2009/12/29

Social Media Power

先ほど、Susan Boyleが来日したとNHKのTVが伝えていた。

YouTube、DailyMotionなどに上がっている彼女のビデオは、Visible Measureによれば3億回、Viral Video Chartによれば2億回以上視聴されている。


HowSociableでSusan Boyleのソーシャルメディアスペースにおける可視性スコアを見ると2,886となっている。
Madonnaは3,422だ。
Source:HowSociable.com

80年代からポップクイーンとして活躍してきたMadonnaに対して、英視聴者参加番組出身、ポット出のSusanがその84%程の可視性スコアをたたき出している。このコンテンツ流通、配信、共有、再露出において最も大きな働きをしたのはYouTube、Blog、Twitter、Facebookをはじめとするソーシャルメディアだ。資本側が巨費を投じて露出キャンペーンを張ったわけではない。Madonnaがこれまでに投下した費用と同額を投じたところでこれほどのブームにはならなかっただろう。

大昔、Universal McCannの「Power to the People」というレポートを紹介して、その最後に次のように書いた。
しかし、このレポートが意味することは2つある。

ひとつはLetting Consumers Control Marketing : Pricelessや、Mindset Shift Requiredで書いたように、背景としてすでにブランドのコントロールはブランド自身の手を離れ始めているし、パワーは消費者が握っているという理解 が世界のCEO達にあることだ。また、直に消費者の変化、メディアトレンドを理解し、表層的な対応をするのではなく、コアの変化を理解した上で、もっとも 求められている誠実で、平等な対話を、オープンに行うコミュニケーションやマーケティング戦略が必要とされていることだ。
そうすると「(Media) Power (is shifted) to the People」という意味が見えてくる。

そして2つ目は「(広告主、広告代理店の人々に勇気を」ということだ。

参考:Letting Consumers Control Marketing : Priceless
参考:Mindset Shift Required
参考:Power to the People (Online Ad 2007/07/16)

2007年当時よりも一層進んだ、「Power to the People」トレンドは大きな変革をもたらした。Susan Boyleを世界中に知らしめたのはソーシャルメディアだ。2007年当時よりもコンテンツの流通、配信、共有、再露出チャネルがソーシャルメディア化してきている。2007年当時よりも、ブランドのコントロールは消費者に移りつつあり、ブランド関連コンテンツは消費者が制作し、それを配信している。

もはや、このパラダイムシフトを理解せずに、来年を迎えることは難しい。変革することは難しいが、それなしに来年を迎えることは難しい。

今年よりも一層メディアパワー、ユーザパワーが拡大する来年こそ、「ソーシャルメディアパワー」が爆発するだろう。

2009/12/28

2010: Year of Social Media Marketing

MarketingSherpaから「2010 Social Media Marketing Benchmark Report」が出ている。

Executive Summaryには、効果的なソーシャルメディアマーケティング戦略をマッピングしたものがある。まず、頭文字をとってROADというソーシャルメディアマーケティングの戦略ロードマップを示し、それぞれがフェーズ1:実作業なし、プラットフォーム選択時期、フェーズ2:非公式の実作業を不定期に実施、フェーズ3:公式の実作業を定期的に実施という3フェーズに分けてみている。
  • Research まずは何をおいてもモニタリング
  • Objectives ターゲットオーディエンスに沿った目的決定
  • Actions 戦略構築
  • Devices オーディエンス、目的、戦略をベースにプラットフォームを展開開始
それを前提に2,300人のマーケター達がどのロードマップ、どのフェーズにいるかを聞いたのが下の図だ。

すでにフェーズ1(トライアル期間)を過ぎて、フェーズ2(移行期間)に移っているマーケターが平均で40%に上っている。フェーズ3(戦略実行期間)に達しているのは23%だ。
また、ソーシャルメディアマーケティング予算を来年増やすのか、あるいは減らすのかを各業界ごとに示すグラフがある。

Social Connection to E-Commerceでも見たように小売・E-Commerceの流入トラフィックにソーシャルメディアスペースは大きな割合を示していた。

参考:Social Connection to E-Commerce (Online Ad 2009/12/16)

ということで、各業界の中でもマーケターの79%が予算を増やすと回答している小売・E-Commerce業界がトップだ。自分の首を絞めかねない出版・メディア業界も63%、旅行・レジャー業界も52%、そして教育・ヘルスケア業界でも43%が予算を増やすと回答している。
Source:MarketingSherpa / 2010 Social Media Marketing Benchmark Report

ソーシャルマーケティング予算の60%は、Blogを書いたり、コンテンツを制作したり、ソーシャルメディアスペースにおけるモニタリングを行う人件費に 充てられるようだ。また、20%は外部のエージェンシー、コンサルタント、その他サービスプロバイダーに支出されるようだ。

ここまで人件費シェアが高いということなので、MarketingSherpaの調査対象となった2,300人のマーケターの大半は中堅以下の中小企業に属していると見られる。

すそ野が広い中小企業のすでに40%がフェーズ2に入っており、乱暴に平均すると50%以上が来年、ソーシャルメディアマーケティング予算を増やすわけだ。しかし、中小企業なので予算が増えるわけではなく、他の予算から振り替えられることになる。当然、それは新聞・雑誌、ラジオ、あるいは展示会、印刷物、DM予算が削られてくることになる。

今年の春、紹介したIBMのレポートでは、2012年に伝統的、レガシー広告はマーケティング予算の32%へ落ち込むと予想されていた。また、DMやプロモーションと言った伝統的マーケティングも42%へ落ちるとされていた。
参考:Beyond Advertising (Online Ad 2009/04/30)

どうやらIBMの予想をはるかに超えるスピード、幅で伝統的、レガシー広告およびマーケティング予算が削られてゆく2010年になりそうだ。

ということは、伝統的、レガシー広告およびマーケティングに関係する代理店、エージェンシーにとってリーマンショックを上回るダメージを被る年にもなりそうだ。

2009/12/25

Fiesta Movement Chapter 1 Completed

このBlogでも何度も取上げたFordのソーシャルメディアマーケティング部長、Scott Montyが取り仕切っていた「Fiesta Movement」が12月1日で終了した。
Source:MarketingVox / Ford Update

そのラップアップビデオが上っている。


来年早々にも米国で販売を開始するFiestを、ソーシャルメディアスペース(マイクロサイト、Facebook、YouTube、Twitter、Flickr、その他)を活用したマーケティングを行った結果、8万人が購買すると手を挙げている。仮にFiestaを1台200万円だとすると総額1,600億円の売り上げにつながることになる。

