2007/08/30

Why Do I Blog?

7月20日に、「Whole Foods boss rumbled for annonymous postings」を書いた。

その後も、Whole Foods MarketがWild Oatsを買収する件は、数度にわたりFTCが地裁に中止や差し止めを求めていたが、地裁はそれらを棄却し、8月28日に買収は完了したようだ。買収完了の プレスリリースにコメントを載せてはいるが、SECの調査が入った7月17日以降、CEOのJohn MackeyのBlogは更新されておらず、だんまりを決め込んでいる。また、同様に17日付けで取締役会がオンラインのファイナンスボードへの書き込みを独立した内部委員会が調査すると公表してはいたが、その後何も発表されていない。

ここまで顧客、いや、全てのステークホルダーに不透明な企業、情報開示を行わない企業は米国でも珍しいのではないだろうか?

さて、Whole FoodsのCEO、John Mackeyが時に競合相手、時に買収相手であったWild Oatsをこき下ろしていたBlogの話は大きく報じられたので以前、何度が取り上げたMarriott のCEO、Bill Marriottも自身のBlogで言及している。

「競合に対する良いとは言えない書き込みをしていたCEOに関する話でこのところもちきりだった」、「インターネットのおかげで、今日、ビジネスの世界はより透明性が高まってきているようだ」と語っている。

そこで彼は、「私がBlogするのはなぜ?」と続け、「ビジネスは価値を創造するものでなければならない。そして、私は我々の価値をBlogを通して伝えようと努力している」と書いている。

最後に、「苗字がホテルの看板にあったり、会社と一体化しているような存在であるなら、口に出すことや行うこと、全てが良い方へも悪いほうへもビジネスに影響する。この素晴らしき情報時代に、CEOは透明でなければならない」と結んでいる。

参考:Whole Foods boss rumbled for annonymous postings (Online Ad)
Source:Whole Foods Market /Whole Foods Market Closes Acquisition of Wild Oats
Source:Marriott On The Move / Why Do I Blog?

Marriottのように創業者の苗字が会社名となっている企業は多く存在するし、またそうではない企業も数多く存在する。ただし、現在、世界展開しているグローバル企業の中でも創業者一族がCEOを努めているのは希であり、それだからこそBill Marriottは一層、厳しく自己を律しているだろう。

しかし、どんな企業名を持つ企業であれBill Marriottとその他のCEOの違いは、時代を理解し、PC操作ができないにもかかわらずわざわざ口述したものをBlogにアップさせる手間をかけてまで、ステークホルダーに企業のコミットメントを提示しようとする彼の姿勢だ。

ところで7月20日の彼のBlogにある意味で驚くべき写真が載っていた(右)。

MarriottがNickelodenと提携してホテルを建設するという話があったが、その関連でNickelodeonに登場するキャラクターたちに「スライムを浴びせられたらどう思う」と聞かれていたそうだ。そして、何らかのセレモニーでそれが実際に行われたときの写真だ。

この後、彼自身の2人の孫、AndrewとJackは父親がステージの下から取り出したバケツに入ったスライムをお爺さんであるBillのズボン、靴、靴下に注ぎ込んだ。靴に入り込んだスライムのおかげで歩くたびにキュー、キュッと変な音が出るし、惨めな格好だったが、楽しかったと書いている。

そしてことあるごとにその時のことを思い出させるグリーンとオレンジのシャツを着て現れる孫達は、Marriottが建築するNickeloden仕様ホテルをキッズにとって一層、エキサイティングなホテルにするためのアイディアを与えてくれると書いている。

Source:Marriott On the Move / The Experience of Getting Slimed

以前、最初に彼のBlogを紹介した折、最後に;

日本のグローバル企業のCEOやCMO (Chief Marketing Officer) がいつ、顧客やユーザ、ビジネスパートナー、その他のステークホルダーに対してオープンな対話を始めるのか、こちらも興味津々だ。

と書いたが、Bill Marriottのオープンさ、懐の深さ、そして顧客優先の考え方を見せられると、日本人に同じことを求めるのは無理だと、それこそ頭からスライムを浴びせられたような気になった。

参考:Marriott's CEO Blog Launched (Online Ad)

2007/08/29

Kodak EASYSHARE

Canonが24%の支持を集めて一位、Kodakが17%、SonyとNikonが15%、Olympusは9%で五位になったというデジカメのベストメーカーランキングをIpsos Insightが発表している。

Canonへの支持は18-34歳層でダントツ、35-54歳層でも二位グループを引き離している。55歳以上のグループでようやく21%の支持を集めたKodakが19%のCanonを凌いでいる。

しかし、次の図にあるように消費者の希望は、もっと安いプリンタインクなのだ。
この消費者のニーズに呼応しているのがKodakの「EASYSHARE All-in-One Printers and Ink」キャンペーンだろう。
Source:Ipsos Insight /U.S. Internet Consumers Embracing Digital Imaging
Source:Kodak / EASYSHARE All-in-One

メーカーは消費者の求める製品、サービスを提供することを第一として考えているとよく言うが、こと利益率が高く、売上に大きな貢献をしている消耗品については消費者の声に耳を塞いでいる。Kodakのマーケティングが消費者にとって最も大きな意味を持つことはどの競合メーカーも認識しているが、後を追う日本メーカーは出てくるのだろうか?

2007/08/28

Dark Side of PR 2.0

Ivana KalayがStumpetteに「WARNING: Beware the Dark Side of PR 2.0」と題して、Web 2.0、PR 2.0の裏側を書いている。

Souce:Stumpette / WARNING : Beware the Dark Side of PR 2.0

Web 2.0、PR 2.oの裏側とは、「Black PR」、「BPR」を指し、利益目的であったり、悪意を持って(競合)企業などの信頼、評価を下げることを目的としたマーケティングということになるだろうか。あるいは昨年、Diggで実行された愉快犯、個人的な劇場型犯罪を行う輩も含まれるかもしれない。

参考:Fake News Story Games Thousands of Digg Users (Online Ad)

KalayはAjax、フィード、ソーシャルネットワーク、Splog、SEOパワーツールなどを説明しながら、それらを悪用できる可能性について書き、実例としてひとつ上げている。それによるとヨーロッパの大手航空会社が最近、Ajaxを活用した新しいWebサイトをオープンした。クールで使い易く、ユーザの評判も上々だったようだが、問題は脆弱だったことだ。競合する航空会社が「Black-hats (hackers)」チームを雇い、単純なWebアプリを使ってサイトを精査した結果、顧客名、コンタクト詳細、その他多くの個人情報を獲得する様々な穴を発見したそうだ。その後、競合会社はその情報を使い、各種旅行プロモーションを行い、大手航空会社は25%の収入減に見舞われたと書いている。

