2009/03/31

Facebook URL on TV Ads

March Madnessの中、NCAAの学生バスケットボール選手権を見ていたBivings ReportのTodd Zeiglerが気づいたことがある。

Vitamin Waterというスポーツ飲料メーカー(?)のTVCFのエンドロールにFacebookのURLが出ていたのだ。見にくいが、下の画像がVitamin WaterのFacebookページのURLが表示されている。
詳しくはYouTubeのビデオで。

さて、1か月ほど前にアップしたようなVitamin WaterのFacebookページへ行くとすでに5万人強がファンになっている。


Source:Bivings Report / Vitamin Water Uses TV Ads to Drive Traffic to Facebook Fan Page

日本でも企業Webサイト、あるいはキャンペーンサイトのURLがTVCFのエンドロールに表示されている。特定キーワードを「検索してね」といったタイプもよく見る。

しかし、FacebookなどSNSのURLを表示するTVCFは米国でも初めてのようだ。

企業の公式Webサイトにしたところで、キャンペーン用マイクロサイトにしたところでスタティックなWebサイトは参加するスペースはなく、コンテンツの共有も行われない。それからするとSNSのページをランディングページにしたほうがベターだ。

今後、多くの企業・ブランドがこの方法を執ってくるだろう。

が、しかし、現在、日本のグローバルブランドが米国や欧州のTVCFのエンドロールにFacebook、MySpace、BeboなどのURLを表示するのは不可能だ。欧米企業のオンライン戦略、そしてWeb 2.0戦略から大きく引き離されている日本企業は、露出ギャップに加えてユーザとの会話ギャップも抱え込んでいる。ブランド価値は落ちるばかりだ。

それにしても、Bivings Reportがエントリの最後に付け加えたように、Vitamin WaterのWebサイトはひどい。Vitaminwater.comはそのすべてがFlashで構築されていてどこかのブランドサイトと同じだ。とんがったクリエイティブが全身全霊を注ぎこんで作ったことが見て取れる。最新のカッコいいサイトに出来上がっているが、アクセスするユーザのことを全く無視している。このデザイン、サイト構築にいくらの無駄金を払わされたのだろう。加えて、ページのタグには「Glaceau」というメーカー名しかなく、「Vitamin Water」で検索してもたどりつくのは至難の業だ。

また、Facebookのページも内容がない。ページを立ち上げる際にコンテンツをアップしただけで、アクセスしたユーザとの会話がない。

2009/03/30

Twitter for Customer Service and Branding

SXSWから帰宅する際のフライト遅延がらみのTwitter話をDave Peckが書いている。
(彼の承諾をもらったのでTwitterのスクリーンショットや文章を要約して載せる。オリジナルはSourceを参照)

出発時刻の90分前には空港に着き、セキュリティチェックも滞りなく終わり、あとは午後6:30の搭乗アナウンスを待つだけ。ところがアナウンスはなく、6:56の出発予定時刻も過ぎて、彼は7:00にTwitterに書いた。
tweet1
間髪をいれずに@JetBlueからTwitterがあった。
tweet2
そこで彼は@JetBlueとやり取りし、迅速なレスポンスを受け取った。

が、トラブルはここからだ。

彼は「フライト遅延を責めたのでも、エンジントラブルを責めた」のでもなく、「搭乗客へのコミュニケーションやサービス不足、@JetBlueの対応への不満」をTwitterで送った。

ところがどうしたことか、彼は@JetBlueからブロックされてしまったそうだ。
tweet6
@JetBlueにブロックを中止するように要求したが、それもダメ。

ということで、彼はSouthwestに助けを求めた。
tweet8
この突然のTwitterに@Southwestはどうしたかというと、

レスポンスがあった。
tweet9
そのあとも、@Southwestからは当日のフライトがキャンセルされた最悪の場合も考慮して、翌日のフライトはどうかとまで尋ねている。

その間、@JetBlueからは「ナシのツブテ」。
tweet10

その後、いろいろあった挙句、ようやくJetBlueのエンジントラブルは解消され、彼は家に帰ることができたそうだ。

さて、この一部始終を同じフライトの乗客や、SXSW参加者は言うに及ばず、Twitterユーザの一部が目撃というかウォッチしていた。
tweet14
tweet16
tweet17
tweet18