1㌦の広告費も使わず、若干のマーケティング予算を支出しただけのこのFiest MovementはとてつもないROIをたたき出したことになる。

Twitter のDell_Outletアカウントが650万㌦とか700万㌦を稼いだと注目を集めているが、そんな小さな話ではない。そんな広がりのない話ではない。そんな狭い話ではない。

従来からのレガシー広告やPR、マーケティングを本当にひっくり返したのがFiest Movementだ。これこそ、2009年を占めくるるにふさわしい話だと思う。そして、Fiesta Movementはこれで終わりではない。チャプター2はすでに始まっているし、Fusion 41も始まっている。そして、Scott Montyは北米だけではなく、今後、グローバルをカバーするようだ。

このFiest Movementから学ぶことは多く、同業他社も指をくわえて見ているだけという傍観スタイルで1年を過ごすことはないだろう。そして、この学習はなにも自動車メーカーだけとは限らない。

2009年、Fordの予算の50%はTV、10%がプリント、そして40%はすでにデジタル化している。この40%の中にFiest Movementなどソーシャルメディアマーケティングが含まれている。

Source:Ad Age / Ford Readies Single Global Push for 2011 Focus

TV予算を持たない中小企業、TVを活用するナショナルブランドであっても、来年はデジタル予算を増やし、ソーシャルメディアマーケティングやソーシャルメディアリレーションズを実験し、あるいは本格運用に移る企業・ブランドが増えてくる。その効果、結果が少しずつ見えてくる来年、一層、TV予算の意義が問われてくる。

そして、Fordは海外へも展開を始める。

そんな中、何も学習しない企業・ブランドは、せっせとTV予算を消化することになる。

来年はソーシャルメディアマーケティングやソーシャルメディアリレーションズ元年となり、何も学習しない企業・ブランドとの二極化が鮮明になるだろう。

2009/12/24

Leveraging Real Time Events

SimpliflyingのShashank Nigamが、IATAのシンポジウムでキーノートスピーチを行っていて、そのプレゼン資料がアップされている。

6つのアジェンダのうち、リアルタイムイベントをテコにする3つのアイディアが紹介されている。
  1. 遅延対策
    国際線に出発時間の遅延はつきもの。待たされている乗客がラウンジでTweetするのも当然。もし、搭乗口の担当者がCo-Tweetできたとしたら...
  2. 荷物紛失
    航空会社は乗客に謝罪し、まず、帰宅するようSMSを送り、モバイルで紛失した荷物をトレースするアプリを開発したとしたら...
  3. カスタマーサービス
    様々のトラブルを抱えている乗客、顧客にリアルタイムで対応ができたとしたら...
Source:Simpliflying / Keynote from IATA Commercial Symposium 2009

Twitterで、「flight delay」、あるいは「flight status」と検索してみるといい。「時間通り」をTweetしているユーザの何倍もの人々が、「うんざりする」、「また遅れてる」、「いつになったら」と嘆息している声が聞こえてくる。

昔、破産する前のパンナムでカナダからNYへ飛んだ時、バックを失くされた。NYのホテルにカスタマーサービスから調査中との電話があったきり、次に来たのは日本へ紛失物弁償請求書を送ったとのボイスメールだった。まだ1カ月は米国にいると伝えたにも関らず...。滞米中は調査がどこまで進んでいるかもわからず、結局、日本に戻っても請求書は届いていなかった苦い思い出がある。

出発が遅れている時、荷物を失くされた時、そんな時、リアルタイムで対処してくれる担当者がいるだけで救われる。そして、その対応すべてがオープンにされているだけに乗客、担当者の会話はブランドと消費者のコミュニケーションメッセージとなる。オンラインのブランディングとなる。SouthwestのLouis Beginは、一人の顧客に心から対応しただけだが、そのブランディングは世界へ広がっている。

先週、Strategy of British Airwaysを書いたばかりだが、こんなマーケティングもJALには必要だ。顧客、乗客にどんな価値を提供できるサービスができるかが再生するJALには必要だ。それがなければJALの再生は完結しない。

参考:Southwest: Brand Royalty (Online Ad 2009/10/26)
参考:Strategy of British Airways (Online Ad 2009/12/18)

2009/12/22

Media Allocation in China

米国消費者と中国消費者のメディア消費とメディアによる影響を比較したProsper China MediaPlanIQというデータがある。

例えば、食料雑貨の場合、18-54歳の中国人消費者に対しては、雑誌に14.2%、新聞に30.4%、TVに36%、ラジオに10%、インターネットに9.5%のメディア配分を行うべきとしている。食料品雑貨ではTVの消費、影響力が大きい。反面、米国人消費者の場合は、新聞が38.4%とトップを取っている。

テレコム製品の場合も、中国ではTVが35.8%でトップ。食料雑貨とあまり差はない配分となっている。しかし、米国の場合はTVが37.9%でトップだ。インターネットも15.3%、ラジオも20.7%と大きくシェアを伸ばしているが雑誌、新聞が落ち込んでいる。特に新聞は20ポイントも落としている。

米国の場合、食料品雑貨と言ったローカル物品は、当然、地方紙、地方TV局がメディア消費も影響力も大きい。が、テレコムといったナショナル物品になるとネットワークTV、ラジオ、インターネットの力が大きくなると言ったところだろうか。
さて、中国において今後半年間に乗用車・トラックの購入を計画している消費者のメディア消費や影響力を考慮すると、以下のようなメディア配分をすべきとしている。
Source:ProsperChina / MediaPlanIQ: China (pdf)

乗用車・トラックの購入を計画している消費者のメディア消費と影響力を考えると4大メディアが81.2%、インターネットとモバイルを合わせて18.8%のメディア配分を行うべきとのことだ。

しかし、2009年7月に発表されたCCNICの最新レポートによれば、中国のモバイルユーザは1.55億人、全インターネットユーザの46%に達して、6か月で3,780万人も増えている。ちょっとした国が抱える総人口以上のモバイルユーザが増えている。モバイルの配分が6.3%で良いのだろうかと思っていまう。
Source:CNNIC / The 24th Survey Report (pdf)

2009/12/21

US Facebook Users Update Nov 2009

Media Postが米国Facebookユーザ数が1億人を突破したと伝えたと思ったら、Business Insiderは米国FacebookユーザがAOLのそれを上回ったと伝えている。
Facebook over time

