2006/09/29

Don't Make these BT (Behavioral Targeting) Mistakes

行動ターゲティングはとてもパワフルなマーケティングツール足りえるが、いつもそのように使われているわけでもなさそうだ。
iMedia ConnectionにFawn Fitterが3つの失敗とその解決策を書いている。

◆ 結果ではなく可能性からスタート
行 動ターゲティングのポイントは、最も可能性の高い反応者を決定することだ。これを多くのマーケターは過去の行動履歴から推定することによって可能だと思っ ている。しかし、購入予定者の行動は、販売を狙っているものに対してすでに購入行動を起こした消費者の行動と関連した時にのみ予想できるのだ。
自 動車メーカーなら、NYTの自動車セクションやKelley Blue Bookサイトへ最近アクセスした人のリストを買うことは容易い。これは新車購入を予定する人たちをピンポイントすることはできるが、しかし、特定マーケ ターが売ろうとする車の潜在購入者かどうかは分からない。
  • 改善方法
    まず、マーケターのターゲットオーディエンスは誰なの か判断し、消費者のオンライン行動を通して彼らにどのようにリーチするか、BTを利用して決定することだ。メディアプロバイダーが、特定セグメントや特定 行動グループを提供してくれるなら、データマイニングと解析により藁の中の針を見つけることができる。マーケターがオーディエンスに期待すること、例えば 特定車種を購入した人々をオーディエンスの中から見つけることだ。次に、それら人々の行動パターンを使い、車を買いそうな他の人々がどこでオンライン時間 を消費するかを予想できる。
◆ 行動ターゲティングをニッチとしている
多くのマーケターにとり、BTは単にダイレク トレスポンスのためのツールであり、使用するクリエイティブもひとつだけといったことがある。結果としてマーケターはキャンペーンに必要な広告のうち限定 されたサブセットとしてしかBTを利用できていない。そして学習した顧客の行動パターンを他のキャンペーンにも反映しようとしない。
  • 改善方法
    メッセージをオーディエンスにマッチさせることにより、オーディエンスのリアクションを引き出すため多くのクリエイティブを投入する。そこで初めて、認知を向上させ、レスポンスを同時に上げるオーディエンスターゲティングを可能とするリーチを得られる。
    例えば、次のような方法でオンラインキャンペーンの隅々にまでBT効果を拡散できる。
    • Webサイトへのリピートビジターには、サイト側がそれを認識していることを分からせる広告を出す
    • 足が遠のいている顧客に対しては、サイトへ誘導するため特売キャンペーンを提供
    • 頻繁に購入する上得意には、ホテルのオンラインチェックインや無料配送といった付加価値をつける
    • 大幅値引きなど、特別限定キャンペーンを提供することで、広告に反応しないビジターを誘導する
    • 対象とするオーディエンスが興味を示す別のサブセットを追加した広告を作成する。Webサイトへのトラフィックの大半が他の音楽サイトへもアクセスしているなら、音楽をテーマとした広告を露出する。
◆ 行動ターゲティングに予算を割きすぎ
もちろん、BTを過小評価して総予算の十分の一しかTBに投下しないこともありえる。しかし、投下した予算に見合った結果を得られないこともある。
  • 改善方法
    当然のごとく、何度も繰り返してデータを計測、計測、計測することだ。キャンペーンの売上・利益よりも行動ターゲティングのコストを抑えるため、データを収集し、厳正に活用し、結果を注視する。
    時としてTBを使ったキャンペーンは大きな予算を必要とする印籠のように提案されるが、もし通常予算の5倍もの提案なら、5倍の結果を得るものでなければならない。
Source:iMedia Connection

2006/09/28

New technology could nip DVD format war in the bud

9月19日付けのReutersで「マルチレイアデュアルオプティカルディスク(MLDOD)」のパテントの話が出ていたと思ったら、9月26日付で今度は、「安価なMLDODの製造方法」のパテントが出されたという記事が出た。

MLDODは、標準CD/DVDのレイアを持ち、二層と三層で競合する高精細フォーマットを再生することができる。Blu-rayとHD DVDの両方を再生できる画期的な発明だ。
製造方法のほうは、標準のシングルレイアのDVDが6㌣に対して9㌣と、50%アップだが、現状の技術によるマルチレイア記録可能DVDがシングルレイアDVDの3~4倍もすることから非常にメリットがある。

MLDODのパテントを取ったCDMSは、NMEの製造特許を使い、2007年はじめからプロトタイプの製造を開始する予定だ。NMEは他の大手メーカーに製造特許をライセンスすることになる。

Source:Reuters / Sep 19, 2006
Source:Reuters / Sep 26, 2006

まだ再生の話ではあるが、少なくとも映画・ビデオの再生がメインとされる米国などでは非常にインパクトがある。11月にBlu-rayの発売が開始されるが、HD DVDもあわせて販売戦略の見直しを迫られそうだ。両陣営の今後のマーケティング戦略を注目してゆきたい。

Web Marketing + Email

IBM Software Group(UK)のWebマーケティングの資料がある。

こ れはEmail Experience Councilから出されているもので、多メディアからのアクセス誘導先であるWebを中心としたマーケティングとその中でEmailが果たす役割を明ら かにし、ユーザセントリックで、簡単明瞭なページデザイン、Emailを6つのタッチポイントの要として位置づけ、Webサイト再構築の結果、Email配達率25%UP、Opt-inでのCTR58%以上UPを達成したという実績を紹介している。

まず改善前のIBM Software GroupのWebページを見ると:
  1. カレントサイトが種々雑多な製品検索、ニュースリンク、販促などで混乱している。
    ページナビゲーションは、沢山のニュースアイテムへのリンクや、イベント、リソースであふれている。
  2. 製品クリックストリームが長すぎる...ユーザは、詳細な製品情報へ行き着くまでに数ページも通らなければならない。
  3. 製品マーケティングページに「Call to action」がない...ゾーン内に「call me」リンクがない。
  4. オンラインサポートは複数オーディエンスに対応していない、といった状況だ。
これを変革した6つのキーポイントを上げている。
  1. Webは簡単明瞭が一番
  2. 統一されたフォーム(デザイン)
  3. 革新が重要
  4. 社内コラボレーション
  5. マーケティングと営業を最初から最後まで統合
  6. アクセスをトラッキングし、報告
そしてIBMは、変革の際、マルチ・タッチという戦術を採用している。
タッ チポイント(Opening)にEmailを採用、そのレスポンスをWebへ受けて関係、Engagementを深め、Webへのレスポンスからe- catalogへ誘導させて育て上げ、フィールドセールスへ有望見込み客として受け渡す。また、EmailおよびWebから直接、電話セールスからの販売 やビジネスパートナーへ見込み客として紹介するフローを紹介している。