Source:Newmedia Chatter / Jet Blue, Swing and a Miss.. Southwest Airlines Hits A Twitter Homerun
Source:Newmedia Chatter Website / www.newmediachatter.com

現在、多くの企業・ブランドがTwitterアカウントを持ち、様々な情報を発信している。が、リアルタイムフィードをしている限り、リアルタイムレスポンスも求められる。ということは、何らかのトラブルにある顧客の一番欲しい情報を提供すること、一人ひとりの顧客に対応することが重要となる。

今回のようにフライトが遅延して、搭乗中の表示がありながら何のアナウンスも情報提供もされない場合、航空会社の顧客サービスそのものが問われている。

そして、そのタイムリーな情報の質、対応の体制や状況が個々の顧客だけではなく、他の傍観者にも露出しているだけに企業のブランドイメージや評価に直結してくる。

JetBlueのTwitterには24万人以上のフォロワーがいる。そしてForrester ResearchのOwyangは世界中のTwitterユーザを4~500万人と推測し、CompeteはFacebook、MySpaceに次ぎ、Twitterを3番目のソーシャルネットワークと位置づけ、UVは約600万人、月間5,400万ビジットとしている。

Source:Compete blog / Social Networks: Facebook Takes Over Top Spot, Twitter Climbs

今までとは違い、これほど大きなスペースで、かつ、多くのインターネットユーザが見守る中で行われるオープンな会話に参加するか、コンテンツを共有してもらうか、そしてそれに必要な社内体制を作るかどうかによってブランド認知が確立してゆく。

これらのユーザに背を向けるしかないのか、あるいはSouthwestのように救いの手を差し伸べるのか?

あるいは、何もしないことの(莫大な)損失を甘受するのか?

参考:Return on Ignoring (2009/01/16)

2009/03/27

Refund for Conference

今年の初めに入場者数が前年比22%も減ったCESに関して書いた。














参考:CES & Internet (Online Ad 2009/01/22)

今年はどんな展示会、コンファレンス、セミナーなども苦しくなるという状況で、ANA (Association of National Advertisers) が奇手に打って出た。
5月13日に開催予定の「Brand Building in Tough Times & Beyond」というコンファレンスの内容に満足行かなければ参加費を返金するという。

Source:Ad Age / ANA Offers Money-Back Guarantee to Conference Goers

アジェンダを見ると;
  • Millercoors:Winning with innovation in a tough economy
  • Wal-mart Stores:Extraordinary performance in tough times
  • Dunkin' Donuts:Positive thinking for tough times
  • Fender Musical Instrument:Building market confidence through consumer engagement
  • そしてANAによるBrand Builing in Tough Timesというサーベイ結果
が披露されて、5月13日の午前8時30分から午後4時までのコンファレンスにANA会員で395㌦、一般参加は495㌦かかる。同じ会社から3人が参加すれば595㌦だ。

昨年よりも参加費を100㌦単位で下げたので、予想参加人数は200人で採算ぎりぎりの線らしい。返金はケースバイケースで判断するというが、もし10人が返金を申し出たら赤字だろう。

今回は業界団体のコンファレンスだが、企業が開催するプライベートショーも同じだろう。参加費は無料だが旅費と時間をかけてまで参加した意味のないプライベートショーの結果を上司にどう説明するのだろう?

日本では東京モーターショーも開催日が短縮され、BMW・VW・ベンツは不参加だし、米国ではWPA (Western Publications Association)のメディア出版カンファレンスが中止になっている。

Source:Asahi.com / 縮む東京モーターショー
Source:BtoB Online / WPA cancels media publishing conference

オンラインの展示会、プライベートショーという手もあるのだが…。

と、書いておいたのだが、

追加:2009/03/27 09:53a.m.