そして、Morgan Stanleyが10月に出したデータでは全世界で3.9億人のユーザ数としている。
Source:MediaPost / Facebook Tops 100 Million U.S. Users
Source:Business Insider / Facebook Blows Past AOL In The U.S.
Source:Morgan Stanley / Economy + Internet Trends

1億人の米国ユーザと2.9億人の海外ユーザを合わせて3.9億人のユーザが全世界からアクセスするソーシャルメディアスペース、Facebookは、中国の13.4億人、インドの11.6億人、YouTubeの4.45億人に次ぎ、世界第4位の大国となる。そして、その人口は日々増えている。米国だけではなく、欧州、東南アジア、南米でもユーザが増えているし、ユーザが持つ個人的なソーシャルコネクションは国境を越えて世界へ広がっている。

雑多な言語ユーザを抱えるオンラインカントリーだが、言語ごとに隔離されたユーザではない。昔、StarbucksのFacebookにあるコメントを200件ほどチェックしてみたところ15件くらいが非英語での書き込みだった。非英語ユーザが英語で書き込んだ件数はチェックできないが、乱暴にその倍以上はあるだろうと考えて合計50件とすれば25%になる。全体の25%を占める非英語ユーザがFacebookのStarbucksページで対話していることになる。

世界中のユーザが企業・ブランドと直接エンゲージできるスペースとして使い始めている。もう翻訳記事やニュースを待つこともない。非英語圏のユーザであろうが、英語どころか数ヶ国語を操るアーリーアダプター、インフルエンサーは企業・ブランドと直接対話を始めている。そして、彼らは国内ユーザにブランドコンテンツを翻訳し、リンクを提供し、共有し始めている。

米国企業・ブランドは国内マーケティングの一環としてFacebookを使っているかもしれないが、その効果は米国テリトリーを越えてゆく。そのため、本社が行うグローバルなオンラインブランディングとして機能している。一方、米国へ進出した海外企業の子会社、販社が行う米国内向けマーケティングも米国を越えてゆき、意図せず、本社が行うべきグローバルなオンラインブランディングとして世界のユーザに露出している。だから、米国販社のマーケティングにイスラエルや南アフリカから問合せがくることになる。この違いは大きい。

この違いを手当てしなければ、米国企業・ブランドのソーシャルメディアマーケティング、ソーシャルメディアリレーションズをスタンダード、世界標準だと認識する世界のユーザから大きくかけ離れたマーケティングを行うことになってしまう。この違いを手当てするのは各国の本社しかないと思うがいかがだろうか?

2009/12/18

Strategy of British Airways

Harvard Business Reviewから、「Managing Across Distance in Today's Economic Climate: The Value of Face-to-Face Communication」というレポートが出ている。

世界同時不況の影響は深刻で、世界中の企業がコスト削減にまい進している。中でも海外出張予算の削減が69%、より安い航空会社・チケットを探したり、出張回数を減らすのが57%、ホテル代を減らすのが51%だ。
それは出張予算を見れば一目瞭然だ。前年予算から減らしたのが56%にも達している。平均すると出張予算は前年比17%も削減されている。
出張予算、回数を減らすことによるネガティブなインパクトがない、あるいはポジティブなインパクトがあると答えた対象もいる。そういった企業は、海外業務がなく、金融、IT関連であったり、長距離出張がない企業だ。

しかし、52%はネガティブなインパクトがあると答えている。それはCレベル、戦略・ビジネス開発、マーケティング・営業の人間で、66%は10回以上の長距離出張をこなし、驚くことに今年出張予算を増やしたところも68%に及んでいる。
それはなぜかというと、新しいクライアントを訪問してビジネスを始めたり、既存契約の交渉、有能な人材雇用、重要顧客・ビジネスパートナーとミーティング、既存顧客に対するビジネス拡大といった局面では対面が最も有効で、効果があるとそれぞれ94%から69%が認識しているからだ。
こういった対面業務、活動は長期にわたる良好な関係構築に役立ち(95%)、企業・個人としても強固なビジネスコネクションを構築し(95%)、関係・契約の締結・調印に必須だと認識されているため(89%)、これら予算は削減対象から除外されているケースが多いようだ。

Source:British Airways / Business Grants

こんなHarvard Business ReviewのレポートをBritish Airwaysがスポンサーしている。そして、BAは、Face of Opportunityというエッセーコンテストを開催し、中小企業の参加者から200名を選び、NYからLDNまで運び、新しいビジネス開拓の手助け、無料のビジネス支援をしていた。


こういった地道な努力をBAは行っている。乗客を目的地に運ぶことだけで完結していた時代からは隔世の感があるが、今、乗客・顧客に新しい価値を提供することでしか、この不況を乗り切り、ビジネスを継続することはできないと理解している。

さて、企業年金問題が解決したとしてもJALが直面するのはこういった地道な努力をやれるか、続けられるかだし、オンライン、ソーシャルメディアを活用した戦略マーケティング、あるいはメディアリレーションズを構築できるかだ。そして、その時間はあまりない(かもしれない)。

参考:JAL Story (Online Ad 2009/14)
参考:JAL Story -2 (Online Ad 2009/10/02)

なぜなら、今後、テレビ・ビデオコンファレンス、Webinarがミーティングの中心になるのは避けられない。対面ミーティング、交渉が将来のフォーマットと考え、これからも増えてゆくとするのは21%いるが、53%とか、44%とか、36%が対面以外のコンファレンス、Webinarが増えてくると答えている。
この点はBAも同じ問題を抱えることになるが、顧客・乗客に価値を提供するチャネル、スペースを今、活用しようとしている点がJALとは大きく異なる。ここがポイントになる。

2009/12/17

Amateur Video Power

Mashableの「The 10 Most Innovative Viral Video Ads of 2009」にSamsungの「YouTube HD Camera Trick Challenge」がピックアップされている。

Source:Mashable / The 10 Most Innovative Viral Video Ads of 2009

SamsungのHDカメラを使って室内を撮影している時、手に持ったカメラはないにも関わらず撮影が続けられる。そのトリックは...?


さて、このトリックは何かと言うと...