なぜなら
  • UKにおける文書化されたコミュニケーションの49%はEmail
  • 40%のEmail登録者は気に入ったEmailプログラムを提供する企業を贔屓にする
  • 90%のユーザは企業とのコンタクトにEmailを使い、企業との付き合い方の価値を判断する
というデータを引いている。

また、戦略的革新とドライバの時系列パターンを挙げている。
  • 1995年から97年までのインターネット立ち上がり時期は、デザインとコンテンツに注力し、ただWebサイトを構築するだけの「Be There」時期。
  • 1999年までの低価格でのユーザサポートとマーケティングを主眼とした「Lower Costs」時期。
  • 2003年までのE-Commerceに目を奪われた売らんかなの「Sell」時期。
  • 2003年以降、ようやくグローバル展開、システムやB2B仕様、各ステークホルダーとの関係を統合する「Integrate」時期。
  • そして2006年はタスク処理、B2B購入、スマートサイトとあわせ、Webシステムを最適化し、購買までの流れの適正化を行う「Optimize & Streamline (revolutionize)」時期としている。
  • また、2006年から07年にかけて「Viral Communities」という雲が浮かんでいる。
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    IBMにしても、SNS、Web2.0を次の革新・ドライバとして認識してはいるが、その活用実現化にはまだ至っていない。しかし、確実に2007年からはViral Communitiesを活用したWebマーケティングが開始されるのだろう。
他にもWeb改善の5つのルールとか、企業のオンラインプロファイルを向上する5つの方法なども挙げている。また、National Geographicsの例を挙げ、トップページに設定されている簡単明瞭なニュースレターユーザ登録方式を紹介している。加えて、Click Fraud -2でも触れたが、ここでも視線ヒートマッピングを取り上げ、Email内での視線移動によるコンテンツ理解の確認、レポートが必要だとしている。

製品マーケティングだけではなく、グローバルにブランドマーケティングをするマーケターにとって非常に参考になる資料ではないだろうか。

Source:Email Experience Council (pdf)
注:pdfをダウンロードするまえにEmailアドレスの登録が必要

2006/09/27

The Future of the Internet II

PEWが新しい調査を公表した。742人のインターネット業界のリーダー、活動家、コメンテーター達に、インターネットが及ぼす2020年の社会、政治、経済への影響をまとめたものだ。

そのサマリの一部を紹介する。
  • グローバルネットワークの展開
    56%が、グローバルで低価格のネットワークが生まれ、世界中の大半の人たちに活用されることに同意。また、技術がもたらす世界のフラット化はグローバルに競争する人々に成功の可能性の扉を開くと考えている。
    逆に43%は、経済面で現在の優位性を確保する動きや、情報や通信の規制を行う政治面を心配している。

  • 人間と技術
    今 から2020年までの間、まだ人間が技術・機械をコントロールすると大半が考えている。しかし、42%は人間のコントロールを超える機械やプロセスが技術 の進歩によってもたらされると心配している。これはインテリジェントエージェントや分散コントロールが、人間の関与を廃絶し、後戻りできなくなるまで認知 されない危険や依存性を指している。
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    2020年以降、ターミネーターのような時代が来るのだろうか?

  • 透明性とプライバシー
    真っ二つに割れているが、46%は企業・個人の透明性を進めることにメリットを見出し、49%はプライバシーに重きをおくとしている。

  • IT化反対者、技術追随不能者の増加と、暴力
    経済的な問題や技術的にITについていけない人々が2020年に存在すると考えられる。モダンな社会から別離し、IT化反対の暴力行為に出ると考えるのが58%もいる。ただし、この暴力に比べれば、宗教、経済、政治の暴力がもっと多いとされる。
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    技術の進歩に後れてしまうラガードはいつの時代にも存在する。ロジャースの「Diffusion of Innovation (Innovation普及学)」が示しているように;
    1. イノベーター(革新的採用者)--------------2.5%
    2. アーリーアダプター(初期採用者)---------13.5%
    3. アーリーマジョリティ(初期大量採用者)----34%
    4. レイトマジョリティ(後期大量採用者)-------34%
    5. ラガード(伝統的懐疑主義者)-------------16%
    ラガードは、社会システム内で孤立し、彼らが原点とするのは過去だ。決定権を握るのは前はどうだったかということで、比較対照する情報が不足しているため技術革新、新製品に疑いを持っている。だから最後まで、新製品や技術革新を採用することはない。

    Source:http://www.riccistreet.net/port80/charthouse/present/diffusion.htm

    さて、インターネットの普及を見ると、欧米先進国は50%のクリティカルマスを超え、ロジャースの5分類からするとレイトマジョリティ段階に入っているといえる。

    欧米グローバル企業は、IABなどの報告を待つまでもなく、このマスに対して既存メディアから予算をシフトさせている。また、Shell、BP、Exxon、Philips、GE、Cargillなどは企業広告を開始し、ShellやBPなどは環境保護、温暖化防止への企業努力を強く世界のインターネットユーザにアピールしている。これはインターネットがクリティカルマスを超えていることと、インターネットユーザの一部、すなわちデジタルイノベーター・アーリーアダプターが、既存メディア上のコンテンツを評価し、オリジナルコンテンツを供給、共有することでロングテールへ大きな影響を及ぼしているというメディアだということ。この2つを理解したうえで、国内、海外のステークホルダーへの情報提供チャネルとして活用している。

    欧米グローバル企業が行う総体的なオンライン露出と、デジタルイノベーター・アーリーアダプターへのターゲティング露出は累積されていく。この露出ギャップを埋めるのは日本企業の現地子会社か、それとも日本本社なのか?

  • 優先投資
    78%は、政治や業界がネットワークの規模拡大と技術情報を広げることで世界中の人々の暮らしを豊かにすると考えている。

  • オンラインの言語
    42%は今後数十年間の異文化コミュニケーションに世界共通語として英語が機能することに同意。しかし、57%は英語が他言語を圧倒することはなく、中国語やその他の言語が影響力を拡大するほうに同意。
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    言 語に関して言えば、今後、中国語などのWebページ数・トラフィック量が急増するのは間違いない。しかし、その大半は国内であり、グローバルコミュニケー ションから見れば英語がその地位を脅かされることはない。中国にしても、インドにしても、億単位で英語を学んでいる人がいるのだから。

    参考:Lingua Franca
Source:PEW : The Future of the Internet II

2006/09/26

Click Fraud - 2

3,944人のマーケターを対象に調査したMarketing Sherpaの「検索エンジンマーケティング・ベンチマークガイド」にクリック詐欺に関するデータがあった。

「Email Spamと同様に、クリック詐欺は時間と金を喰う」というマーケターが平均で55%もいる。検索エンジンベースのマーケターはクリック詐欺の被害を心配す るよりも、効率追求を放棄してお手上げのようだ。「クリック詐欺が問題にならなくなる」、「業界がCPAベースに移行する」と答えているのが同じ16%だ が、クリック詐欺が自然消滅することはなく今後も増加が見込まれることから、あまりの被害者意識の低さが気にかかる。