TechRepublicから、たった今、IBMのSystem xおよびBladeCenterサーバに関するバーチャルカンファレンスの案内emailが届いた。(下をクリックで登録サイトへ)

2009/03/26

After the megapixel wars

Photo Marketing Association (PMA) のインタビューでOlympusのSLR planning dept.のマネジャー、Akira Watanabeさんが「12メガはほとんどのユーザが必要とする大抵のアプリケーションをカバーするのに十分だと思う」と語った話をCNETが伝えている。

Source:CNET / Olympus: 12 megapixel is enough for most folks

その話をベースに、「長年、消費者はひとつの数字、イメージセンサー上のメガピクセル数をベースにデジカメを売りつけられてきた。しかし、業界の主要メーカーは解像度を上げることは無意味になってきたと認めた」と、New Scientistが記事を書いた。

Source:NewScientist / Innovation: What next after the megapixel wars?

それをConsumerReports.orgのBlogが取り上げて、「カメラ業界は数字ゲームの終わりを公言した。別の言葉でいえば、メーカーが愛して止まない数字、デジカメのメガピクセル数を強調する代わりに、デジカメのその他の機能を謳う広告が始まるということだ」と書いている。

そして、6メガピクセルは、ほとんどすべての消費者に本当に必要な画素数なんだから、デジカメを買う時にはメガピクセルに踊らされるなとアドバイスしてきたと書いている。(引き伸ばしが必要でも8メガあれば十分とのこと)

Source:Blogs.ConsumerReports.org / News Briefs
Source:ConsumerReports.org / Digital Camera Buying Guide

以前、下の参考で紹介したようにNYTのコラムニスト、Pogueが「画素数神話を打ち破る」という記事を2年も前に書いていた。

参考:Megapixel Myth (Online Ad 2007/02/19)

この2年間、消費者はマーケターの言葉、数字にまだまだ踊らされることが多いけれど、Consumer ReportsやBlogなどが提供するデータ、情報、評価は着実に読者を増やしてきている。そして、そのコンテンツを仲間、友人、知人、家族で共有しているユーザも増えてきている。

高画素数を謳う広告を出すよりも、Web 2.0スペースのユーザ達に真実を告げるほうが画素数戦争に巻き込まれて、広告費を浪費する可能性は少ないと思う。また、予算が厳しく制限される今年以降、同じ戦略を踏襲する轍を踏む企業・ブランドは少なくなる(はず)。その時、どんなマーケティング戦略を採用するかがポイントになる。

さて、残念ながらこのCNETの記事は日本語版にはないようだ。

2009/03/25

P&G Digital Hack Night

イベントに先立ち、何週間も前に1通のemailが送られた。詳しい内容は明らかにされていないが、あるイベントに参加してくれというemailだ。

3月初めの夕方、Cincinnatiの会場にはMySpace、Facebook、Google、広告代理店、マーケティング会社、Ad Age、Forrester Researchなど業界の名だたる150近い企業の人間が集められた。その時、初めて、与えられた4時間の中でチャリティのためにTシャツを何枚売るかというコンテスト、「Digital Hack Night」というイベントに参加してもらうという内容が告げられ、即刻、実施された。

このコンテストイベントを仕掛けたのがP&Gだ。参加者を数人づつのチームに分けて、チームごとに何枚Tシャツを売るかの競争をさせたわけだ。
More than 2,000 Tide T-shirts were sold for charity at P&G's 'Digital Hack Night.'
この4時間の間、P&Gが用意したメディアを使った参加者もいたし、自分自身のコネや能力を売り物にした参加者もいた。例えば、Googleのマーケティング役員は非営利団体に対して社会貢献マーケティングのアドバイスを1時間することでTシャツ100枚を売り込み、他社の人間も同じようにコンサルティングサービスをバーターする申し出を行ったり、コンテストイベント自体をWebcastしたり、別セミナーのチケットと交換を申し出た参加者もいたようだ。

ただ、大半は自分や会社のソーシャルメディアネットワークを駆使したようだ。SNS、Blog、Email、Twitter、その他諸々のサービスやツールが活用された。

結果として4時間で一枚20㌦のTシャルが合計2,000枚以上売れて、Feeding Americaにはこの収益5万㌦と同額がP&Gから拠出されて合計10万㌦が寄付された。

Source:Ad Age / P&G Gives Its Marketers a Crash Course in Social Media
Source:Logic Emotion / Turning The Tide: An Insider's Perspective
Source:Logic Emotion / Make A Difference. Now.