さてさて、売上が25%も落ち込むという影響があったとするとMSM(Main Stream Media)がファイナンス記事で取り上げてもおかしくないイベントだが、そんなニュースは聞いたことがない。そのため彼の書き込みに対して否定的なコメントもいくつかある。だから、彼のエントリを単に意味のない憶測記事だとかたずけるのは簡単だが、クリック詐欺やSplog、上記のガセネタのように広告プラットフォームを悪用したり、SNSやニュースアグリゲーターを利用して金を稼いだり、釣られた人々に対して大笑いする輩がいることを無視することはできない。

Click Forensicsによれば2007年Q2で15.8%に達し、GoogleのAd-Sense、YahooのPublisher Networkを含んだ検索エンジンのコンテンツネットワークに出現したPPC広告に対するクリック詐欺の比率は25.6%だ。そしてクリック詐欺のうちフランスが5.1%、中国が3.2%、オーストラリアが3.1%を占めるという現状を見れば、対岸の火事どころか足元でくすぶっているボヤが壁を伝い始める前に対処しなければいけないのが明らかだ。
Source:Click Forensics / Click Fraud Q2 2007

2007/08/27

IBM Digital Consumer Study

IBM Institute for Business Valueというところから米、英、日、独、豪の5カ国ごとにPC、携帯、ポータブルメディアプレーヤーの普及やメディアそしてエンタテイメント消費に関する調査が発表されている。

IBM Institute for Business Valueは、重要なビジネスチャンスに対する戦略分析や提案をすることでクライアントが新分野へ投資するための支援を行っている部門らしい。全世界17カ国でリサーチや分析を行っているそうだ。IBM自体、メディアおよびエンタテイメント業界、すなわちエンタテイメント、出版、情報提供、メディアネットワーク、広告などの業界セグメントごとにそのサービスや製品をフォーカスしていると、以下のSourceで謳っている。

ところで、下は平成16年全国消費実態調査(世帯分布結果表)から作成したものだ。右から2番目の列が世帯数(10万世帯対)で、一番右が各世帯収入階級の比率となっている。300万円未満が10%、600万未満が40%、1,250万未満が42%、1,250万以上が8%だ。
この比率とIBMのデータを比べると、まず調査対象の58%が世帯収入を回答してないと注記されている。これは日本以外の国では見られない兆候だ。
また、約2,400万(1㌦=120円計算)以上の世帯収入比率が23%だとしている。このデータには首を傾げざるを得ない。非正社員雇用を増やして人件費を抑制、削減する企業、働けども働けども手取り収入の少ないワーキングプアの存在が声だかに叫ばれる現在、まるで渋谷や赤坂に住んでいる社長さんだけを選んで調査対象としたかのようだ。
Wikipediaにあった2005年の米国の統計と、IBMの数字は、当たらずとも遠からずといったレベルで日本ほど大きな差はないようだ。Source:IBM / End of advertising survey results
Source:Wikipedia /Household income in the United States
Source:総務省統計局 / 平成16年全国消費実態調査 世帯分布結果表 世帯属性、都道府県別世帯分布 (全その1) (xls)

さて、このBlogでもよく取り上げるEIAAでは毎年いくつかの調査を発表している。通常、各国ごとの人口、男女比、年齢構成、教育レベルそして居住地などを勘案し、英、独、仏、伊、西が1,000人、ベルギー・蘭が500人、北欧(スウェーデン、ノルウェー、デンマーク)が330人前後の合計約7,000人を対象とした調査を行っている。これによって各市場を正しく反映したデータ、分析を行っているわけだ。

参考:EIAA Mediascope Europe 2006 (Online Ad)

ところでIBMが収集したデータ数は、米で888人、英で559人、独で338人、日で378人、豪で263人だ。その中で男女比、年齢比は出しているが、各国の人口分布を反映したものではない。この調査の対象となった人間の男女比、年齢比を出しているだけだ。

その中でも日本の378人中、58%の219人が世帯収入を回答していない点、そして、2,400万円の世帯収入を持つ調査対象が23%もおりながら、そのバイアスをなんら考慮、修正していない点から、IBMが収集したデータは日本という国を正確に写したものだとは思えない。他にも、例えばDVRの普及率を5%としていたり、SNSに参加しているのがたった9%だとしている。

注1:電通が2005年7月に出した「DVR普及がテレビ視聴に与える影響について」ではDVR普及率を15%としている。
Source:電通 / DVR普及がテレビ視聴に与える影響について (pdf)

注2:インプレスが2006年に出した「インターネット白書2006」によれば、「SNSへの参加は2005年の2.6%から11.0%へ増加」したとされている。
Source:マイコミジャーナル / SNS利用者の82.6%をmixiを利用-「インターネット白書2006」発表

こうしてみると、少なくとも日本に関するIBMのデータはあまりにも実態とかけ離れており、そのデータを元にした分析、提案、コンサルティングにも残念ながら真が置けないと感じる。

2007/08/24

Intelligent New Business Survey 2007

米150社を対象に調査し、マーケティングコミュニケーション会社がどのように見込み企業から新規ビジネスを獲得するべきかを明らかにしたRainmaker の「The Intelligent New Business Survey」が公表されている。


マーケティング会社、代理店が新規ビジネスを獲得するにあたり正確な洞察がクリティカルとなる以下の3つのポイントで調査したものだ。
  1. 企業が新しい代理店を物色する理由
  2. 代理店が最も効果的に企業とエンゲージする方法
  3. 企業が多くの競合代理店の中から特定代理店を選択する理由
サマリ
  • 企業は代理店の規模に関心はない。が、代理店はそうだと感じている。代理店は規模で仕事をすべきではない。
  • 企業の83%は代理店の所在地を問題としない。が、代理店はそう思っている。代理店は地理的な近さが提案するソリューションの受注成功にはつながらないことを理解すべきだ。
  • 企業の85%は代理店が新規ビジネス提案を行う事前調査、準備を十分だとは思っていない。代理店は現状分析に一層投資すべきだ。
  • 企業の75%はビジネスの諸問題に対するソリューションを求めている。が、代理店は広告、PR、クリエイティブなど自分の得意分野を求めていると誤解している。代理店が提案すべきはソリューションだ。
  • 企業は競合他社の先を行く対応を代理店に求めている。が、代理店の多くは冷房の効いた居心地のいいオフィスにいることを好む。代理店は新規ビジネス獲得のためにプロアクティブに行動すべきだ。
  • メジャートレンドとして疑いもなく企業から求められるのは消費者動向分析だ。代理店はより正確な消費者動向分析を行い、積極的に企業に提案すべし。
Source:Rainmaker / The Intelligent New Business Survey (pdf)

