2006/09/19

Times Reader

New York Timesが、4月28日付けで発表していたTimes Readerのベータ版がいよいよリリースされそうだ。Times Readerは、NYTとMSが共同開発し、XP、およびWindows Vistaで稼動する。Times Readerは、NYTimes.comの記事をダウンロードし、携帯端末、PCなどで表示するアプリケーションだ。
ベータ参加のエントリーも無料で行える。

Source:Wired.com

9月14日(日本時間)にエントリーしておいたところ15日(米国時間)にダウンロード指示メールが来た。さっそくダウンロードしてみた。

最初の起動時にすべてのニュースを読み込んでくるため結構時間がかかるし、「.NET」を使っているので以降の指定間隔での更新も重たい。
上下・横矢印キーでセクション移動、記事内および次記事へ移動。記事の保存、印刷、Email転送、そして記事内にノートを追加することができる。ノートはコピー、メモ追記、ハイライトなどができる。

起動画面はHOMEだが、NYTimes.comのHOME PAGEとは若干レイアウトが違うが、コンテンツは同じ。ただし、掲載している広告はTimes ReaderとNYTimes.comでは違う。

手軽にプリントでも、オンラインでも、そしてユビキタスに、NYTのコンテンツを消費させようという目論見は分かるし、オンライン広告が伸びるにつれてWebの広告スペースがタイトになってくるのはNYTimes.comクラスのサイトなら予見できる。Readerによって広告のインベントリを増やし、Webサイトと合わせて、プリント広告の落ち込みを埋めたいというだけなのか、それともまったく新しいヒネリを用意しているのだろうか?

英国高級紙の中でも発行部数が最も少なく、デジタル化に命運をかけなければならなかったようなGuardianに比べれば、まだまだ当分は、紙に依存しなければならないNYTの苦肉の策なのか?
米国のNAA (Newspaper Association of America) によれば新聞紙の発行部数は減少を続けている。米国成人人口のうち、1998年は58.6%、2000年は55.1%、2005年は51.6%が新聞購読者だ。しかし、Newspaper of the Recordとも呼ばれるNYTはさほど、購読者数の落ち込みもなく世界の新聞たる地位を確保している。

ところが、Young challenge mainstream media を読むまでもなく、今後、紙に依存できなくなるのは明らかだ。デジタル化の波にもまれ、NYTimes.comはサイト内にMY TIMESというエリアを設け、自身がニュースアグリゲーターサービスを提供している。また、MOST POPULARでは、最もemailされた記事、Blogされた記事、検索されたキーワード、そして人気のある映画を紹介しているが、情報提供者サイドからのSNS風ユーザ囲い込みだ。これでは、新聞を読まない傾向の強いYoung Adultといわれる20~30代ユーザへの訴求が弱い。

このグループへの訴求、そして携帯端末でコンテンツを消費するユーザを目的としたTimes Readerだとしても、情報提供者側からの一方的な記事提供に限定されている限り、広告売上増加に加えた新規ユーザ獲得は難しい。

Guardianと比べた場合、NYTはプリントとオンラインの戦略がまだ固まっていないように見える。

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