コンテストイベント担当者でP&Gのデジタルビジネス戦略チームのLucas Watsonは、「P&Gのマーケティング役員に今まで学んだことがないようなやり方でデジタルメディアを学ぶ経験をしてもらい、彼らを鼓舞し、デジタルメディアに曝したかった」と語っている。

代理店やマーケティング会社の発案ではなく、P&Gという企業・ブランド自体が、自社担当役員、関係部署の人間に対して、「いかにソーシャルメディアがパワーを持っているか、ソーシャルメディアを活用して何ができるか、そのスピードと効果を明らかにする」ためのイベントを開催したことに驚く。

顧客、消費者がどこで、どのように、何を見て、聞いて、話しているかを近い立場で感じている、理解しているP&Gだからこそだし、社内の意識、理解を統一、向上させて次につなげようという高いレベルにいるP&Gだからこそなのだろう。

これはもはや実験段階ではない。年内中に、次のステップも計画され、承認されているかのようだ。

もうここには広告の「こ」の字もない。社会貢献であろうと、Tシャツ販売が目的であろうと、広告ではなく、ソーシャルメディアマーケティングが行われたわけだ。

Ad Ageの記事末尾で、8年前までパンパースのブランドマネージャだったNielsen OnlineのCEOが「今、企業はこの種マーケティングをもっと多く採用し(始め)ている」とコメントしているが、この種マーケティングは広告ではないという点に関するコメントはなかった。参加者の中にはそんな声もあっただろうと推測するが、まだ、誰もそれを声に出して言わないだけなのだろうか?

広告が終焉を迎え、今は、「送り人」、あるいは「納棺士」が脚光を浴びているということなのか?

2009/03/24

Extreme Sheep LED Art

久々にあっと息を飲む、うーんと唸ってしまうビデオが人気になっている。
これはもう見ていただくしかない。


Viral Video Chartによれば、3月17日にアップされ、39万回以上視聴され、382Blogが記事を書き、664件のコメントがある。(3月19日時点)
確か、すでに18日にはViral Video Chartのトップを占めていた。

Source:Viral Video Chart

Viral Blogは、「このビデオがブランド認知向上に役立つのか?ビデオを見た後でユーザがSamsung.com/LEDへアクセスする確率は高いのか?」、「エンタテイメントビデオの価値は、視聴者をWebサイトへアクセスさせるほどアクティブにユーザとエンゲージするほど高いのか?」と自問している。

そこで「バイラルはキャンペーンメッセージ全体を配信することができるのか?」、あるいは「トラフィックをマイクロサイトなどへ誘引し、キャンペーン認知をさせるひとつの方法なのか?」という質問を読者に投げかけている。

Source:ViralBlog / Embed The Entire Camapaign Message In a Viral?

ま、それほどインパクトのあるバイラルビデオだということだ。色とりどりのボールが坂を転げ落ちたり、高いビルがペンキにつつまれたり、泡が町中をおおったりと一瞬で注目を集めるクリエイティブからすると、少し時間が必要だ。しかし、Samsungが伝えようとしたメッセージのインパクトはそれらに劣らず大きく、深い。

このインパクトはキャンペーンメッセージ全体としても、サイトへの誘引トリガーとしても、バイラル化トリガーとしても機能しているということではないだろうか。

とにかく、おもしろい。


追加で、バイラルビデオ、Emailプロモーション、そしてソーシャルメディアツールを取り上げた「Samsung LED TV Campaign」と、オンライン露出が世界へ流出する「Online Exposure Spillover」を書いたので、どうぞ。

参考:Samsung LED TV Campaign (Online Ad 2009/04/16)
参考:Online Exposure Spillover (Online Ad 2009/04/28)

2009/03/23

World Water Day 2009

3月22日、日曜日は「World Water Day」だった。清潔で安全な飲料水へアクセスできる重要性を訴え、認識を上げるためにUNなどが推進しているキャンペーンだ。

それに合わせてUKのDFID (国際開発省)がビデオをアップしている。

Source:WordWaterDay.org
Source:UN World Water Day
Source:UK DFID / World Water Day 2009

DFIDは日本のODAと同じように途上国の開発支援を行っているが、目的は貧困根絶だ。2015年までに貧困を半分にする取り組みを行っている。そして貧困根絶を目指す開発支援に大きな場所を占めるのが清潔で安全な飲料水へのアクセスだ。