詳細は上のリンクを参照していただきたい。

この調査は、相応のマーケティングコミュニケーション能力を持つ代理店を必要とする意識と目的が高く、(グローバルな)ビジネス戦略を持つ企業を対象としているので、こういう結果になっているのだろう。

そうではなく普通のごく一般的な企業の場合、サマリ結果の逆が真になっているのが実情だろう。代理店の規模は大きい方が良いに決まっているし、締め切り後の変更などにわがままが効く近場の代理店を重宝し、言われたことをやるだけでいちいち時間のかかる新規ビジネスの提案などしてこない代理店が良いし、得意分野でアプローチしてくる代理店の中から相見積もりで指定するのが楽だし、企業内部での調整に時間のかかる一歩先を行く提案は無いに越したことはないし、消費者動向分析などされても分からないというのが本当ではないだろうか?

これは国内でも勿論だが、海外向けにおいて一層、真だと言える。それはCMOなど存在せず、現地法人からの販売支援要請に唯々諾々と従うことが通例となり、グローバルなマーケティング戦略を持たない企業が多いからだ。

現状のオンライン露出量調査となるとNielsen//NetRatingsなどのAdRelevanceを使った出稿量調査をベースとするのだろうが、そんなトラディショナルメディアと同じ方法でオンラインの露出、認知、想起は計測できない。BlogやWebサイトへのリンク、トラックバックなどを加味している調査を行う代理店はいるのだろうか。Google Trend、Digg、del.icio.usなどのデータや露出を活用する代理店はいるのだろうか。ごく一部では実践している代理店もいるだろうが例外だろう。それは、そういったデータを元にした現状分析を求める企業が少ないからだ。

ただし、日本の税務当局が海外広告に関して課税を強化しているというマイナスファクターがあることも事実だ。広告宣伝費ではなく、海外現地法人への利益供与だとして課税されているのは納得が行かない。このインターネット時代にグローバルWebサイトを活用したオンラインブランディングなしにどんなマーケティングが可能だと言うのだろう?
それを実践している日本のグローバル企業は皆無だが...。

2007/08/23

NYTimes Select Rumor Continued

ついこの前、「The End of Paid Content (?)」でNYTimes.comがTimesSelectの無料化を決定したと(推測した)NYPostの記事を紹介し、有料サービスから無料サービスへの戦略転換の話を書いた。

そのエントリでもSteve Yelvingtonの話を伝えたが、NYPostの記事の裏にはいろいろとあるようで、WiredのBlogで書かれているように、「NYPostの記事は大量の塩をかけて品定めしなければならない」ような眉唾物かもしれない。その話を引きながらHitwiseのBill Tancerが、NYTimes.com、TimesSelectのサイトデータを出して分析している。

7月にwww.nytimes.comの中で最もトラフィックを稼いでいたのはselect.nytimes.comで全体の8%になる。ところがNYTimesからSelectへアクセスしたトラフィックは前年比16%減となっている。Select自体のトラフィックのうち67%はNYTimesからのもので、米国からのSelectへのトラフィックは前年比22%となっている。

年代別のオーディエンスをNYTimesとTimesSelectで比較してみると、TimesSelectは18~44歳までのインデックスが100を超えている。NYTimes全体を100とするとTimesSelectのユーザの方が例えば、18-24歳では138.83となる。25-34歳では149.29で、これを合計した34歳以下ではNYTimesがTimesSelectの45%増しのオーディエンスを集めていることになる。
また、同様に15万㌦以上の世帯収入を持つグループのインデックスは約150だ。TimesSelectの50%増のオーディエンスがNYTimesへアクセスしていることになる。TimesSelectよりNYTimes全体のオーディエンスのほうが高級管理職、自営業者などの富裕層が多いことになる。
参考:The End of Paid Content (?) (Online Ad)
Source:Wired / Rumor Control : Post Says Times Select To Go Free
Source:Hitwise Blog /New York Times Select Rumor - Data Perspective

Bill Tancerの結論は、「TimesSelectを無料化してもオーディエンス増加につながるかどうか不明だが、富裕ヤング層を人気コラムニストの記事に触れさせることで広告売上の増加が期待できそうだ」としている。

やはり米国内の広告主を対象とした戦略はすでに限界だと感じる。20日のエントリ、「Online Time More to Content Than E-mail」でも書いたが、コンテンツのクオリティこそNYTimesが推すべきキラーアプリだし、訴求対象は米国のみならず全世界のクオリティオーディエンスだろう。

NYTimes.comへのBlogインバウンドリンク数をみれば83,740を集め、二位以下のCNN、YahooNews、BBCなどを大きく引き離している。また、全Blog言語の37%を占める日本語はさておき、36%の英語、8%の中国語、3%の伊、西、2%の露、仏、ポルトガル、1%の独語を見ればおのずと戦略は定まると思うのだが...?
Source:Sifry's Alerts

2007/08/22

Social Bookmarking in Plain English

「ソーシャルブックマーキング、アールエスエス、ソーシャルネットワーク、ウィキを、例えば、上司や同僚、家族にどうやってわかりやすく説明するか」に悩んでいるあなた!