「なーんだ」、「やっぱり」、あるいは「ほらね」という結果だが、ここまで引きずったSamsungの勝ちだろう。

このビデオは、ViralVideoChartによれば4月14日に発見され、今までに117万回視聴されている。273のblogが記事を書き、コメントは2,111を記録している。(12月16日時点)

Source:ViralVideoChart / HD Camera Trick Challenge

3月にアップされ今までに1,100万回以上視聴された、Extreme Sheep LED Artもあり、Samsungはバイラルビデオをうまく使っている。

参考:Extreme Sheep LED Art (Online Ad 2009/03/24)

こんなバイラルビデオ上手のSamsungの上を行きそうなのが、日本の5歳の男の子がウクレレを奏でるビデオだ。


Source:YouTube / I'm Yours (ukulele)

このビデオはすでに492万回視聴され、921のBlogが取上げ、21,161件のコメント、6,890件のTweetsがある。(12月16日時点)

こんなビデオが多くのYouTubeユーザに支持されているのを見ると、膨大な予算をかけてプロが制作したビデオがかすんでしまう。

アマチュアのビデオパワーは、企業・ブランドのパワーをはるかに超えている。ユーザが思わず手をたたきたくなる、感情移入したくなる、われ知らず顔がほころび、声に出したくなる、コメントを書きたくなり、友人・知人にemailやTwitterで知らせたくなる、そんなパワーをもったビデオがアマチュアに作れるのだ。たった3カ月間だけ、NHKテレビのウクレレ教室でウクレレを覚えた5歳の子供が世界のユーザを揺り動かしている。この制作費タダに近いビデオが世界を駆け巡っている。

企業・ブランドが巨費を投じて制作する各種コンテンツをはるかに超えるエンゲージメントを獲得するアマチュアビデオは、今までのマーケティング、パブリックリレーションズ、広告などの法則、方式、基本、前提などすべてをひっくり返している。与えるものと、与えられるものといった固定観念や原則をひっくり返し、新しい観念、考え方を要求している。

そして、アマチュアビデオは今までの固定観念を払しょくするだけではなく、企業・ブランドに牙をむくこともある。United航空がかみつかれたように。

Source:ViralVideoChart / I'm Yours (ukulele)
参考:Bad Reputation Fly High (Online Ad 2009/07/29)

2009/12/16

Social connection to E-commerce

OneUpWebから「The 2009 Holiday Special Report」が出ている。

まず、小売、ソーシャルネットワーク、レビューサイトのトラフィック比較をしている。ベンチマークのGoogleと比較するとかすんでしまう小売サイトもあるが、Facebook、eBay、Amazon、そしてWalmartは十分なユニークビジターを獲得している。
そして小売サイトへのリフェラルを見ている。Amazon、Walmart、Best Buy、SearsにしてもGoogleとYahooを除くと、Facebookが必ずトップ5に顔を出している。小売サイトの中でもAmazonへのリフェラルトップ5(Google、Yahooを除く)のうちeBayを除く4サイトがソーシャルメディアスペースとなっている。
Source:OneUpWeb / 2009 Holiday Special Report (pdf)

4サイトともに競合サイトからのリフェラルがあるが、これはリアルでも同じだ。あそこの店とここの店をチェック、比較して薄型TVを買うといった消費者の行動がオンラインでもあるだけだ。

しかし、AmazonのリフェラルトラフィックにFacebook、YouTube、Wikipedia、そしてTwitterが入っているのは、Amazonがいかにソーシャルメディアフレンドリーなのかが見えてくる。各ソーシャルメディアスペースにおけるプレゼンス、コンテンツ発信、対話、そして共有というフローがなければこれほどまで他小売サイトと大きな差はできない。

そして、ソーシャルメディアスペースからのリフェラルが上位を占めるべきは何もE-commerceサイトだけではない。B2Cであれ、B2Bであれユーザ・顧客、ビジネスパートナー、他のステークホルダーからのアクセスが必要なサイトはすべて、Facebook、LinkedIn、Twitter、ブランド独自ソーシャルメディアスペースからの流入トラフィックが必要となる。いつまでもSEOやSMOに縛られている必要はない。というか、検索がらみのタッチポイントよりもコンテンツ生成やコミュニケーションが発生するソーシャルメディアスペースでのマーケティング、メディアリレーションズが求められる。

ソーシャル検索はもうそこまで来ているのだから。

参考:Social Search Impact (Online Ad 2009/10/28)

2009/12/15

Twelpforce of Best Buy

Best Buyのソーシャルマーケティングマネージャ、John BernierをMichael A. StelznerがインタビューしているビデオがVimeoに上がっている。



社内のアーリーアダプターに声をかけ、数か月トレーニングを行い、オンラインカスタマーサービスであるTwelpforceを7月から開始。10月末までに14,000件の質問が寄せられ、それに回答したのは合計2,100人のBest Buy社員だ。営業的なROI算出はまだだが、少なくともブランド価値の側面からは大成功と言えるだろう。

そして、Johnは、Twelpforceを「顧客が持っている知識と、顧客が製品を楽しむために必要な知識、そして理想的な夢のステージ、あるいは体験を獲得するためのギャップを埋める橋」と形容している。

Source:Vimeo / Interview With John Bernier of Best Buy
Source:Social Media Examiner / How Best Buy Manage 2100 Employees on Twitter (Video)

ここにあるのは知識の共有だ。知識を共有する社員、顧客の中での新たな知識の共有だ。その中からソーシャルコネクションが生まれてくる。これがソーシャルメディアだし、企業・ブランドが所有するリソースをソーシャル化することになる。

また、この手段は失敗がつきものだ。最初からゴールが見える道のりではない。なぜならソーシャルコネクションに参加するユーザによって、このコネクションは右にずれたり、左にぶれるのが通常なのだ。細いコネクションを縒りながら修正、微調整してゆかねばならない。最終的に太いコネクションへ育てていかなければならない。1本ニュースリリースを出せば、1本広告を出稿すれば、1本CFを流せば済むといった関係者だけにとって簡単、ROIが高いと信じるコミュニケーションチャネルではないからだ。

そして知識の共有は何もTwitterに限った話ではない。FacebookやIdeaxでも同じように知識の共有からソーシャル化するアプローチがとられている。
なお、JohnによればBest Buyは80%の準備段階でTwelpforceをリリースしている。走りながら準備を重ね、結果を出さなければならなかったような切迫した状況ではなかったろうが、一つ言えることは、それだけ「知識の共有、社内リソースのソーシャル化、ソーシャルコネクションの育成」がビジネスケースの最大命題化していることは明らかだということだ。

