公表されている。

これは22,000人以上の米消費者に対して、購入するブランドの選択に
  • 製品がオーガニック(自然)
  • エコフレンドリーなパッケージ
  • エコフレンドリーな製品
  • 従業員およびサプライヤーに対する公平な取り扱い(Fair Trade/Treatment)をする企業
という4つのSustainability要因がどのようなインパクトを与えるかを調査したものだ。

調査対象の約半数は上図の4つの要因のうち、少なくともひとつの要因を鍵として購入するCPG製品を決定し、それを購入するブランドを決めている。

それに加えて、購入する店舗の選択にも下の要因が与えるインパクトを調査している。
  • 従業員およびサプライヤーに対する公平な取り扱い(Fair Trade/Treatment)をする小売店
  • オーガニック製品の品揃え豊富
  • エコフレンドリーなパッケージを使った製品の品揃え豊富
  • エコフレンドリーな製品の品揃え豊富

(クリックで拡大)

IRIは、ブランド選択および店舗選択で少なくともそれぞれ2つを選択する消費者を「持続可能指向の消費者」としている。また、「持続可能性」はニッチから製品購入および消費行動に影響を及ぼす主流になりつつあるとしている。

フェアトレードで取り上げられる商品にはワイン、砂糖、ココア、米、コーヒー、紅茶、バナナなどがある。また、家庭用洗剤や掃除用品などもグリーンを謳う商品は全体が縮小する中で、66%、28%の伸びを記録している。

Source:IRI / A Snapshot of Trends Shaping the CPG Industry (pdf)
注:ダウンロードにはユーザ登録必要

CPG製品ではオーガニック、エコフレンドリー、フェアトレードが重要となり、それに加えてパッケージおよびSustainabilityマーケティングがカギを握っているのが明らかだ。

このレポートはCPGをメインとしてSustainabilityの影響を検討、調査しているが、先日の「Top 10 Marketing Trends for 2008」にあるようにB2Bでも「Green」がトップにきている。CPG以外であれ、B2Bであれ、Green、Fair Trade、Sustainability、そしてそれらをまとめるCSRがマーケティングの要になってきている。

参考:Top 10 Marketing Trends for 2008 (Online Ad 2008/3/3)

2008/03/04

Twitter Web Traffic and Twittermeter

Twitterの国別利用者比率(Webユーザのみ)が上がっている。

これを見ると、新し物好きの日本人が39%なのは分かるが、西英仏独伊蘭と欧州6カ国を合わせたシェアは43%に達している。ということは米国のWebベースのTwitterトラフィックの半分ほどにあたる。欧州でもTwitterに飛びついているアーリーアダプターが相当数いるらしい。

ただし、このデータはWebユーザのみなので、携帯やPDAなどを利用する米ユーザはWebユーザに数倍するのだろう。
Source:Twitter / Twitter Web Traffic Around the World

昨年末、TwitterのPublic Timelineに送信されたキーワードを検索できるTwittermeterが出てきた。これでようやくTwitter関連のトレンドの一部を垣間見ることができるようになった。

Source:Twittermeter.com

2008/03/03

Top 10 Marketing Trends for 2008

BtoB Onlineに「Top 10 Marketing Trends for 2008」という記事がある。
  1. Going Green
  2. Globalization
  3. Budgets shift to online
  4. The customer's in control
  5. Embracing Web 2.0
  6. Improving operation
  7. Targeted, personal events
  8. Integrating media platform
  9. Going mobile
  10. Blended search
Source:BtoB Online / Marketers face challenges from economy to ecology

どれをとってもうなずくばかりのポイントだし、これはB2BでもB2Cでも同じではないだろうか。その両方にインターネットは大きく影響しているのだから。だが、B2Bでも「グリーン」がトップに挙げられているのが興味深い。

Bank of AmericaBrighter Planetと組んで、再利用可能なエネルギープロジェクトをベースとしたコミュニティ構築を応援するため、カードを利用するとポイントがたまるという「グリーン」クレジットカードを2007年の11月から導入した。

そこで先日、各カード会社に対する「環境意識セグメント」検索からのアクセス実績を、CompeteのBlogが「Searching for the Green Consumer」というエントリで上げていた。それを見るとBank of Americaに対するグリーンコンシューマーのアクセスは10月に比べて171%増、実質的に6万件増えている。

Amex、Capital、Citibank、Discoverなど年末商戦に向けたプロモーションを繰り出していた各社を、ことグリーンコンシューマーの関心を獲得することに関してはBank of Americaが圧倒している。
Source:Compete Blog / Searching for the Green Consumer

B2B企業だからこそ、ユーザ・カスタマー、株主・投資家、ビジネスパートナー、政府・地方自治体などその他多くのステークホルダーを抱えるからこそ、一層、環境に優しい経営、製品、サービスが求められている。個人の責任以上に、環境に与える影響が大きいビジネスだからこそ、ステークホルダーの視線は厳しい。地域的に見れば特にEUの目は厳しい。

最近、Greenpeaceから最下位にNintendoが選出されたことを書いたが、1番目の「Going Green」と、2番目の「Globalization」を組み合わせて、「Growth through CSR」と読むべきなのかもしれない。

参考:Greenpeace Ranks Nintendo Last in Greenness (Online Ad 2008/1/28)
参考:Growth through CSR (Online Ad 2008/2/22)