そんな悩みを解決してくれるのが、Common Craftのビデオだと、GroundswellのCharlene Liが紹介している。
Common Craftは以下の4つのビデオをアップしている。これはもう見ていただくしかない。
  • Social Bookmarking in Plain English
  • RSS in Plain English
  • Wikis In Plain English
  • Social Networking In Plain English
Social Bookmarking in Plain English(英語版オリジナル)


Social Bookmarking in Plain English(日本語字幕付)


Source:Groundswell /Web 2.0/social computing explained, thanks to Common
Source:Common Craft / Video: Social Bookmarking in Plain English
Source:dotSUB / Social Bookmarking in Plain English

dotSUBはCommon Craftがアップしているビデオの全てに字幕をつけているが、言語によっては100%字幕付とまではいっていない。ソーシャルブックマーキングとWikisの日本語字幕は100%だが、RSSは30%、ソーシャルネットワーキングは0%となっている。もうしばらくすれば両方ともに100%字幕付となるだろうが、自信のある方は是非ご協力を。

2007/08/21

Symphonic Concert on Second Life

英国ロイヤルリバプールフィルハーモニーが9月14日にSecond Lifeでコンサートを開催する。

ラベルやラフマニノフではなく、リバプールの作曲家、Kenneth HeskethとJohn McCabeの作品を演奏(?)予定だ。100席のチケットがくじでSL住人に割り当てられる。入場者はバーチャルコンサート会場でライブのビデオ、オーディオストリームを楽しむことになる。その後、バーでライブのQ&Aを楽しむこともできる。

オーケストラのCEO、Michael Elliotは、「今日のオーケストラは音楽をよりアクセスし易くし、新しい聴衆に鑑賞を働きかける必要がある」、「そうするためには新しい技術が提示する機会を利用することだ。我々にとり、2003年以来爆発的に伸びてきたSecond Lifeは潜在的なグローバルオーディエンスに訴求することを可能としてくれる」と語っている。

Source:Guardian Unlimited / Website sets out its stall for first online symphonic concert

それにしても、このオーケストラはWebサイトからPodcastもやっていれば、オリジナルの着信音がダウンロードできるし、リアルタイムでチャットもできるようだ。それに加えて、Second Lifeでのコンサートを開催するのだ。

どこかの企業が顔負けするほどオンラインのマーケティングが進んでいる。耳目を集めやすいSLを使った一発型のマーケティングではなく、これまでPodcastなどを使ったオンラインのマーケティングが培ってきた実績があってのSLだ。それがあってこそ、オーケストラのCEOの言葉が意味を持つ。

2007/08/20

Online Time More to Content Than E-mail

OPA (Online Publishers Association) が新しい調査を発表した。

2003年から2007年5月までの4年間のIAI(Internet Activity Index)の推移を見ると、コンテンツが37%増加しオンライン消費時間の約半数(47%)を占めるまでになっている。

検索、EC、通信(Emailなど)という他3部門のうち伸びているのは検索の35%増だけ、ECも通信もシェアを落としている。2003年時には消費時間の46%が通信で消費されていたが、ECおよび通信の割合は下がっている。コンテンツは2003/2004年で10%増、2004/2005年は変化なし、2005/2006年で13%増、2006/2007年で同13%増だ。
コンテンツに時間が消費される主たる原因
  • ニュース、娯楽情報、天気といった昔からの伝統的なオフラインコンテンツへの行動がオンライン化した
  • クオリティコンテンツサイトはメジャーなニュースイベントがあればトラフィックが突出し、イベント後も高原状態を維持する。例えばハリケーンカテリーナ、NCAAといったイベントは消費者を一層オンラインコンテンツにエンゲージさせる
OPAはコンテンツ消費時間が伸びる原因として他にもいくつか上げている。
  • アクセスが容易、高速になったインターネットはトータルのオンライン消費時間を加速する
  • オンラインビデオ人気によりオンラインコンテンツの消費を加速する
  • 検索結果が改善し、希望するビデオに素早くたどり着ける消費者は一層コンテンツとインゲージする
  • 4年前と比べWebサイトは多くのコンテンツを提供してるため、コンテンツの消費時間を加速する
  • 通信ツールとしてIMが使われるようになり、通信での消費時間を抑制。IMはEmailよりも効果的な通信ビークルだ
参考:OPA Internet Activity Index (Online Ad)
Source:Editor & Publisher / People Devote More Time Online to Content Than E-mail
Source:OPA / Press Release

SEO、SEM、LPOと検索がらみのマーケティングに関心が集まっているが、伝統的メディアが提供するコンテンツ、あるいはSNSサイトが提供するコンテンツと通信(共有)というスペースでオンライン時間の約半分が消費されている。消費時間3%にしか過ぎない検索エンジンに広告予算をつけるなら、コンテンツ側にも応分の予算が必要だ。とくにブランドを露出させるためにはコンテンツ側でのマーケティングが必須だろう。

コンテンツはユーザ・消費者の興味、関心を惹き、(ソーシャル)ブックマーク、リンク、トラックバックなどでクロスメッシュしてゆく。やはりトラディショナルコンテンツは強いし、オフラインで強いイベントはオンラインでも強い。

ひとつ気になるのはIMの利用が進み、Emailが通信ビークルの地位を脅かされていそうなことだ。これにTwitterや同様サービスを加えるとフリーメールを使うユーザ数やメール数、頻度にも影響が出ているのかもしれない。

2007/08/15

Metro now pays for successful bloggers

Metro InternationalのWebサイトには最新のプレスリリースがないが、Editors Weblogの8月13日に「スウェーデンのMetro(フリーペーパー)がBloggerに金を払うプログラムを開始した」という書込みがあった。(出所は6月19日のPoloPolyなどのプレスリリースなので再掲のようだ)

これはPolopolyのシステムを使い、5,000PV@月以上のアクセス、ビジットを獲得しているBloggerを自動的に特定し、5,000PV@月以上になると自動的に銀行口座を開設し、マスターカードが送られてくる。源泉徴収などを差し引かれた分が振り込まれる。料金は、一PVあたり3 öre(オーレ=二分の一セント)となっている。

この契約にサインしたBloggerの記事の中で質の良いエントリはMetroのスウェーデン版とMetro.seに掲載するというプログラムだ。ただし、上記契約以上の金は出ない。

Source:Editors Weblog / Sweden: Metro now pays for successful bloggers
Source:Polopoly/Metro Launches Get-Paid-Per-View Blogging
Source:Editors Weblog / Swedish Metro to pay bloggers half a cent per page view

Bloggerからすると広告がからんだ話や、ペイドパブではなく、自分のBlogコンテンツをいじる必要もなく、ビジットが多ければいいわけだし、質の良いエントリはフリーペーパーと言えども、スウェーデンで100万部という新聞に掲載され、オンライン版にも載ることになる。願ったり叶ったりのプログラムだ。

Metroとしてもユーザが生成し、アクセスを獲得するコンテンツを再配信することができるわけだから、リアルのペーパー読者とオンラインの読者双方に訴求することができる。新聞が生き残る方法のひとつとして検討してもよいのでは...?