それは業界によって 温度差があるからのようだ。厳しい予算執行を迫られるB2Bマーケター、特に、非常に競争が激しい業界の場合、クリック詐欺による費用増大やキャンペーン 管理面から、予算を検索マーケティングから引き上げ、まったく別の分野に投下しているようだ。CPC費用は増加の一途のため予算シフトは今後も続きそう だ。
しかし、E-Commerce業界のようなメインストリームマーケターの場合、SEMは欠くべからざる最低限のツールとして利用せざるを得ないようだ。


さて、話はちょっと外れるが、資料の中には非常に興味を惹くものがある。
それは視線トラッキングヒートマップだ。Googleを使った検索を実行した結果のページで、ユーザの視線がどこを見、どこを見ず、どこをクリックしたのかを明らかにしている。
赤 い固まりはユーザが直接視線を投げた場所で、色が暗くなるにつれて注意を払わなくなることを示し、灰色部分はまったく見なかったことになる。4箇所ほど見 える「X」はユーザがクリックした場所で、赤い水平の線は、ユーザがページの下に表示されている検索結果をどこまでスクロールダウンして見たかを示してい る。
ユー ザは検索結果の上位しか注意を払って見ていないし、結果項目の最初の数単語とその説明は見ているが、右側にあるスポンサーリンクにはまったく視線を送って いない。各検索エンジンプロバイダーはB2C、B2B向け、そしてブランディングにも有効だとしてプロモートしているが、いかにCPCだとしてもこれだけ 無視されているエリアでのブランディングには効果はないだろう。

Source:MarketingSherpa (pdf)

Global Campaign by Shell

Click Fraudを伝えているNYTimes.comなどに、Shellがグローバルキャンペーンを展開している。NYTのClick Fraudの記事はTechnologyセクションに掲出されているので、Technology読者に的を絞った文脈ターゲティングか、行動ターゲティン グを使った広告キャンペーンのようだ。

これはShellの企業広告セクションにおけるグローバルキャンペーンとして、エネルギー供給確保、気候変動、環境保護、コミュニティとの共存の4つの柱を掲げるエリアへのトラフィック誘導と、Shellの取り組みに対する認知、理解を促進するものだ。

About Shellのページには、ハイライトされている項目が8つある。その中に、企業広告、環境と社会、そしてコミットメントと指針がある。いずれもShell という資源開発・石油化学企業が否応なく対峙してゆかなければならないテーマ、環境保護・資源効率活用・地球社会との協調をベースにその取り組みを明記 し、理解を得るための項目だ。
ある意味で環境破壊型の企業であるため、当然至極のページ構成ではあるが、その取り組みを一般消費者、インターネットユーザに告知するため、Shellは既存メディアに加え、オンライン広告を活用している。

Shellは2005年Q3からトラフィック誘導に重点をおき、大幅にオンライン広告を増やしている。2003Q4~2005Q3までの累計が1.1億impression、2005Q3だけで3,400万impressionを投下している。
2005 年は、環境、太陽光発電、LNG、風力発電にハイライトをあてたシリーズ広告を展開していた。ノルウェーの石油精製施設廃棄に伴う原状回復、土壌入れ替 え、自治体への余剰機器・機材の提供などを訴えたり、日本の主婦や環境汚染に関心のあるステークホルダーを登場させてLNGのメリットを訴えたり、ドイツ で進められていた世界最大の太陽光発電所建設への理解を求めたりと努力を続けていた。

今年に入り一時休止されていたが、装いを新たに再開されたようだ。

Shell は世界140以上の国と地域に進出しているグローバル企業だ。世界からアクセスを獲得しているニュースサイトから本社グローバルWebサイトへトラフィッ クを誘導するのは単に米国ユーザに対してだけではない。Lingua Francaである英語のニュース・記事を閲覧する世界のインターネットユーザに対して、コミットメントと指針を露出していることになる。特に環境に厳し いEUなどを念頭に置いているのだろう。そして、直接、個人ユーザからの質問・コメントの受付口も用意している。

ShellのUSサイトではなく、グローバルサイトへトラフィックを誘導しているimpressionが全世界のステークホルダーに累積してゆく。既存メディアでの累積露出に加え、デジタルイノベーター・アーリーアダプター層に急速に累積されてゆく。

そして、日本のグローバル企業とのオンライン露出ギャップは一層拡大していく。

2006/09/25

Click Fraud

オンライン広告の裏側としてBusiness Week、クリック詐欺が増加中としてNew York Timesがクリック詐欺を取り上げている。

Googleとか、Yahoo!は、自サイトにオンライン広告を掲載することに加え、抱えている数百万のアフィリエイトに広告をリサイクルする。ここには、「Domain parking」と呼ばれる企業も含まれる。
「Domain parking」は、自身で抱える数千にも及ぶWebサイトにGoogle、Yahoo!の広告を供給している。その中には単に広告のリスト以外の何物で もない怪しげなサイトもある。これらサイトを抱える詐欺師は、PTR (paid to read:興味のあるemailレターを読んだり、Webサイトへアクセスすることに同意した個人) グループに指示して、広告をクリックさせる。PTRに払われるのは1件あたり、1㌣程度らしい。
PTRが広告をクリックすると広告費が発生する。Google、Yahoo!は広告主に広告費を請求し、クリック分を「Domain Parker」、詐欺師、PTRに払うことになる。あるいは、自動的に広告をクリックさせるプログラムを開発する詐欺師もいる。

eMarketerによれば2010年には290億㌦に達するオンライン広告のうち、約半分がPPCになると予想している。また、消息筋によればオンライン広告費の10~15%、年間1億㌦にも達すると見られる。

Source:Business Week
Source:New York Times

Click Forensicsは、1,300以上のオンライン広告主、広告代理店が参加する「Click Fraud Network」を主催し、クリック詐欺をモニターし、公表している。
それによると、業界全体での2006年Q2のクリック詐欺率は14.1%に達し、前期の13.7%から上昇している。また、2㌦以上の検索キーワードを高額検索キーワードとしているが、これに対するクリック詐欺率は20.2%に達している。
クリック詐欺をティアごとに見ると;
  • ティア1(Yahoo!、Googleなど)-----12.8%(前期12.1%)
  • ティア2(上の配下)----------------20.3%(同 21.3%)
  • ティア3(同)-----------------------27.1%(同 29.8%)
クリック詐欺の大半88%は、米国とカナダから実行されている。北米以外ではインドからが多く、Q2には26%も増加している。Q2で注目されるのは、今まで多くの人が予想していたように、初めて高額検索キーワードが最もクリック詐欺に脆弱だとするデータが出たことだ。