また、ソーシャルメディアユーザにおいてきぼりを食わされる企業・ブランドのイメージ、姿、企業価値を予想できたということであるのかもしれない。

2009/12/14

Toyota Floor Mat Campaign

Toyota USAが「Floor Mat Campaign」をやっているとBrandChannelが伝えている。

それによれば、
Toyotaの2009年は1950年以降初めて50億㌦の損失を計上、米国政府の支援策により、ようやく第三四半期に2.41億㌦の利益を計上している。ただし、この暫定的な回復を脅かしかねないのが12人の命を奪ったアクセル、フロアーマット問題だ。
ブランド、販売などに途方もないダメージを与える400万台のリコールという現状にあるToyota USAのサイトには、
大量リコールをうかがわせるものはなく、ただ、「NEWS ALERT Important Information on Floor Mat Campaign」とページ左下に、あくまでも目立たなく小さな告知があるだけだ。
と伝えている。
(クリックでサイトへ)
また、昔、FordのPinto/Explorerがメカニカルな問題を隠ぺい、軽視、あるいは危険性公表を怠ったために受けたダメージを例に引き、
Toyotaはデトロイト、大昔のデトロイトの流儀に危険なほど似ている
とまで書いている。

Source:BrandChannel / Accelerator Recall Missteps Threaten Toyota's Recovery

日本におけるパナソニックの例を引くまでもなく、製品に瑕疵、それも重大な事故を引き起こしかねない欠陥が発見された場合、メーカーのとる対応は限られている。

が、メーカー自体の認識が「フロアーマット」キャンペーンの場合、パナソニックとのブランド評価は大きく開きそうだ。

Sysomosの「Best Global Brands Online」のランキング10位にToyotaは顔を出しているが、ランキングには別に「最も高いネガティブセンチメント」もある。この3位に顔を出しているのもToyotaだ。日本のグローバルブランドが、このランキングトップをMcDonald'sと争うようなことにはなって欲しくない。
Source:Sysomos / Best Global Brands Online

2009/12/11

Twitter User Nov 2009

Silicon Alley InsiderのChart of the Dayに、最新のTwitterユーザ数が出ていた。

11月時点で全世界9,370万人となっている。1月が1,980万人なので、10ヶ月で7,400万人も増えている。ただし、7月に単月で940万人増加して以降、単月のユーザ増加数は落ちている。11月は710万人だ。
Source:Silicon Alley Insider / Chart of the Day

そしてChart of the Dayの元ネタ、WebProNewsには、Tweets数推移データもあった。それによれば、11月時点の総Tweet数は60.91億、1月が11.65億なので、10か月で49億超も増えている。また単月ごとの新登録ユーザによるTweet数も8月に若干落ち込んだことを除けば、一貫して増えている。

総登録ユーザ数で総Tweet数を割ると、11月は9.5Tweet@Twitterということになる。10月は9.3、7月は10.5だった。
Source:WebProNews / Number of New Twitters Declines

最初の図を見ると、Twitterの伸びもこれまでかという見方になるし、2番目の図を見るとTwitterユーザ当たりのTweetは増えているのでTwitterそのものの影響力はこれからも増えると見ることもできる。

さて、ソーシャルメディアスペースがモバイル化することと、Twitterがより普及、浸透することは同じコンテキスト上にある。だから、Twitterの伸びが一時期弱まったとしても、個人のソーシャルコネクションがモバイル化することにより、Twitterのユーザ数は増えるし、その影響力はますます強まると言える。

そして、Twitterに限らず、どんなサイトであれ登録ユーザ数のうち、本当に重要なのはアクティブなユーザだ。このアクティブユーザであり、アーリーアダプ ターであり、インフルエンサーであり、ブランドアドボケーターが重要だ。彼らのコンテンツ、メッセージ、コメント、リプライなどが他のユーザを引きずって ゆく。他のユーザのイメージ、コンセプト、判断に大きな影響を与えてゆく。

彼らはFacebookユーザであり、Twitterユーザであり、WordPressユーザであり、YouTubeユーザだ。彼らは多様なメディアチャ ネルを駆使し、彼らのオリジナルコンテンツに加え、編集・加工・評価したブランドコンテンツをそれらチャネルに供給してゆく。そして彼らのフレンド、フォ ロワー、サブスクライバーをリードしてゆく。

今は、Demi Mooreの旦那が400万人以上のフォロワーを抱えているが、今後、アクティブなTwitterユーザに数万、数十万、あるいはひょっとすると数百万のフォロワーがいてもおかしくない時がくる。その時、Twitterにアカウントもなく、アカウントがあったとしてもフォロワーもフォロイング数も少ない企業・ブランドは、ソーシャルコネクションに参加することも、ソーシャルブランドとして認識されることも、語られることもない。

2009/12/10

Top 25 Environmental Blogs

Social Media Explorerが、スポンサーであるPostrankのサービスを使って環境関連Blogのトップ25を書いている。

RSS、クリック、コメント、トラックバック、FriendFeed、Digg、Reddit、Tumblr、Twitter、Blipなどソーシャルメディアサイト、アプリ、ツールなどを使ったアクティビティをエンゲージメントイベントとして各Blogの過去半年のエンゲージメントスコアを算出し、ランキングしている。

皆さんはトップ25Blogのうち、いくつご存じだろうか?
下は、ランキングトップ5を抜きだし、各月のエンゲージメントスコアを表にしたものだ。8、9、10月にAutoblogGreenが他から抜きんでたスコアを挙げている。
Source:Social Media Explorer / The Top 25 Environmental Blogs

このランキングはPostrankのデータ、アプリに基づいたものだが、ひとつのベンチマークにはなる。そして、モニタリングする、すべきBlogにもなる。もし、企業・ブランドが今後、一層、グリーン、環境、気候変動、リサイクル、リユースといったキーワードをバンドルする製品・サービスをリリースするなら。あるいは、既存製品・サービスを改修、改善し、そのコンセプト、見せ方を変えるなら。そして、Postrankそのものも検討に値するサービスかもしれない。

と言っても、モニタリングする価値を理解しているのは、例えばInc. 500にランキングされる企業の68%でしかない。過半数を超えているといっても、この数値は100%になるべきことからするとまだ少ないと言わざるを得ない。さて、大企業・ブランドの何%がモニタリングの必要性、価値を理解しているのだろう?参考:Social Media in Inc. 500 (Online Ad 2009/11/30)

2009/12/09

Social Media Expertise of Agency

売上500万㌦から5,000万㌦までの小規模代理店6,000社のうち212社が調査に協力して先ごろ、RSW/USから、「Agency New Business Survey」が出てきた。