2007/08/14

World Map of Social Networks

ソーシャルネットワークの世界地図がある。
国ごとに最上位を占めるソーシャルネットワークで色分けしたものだ。(クリックでオリジナルへリンク)

各SNSがトップシェアを持つ国々(同)
Source:Valleywag / The World Map of Social Networks

comScoreからもSNSのデータが出ている。
Source:comScore / Social Networking Goes Global

それぞれ各国でトップシェアを占めるSNS、あるいは各SNSごとの地域シェアという数字だが、世界地図や地域%を見ると米国発のSNSが世界にくまなく普及していることが分かる。日本のユーザは日本語版ができる前からMySpaceに大挙していたし、Friendsterなどにもアクセスしていた。同じことが世界中の国々、ユーザで起こっている。オリジナル言語に関係なくローカルSNSとして人気が沸騰すればその国でトップのSNSとして利用されている。

米国を主戦場としているMySpaceやFacebookにしたところで欧州でそれぞれ24.7%、16.8%のユーザを獲得している。この2サイトに弾き飛ばされた格好で海外で地位を築いているのがブラジルやインドでトップとなったOrkutだし、インドネシア、マレーシア、シンガポール、フィリピンでトップのFriendster、そしてFacebookもカナダ、エジプト、ヨルダン、レバノン、UAE、UKでトップとなっている。MySpaceも最近日本語サイトを立ち上げている。

米国のSNSであろうと、なんであろうと世界中のイノベーターが飛びつき、アーリーアダプターがそれに続き、最新情報を各国のローカルユーザに広め、世界中にユーザが広まってゆく。しかし、このダイナミックでグローバルなメディアを国、地域、地方単位でしか活用していないのが現状だ。なぜ、グローバルなマーケティングのメディアとして積極的に活用しないのだろう?SNSであろうが、ニュースサイトであろうが、バイラルビデオであろうがグローバルなユーザに直結するメディアを利用したグローバルなオンラインブランディングをなぜ、どのグローバル企業も行わないのだろう?

なお、日本トップのソーシャルネットワークとなるとMixiだが、韓国のCyworldと違い、リストアップさえされていない。Cyworldは日本、米国、中国、台湾へも進出しているため、Mixiと比べれば世界での露出が多いということなのだろうか。Mixiと、日本語を英語に直訳しただけのグローバルWebサイトを持っている日本のグローバル企業の姿がダブル。

2007/08/13

Webkinz: The Next Club Penguin ?

先日、「Virtual World to Kinds and Young Adult」と題してSecond Lifeよりも急激に伸びているキッヅ向けバーチャルサイトの話を書いた。その後2週間ほどでDisneyがClub Penguinを買収するというニュースが飛び込んできた。

参考:Virtual World to Kids and Young Adult (Online Ad)
Source:Techcrunch /Extremely Happy Feet: Disney Acquires Club Penguin For Up To $700 million

それを受けてCompeteのScott Ernstが、「次はWebkinzか?」という記事を書いている。

まず彼はClub PenguinGaiaonline.comneopets.comstardoll.com、そしてWebkinz.comをCompeteのPeople Countsで比較し、WebkinzがClub Penguinを今年3月に抜き、6月時点でClub Penguinは約260万人、Webkinzは350万弱としている。前月比では25%増、前年比では1,424%増になり、明らかにキッヅ向けバーチャルサイトのトップだとしている。
また、Velocity (サイトでの滞在時間)で両サイトを比較している。過去45日間を見るとWebkinzでの滞在時間がClub Penguinのそれを大きく上回っている。
Source:Compete /Webkinz: the next Club Penguin?

データを見る限り、WebkinzがClub Penguinを押さえて、ユーザ数、滞在時間を延ばしているのがわかる。キッヅ、ヤングアダルトが集うバーチャルサイトに注目が集まる現状で、「次はWebkinzか?」というScott Ernstの結論はさておき、Webkinzのビジネスモデルに注目したい。

他のバーチャルサイトは広告や製品プレースメント、バーチャルアイテム販売、会費制を取っている。しかし、Webkinzには広告、リアルマネーを伴うアイテム販売、会費もない。必要なのはサイトへ入るために必要な秘密コードがついているリアルのぬいぐるみを買うことだけだ。

Webkinzはギフト、ぬいぐるみ、アクセサリなどを販売しているGanzというリアル企業が運営している。Webkinz、Lil'KinzというぬいぐるみにはWebkinzサイトへの秘密コードがついていて、それを入力してバーチャルワールドに参加する。サイト内では友達とチャットしたり、ゲームをしたり、バーチャルアイテムを購入したりすることができる。なお、サイト内で使用できるKinzCashというお金はあるが、これはサイト内のトリビアクイズショーなどでも獲得できるし、秘密コードを入力した時点で2,000KinzCashをもらえる。バーチャルマネーを買うためにリアルマネーを支払う必要はない。一度Webkinzに参加したキッヅはバーチャルなぬいぐるみを増やすため、沢山のリアルなぬいぐるみを買い足していく。

Ganzはリアルなぬいぐるみを使ったキッヅの遊びの世界にバーチャルワールドの遊びを追加することで、リアルビジネスの販売促進を行っている。リアルとバーチャルをうまくシナジーさせている。バーチャルワールド自体で利益を上げようとすると、会費、広告やリアルマネーでのアイテム販売が付きまとう。しかし、Webkinzの場合、バーチャル自体で利益を追っていない。あくまでもリアルビジネスでの売上増を追求するためのバーチャルサイト運営だ。

バーチャルワールドだけでのビジネスモデルではないが、バーチャルワールドをうまく使ったビジネスモデルだ。企業Blog同様に単独でROIを出すのは難しいバーチャルワールドだが、リアルビジネスとの組み合わせはまだまだありそうだ。

なお蛇足だが、ビジターの比較に関して言うと、「Virtual World to Kinds and Young Adult」で紹介したようにNYTは、Nielsen//NetRatingsのデータから4月時点でClub Penguinのビジターを407万人、Webkinzを388万人としていた。「Nielsen scraps Web page view rankings」で紹介したようにCompeteが、Alexa、comScore、Hitwise、Nielsen//NetRatingsと比較し たパネルデータの取り方がある。どこがと言うよりはいろいろとデータの取り方があるから違った比較になるのだが、ツールバー、オプトインパネル、ISPやASPのデータを使い、アクティブなユーザ数を公表している CompeteならWebkinzがトップになるということだ。
参考:Nielsen scraps Web page view rankings (Online Ad)

2007/08/10

The End of Paid Content (?)