世界中に安全で清潔な飲み水さえ手に入らない人が9億人いる。毎日、数千人にも及ぶ子供たちが汚れた水を飲むことが原因となり、予防できる病気で死んでいる。全世界の半分の人々は基本的な公衆衛生知識、設備などさえもない。

この現状とDFIDの取り組みを理解してもらい、そしてDFIDへの支援を求めるビデオがDFIDサイトに加え、YouTubeでも公開されている。一般企業は言うに及ばず、米White House、国防省などに加え、英DFIDもソーシャルメディア露出を行っている。

一方、日本の企業、官公庁は海外ユーザの声に対して聞く耳を持たず、ソーシャルメディアスペースへの参加も、コンテンツの共有も行っていないし、会話などもっての外だ。蚊帳の外と内にいる差は蚊帳の外にいる人間には見えないが、内の人間にはあまりに明らかだ。

参考:White House Web 2.0 (Online Ad 2009/02/17)
参考:US Department of State in Web 2.0 (Online Ad 2008/10/08)

2009/03/19

Corporate Trends in Social Media Marketing

Awarenessから「Corporate Trends in Social Media Marketing」という資料が出ている。

2009年2月19日のBusienss Week記事、「企業にとって、ソーシャルメディアに対抗するのは無意味だ。数百万人の人間がソーシャルWebでコンテンツを作成している。企業の顧客は何年もそうしている。まだ、ソーシャルメディアに進出していないのなら、そうすべきだ」を引き、中堅以上の企業623社のマーケティング担当役員と、ソーシャルメディアをすでに自社マーケティング戦略に導入している大企業5社の役員とインタビューした結果として、次の質問に答えるとしている。
  • 現在、企業はどのようにソーシャルメディアを利用しているか?
  • 2009年のマーケティング予算のうち、どれくらいがソーシャルマーケティングへ割り振られ、どのように割り振られるのか?
  • どのようなソーシャルメディア・ビークルあるいはチャネルが利用されていて、ミグレーションパスは?
  • ビジネス価値を表出するため企業はどのようにソーシャルメディアを利用できるのか?
  • ソーシャルメディア利用を阻害する要因は?
企業が外部のソーシャルメディア・ネットワーキングサイトに参加しているか聞いたところ、過去18か月で、93%の企業がなんらかのソーシャルメディアを利用しているそうだ。加えて623社のうち、372社は企業Blogを立ち上げている。
この企業Blogをやっているのが327社(59.7%)というのは異常に高い。

今年1月8日の「Fortune 500 Business Blogs - Updates」で、Fortune 500にランクされる64社(12.8%、2008年11月時点)が企業Blogを公開していると紹介した(ところが2月11日時点では60社(12%)へと減っている)点からすると異常に高い。

参考:Fortune 500 Business Blogs - Updates (Online Ad 2009/01/08)
Source:Fortune 500 Business Blogging Wiki

ということは、Awarenessの調査対象企業は、そのほとんどが中堅以下というのが実情だろう。Fortune 500にランクされる企業であれば、縦割り組織のしがらみで実験段階へ進むまでにも相当の社内調整と時間がかかる。その点、中堅以下の企業であれば、「Return on Ignoring:何もしないことの効果(損失)」ビデオをイントラネットに上げるだけでトライアルの合意形成はできそうだ(?)。

参考:Return on Ignoring (Online Ad 2009/01/16)

Awarenessが説明しているように、Coneの調査結果によれば;
  • 93% ソーシャルメディアに企業は参加すべきと考えるユーザ
  • 85% 参加するだけではなく顧客とやり取りすべきと考えるユーザ
がいる。このユーザを無視する大企業と、ユーザを理解しようとする中堅以下の企業という姿も見えてきそうだ。

さて、「企業がソーシャルメディアを利用する、興味がある、その理由は?」という問いに対して;
  • 人材養成&確保
  • 顧客エンゲージメント強化
がトップグループで
  • コラボ&コミュニケーション強化
  • (ブランド)プロモーション
  • ネットワーキング(提携、連携強化)
  • マーケティングキャンペーン
が第二位グループとなっている。
Source:Awareness / Corporate Trends in Social Media Marketing

