2006/09/27

The Future of the Internet II

PEWが新しい調査を公表した。742人のインターネット業界のリーダー、活動家、コメンテーター達に、インターネットが及ぼす2020年の社会、政治、経済への影響をまとめたものだ。

そのサマリの一部を紹介する。
  • グローバルネットワークの展開
    56%が、グローバルで低価格のネットワークが生まれ、世界中の大半の人たちに活用されることに同意。また、技術がもたらす世界のフラット化はグローバルに競争する人々に成功の可能性の扉を開くと考えている。
    逆に43%は、経済面で現在の優位性を確保する動きや、情報や通信の規制を行う政治面を心配している。

  • 人間と技術
    今 から2020年までの間、まだ人間が技術・機械をコントロールすると大半が考えている。しかし、42%は人間のコントロールを超える機械やプロセスが技術 の進歩によってもたらされると心配している。これはインテリジェントエージェントや分散コントロールが、人間の関与を廃絶し、後戻りできなくなるまで認知 されない危険や依存性を指している。
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    2020年以降、ターミネーターのような時代が来るのだろうか?

  • 透明性とプライバシー
    真っ二つに割れているが、46%は企業・個人の透明性を進めることにメリットを見出し、49%はプライバシーに重きをおくとしている。

  • IT化反対者、技術追随不能者の増加と、暴力
    経済的な問題や技術的にITについていけない人々が2020年に存在すると考えられる。モダンな社会から別離し、IT化反対の暴力行為に出ると考えるのが58%もいる。ただし、この暴力に比べれば、宗教、経済、政治の暴力がもっと多いとされる。
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    技術の進歩に後れてしまうラガードはいつの時代にも存在する。ロジャースの「Diffusion of Innovation (Innovation普及学)」が示しているように;
    1. イノベーター(革新的採用者)--------------2.5%
    2. アーリーアダプター(初期採用者)---------13.5%
    3. アーリーマジョリティ(初期大量採用者)----34%
    4. レイトマジョリティ(後期大量採用者)-------34%
    5. ラガード(伝統的懐疑主義者)-------------16%
    ラガードは、社会システム内で孤立し、彼らが原点とするのは過去だ。決定権を握るのは前はどうだったかということで、比較対照する情報が不足しているため技術革新、新製品に疑いを持っている。だから最後まで、新製品や技術革新を採用することはない。

    Source:http://www.riccistreet.net/port80/charthouse/present/diffusion.htm

    さて、インターネットの普及を見ると、欧米先進国は50%のクリティカルマスを超え、ロジャースの5分類からするとレイトマジョリティ段階に入っているといえる。

    欧米グローバル企業は、IABなどの報告を待つまでもなく、このマスに対して既存メディアから予算をシフトさせている。また、Shell、BP、Exxon、Philips、GE、Cargillなどは企業広告を開始し、ShellやBPなどは環境保護、温暖化防止への企業努力を強く世界のインターネットユーザにアピールしている。これはインターネットがクリティカルマスを超えていることと、インターネットユーザの一部、すなわちデジタルイノベーター・アーリーアダプターが、既存メディア上のコンテンツを評価し、オリジナルコンテンツを供給、共有することでロングテールへ大きな影響を及ぼしているというメディアだということ。この2つを理解したうえで、国内、海外のステークホルダーへの情報提供チャネルとして活用している。

    欧米グローバル企業が行う総体的なオンライン露出と、デジタルイノベーター・アーリーアダプターへのターゲティング露出は累積されていく。この露出ギャップを埋めるのは日本企業の現地子会社か、それとも日本本社なのか?

  • 優先投資
    78%は、政治や業界がネットワークの規模拡大と技術情報を広げることで世界中の人々の暮らしを豊かにすると考えている。

  • オンラインの言語
    42%は今後数十年間の異文化コミュニケーションに世界共通語として英語が機能することに同意。しかし、57%は英語が他言語を圧倒することはなく、中国語やその他の言語が影響力を拡大するほうに同意。
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    言 語に関して言えば、今後、中国語などのWebページ数・トラフィック量が急増するのは間違いない。しかし、その大半は国内であり、グローバルコミュニケー ションから見れば英語がその地位を脅かされることはない。中国にしても、インドにしても、億単位で英語を学んでいる人がいるのだから。

    参考:Lingua Franca
Source:PEW : The Future of the Internet II

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