8月7日のNYPostは、「NYTimesの出版人、Arthur Sulzberger Jr. (写真) を含めた幹部はTimesSelectという有料購読サービスを中止する決断をしたようだ。ただし、有料購読から無料サービスへ移管するためソフトウェアの切り替えに時間がかかるらしく、まだ公表されていない」と伝えている。

ただし、Steve Yelvingtonは同日のBlogで、WSJ.comの無料化に関して根も葉もない噂が流れていると書き、NYPostの上記記事についても「数週間前にも同様の記事が出てなかったかな?」と書いている。そして彼はVSS (Veronis Suhler Stevenson) から出た新しいフォーキャストに言及している。

VSSによると:
  • 2001年から2006年までの間に、コミュニケーション支出は年率5.9%で8,852億㌦に達した
  • 2006年消費者のメディア利用は0.6%ダウンしたが消費時間は3.2%アップ
  • 2007年のコミュニケーション支出は6.4%増、2008年に1兆㌦へ。2006年から2011年まで年率6.7%増と予想
  • 2011年インターネット広告は最大の広告セグメントとなり、新聞広告を上回る
Yelvingtonは、「情報が少なく、流通手段が限られ、娯楽が制限されていた時、新聞は金を取れるコンテンツを持っていた。しかし、基本的に宅配コストを賄う程度の現在の新聞代ではその意味を成していない」と書き、同じモデルをWebへ適用するのは意味がないとしている。

ただし、無料のMarketwatch.comを子会社として持つWSJ.comにまで意味がないとは言い切れないようだ。

Source:CyberJournalist / The End of Paid Content
Source:New York Post / TIMESSELECT CONTENT FREED
Source :Yelvington / The death of paid content
Source:Veronis Suhler Stevenson / Forecast

NYTimes.comのTimesSelectが無料になるにしても実施までに数ヶ月はかかるだろう。確か2年前にNYTimes.comが刷新された時にあわせてTimesSelectは有料化されていた。その時も社内調整などで少なくとも3ヶ月は掛かっていたはずだ。もし数週間前のNYPostの憶測記事が正しいとしてもスタートは10月くらいではないだろうか?

それは単にTimesSelectだけの無料化にはならないからだ。単純な無料化で誘引・増加可能なユーザ数と、それに伴うPV、出稿増だけで決断に至るのは意味がないし、メリットが最大化できない。筆者の勝手な想像だが、RSSフィードへの広告掲載、本サイト内へのアドバトリアル(記事広告)の提供などを予定しているのではないだろうか?また、WSJ.comでよくHPなどがやっている有料記事を期間限定で無料化するスポンサーを募るパターンを検討しているのかもしれない。

あと4年で新聞広告をインターネットが抜くかどうかは分からないが、その差が縮まっていることは確かだろう。ただし、NYTでも現在10%を超えたくらいだ。4年後ではなく、たった今、新聞側はとにかくWebサイトのUA (Unique Audience)、 PVを増やし、広告費を稼ぎたいところだ。そのためにユーザを惹き付ける目玉になるコラム、特集が必要だ。これらは自社内のリソースを活用しなければならないが、アドバトリアルは違う。完全にコンテンツをクライアント・広告代理店からもらうケースよりも、コンテンツ制作の最初からタッチしなければならないケースの方が多いだろうけれど、リソース利用の比重は軽い。またクライアント・広告代理店側のプロモーションによる付加アクセスも期待でき、それを別セクションへ流入させることができればアドバトリアル+αが期待できる。これに加え、RSSフィードへの広告掲載、TimesSelectを期間限定で無料化するスポンサー契約なども加えた総掛かりのビジネスモデル再構築が行われているのだろう。

その際、忘れてならないのはナショナルニュースペーパーとなるのか、それともグローバルニュースペーパーとなるかの決断だ。以前書いたエントリにあるように、全世界からのアクセスを獲得しながら、国内の読者・ユーザ・広告主・代理店にしかアプローチしていない島国根性は捨てたほうが良い。インターネットがどういうメディアであるのか、NYTimes.comがどういうサイトとして世界のユーザから見られているのか、そしてメディアとしてどのように活用できるのかを考えるべきだろう。

参考:Global Online Marketing and Branding Available (Online Ad)

2007/08/09

Multiverse : A Direct Competitor to Second Life

とうとうと言うべきか、ようやくと言うべきか、Second Lifeに真正面から挑戦するようなMultiverseという3Dバーチャルサイトが立ち上がってきた。

Multiverse はMMOGs (Massively Multiplayer Online Games) ネットワークであり、3Dのバーチャルワールドでもある。単一のオンラインワールドではなく、ゲーム制作のプラットフォームであり、3D体験の開発ツール を提供し、すでに世界中から11,000の開発チームが参加している。
Multiverseは、「World in Progress」というユーザがプロトタイプのゲームやプラットフォームに構築されたバーチャルワールドを体験できるスペースを提供している。

Source:GigaOM / Second Life (finally) gets a direct competitor: Multiverse
Souce:Multiverse / Press Release

Multiverseはオンラインゲームおよびビジネスにも展開できる3Dバーチャルワールドを構成するネットワークを提供している。開発に必要な時間とコストを削減するため、包括的で事前にコーディングしてあるクライアントサーバやツールといったインフラ、編集可能なサンプルのバーチャルワールドなどのフリーコンテンツを用意している。ユーザからするとMultiverse World Browserを使うだけで、MMOGsをプレーすることができ、Multiverseプラットフォームに構築されたビジネスワールドへ行き3Dバーチャルワールドを体験することができる。

MMOGsとしてみれば面白いバーチャルワールドがまたひとつ増えたということになり、ビジネスに展開できる3DバーチャルワールドとしてみるとSecond Lifeだけではなく、独自のバーチャルワールドにユーザを誘引するファクターが新しく誕生したということになる。Second Lifeにしても、今回のMultiverseにしてもROIをいかに説得力のあるものとして提示できるかに掛かっているが、Second Lifeとは違うアプローチがブランドごとにできそうな予感がある。