もっとも重要なのは、「企業がソーシャルメディアを利用する、興味がある、その理由は?」という問いの前に、「既存のメディア、マーケティングや広告戦略の限界を理解したうえでソーシャルメディアを利用しているのか?」という問いだ。

この認識がなければ、既存のメディア、マーケティングや広告戦略の延長線上にソーシャルメディアマーケティングが据えられるだけだ。そうなれば、当然、レガシー戦略の限界がそのまま適用されてしまう。また、単に競合が始めたからといった短絡思考で企業Blogを始めたのでは、上のFortune 500 Business BlogのようにBlogを中止せざるを得ない結果を招くだけになってしまう。

広告代理店、SEM代理店、マーケティングやPRエージェンシーが並べ立てるバズワーズに踊らされるだけでは、ソーシャルメディアススペースに参加することもできないし、ユーザと会話することなどできない。企業側に十分な現状認識と情報収集、分析能力が必要なのだが…。

2009/03/18

EU CTR 2008

この頃、ちょっとCTRづいている。独フランクフルトに本拠を置くAdtechからヨーロッパ主要国のCTRデータが出てきたので紹介する。

2008年10月から12月にかけてヨーロッパ6カ国、5,000のWebサイトに供給した100億のディスプレイ広告のCTRをまとめたものだ。
click-through trends of the last four years
それによると0.11%から0.19%の間で上下し、平均CTRは0.12%。ただし、CTRは国、季節、広告サイズによって大きく変動している。

国ごとの平均CTRを見ると、仏が0.18%でトップ、英が0.13%。独が0.1%、ノルウェーが0.06%、フィンランドが0.05%、スウェーデンが0.04%だ。

そして広告サイズごとのCTRは下の通り。(CHはスイス、SEはスウェーデン、DKはデンマーク)
Source:AdTech / Click Through Rate - Up and Down

ビデオやPop-up、そしてHalfsizeのように目を惹く動きや大きさのあるディスプレイ広告のCTRが高い。ビデオは平均1.7%、Po-upとHalfsizeは0.5%だ。また、独のビデオCTRが2.61%とダントツの高さを示している。

参考にあるように、米国でも、リッチメディアでも検索でも今後、CTRが急上昇する見込みはない。欧州では若干CTRが上昇しているように見えるが、数年前までのレベルにまで戻る保証はない。

参考:Search CTR 2009 (Online Ad 2009/03/10)
参考:Rich Media CTR (Online Ad 2009/02/16)
参考:CTR 2008 (Online Ad 2008/12/08)

こんな状況でもCTR、impressionしか広告効果指標として使っていない代理店、クライアントがいるのだろうか?そうでないとすると、何を指標として使っているのだろう。DoubleClickがいうようなInteraction、あるいは別のもの?

どう考えても、今までの広告効果指標では低下するROIを説明できない。いや、ひょっとすると広告効果指標さえ考えていないのかもしれない。

2009/03/17

Greenpeace Campaign "Tell Philips", Done

2007年11月からPhilipsに対して行っていたキャンペーン、「Tell Philips to Simply take back and recycle」が成功裏に終了したとGreenpeaceが発表した。
(下をクリックでサイトへ)
Philips Win

Philipsは消費者にリサイクル料金を負担させる陣営の先頭を走り、学術データを後ろ盾に、ビジネスモデルを構築していたわけだし、製造元に製品リサイクルの費用負担を求める法案にも反対していた。

そのPhilipsがポリシーを180度転換し、費用負担を受け入れると発表し、2020年までに温室効果ガス排出を30%削減するコミットメントも発表した。

Source:Greenpeace International
Source:Greenpeace Blog
Source:Philips / Recycling Program

これは、もはや、グローバルブランドが持続可能な製品開発、販売、引き取り・リサイクルポリシーなしにステークホルダーの納得を得られないということを意味している。また、地球温暖化や消費エネルギー削減に対する企業ポリシーが求められているし、加えてAIDSやマラリア対策、途上国の飲料水や子供の健康保護などにどんな貢献をしているかが求められているということだ。