Source:Click Forensics

しかし、CNETによればGoogleは小さな問題、Yahoo!は独自対策に自信、MSNはクリック詐欺の存在を認識と大手3社の中でも対応に幅がある。

Source:CNET

SEMPOなどでも第三者機関設立の必要性が議論されているようだが、検索エンジンプロバイダーの自己努力に期待する期間は過ぎている。オンライン広告業界をあげていち早く、クリック詐欺に対応する必要がある。

2006/09/23

The Use of the Internet by Japanese Newspaper

Bivings Groupが面白い比較をしている。
日本と米国で発行部数の多い21新聞社のWebサイトを、Web2.0の視点から、インターネットへの取り組みを比較したものだ。

比較ポイントは次の10個。
1)RSS配信、2)アクセスランキング、3)動画提供、4)ポッドキャスト、5)チャット、6)記者ブログ、7)コメント機能、8)ユーザ登録、9)ブックマーク機能、10)掲示板・フォーラム機能

一見して、米国と比べると日本の新聞のWeb2.0取り組みが後れているのが分かる。
◆ 記者Blog提供-------------------5紙(米国は19紙)
◆ RSSによるニュース提供---------4紙( 同 16紙)
◆ 記事アクセスに登録が必要-----1紙( 同 9紙)
◆ 掲示板・フォーラム提供---------1紙( 同 9紙)
◆ アクセスランキング提供---------4紙( 同 10紙)
◆ ポッドキャスト提供---------------2紙( 同 8紙)

米 国ではWebがニュース提供の手段として成長・確立しており、新聞購読を促進し、購読者数減少に対抗する手段として利用されている。しかし、日本人は活字 やTVといった従来のメディアを好み、また、メディアの信頼度で新聞が群を抜く存在であるため、日本の新聞はWeb2.0を米国ほどは導入していない。加 えて、携帯電話へのニュース提供などは米国を引き離しており、日本の新聞が大きな後れを取っているわけではないと結論づけている。

Source:Bivings Group / The Use of the Internet by Japanese Newspaper

しかし、日本では過去5年間に新聞販売部数が2.81%も減少し、若年層で新聞を読まない層が増え、今後の人口減少が明白だという事実がある。また、 Technoratiによれば言語別Blog数の31%を日本語が占め、YouTubeに日本から膨大な投稿ビデオがあり、様々なWeb2.0サービスが 日本に輸入されている現状もある。さらに米国の新聞社のWeb2.0取り組みを見ると、Web2.0どころか、インターネットそのものへの戦略が定まって いない日本の新聞社の現状を現しているのではないだろうか。

最後に気になる点がある。
メ ディアの信頼度の資料として、日経新聞の2003年の調査結果を引用し、「日本では新聞が他の報道手段を圧倒している」、「特にインターネットについて は、内容の信頼性という点で新聞に劣る」、「インターネットの信頼性は、一貫して、新聞、テレビに続く3番目」、「活字による報道が非常に定着しており、 一般から信頼され、企業とのつながりもある」、「インターネットは、日本人が情報を得る際の重要な手段としては確立していない」と、このレポートはコメン トしている。

これは3年前のデータであり、その後のインターネットの急成長によって日本人の認識も変わってきたはずだ。しかし、これが日 本人マーケターや、そのマーケティング戦略を承認する管理者層の認識を形成しているとすると、国内でのブランド戦略、いわんや海外向けグローバルブラン ディングにオンラインを利用するという発想そのものが出てこないのでは...。

2006/09/22

College Student Online

Burst Mediaが、18-24歳までの大学生800人以上を調査し、メディア消費についてレポートしている。

18-24歳までの大学生の三分の一以上(33.6%)が、1週間に10時間以上インターネットを利用すると答えている。20時間以上の学生は20.3%に達する。

しかし、大学生は、TVやラジオをインターネットと同じようには消費していない。実際のところ、1週間に10時間以上TVを観ているというのは18.8%、ラジオは18.2%にしか過ぎない。また、3時間以下しかTVを観ないのは30.1%、ラジオは45.6%にも上る。

いかに、今日の大学生が、既存メディアからインターネットへシフトしているかが分かる。
そして、注目すべきは次の点だ。

63.7%は、TVを視聴している時、同じようにコンピュータを利用していると回答。60.2%は、ラジオを聴取している時、同じようにコンピュータを利用していると回答。
TVを視聴中にコンピュータを利用する人たちの35%はいつもそうしている、28.3%がたまにする、36.7%がめったにしないと回答している。

Source:Burst Media / College Student Online

TV's Effectiveness is waning」 の中でEIAAの資料を紹介したように、メディア消費のメッシュが進んでいる。メディアの利用、消費を単独メディアだけで測る時代は終わっている。また、 ユーザのメディア消費を、発行部数や視聴率、消費時間で測る時代も終わっている。加えて、プッシュだけ、プルだけのアプローチも終焉を迎えている のかもしれない。

マルチメディアをマルチタスクで消費し、コンテンツプロバイダーであり、感染爆発の起爆剤でもある消費者を把握するには既存の計測方式では立ち行かなくなっている。

2006/09/21

Out-Of-Home Digital Ad Networks

Profitable Channelsが、Out-Of-Home Digital Ad Networksの潜在力を理解し、マーケティングプランに活用すべきだというホワイトペーパーを出している。

Out-Of-Home Digital Ad Networks (OHDAN) とは、商店、映画館、オフィスビル、クリニック、ショッピングモールなどで広告を配信するネットワークだ。すでに、キャズムを超えたと見られるOHDAN には、映画、スーパーマーケット、オフィスビル、商店、ショッピングモールなどがあり、ネットワーク化されているのは合計で13,000あまり、ものに よっては訴求可能世帯が93%にまで達しているものもある。

OHDAN はデカイ。米国6,012の映画館の三分の二が32%の世帯にリーチする広告ネットワークの一部を構成している。50のスーパーマーケットチェーンのうち 37は、すでにin-store TVネットワークを開始していたり、トライアルを開始、あるいは計画中だ。また、Wal-Mart、Target、Best Buy、CompUSA、Circuit Cityなど合計4,000以上の小売チェーンがビデオ広告を提供。全世帯の75%が、商店、ガソリンスタンド、大手小売チェーンでのOHDANから露出 を受けている。

右図を見ると、既存の露出と比べてもOHDANの露出量が分かる。屋外、TV、ラジオ、インターネット、CATV、新聞、雑誌の合計に匹敵する露出を提供している。

また、OHDANは過去4年間で700以上のネットワーク展開をしており、2006年6月には、コンビニ、ガソリンスタンド、モール、トランジット、オフィスビルでの展開が発表されているように今後とも、急速にそのネットワークを拡大していくと見られている。