2007/08/08

China Search Market Reached RMB 1.15 billion 2007 1stH

Analysys Internationalが公表した「China Search Engine Market Quarterly Tracker Q2 2007」によると、検索エンジンのQ2市場規模は6.575億元に達し、上半期は11.5億元となったようだ。四半期ごとでは69.4%増、年では28.8%増となっている。
検索エンジン市場の寡占化が強まっている。06年上半期に47.4%でトップを占めたBaiduは57.6%へ伸びて市場の過半数を抑えている。しかし、Googleは前年の14.9%から21.0%へと40%増の伸びを記録し、Baiduの伸び率22%を大きく上回っている。(クリックで拡大)
それに比べるとトップの入れ替わったYahoo Chinaは32%も減らして18.2%から12.5%へシェアを落としている。


Source:Analysys International / China Search Engine Market Size Reached RMB 1.15 billon in 1st half year of 2007

中国ローカルの検索エンジンはそれぞれポータル化を進めたり、Q&Aサービスを提供するなど工夫を凝らしているようだがすべてシェアを落としている。
ローカル化を推進するGoogleがシェアを伸ばしてはいるが、これはYahoo Chinaなどのシェアを喰ったということでしかない。

Baiduが着実にシェアを伸ばす中、2番手の検索ブランドとしてGoogleがどのような手を打ってくるのか注目したい。

2007/08/07

Baby Birth Live On Twitter

8月2日、体重約3.2kg、身長約53.3cmの女の子、Elle Marie Saarinenが誕生した。世界中のどこにでもある嬉しいお話だが、ひとつ違うことは父親、Paul Saarinenが病室や、待合室、そして新生児室などからTwitterでライブ中継(?)していたことだ。
Source:Lost remote / Guy live- Twitter's wife's childbirth, lives to tell about it
Source:Twitter / taulpaul
Source:Flickr / taulpaul
Source:ustream.tv/ taulpaul

今、消費者・ユーザ自身がメディアとなり、情報を発信しているわけだが、Webページでの発信ではなく、BlackberryやPCを使ってTwitter、Flickr、そしてustream.tvまで動員した情報発信が行われた。多分、Twitterを使った出産擬似リアルタイム中継は世界初だろう。

Web、Blog、Podcastなどよりも即時性の強いTwitterは、次の中心メディアツールとなるのだろうか?Twitterはモバイル性では一歩先を行くかもしれないが、コンテンツの質と量からするとまだまだとも見える。しかし、限りなくリアルタイムに近いコミュニケーションが一対一ではなく、一対多に近く行えるツールでもある。まだ実効性に疑問が残るが、その可能性は大きい。

2007/08/06

Automobiles in Second Life

日本語版Second Lifeも立ち上がったので、本家Second Lifeにおける自動車メーカーの進出時期を見てみる。

UKのKzeroによるとメジャーブランドの中でトヨタが2006年の8月中旬、最初にSLに進出し、Nissanが11月に続き、BMWやPontiacなどよりも先に進出している。特にNissanはご存知のように巨大な自動車の自販機でSLキャンペーンを開始したが、これは10月に開始した「7 Days in a Sentra」とタイアップしたものでBlog、SNS、SLをうまく取り込んでいる。

参考:Living the Promotional Life (Online Ad)

cars001.jpg

次に一日あたりのトラフィックを見ると、Nissanが5,000強でトップ、BMWが最下位となっている。(6月末でのトラフィックだと思われる)

car-traffic002.jpg

3月13日~18日に1,085アバターにインタビューしたSecond Lifeでの認知を見ると車ブランドではBMWが63%でトップ、Toyotaが60%、Nissanが56%だ。

kzero-1016.jpg

Source:Kzero / Brand Entry Timelines for Automobiles
Source:Kzero / Traffic Snapshot : Automobiles
Source:Kzero / The Perception of the Brands in Second Life

一日あたり5,000強のトラフィックを獲得しているNissanの認知は56%で、その半分以下のToyotaが認知では60%となっている。

そこでNew World Notesが出している別のデータを見ると、リアル企業の過去1週間の細々としたビジット数字が並んでいる中、Phat Cat's Jazzy Blue LoungeなどSLのみのサイトは一桁違うビジットとなっている。

Toyotaにしても、NissanにしてもそろそろSL進出1年を迎えるわけだが、ROIをどう評価するのだろうか?
Source:New World Notes / Tateru's Mixed Reality Headcount

2007/08/03

Wii, Xbox and PS3

HitwiseのBill Tancerが、7月27日のエントリで下の図を出し、「米国の検索実績でXbox360がWiiを抜いた。Xbox360は累積実売台数トップだが、Wiiは急速にマーケットシェアを伸ばしていた。インターネット検索が販売の先行指標であり、今後の販売増の予想となることはよく知られている」と書いていた。

ただし、抜いたのは7月第4週の検索実績であり、それまでPS3がシェアトップだった一時期を除きWiiがトップシェアを占めていた。
Source:Hitwise Blog / Xbox overtakes Wii As Most Searched for Console

Bill Tancerが分析するようにXbox360に関する検索実績が増えたのは、トラブル、値下げ、新発売ゲームだとしても、それがXbox360の販売増加につながるだろうか?

下のVideo Game Chartsのグラフを見ると、発売以来86週間でXbox360は1,020万台に達している。PS3は38週前後で393万台、Wiiは36週で965万台に達している。Wiiは半分の期間でXboxに肉薄し、Q3には追い越しそうだというのがわかる。それだからこそ、Xbox360の値下げという話につながっている。また、このままでは3位のままで初年度を終えてしまいそうなPS3も、値下げで販売を促進したいと考えているだろうこともわかる。
次に下の図を見ると、Xbox360が昨年のXmas商戦時期に大きく販売を伸ばしているのがわかる。Wiiも同様にアップトレンドに乗っていたが、PS3は一人蚊帳の外といった状況だ。そして今年に入ってからもXbox360の販売台数についてゆくのがやっとでWiiの背中が見えなくなりそうだ。
Source:Vieo Game Charts / Hardware Comparison Charts

肉薄するWiiを引き離したいXbox360、先行2社に追いつきたいPS3。両社にとって対抗、販促策が値下げだけだとするとWiiの一人勝ちは決定したも同然だ。

IceRocketのBlogトレンドツールを使い、Blog露出を比較するとWiiが、他2社の2倍前後の%ポイント、累計Blogエントリ数を獲得している。ゲームオタクやファンがせっせと露出を増やしてくれているわけだが、PS3、Xbox360ともにこのセグメントへの露出を目的とするマーケティング戦略が見えてこない。
Souce:IceRocket / Blog Trends
(注:IceRocketのデフォルトは2アイテム比較となっているので、リンク先で表示されるのはWiiとPS3のみ。Xbox 360はマニュアルで入力が必要)