代理店が新しいビジネスを開拓する困難度、その理由、新しいビジネスを獲得したリソース、新しいビジネスを獲得するための人員採用、採用した人員のスキル、なぜ人員を採用しないのかなどを訊いている。

その中で代理店が新しいビジネスを獲得するため、また代理店の経営陣がソーシャルメディアをどれくらい使っているかを訊いている。

10段階の図があるが、これを「常時(10-9)」「いつも(8-7)」「ときどき(6-5)」「たまに(4-3)」「まるで(2-1)」に分けると、21%が「常時+いつも」ソーシャルメディアを活用しているということになる。そして59%が「たまに+まるで」ソーシャルメディアを活用してない。
次に代理店がどんなソーシャルメディアを使っているか訊いている。代理店にとって新しいビジネスを開拓、推進する人材雇用の面もあるのでLinkedInが最も利用率が高く74%となっている。次にFacebookの67%、Twitterが57%、blogが56%だ。日本ではそこそこ人気のあるTumblrは2%でしかない。
Source:RSW/US

さて、中小規模の代理店は新しいビジネス開拓に大きな困難に立ち向かっているようだ。

コスト削減をセールストークに載せられなければ、既存ビジネスを新規代理店に任せる企業・ブランドはいない。代理店にとっても、企業・ブランドにとっても新しいビジネスとなるとソーシャルメディアぐらいしかない。

そのソーシャルメディアを提案する代理店の能力、習熟、実績、コストを含める提案書に上の図を載せられるだろうか?そしてCDO(Chief Digital Officer)の存在も必要となる。ただし、これは中小代理店に限った話ではない。59%が「たまに+まるで」ソーシャルメディアを活用してないのは中堅、大規模、グローバル規模の代理店にも当てはまる。CDOになると大手でもいる企業は限られてくる。

ソーシャルメディアスペースのスキルが高いだけではなく、ソーシャルメディアスペースを活用するメリット、アドバンテージを提示できない限り、中小代理店に生き残る道は少ない。逆にメリット、アドバンテージを体感できるまで活用が進んでいれば、新しいビジネスを開拓し、大規模代理店の牙城を突き崩す道は開けてくる。

2009/12/08

Global Map of Social Web

先月、Global Web IndexからGlobal Map of Social Webというデータ・図が出ている。
(クリックで拡大)
ちょっと分かりにくいのだが、例えば、下のカナダの例を引くと、
  • ソーシャルネットワークに参加しているユーザは46.2%、1,020万人
  • 写真をアップロードしたことがあるユーザは40.9%、900万人
  • ビデオをアップしたことがあるユーザは14.9%、330万人
  • 自分のblogを書いているユーザは10.6%、230万人
  • Twitterをやっているユーザは5.1%、110万人
ということになる。すべてがPC経由ユーザの数字となっている。
日本の場合、他国と比べてソーシャルメディア比率が低く示されている。これは、モバイル経由ユーザが多いためだ。Global Web Indexによれば、日本の場合、34%以上がモバイル経由となっておりPC経由を上回っているとのこと。英国ではモバイル経由はまだ3%なので、ソーシャルメディアの今後を暗示していると書いている。
Source:Global Web Index / Global Map of Social Web

Global Web Indexのデータは、ちょっと首をかしげたくなるような面がある。だから、図はあまり拡大せず、全体図として俯瞰するのがベストだ。

Blog、Twitter、写真、ビデオ、SNSにしろ、そのすべてが自分を外に対して出す行為、他者とコンテンツを共有する行為であること。世界各国にソーシャルメディアは百万人単位で普及、浸透していること。この動きがこれからも進んでゆくであろうこと。それらが俯瞰できる図だ。

さて、ちょっと話は変わるが、「大半の消費者にとって広告は、めったに、あるいはまったく、使っているブランド製品を切り替える効果はない」というHarris Pollの結果をAdWeekが伝えていた。

曰く、
  • 1%  ブランドを切り替える効果がいつもある
  • 30% ブランドを切り替える効果はたまにある
  • 53% ブランドを切り替える効果はめったにない
  • 11% ブランドを切り替える効果は全くない
広告忌避は55歳以上のコホートが最も高く、16%は全く広告効果はなく、57%もめったにないと答えている。24%はたまに、そして0%がいつもと答えている。

そしてタフなオーディエンスと見られている18-34歳の場合、2%がいつも、36%がたまにと答えている。55歳以上のコホートよりは効果があるようだ。

Source:AdWeek / Do Ads Motivate You to Switch?

これらタフなオーディエンスと見られている18-34歳は、デジタルネイティブ世代であり、彼らが熱中、あるいは没頭しているのがソーシャルメディアだ。

Harris Pollが言う「広告」は、オフもあればオンもあり、そのチャネルごとの効果には言及していないようだ。だが、55歳以上のコホートよりも広告許容があると見られる彼ら、デジタルネイティブが消費するソーシャルメディアに広告を出せばといった短絡思考ではうまくいかない。なぜなら彼らは自己を発現するため、友人・知人・同僚・全くの赤の他人とのコンテンツ共有をするためソーシャルメディアを使っているからだ。そこで突然、邪魔者な広告が顔を出せば結果は見えている。もし、そうでなければFacebookはバナー、リレーショナル、ソーシャル広告で埋まっているはずだが、そうはなっていない。

このHarris Pollのデータを合わせてみるとGlobal Map of Social Webとは、広告効果が減衰してゆく世界図と捉えるのが最も正しい見かたかもしれない。

2009/12/07

EIAA Ad Barometer H2 2009

EIAAから2009年下半期のAd Barometerが出ている。

EIAAはメディアサイト、検索エンジン、ポータル、オークションサイト、マーケティング会社などから構成されているヨーロッパの業界団体で2002年に設立されて以降、各種調査、マーケティング、標準化、教育など様々な分野で活動している。

そのEIAAが年に二度出してくるAd Barometerの最新版によると
  • オンライン広告予算予想
    2010年に今年比7.6%増、2011年は15%増
  • 調査対象者の96%はオンライン広告を「重要」、あるいは「勢いのあるメディア」と認識
  • 同36%はターゲティング能力を活用するためにオンライン広告を増加
  • 同31%はコスト効果を活用するためにオンライン広告を増加
  • 同61%はEmail広告を利用(2009年前半は46%)
  • 同33%は行動ターゲティングを利用(2009年前半は25%)
  • 同31%は広告ネットワークを利用(2009年前半は25%)
  • 同36%はアフィリエート広告を利用(2009年前半は26%)
  • 同33%はモバイル広告を戦略に組み入れている
  • 同97%は2010年のモバイル広告を増やす
  • オンライン広告予算は
    マーケターの30%がDMから
    マーケターの7%がOOHから
    マーケターの7%が映画から
    マーケターの9%がラジオから
    マーケターの30%が雑誌から
    マーケターの27%が新聞から
    マーケターの36%がTVから
    シフトしている
と、わが世の春を謳歌するレポートになっている。