2006年の広告費予想を見ると、全体で1,650億㌦、OHDAN はその1%にも満たない12億㌦が予想されている。
し かし、TV視聴者減少、メディアチャネルの分散化、広告の販売効果の指数化問題など、既存メディアを取り巻く環境の激変に対処することができるのが OHDANだ。Veronis、Suhler、Stevensonの2006 Communication Industry Reportによれば、OHDANはニューデジタルメディアとして20%以上の伸びを予想されている。

こ れを他メディアと比較したのが右図だ。新聞の伸びが1.5%、TVが2%で、どちらも衰退期。CATVが8%、通常のOut-Of-Homeメディアが 9.8%で収穫期、インタラクティブメディアが17%で成長と収穫期の両方にまたがっている。そしてニューデジタルメディアが20.7%で成長期にあり、 離陸中だとされている。

さて、様 々な業界ソースは、5年以内にマーケターは、既存メディアに投下している400億㌦をニューメディアに振り向けると予想している。この広告予算の再配分 は、消費者の目が、既存の新聞やTVメディアから、携帯電話、ビデオゲーム、ポッドキャスト、OHDANへシフトしていくことを反映するものだ。

Source:Profitable Channels (pdf)

OHDAN を対岸の出来事として見るか、国内での展開を考えるか、それとも日本からのグローバルブランドマーケティングの戦術として捉えるかはマーケターによって変 わる。しかし、欧米企業の世界戦略に確実に根を下ろしているオンラインブランディングに、これが早晩、追加されてくるのは間違いない。
インターネットがもたらす消費者のメディアシフトを把握し、タイムリーに追随する欧米企業に対して、まだまだオンライン広告をその海外戦略の核とし得ていない日本企業との溝は、深まり、広がるばかりだ。

Online Video Viewing

先 日、BBとオンラインビデオ広告を取り上げたので、OPA (Online Publishers Association) が行ったオンラインビデオ視聴に関する調査を紹介する。これは2006年2月1日から9日まで、米国のオンライン人口を代表するサンプルとして、 1,241人のインターネットユーザ(12歳から64歳)を対象として行われた。

まず オンラインでのビデオ視聴が常態化している。
毎日試聴するのが5%、少なくとも週に一回は試聴するのが24%。46%が月に一回は試聴している。また、一度でもビデオを試聴したのは69%に達している。

視聴者を見てみると、男性、30代、既婚、10万㌦以上の年収、高学歴、BB化というパターンが浮かび上がってくる。このグループが、「デジタルイノベーター・アーリーアダプター層」を形成している。

全 体としても、URLをメールで友人などに送信するのが48%、リンクのある受信メールを転送するのが44%、ビデオページにある「Send to a friend」ボタンを使うのが31%、電話でビデオを教えるのが31%もいる。ビデオ視聴者こそ、口コミ伝道者(Viral Marketer)ともいえる。

そして、 最もオンラインで視聴されるのはニュースおよび娯楽ビデオだ。ニュースビデオを毎日試聴するのは6%、週に何回か試聴するのは14%。娯楽ビデオを毎日試聴するのは5%、週に何回か試聴するのは12%だ。

加えて、30分以下の短編映画を毎週試聴するのは2%、週に何回か試聴するのは6%。ビジネス・ファイナンス系のニュースビデオを毎週試聴するのは2%、週に何回か試聴するのは4%となっている。

また、平均すると40%の視聴者が、ビデオ画面にある関連リンクをクリックし、ビデオで紹介されたWebへアクセスしている。また、ビデオコンテンツをより知るためにGoogleやYahoo!を使って調べるのが33%、ビデオ視聴時にポップアップやテキストをクリックするのも17%いる。

● オンラインビデオ視聴は多くのインターネットユーザにとり、常態化しており、毎日視聴する5%はヘビーユーザであり、アーリーアダプター層を構成=男性、若年層、独身、BBユーザ、高学歴・収入

● YouTubeなどの特定サイトが人気だが、行き当たりばったり的なアクセスも一般的

● オンラインビデオの共有が常態化し、トラフィック増加が見込めるため、オンラインビデオコンテンツプロバイダーは口コミ側面を有効活用するチャンス

● ユーザはオンラインビデオ広告を視聴、関連リンク・Webサイト・購入などのアクションを起こす

Source:OPA (pdf)

2006/09/19

Times Reader

New York Timesが、4月28日付けで発表していたTimes Readerのベータ版がいよいよリリースされそうだ。Times Readerは、NYTとMSが共同開発し、XP、およびWindows Vistaで稼動する。Times Readerは、NYTimes.comの記事をダウンロードし、携帯端末、PCなどで表示するアプリケーションだ。
ベータ参加のエントリーも無料で行える。

Source:Wired.com

9月14日(日本時間)にエントリーしておいたところ15日(米国時間)にダウンロード指示メールが来た。さっそくダウンロードしてみた。

最初の起動時にすべてのニュースを読み込んでくるため結構時間がかかるし、「.NET」を使っているので以降の指定間隔での更新も重たい。
上下・横矢印キーでセクション移動、記事内および次記事へ移動。記事の保存、印刷、Email転送、そして記事内にノートを追加することができる。ノートはコピー、メモ追記、ハイライトなどができる。

起動画面はHOMEだが、NYTimes.comのHOME PAGEとは若干レイアウトが違うが、コンテンツは同じ。ただし、掲載している広告はTimes ReaderとNYTimes.comでは違う。

手軽にプリントでも、オンラインでも、そしてユビキタスに、NYTのコンテンツを消費させようという目論見は分かるし、オンライン広告が伸びるにつれてWebの広告スペースがタイトになってくるのはNYTimes.comクラスのサイトなら予見できる。Readerによって広告のインベントリを増やし、Webサイトと合わせて、プリント広告の落ち込みを埋めたいというだけなのか、それともまったく新しいヒネリを用意しているのだろうか?

