これはStarTribune、Daily Newsなどの新聞5紙と、その読者約600人を対象に視線動態調査を行ったものだ。このうち70%は新聞、あるいはオンラインで週に4回はニュースを読む人たちだ。
読者の視線を15分間トラッキングすることで、読み始めた記事をどれぐらい読者が読んでいるのか、また読者の閲覧パターンの詳細についても明らかにしている。
調査対象者のデモグラフィックなどは以下の通り:
- 平均年齢:39歳 (56%:18-41歳、44%:42-65歳)
- 男女比は男性49%、女性51%
- 29%:週に1-2回新聞やオンラインを閲覧、71%:週に4回以上閲覧
- 87%:大卒以上、75%:有職者
印刷媒体よりも、オンライン媒体の記事テキストが、より多く読まれているという結果が出ている。約三分の二近くのオンライン読者は一度、読むと決めた記事は、その全ての記事テキストを読了している。
また、ジャンプ記事(日本ではあまりないが、米国などでは記事が複数ページに飛んで掲載される)の場合、ブロードシート紙の読者は59%、タブロイド紙の読者は68%が読了している。
次に、記事を上から下へ順序良く読むMethodicalと、見出しや記事、写真などをスキャンするScanningタイプの読者について調べている。
Methodical読者は、あまりスキャンすることなく、順序良く記事を読み、記事を二度読みすることもある。オンラインの場合、ドロップダウンメニューやナビゲーションバーを利用して読む記事を決めている。
Scanning読者は、紙面、見出し、その他表示項目をスキャンし、記事を読むことはあまりない。記事の一部を読み、写真やその他の表示項目へ飛び、もとの記事に戻ることはない。オンラインの場合、記事リストを確認し、記事をクリックして読み始める。
印刷媒体の読者のうち約75%はMethodical読者、オンライン読者のうち約半数はScanning読者だ。しかし、その読んだ記事ボリュームを見ると、右図のようにオンライン読者の場合、Methodicalでも、Scanningでもボリュームに大差はない。
反面、印刷媒体読者の場合、MethodicalがScanningよりも多くボリュームを消費している。特にタブロイド紙読者のうち、Scanningする読者はかなり記事を読んでいないようだ。
その他、Q&A、スケジュール、囲み記事などが読者の注意を惹き、読後も記憶していること、写真や画像の視認率、新聞見出しや写真の認識、オンラインのツールバーなど道しるべの重要性なども取り上げている。
Source:Editor & Publisher / Surprise : Study Finds Online Users Finish More Stories Than Print Readers
Source:PoynterOnline / EyeTrack07: The Myth of Short Attention Spans
Source:PoynterOnline / Presentation at ASNE (pdf)
この調査データはまだ最初のもので、今後、様々な詳細データが公表される予定だ。その内容にも期待したいが、今度は雑誌、新聞、オンラインを含めた視線動態調査を行い、各媒体ごとの特性や特徴を明確にするような調査を期待したい。
ところでMiropersuasionのRubelが、Poynterのデータを引いて、「これをPRに当てはめて考えてみると、もしクライアントに関する記事がAPニュースに掲載された場合、印刷媒体に同じ記事が掲載されるよりも価値が高いことになる」と書いている。
これはちょっと短絡というよりも、MicrosoftなどのPRを手がけているEdelmanに属し、SVPとしてm2resolutionという事業部を率いるRubelが意図した我田引水という感じがある。Poynterのデータは、読者が興味を持った記事をどれくらい読むのか、読むボリュームは、最後まで読むのかといったデータとともに、読者ごとの記事閲覧パターンを明らかにしているだけだ。APニュースに載ったクライアントの記事が読者の興味を惹かなければ読まれることはない。読まれたとしてもScanning読者は最後まで読了することなく、他の記事、項目へ飛んでしまうかもしれない。記事が掲載されただけでは、何の価値もない。
Source:Micropersuasion / The Long and the Short of Media