Source:EIAA / Ad Barometer H2 2009 (pdf)

EIAAという業界団体の性格上、広告関連指標しか調査していないこと、メディア消費時間シフトしか見ていないこと、ソーシャルメディアスペースでのエンゲージメントを無視していることなど、今回のレポートには大いに突っ込みを入れたくなる。

英国のOfcomが10月にリリースした「UK adult's media literacy」という中間報告がある。2007年と2009年のソーシャルネットワークサイトにプロファイルを設定したユーザを比較した場合、各年代、性別、社会階層などすべてにわたり、それこそ2倍に伸びているグループもあるほどソーシャルメディアが浸透している。
そして、その大半はFacebookに向かっている事実がある。先発のMySpaceやBeboが大きくユーザを減らし、2007年には影も見えなかったTwitterが9%のユーザに利用されている。
Source:Ofcom / UK adult's media literacy (pdf)

こういった事実を取り上げず、単純にレガシーメディアとオンラインメディアを比較し、オンライン広告の数字だけを取り上げても納得する企業・ブランド、マーケティング、PR関係企業はそう多くはない(はずだ)。

なぜなら、欧州オリジンで米国やアジアに進出していない企業ならいざ知らず、少なくとも米国に進出しているセミ・グローバル企業であれば、米国のソーシャルメディア隆盛を体感、実感しているはずだ。少なくとも米国ではオンライン広告による旧来型の広告メッセージ配信をしているだけでは、消費者・ユーザに露出も訴求もできないことが明らかになりつつある。対話もエンゲージもできないのだ。そして、これは米国の出先から欧州の本社へフィードバックされてくる。

その現状を理解せず、レガシーメディアに代わり、オンラインメディアを使い、バナー広告、ターゲティング広告、検索広告をやっているだけで良いと判断する企業には大きな「?」をつけたくなる。

そして、少なくとも欧州の英国ユーザは、Web 2.0ステージへ進んでいるにもかかわらず、今回のようなレポートを仰々しくリリースしてくるEIAAはそれこそWeb 1.0のままなのかもしれない。

2009/12/04

Press Release Effectiveness Waning

Regan CommunicationsとPollStreamから、「Don't trash press release yet」というレポートが出ていると、MarketingChartsが伝えている。

それによると、
PR専門家の

49%しか「プレスリリースが昔と変わらず利用価値がある」と考えていない。

33%は、「すぐにはなくならない必要悪だと考えている」し、

64%は、プレスリリースのターゲットは印刷媒体で、

23%しかオンラインニュースおよび財務サイトをターゲットにしていない。

45%しかソーシャルメディアの成長、そしてレポーターや編集者に対するターゲティング能力によって、プレスリリースは昔ほど意味のあることだとは思っていない。

23%はプレスリリースよりももっと信頼でき、エンゲージすることができる情報ソースのおかげでプレスリリースに対する興味が失せてきていると感じ、

24%はそれは新聞、雑誌の力が落ちたからだと思っている。
そうだ。

Source:MarketingCharts / Less than Half of PR People Deem Press Release 'Useful'

レポートを書いたRagan.comのLinsey Millerは、
コーポレートコミュニケーターは杓子定規のプレスリリースではなく、もっとパーソナル化し、記者にターゲット・リーチできるソーシャルメディアを使うことが増えている。
と書いている。

プレスリリースがなくなるわけではないだろうが、今やソーシャルメディアリリースの時代だ。ただし、記者やレポーター、あるいは著名BloggerだけにターゲットしているのであればそれはPR 1.0のお話だ。PR 2.0を目指すならば、ターゲットは一般大衆、消費者、ユーザになる。そして、それはリリースではなく、トリガーというか、シーディングというか、あるいはエントリというものになる。こちらから先方への配信ではなく、先方のテリトリに参加した上でのフラッグ出しになる。だから露出、購読者やユニークユーザ、リーチではなく、RTや友人、ファンやフォロワー、そしてリストを指標とすることになる。

そして、それは発信しただけで完結しない。エントリした後、日々メンテナンスしてゆかなければならない手間のかかるカスタマーサービスとなる。だから広報とか、パブリックリレーションズといった部署名では担当できない。マーケティングや広告と統合したソーシャルメディアマーケティング、あるいはソーシャルメディアリレーションズといった部署の出番となる。

この意味で、Millerが書いたことはPR 1.0でしかないが、出だしのベンチマークコメント的には使える。

2009/12/03

EIAA Italian Digital Women Report

EIAAからItalian Digital Women Reportが出ている。

と言っても資料はイタリア語だ。英語でもなんとか、伊語などとんでもないといった筆者では推測の域を出ない、頼りにならない説明になる。と、言うことで我こそはという方のご指導、ご鞭撻をお待ちします。

さて、欧州におけるイタリア女性のオンライン人口は1,210万人で、仏、英に次ぎ3番目に来ているようだ。そのうち、29%は週に16時間以上インターネットにアクセスするヘビーユーザということのようだ。
他メディアとその消費時間を比べると2004年に週6.4時間だったインターネットは12.1時間に増え、ラジオを抜き、TVにあと一歩に近付いている。新聞・雑誌の消費時間がほぼ同じことからすると、TVの消費時間が1時間減っていることからあと数年でオンラインがTVを抜くメディアシフトが完成しそうな予感がする。
そして、利用するサービス、ツールなどでソーシャルネットワークの利用が40%だ。残念ながらTwitterを調査していない。なぜかと言えば、19%のIMよりも利用率は少なかったというのが理由かもしれないが、どんな数字でも良いからデータを出してほしいところだ。もったいない。
最も目を惹いたのはオンラインでの収集情報だ。どこの国でもニュースが来るし、旅行が来る。そして女性となれば「ファッション」はどの国でもそうだろう。しかし、2007年比の伸びで大きいのは「Technology」が42%アップ。「Mobile Phone」が40%アップ、「Health」が9%アップだ。イタリア女性もひょっとするとアナログ男性よりもよりデジタル化されているのかもしれない。いや、男性よりもネットでつながる、依存性が高い女性の方がデジタル化は早いのかもしれない。
Source:EIAA / Italian Digital Women Report (pdf)