英国高級紙の中でも発行部数が最も少なく、デジタル化に命運をかけなければならなかったようなGuardianに比べれば、まだまだ当分は、紙に依存しなければならないNYTの苦肉の策なのか?
米国のNAA (Newspaper Association of America) によれば新聞紙の発行部数は減少を続けている。米国成人人口のうち、1998年は58.6%、2000年は55.1%、2005年は51.6%が新聞購読者だ。しかし、Newspaper of the Recordとも呼ばれるNYTはさほど、購読者数の落ち込みもなく世界の新聞たる地位を確保している。

ところが、Young challenge mainstream media を読むまでもなく、今後、紙に依存できなくなるのは明らかだ。デジタル化の波にもまれ、NYTimes.comはサイト内にMY TIMESというエリアを設け、自身がニュースアグリゲーターサービスを提供している。また、MOST POPULARでは、最もemailされた記事、Blogされた記事、検索されたキーワード、そして人気のある映画を紹介しているが、情報提供者サイドからのSNS風ユーザ囲い込みだ。これでは、新聞を読まない傾向の強いYoung Adultといわれる20~30代ユーザへの訴求が弱い。

このグループへの訴求、そして携帯端末でコンテンツを消費するユーザを目的としたTimes Readerだとしても、情報提供者側からの一方的な記事提供に限定されている限り、広告売上増加に加えた新規ユーザ獲得は難しい。

Guardianと比べた場合、NYTはプリントとオンラインの戦略がまだ固まっていないように見える。

2006/09/18

Beyond DR, Online Can Brand

iMedia ConnectionのIn FocusにeMarketerのCEO、Geoff Ramseyが書いている「Get Your CMO to Spend More Online!」の続き-3。
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CMOによっては、インターネットはダイレクトレスポンスに効果があり、製品プロモーションに使えると理解している。
が、しかし、彼らはブランディングビークルとしてオンラインを見ていない。
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というわけで、特に、密着したEngagementを可能にするブロードバンドユーザの場合、オンラインがブランディングビークルとして機能することを説明している。

全米67%(5,220万)の世帯はすでにBB化されており、DRよりもブランディングをオンライン広告を目的とする広告主が増えてきているとして、データを紹介している。
2004年の24%から2006年には41.5%へと、ブランディング目的で広告を出稿する比率がアップし、ダイレクトレスポンスは2004年の76%から2006年の58.5%へ下がっている。

また、次の3点の注意を喚起している。
●現在オンライン広告の38%がブランディング目的
●2006年末には全世帯の67%がBB化され、五分の一以上のユーザはビデオをオンラインで視聴
●BBビデオは視覚、音、動き、TV同様のエモーションでオーディエンスにリーチし、広告効果測定がより可能で、よりきめ細かなターゲティングと、相互作用および口コミ共有の可能性を秘めている。

加えて、オンラインビデオが引き出すブランドEngagementのデータも出している。
2006年2月、オンラインビデオを視聴したユーザの
 31%は該当Webサイトへアクセス、
 14%はショップで製品をチェック、
 14%は製品・サービスの詳細情報を要求、
 10%が友人・家族にビデオを転送、
 8%が製品購入、
 5%がトライアル
を体験している。

Source:iMedia Connection

ビデオを視聴しても何もしなかった56%に比べ、何らかのアクションを起こした44%は、一層、製品・サービスの理解に努め、口コミ販促を行い、8%は購入にまで至っている。
BB化により常時接続、多サイトアクセス、大量情報受信、ビデオダウンロード増加、SNSが背景となり、マルチメディアを消費するユーザにTV同様、あるいはそれ以上のブランド効果が期待できる。

これは別にアメリカに限った話ではない。日本も欧州も、そして中国、台湾、ブラジルなどの国々でも同様だ。これら世界各国に対して日本のグローバル企業がブランド戦略ビークルとして活用できるのはインターネットをおいて他にない。
Economist.comのGlobal Surveyによれば、70%以上のグローバルマーケティング・エグゼクティブは2008年までには、大規模キャンペーンの策定と実行に、オンライン(広告)が決定要素になると判断している。

Source:iMedia Connection : PPT (Zipped PPT)

2006/09/17

In No Another Bubble

iMedia ConnectionのIn FocusにeMarketerのCEO、Geoff Ramseyが書いている「Get Your CMO to Spend More Online!」の続き-2。
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CMOが、「これって前に聞いたことなかったかな?」と2000年のインターネットバブル当時を思い出す。

しかし、時代が違う。
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ということで、70%近くがインターネットへのアクセスが可能、そして63%が家庭からアクセスしていると続け、インターネットの普及を各種調査データで実証している。

◆平均的な18-26歳の米国人は毎日、オンラインで65分間を消費
◆このデモグラフィックグループは、TVよりもオンラインを消費
◆このグループはTVよりもインターネットが重要なメディア

comScore Media MetrixのCEO、Peter Dabollは、「特に結婚、自宅購入、出産といった消費者の人生の転換ポイントでリーチしたいと考えるマーケターであれば、個人の特定のニーズにマッチ するコミュニケーションを提供するWebに見合うメディアはそうない」と語っている。

ダウンロード資料には、ティーンがオンラインで消費する時間に関し、eMarketerを上回るほどの結果を出しているものもある。
JupiterResearch---------- 86分@日
CBS News Survey---------174分@日
Grunwald Associates-----210分@日

ま た、「もし2つのメディアしか使えないとした時、どのメディアを選択するか」という問いに対して、最初のメディアとしてインターネットを選択するのは 45.6%、2番目のメディアとしては32.1%。TVを最初のメディアとするのは34.6%、第二のメディアとするのは27.8%という調査結果もあ る。

Source:iMedia Connection
Source:iMedia Connection : PPT (Zipped PPT)

2000年は「.com」バブルであり、インターネット普及バブルでも、オンライン広告バブルでもなかった。「.com」バブルが崩壊してもインターネットの普及は急速に進み、昨年末で10億ユーザを超えている。

IAB (Interactive Advertising Bureau) のレポートに興味深い比較がある。これは地上波TV、CATV、そしてインターネットの最初に広告売上が計測された年から11年目までの広告売上を比較した ものだ。地上波TVの広告売上の最初の年は1949年、CATVは1980年、そしてインターネットは1995年として比較している。(売 上規模は現在の貨幣価値に換算)
インターネットは5年目(1999年)に、地上波TVとCATVのそれぞれ5年目の広告売上を抜いている。6年目 (2000年)から7年目(2001年)に「.com」バブルが崩壊し、8、9年目に地上波TVの売上を下回ってはいるが、10年目の2004年から再び 上回っている。

Source:IAB : FY2005 Internet Advertising Revenue Report

地 上波TV、あるいはCATVが普及する初期段階の広告収入を上回るインターネットは、他メディアへの大きな影響力を持ち、メディアシフトを促進し、メディ ア消費も変えつつある。そしてインターネットはボーダレスのコミュニケーションスペースであり、情報リソースでもある。
グローバル企業のマーケターにとり、世界規模でのブランディング、製品だけではなく、企業ブランドの確立にも活用できるスペースが開けている。

2006/09/15

TV's Effectiveness is Waning

iMedia ConnectionのIn FocusにeMarketerのCEO、Geoff Ramseyが「Get Your CMO to Spend More Online!」と題して書いている。非常に重要なので2~3回に分けて紹介する。
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インターネットの隆盛やインタラクティブマーケティングがブランドの将来の鍵になることは、様々な報告、報道がなされている。しかし、オンラインに予算を投下することに抵抗しているCMO (Chief Marketing Officer) がいる。

これを変えさせるのは今だ。
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ということでまず、TVの効果が衰退してきていることを実証している。