2007/08/02

Starbucks finalized Agreement with Ethiopia

OxfamがStarbucksに実行してきたキャンペーンが実を結んだようだ。

3年ほど前、エチオピア政府は、Harar、Sidamo、Yirgacheffeといったコーヒー豆の商標登録から収入を獲得し、国内のコーヒー豆農家の保護育成に役立てようとする計画を立てた。ところが商標登録を申請した米国でStarbucksなどが主要メンバーを務めるNCAが異議を唱えたため、申請は却下された。ということでOxfamが「Tell Starbucks」というキャンペーンを実施していた。

昨年11月末にCEOのJim Donaldとエチオピア首相のMelez Zenawaiとの会談がもたれたが、12月時点で8.5万人がキャンペーンに賛同し、StarbucksのCEOなどへEmail、Fax、電話をかけ た。12月16日にはStarbucks本社や世界中のショップで数千人が抗議デモを実施するまでにキャンペーンが拡大していた。

参考:Fair Trade (Online Ad)
参考:Make Trade Fair Email Campaign (Online Ad)

Oxfamの世界的キャンペーンの効果だろう。今年5月に入り、Starbucksがコーヒーブランドの商標を認め、ライセンス、流通、マーケティングに関してエチオピア政府と覚書に調印するという観測をプレスリリースで流していた。5月中に調印かと観測されていたが、ようやく6月にエチオピア農家の救済を支援するためStarbucksはエチオピア政府と商標登録に関する覚書調印の最終段階に達したとOxfamは伝えている。6月21日付けでYouTubeにOxfam USAから感謝のビデオがアップされている。

Source:Oxfam / Press Release
Source:Oxfam / Campaign Success

このキャンペーンは昨年11月から開始され、実質約8ヶ月で当初の目的を達成している。このキャンペーンはたった8ヶ月間で世界中に販売網を持つグローバル企業の対応を変えさせるパワーがあったということだ。インターネットという人々が主導権を持つメディアのパワーが遺憾なく発揮されたといってもいい。

参考:Power to the People (Online Ad)

そしてこのキャンペーンはSCM (Supply Chain Management) がCSRのコアのひとつを構成していることを示している。そして次に大きなコアはGreen (環境) であるし、地球温暖化だ。グローバルマーケットの企業市民として、イニシャチブを取れる日本のグローバル企業が多くいるし、その動きに期待している世界中のステークホルダーがいる。

2007/08/01

iPhone: A Consumer Perspective

先日、「Samsung Leaves Motorola Behind on Mobile Phone」でケータイのマーケットシェアを見た。その中で若干、iPhoneに触れたが、Park AssociatesからiPhoneに関するホワイトペーパーが出ているので紹介する。

Park Associatesはまず資料のベースとなる数値、データポイントをはじき出している。
  • 499.99㌦、2年間の利用契約でiPhoneを必ず購入するという米消費者はわずか3%
  • 大半の消費者はネットワークおよび音質を通信会社選択基準としており、端末デザインを上げるのは少数派(クリックで拡大)

  • (iPhoneが使える唯一の通信会社)AT&Tは現行、6,200万ユーザを抱え、2004年末から40%増
  • Appleは2003年のiTunesから20億曲を販売、iPod出荷は2004年の440万台から2006年には3,940万台へ
  • 40%の米世帯はiPodのようなポータブルデジタル音楽プレイヤーを持つ
  • 17%の米インターネット世帯は新しいモバイル端末でデジタル音楽ファイルを演奏したい
  • 平均的な消費者は通常電話に99㌦、2年間の利用契約+199㌦までならスマートフォンを購入する
  • 22%の米インターネット世帯はiPhoneが装備するような統合機能端末に関心がある。ポータブル音楽プレイヤー所有者の41%は単機能製品を好み、多機能製品に関心があるのは26%
  • 消費者が単機能製品を選ぶ理由はコストとパフォーマンス。49%は多機能製品を高いと感じ、およそ三分の一は、バッテリ寿命などパフォーマンスに問題があると考える
  • 通信会社を選ぶ際、そのキャリアでしか使えない端末を基準にするのは10%だけ。逆にネットワーク範囲(72%)や音質(68%)をより重要な選択肢とする消費者が多い
Park Associatesは、これらデータポイントを個別に説明している。そしてこれら背景、データポイントを元に独自の分析を7つのコメントとして挙げている。その中から4つほど拾ってみる。
  1. ネットワークとスピード
    ダイアルアップスピードと同様のEdgeネットワークを利用するiPhoneにも拘らず、Appleは帯域を必要とするクールなインターネット機能を装備した端末としている。また、AT&Tは全米対象のモバイルブロードバンドネットワークを提供しているわけでもない。アーリーアダプターの期待に反し、ポルシェの乗り心地ではなく穴ぼこだらけの悪路を経験することになる。
  2. ビジネス
    ビジネスユーザにとり500㌦近くを支出するデバイスにiPhoneのようなマルチメディアや娯楽性を求めているわけではない。emailやWebアクセスなど基本機能が備わっているだけでよい。ビジネスデバイスとして確立しているBlackberryの機能性を充足することはないし、iPhoneの機能に引かれる若年層に500㌦は敷居が高い。
  3. Appleのリスク
    もしiPhoneがAppleTVの二の舞になると、Appleにとって厳しい財務状況を迎えることになる。そこそこの成功では市場に与える影響は少ない。消費者がiPodを買わずにiPhoneを買うとすると、Appleは単にAT&Tへユーザを送り込むだけということになる。同様に250㌦のiPodを買わないユーザが500㌦のiPhoneを買うとは思われない。
  4. オタクへのアピール
    潤沢な予算を持つビジネスユーザにiPhoneが受けない場合、テクノオタクへアピールする機能性を全面に打ち出す必要がある。AT&Tが販売助成金などで価格を下げればこの方針は回るかもしれない。が、500㌦という上代は高すぎる。
Source:Park Associates / iPhone: A Consumer Perspective (pdf)
参考:Samsung Leaves Motorola Behind on Mobile Phone (Online Ad)

どうしても現行のiPhoneは黒電話つきiPodのような気がする。いかがだろうか?