他にも有用なデータがありそうなので、是非ともイタリア語が得意な方のアドバイスをお待ちします。

2009/12/02

Status of Social Media Monitoring

以前、Aberdeenの「ROI on Social Media Marketing」を紹介した。

参考:ROI on Social Media Marketing (Online Ad 2009/04/01)

同じく、Aberdeenから「ROI on Social Media Monitoring」という資料が出ている。いつもならグラフや表を紹介するのだが、今回はいつもとは違い調査に協力した各社の声を拾ってみる。

まず、Aberdeenは、
To survive and thrive in an era of consumer control, most companies have no choice but to listen to the voice of the customer.
と、Executive Summaryを書き起こしている。

そして、Ford、Suntrust Bank、Kraft Foods、Southwest Airlines、Intuit、Microsoftから担当者の声が聞こえてくる。

Ford、Global Market Research Director、Christine Stasiw Lazarchuk
我々はソーシャルメディアをモニターしている。なぜなら、リアルタイムで我々の製品やブランドに関して頼んでもいないのに公平な消費者の意見を訊くことができるからだ。もし、ブランド、コミュニケーションメッセージ、あるいは製品の問題をBloggerが指摘してくれれば、もっとひどくなる前にそれを改修することができる。また、ポジティブなコメントは何かが特にうまく行っていることを早期に知ることができる。
Suntrust Bank、Vice President, MarketingのArie Goldshlager
どの消費者がインフルエンサーで、誰がフォロワーかを知ることにより、インフルエンサーに対してマーケティング予算を配分することで、マーケターはマーケティング効果と効率をとてもパワフルに増幅させることができる。
Kraft Foods、Customer Marketing AnalyticsのFrank Cotignola
特にリサーチ分野でソーシャルメディアおよびその意味することをよく理解していない人が多い。彼らはオンラインで顧客が何を語っているかに注意を払わない。時に、情報量はとてつもなく多い。Oreoに関する3万ポストを読めるわけがない。毎日、私はとても良い奴を3本、それほど良くはないものを3本、そして、単に製品名が出ているものを3本読む(しかない)。それでそれらをどうすべきかが問題だ。それを理解するためには、それらが何を意味しているのか解析してくれる支援が必要だ。
Southwest Airlines、Public RelationsのAshley Pettit
ボリュームや、クリック数や、会話数を見ているだけではなく、会話のトーンや、何が会話を促進したのか、そして我々のメッセージがきちんと配信されたのか、あるいは我々がまだ気づいていないが、対応すべき問題が噴出しつつあるのかを見ている。現在、「無料手荷物」キャンペーンを実施中であり、それをソーシャルメディアスペースでモニタリングしている。
Intuit、User Contribution Systems and Online CommunitiesのGeneral ManagerのScott Wilder
Intuitのソーシャルメディアモニタリングサービスは、中小企業トレンドを見つけ、人々がWebで何を語っているかの鼓動を理解させ、潜在的なカスタマーサービスに関するアラートを挙げてくれる。顧客ニーズに迅速に対応し、顧客第一というブランド属性を強化してくれる。
Microsoft、Windows LiveのSenior Product Marketing Manager、Marty Collins
我々が会話に価値を付け加えられると考える特定トピックに関して、毎日、1,500以上のスレッドをモニターしている。スレッドすべてに参加するのは不可能だが、どの会話が最も影響力を持ち、どれが最大のリーチなのか、どれが最も参加したいスレッドなのかをチャックする方法はある。
Source:Aberdeen / ROI on Social Media Monitoring 2009

さて、「消費者がコントロールする時代に、多くの企業は顧客の声を聞く選択しかない」という状況理解を共有する各社担当者の声は、どう皆さんの耳に響いたでしょうか?

ご意見をお待ちします。

2009/12/01

Cause Survey 2009

世界同時不況の影響は様々な分野に及んでいる。そこで、社会貢献、慈善活動への影響を見ているレポート、PRWeek/Barkley PR Cause Survey 2009が出ている。

当然、企業にも不況のしわ寄せは来ているのだが、61%は社会貢献、慈善事業などをキープしている。ただし、残念ながら21%は予算削減だし、9%は執行停止だ。
これを他のマーケティング活動、予算と比べれば少しは状況が見えてくる。例えば、新車販売用の広告予算は2009年、前年比16.8%減と予想されている。メディア別では新聞が28.5%減、TVが22.8%減と予想されている。

参考:Auto Ad Outlook 2o1o (Online Ad 2009/11/16)

業界全体が不況に陥り、自動車業界が生命線に等しい販促予算をここまで削減していることからすると、売上にどれほど貢献できているかを示すことが難しい社会貢献・慈善事業領域はよく凌いでいるという状況だろう。

それは、91%の消費者が「企業には慈善活動を行う責任がある」と考えていることからも明らかだ。企業市民として果たす役割、責任は一般消費者よりも大きいと誰もが考えているし、企業自体も当然、同じ認識を共有しなければ事業活動を行っていくのは難しいからだ。
New Balanceのブランドマーケティングマネージャ、Chris Mannは「企業が昔と比べ信頼されず、尊敬もされない時代に、消費者・顧客は信頼でき、納得できるブランドを求めている」と言う。

消費者の慈善・社会貢献行動のトップ2は物や金を寄付することだが、3番目に来るのは慈善・社会貢献に役立つ製品を買うことだ。そして、4、5番目に来るのはイベント参加、ボランティア活動となっている。自分の持てるもので貢献することに続くのは、自分が納得できる活動を行っている企業の製品を買うことだ。

「企業には慈善活動を行う責任がある」という認識と、消費者の「納得できる企業の製品を買う」という認識がここでマッチしている。
そして今、企業は持てるもので貢献する以外に、消費者、社員が社会貢献に参加できるような支援を行うことが重要となっている。これは営利を目的とする一企業の枠を超え、多くのステークホルダーの参加を募り、多様な共同作業を広めてゆくことでもある。
Source:PRWeek / Cause Survey 2009

その一例は、(RED)だろう。12月1日のADISデーに合わせて、エイズ撲滅活動へのサポートを呼び掛けている。(RED)自体、Starbucks、GAP、Apple、Dell、Bugaboo、Converse、Hallmark、American Express、Emporio Armaniの集合体だ。その集合体がFacebookというソーシャルコネクションを活用してエイズ撲滅キャンペーンを広げようとしている。
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