◆過去10年、TV広告費は40%上昇したが、視聴者数は50%下落
◆TVのCPMは2004/2005で7.3%、2005/2006で2.6%も上昇
◆スーパーボールの広告費は2003年から2006年で14%アップしたが、オーディエンスは縮小

AMEXのCMO、John Hayesは、「世界中のどこであろうと、見返りが少なくなっている日用品に自信を持って高い金を払うやつがいるか?」と語った。右図のように「昨夜、TVで見たブランド名を言えるのは65年の34%から2000年の9%」まで大きく落ち込んでいる。

ForresterとANA (Association of National Advertisers) の調査によれば、2010年までにTV広告の効果は1990年の三分の一になると予想している。

また、TiVoやDVR も忘れてはならない。ANAの調査によれば;
◆70%の(ANA)広告主はDVRおよび VODが30秒スポットの効果を減らす、あるいは減殺する
◆DVRが3,000万世帯に普及すると、60%の広告主はTV広告費を削減、四分の一の広告主は広告費を25%削減する
◆80%は削減した広告費をWebへ振り向ける
と回答している。

eMarketerは、2008年にDVRの普及が3,000万世帯に達すると予想している。

P&GのCMO、Jim Stengelは、「1965年なら3本の60秒TVスポットで米国の18-49歳の80%にリーチできた。2002年には同じ結果を得るには117回、プライムタイムにCMをやる必要があった」と語った。

Source:iMedia Connection

TVの広告効果が衰えてきているのは米国だけではない。全世界の先進国で同じ状況を抱えている。TVをつけながら、インターネットなど様々なメディアを同時に、マルチタスクに消費するユーザがいる。

EIAAのMediascope Europe Studyによれば、主としてTVを観ている時、新聞を読むのが28%、雑誌が24%、インターネットを利用するのが11%もいる。合計で69%が他のメディアも利用している。そして、主としてインターネットを利用している時、他メディアの利用は56%だ。この時、TVやラジオはBGM的に消費されているのだろう。

この傾向は、16-24歳の若年層で一層顕著だ。TVが主でも、インターネットが主でも、それぞれ他メディアを87%、83%も消費している。これほどメディア消費のメッシュが進むとき、TVの広告効果が以前の威力を発揮することはできないし、自らコンテンツを創造してオンラインのユーザ間でコンテンツのメッシュを行うインターネットユーザには副次的な効果しかない。

Source:EIAA (Mediascope Europe Results 2005 : pdf)

Customer Respect Group Report

Customer Respect Study、全米のトップ企業がオンラインカスタマーにどのように対応しているかをランク付けするレポートがある。
米 大企業100社を対象に、10ポイント制でランク付けしたところ、平均は5.7ポイント。右図のようにIntelがトップ、Sears、HP、 J&J、IBM、Pfizerなど馴染みのある名前が並んでいる。注目されるのはP&Gが前年の64位から5位に順位を上げていること だ。

ランク付けのポイントは次の3つ。
◆サイト利便性
 幅広いユーザ層にとってWebサイトがいかに使いやすいか?
◆コミュニケーション
 ユーザの個別質問に対して、One-on-Oneコミュニケーションを実行する意欲があるかどうか?
 対応内容(Email回答の質-回答スピード、回答のトーンやその他の通信方法を使った分かりやすさ)
◆信頼性
 企業Webサイトは個人情報の取り扱いに関して信頼できるか?
 透明性(明確で包括的なプライバシー方針が明記されているか)、
 原則(データプライバシーの遵守、クッキーの説明)、
 そしてプライバシー(データプライバシーの遵守、明確で包括的なプライバシーポリシー)があるか?

Source:Customer Respect Group

さて、9月6日、米連邦地裁は、National Federation of the Blind (NFB)に対して、大手小売業者、TargetのWeb サイトが視覚障害者にとってアクセスできないならば、集団訴訟をおこすことができると判断した。NFBは、TargetのWebサイトが、視覚障害者 にとってアクセスできないサイトであり、そのためADA (Americans with Disabilities Act)、California Unruh Rights Act、そしてCalifornia Disabled Person Actに抵触すると提訴した。対してTargetは、Webサイトのアクセス性改善を強制する法律は存在しないので訴訟を受理しないよう訴えていたが、 地裁はTargetの訴えを退け、個人の権利に関する連邦法、および州法が適用されるとした。

Source:National Federation of the Blind / Press Release

インターネットがTVなどのメディアと同様に、様々な障害者にも配慮すべきメディアとして、ユーザにも認識されてきたし、司法の場でも同様に認識されてきたということになる。

日 本企業のグローバルWebサイトは、日本語の直訳的なサイトが多く、海外からのEmailでの問合せ先がないケースが多い。Customer Respect Groupが調査、評価するサイトの利便性、コミュニケーション、信頼性に関し て、及第点を取れるグローバル企業は何社いるのだろうか?また、日本のグローバル企業は、アクセスする海外ユーザに満足の行く対応を行おうとしているだろ うか?

2006/09/13

Multi Thread Exposure

Gizmodoというガジェット専門のBlogサイトがある。デジタル製品からピラミッド型の時計、ビール注ぎロボット、カメラバッグ、その他、人の好奇心や目を惹きそうな様々なものを紹介している。

Gizmodo は、YouTubeに多くのビデオクリップをアップしている。その波及効果は非常に大きい。例えば、マンタ型のカイトは1,170,862回、Sonyの Myloビデオクリップは1,017,676回、CeBIT開幕日の3月9日にアップされたSamsungのOrigami PCは337,114回も視聴されている。また、他にも399,673回視聴されたiPodを搭載したHonda Civic Hybrid、419,291回視聴されたMotorola Razr、186,773回のLexus LS460L、271,597回のXboxなど等がある。(視聴回数は9月11日時点)

Sony Myloは8月7日、YouTubeにアップされている。Technoratiを使い、Sony Myloというキーワードで全ての言語を対象に過去90日間のBlog数をグラフにしてみた。8月6日までなかったBlogが、7日以降急増し、8日には 1,100を超える数のBlogが書き込まれている。これらBlogへのアクセスやリンクによる膨大な波及露出は数え切れない。
SamsungのOrigami PCのケースは、Blog数増加だけではなく、Webアクセスの増加も認められる。

企業による露出だけではなく、Gizmodoのような専門Blog、YouTubeのようなビデオクリップ共有サイト、そしてBlogを経由する露出が増えている。この相乗効果をうまく使わない手はない。

2006/09/12

YouTube

車を運転することが楽しくなるようなTVCFがある。

Opel Vauxhall Astraの最新キャンペーンは、「Astra, Fall in love with driving again」と題され、屋上の駐車場から飛び出し、シンクロする車の間を抜け、トンネルの天井に駆け上がり、交差点で空中シンクロ、下り坂で大きくジャン プ、火の輪くぐりをして手紙を出しに行くという40秒CFだ。
(最後に手紙をポストに入れ損ねて落としてしまうオチは賛否が分かれるかもしれない?)

Source:Brand Republic
(注:上の記事は一定期間後、購読契約が必要)

もうひとつ、YouTubeにアップされているTVCFも楽しい。ビッグウェーブを切り裂いてAstraが自由自在に駆け抜けていく。これは、5月28日にアップされていて、30,579回視聴されている。

Source:YouTube

著作権侵害でアップロードされたTV番組やビデオの削除とアップロードが繰り返されているYouTubeだが、企業にとっては露出を加速させる面があり、痛し痒しと言ったところだ。

しかし、Wall Street JournalのYouTubeに関する記事を読めば、その数字に圧倒されてしまう。
故に、Paris Hiltonなどのブランド露出にも、企業の露出にも活用され始めたし、Yahoo!、MSNなどもビデオスペースを拡大することに躍起となっている。

 アップロードされたビデオクリップ:610万本
 総視聴回数:17.3億回(日曜日だけで=「日曜日時点で」に訂正)
 Zidaneというタイトルのビデオクリップ数:2,000近く
 ビデオ保存容量:45テラバイト(約5,000台のPCに匹敵)
 登録ユーザの70%:米国人(その半分が20歳以下)
 最高齢(登録ユーザ):79歳の英国人
 個人による最高ビデオクリップアップロード数:約2,000本
 全世界の人がYouTubeのビデオを見た累計時間:9,305年 !!!!!!!!
 
Source:Wall Street Journal
(注:上の無料記事は一定期間後、削除されます)

There's More To See

New York TimesのCircuits(毎週木曜日発行)は、David Pogueが様々な製品を紹介してくれるEmailレターだ。デジカメ、iPod、Windows Vistaなど様々な製品情報、試用レポートなどを提供している。日本でも購読(無料)しているユーザは多いのではないだろうか。

9月7日のCircuitsにシャープ、Aquosの広告が掲載されている。クリックするとAquosの「There's More To See」という専用サイトへリンクされ、パフォーマンス、デザイン、ビジョン、メディアごとに様々なトピックを紹介してくれる。日本のシャープサイトからも、global/aquosから専用サイトへリンクされる。

面白いのは、次の画面右下にあるように、米国(英語、スペイン語、日本語)、豪、中国、仏、独、伊、蘭、露、シンガポール、スペイン、UKと、世界 各国の ユーザ向けのインタフェースが用意されていることだ。基本トピックを各国語で提供し、販売の段階になると各国のローカルサイトへダウンリンクさせてい る。米国のみならず全世界のユーザからアクセスを獲得しているニュースサイトのIT系ユーザを抱えるニュースレターに絞ったターゲットマーケティングだ。

こ れこそ、オンラインでのグローバルなブランドマーケティングの一例ではないだろうか。10億を超えるインターネットユーザ、Lingua Francaとして普及するGlobal English、世界からアクセスを獲得するサイト、各国語インターフェース、各国での販売促進用ダウンリンクなど、背景と必要性を編み込んだ上で、本社 Webサイト、あるいは専用サイトへアクセスを誘導し、コンテンツを消費させ、ブランドの認知度を上げ、ローカルへのダウンリンクを獲得することがグロー バルなブランドマーケティングとなる。
特に、IBMなど本社グローバルWebサイトを意識することなく、グローバルブランディングに活用できる米国企業に対して、日本を含むそれ以外のグローバル企業がインターネットを活用する道がここにある。

と ころで、Alexaで「www.moretosee.com」のリーチを見てみると、2004Q4、2005Q2、Q3、Q4、2006Q2と大小の山が ある。山が来ると谷が続くといったパターンだ。これは多分、社名サイトではないだけに、オンライン広告を集中出稿した時期はリーチが上がるが、広告を中止 するとリーチがダウンしているのではないだろうか。まだまだ、オンラインの広告予算がTVやプリントのそれと差があり、十分な露出を稼げていないようだ。 そのため、残念ながら、オンライン露出の効果が継続せず、キャンペーンごとにまた一からユーザ構築をやり直しているように見える。

そしてGoogle Trendsによれば、2005年Q4以降、短期の例外はあるが一貫してBraviaをキーワードとする検索回数が、Aquosのそれを上回っている。
また、TechnoratiによればAquosに関する英語でのBlogは3,694件、Braviaは5,221件。Braviaに関するBlogは昨年9月以降からだから、Aquosに関するBlog数を急速に追い越している。
(Blog数は9月11日時点)

DisplaySearch のデータによれば、2005年Q4、SonyのBraviaショック以降、シャープのLCD TV出荷台数シェアは下落の一途だ。その間、Samsungにもシェアを食われ、LGEもひたひたとシェアを上げてきている。2006年Q2、シャープと Sonyのシェア差はわずか0.1%。

Source:DisplaySearch
2006Q1/Q22005Q4/2006Q12005Q3/Q4

TV、プリントから専用サイトへの誘導よりも、オンラインからの誘導が確率は高いし、Blog書き込みとの連携もオンラインが上だ。「www.moretosee.com」へのアクセスを継続させ、認知を上げるには、オンラインの継続露出が不可欠だろう。

2006/09/08

Young challenge mainstream media

BBC、Rueters、US Media Centerが行った調査、「Trust in the Media (世界の10カ国、合計10,230人を対象に行ったメディアの信頼度調査)」をベースとして、BBCが5月に2つの記事、「Media holds its own in trust poll」と、「Young challenge mainstream media」を書いている。

最初の記事は、各国政府よりもメディアが信頼されており、メディアの中ではTV(86%)が最も信頼され、また、TVは最も重要なニュースソース(56%)とされ、新聞の21%、インターネットの9%、ラジオの9%が続いていると書いている。

しかし、注目すべきは2番目の記事だ。年代によってニュースソースの利用に大きな違いがあり、若年層は、TV、あるいは新聞よりもインターネットを重要なニュースソースとしており、全年代平均の9%、45-54歳の4%、55-64歳の3%に比べると、18-24歳の19%が、最も重要なニュースソースとしてインターネットを挙げている点だ。

ダウンロード資料8ページ目にある右図がメディアの将来を語っている。
「インターネット/携帯などによるニュース入手を利用する」というデモグラフィックグループは、男女を問わず過半数を超えており、18-54歳までの過半数を超え、中高等教育を受けた者の過半数を超している。

BBCは次のように記事を結んでいる。
「メインストリームメディアが直面する課題は、欲しい時に、どんな形でも、彼らが望むようにニュースを要求する世代によって、どんどん主流から押しやられるリスクが増加することだ」

Source:BBC
Media holds its own in trust poll
Young challenge mainstream media
Trust in the Media (pdf)