P&Gは企業の社会貢献の一環として、「Live, Learn and Thrive」運動を行っている。今までに2.15億㌦を寄付し、7億㍑の安全な水を提供し、衛生教育やポリオワクチンを提供している。U2のVonoに共鳴したProduct (Red)にはGap、Motorola、Converse、Apple、Armaniなどが参加している。ExxonMobilは北京オリンピックに合わせたTVCFでマラリア撲滅キャンペーンを行っていた。

さて、e-Waste(エレクトロニクス製品の廃棄物)をめぐったGreenpeaceのlキャンペーンにより、全世界の47,000人がPhilipsに抗議のEmailを送ったということもあるだろう。しかし、本質は従業員、ビジネスパートナー、自治体、一般消費者など、今までマスメディアで声を聞くことがなかった人々の声がソーシャルメディアスペースに満ち溢れているからこそ、グローバルブランドは今まで以上に襟を正すのだ。

GreenpeaceはCoca Colaに対するハイドロフルオロカーボン(HFC)系冷媒(オゾン層破壊能力はないが、地球温暖化への寄与が大きい)の使用中止キャンペーン、McDonaldsと協力したアマゾンの熱帯雨林伐採中止キャンペーン、Appleに対するグリーン化キャンペーンなどで成果を挙げている。

成果を挙げていないキャンペーンに日本のブランドが関係しているものがある。捕鯨禁止に対する支援をCanonに訴えるケースと、Greener Electronics GuideにかかわるNintendoだ。Canonに対して13万通以上のEmailが御手洗会長に送られている。Nintendoには7,000通以上のEmailが送られている。が、両社から積極的なレスポンスは見られない。世界の人々から送られたEmailが無視されている。

参考:NGO Power (Online Ad 2008/08/15)
参考:Mindset Shift Required -2 (Online Ad 2008/03/14)

2009/03/16

Ryanair in Flames

アイルランドの格安航空会社、Ryanairは「乗客が機内で吸う空気以外は、すべて別料金」というビジネスモデルで大成功を収めている。強制加入の旅行保険、クレジットカード処理、電話対応などすべて手数料がかかる。(下をクリックでサイトへ)
ryanair_logo

そのRyanairの航空券予約Webサイトのバグを、Jason RoeというフリーランスのWeb開発エンジニアが見つけた。いろいろとやっていると航空券の値段が「0ユーロ」になるというバグだ。

そこで彼は「0ユーロ」で航空券をゲットするのではなく、自分のBlogでそのバグを指摘した。
ra1

彼が2月19日の午前中にアップしたエントリに対して、午後5:25、Ryanair Staff #1というユーザからの書き込みがあった。

jason!
you’re an idiot and a liar!! fact is!
you’ve opened one session then another and requested a page meant for a different session, you are so stupid you dont even know how you did it! you dont get a free flight, there is no dynamic data to render which is prob why you got 0.00. what self respecting developer uses a crappy CMS such as word press anyway AND puts they’re mobile ph number online, i suppose even a prank call is better than nothing on a lonely sat evening!!

ここまで口汚く罵るというのは、顧客対応以前だし、書き込み者の知性を疑わせるほどのものだ。

その後もRyanair Staff #2、#3というユーザからの書き込みもある。

Source:ViralBlog / Why Ryanair Needs A Social Marketing Agency
Source:JasonRoe.com / Ryanair no credit card fee + 0.00 flight bug

ViralBlogは以下のように書いている。

どうしてブランドは難しい方法で学びたがるのだろう?どうしてブランドは、デジタル消費者がコントロールしている新しい時代だということを理解しないのだろう?なぜブランドは、インターネットはコントロール不能のメディアであり、我々全員が所有しているということを学習することが難しいのだろう?

何度、ブランドに言わなければならないのだろう。広告代理店やPR代理店はソーシャルスペースでブランドの助けにはならないことを。

2009/03/13

Corporate Blogging

ソーシャルネットワークやBlogはWeb 2.0の推進役で、ブランドと消費者の間に未だかつてないやり取りを提供している。そこで、消費者が企業Blogをどう見ているのか、どこまで信用しているのかをForrester Researchがまとめている資料がある。昨年12月のものだが紹介する。

それによると16%しか企業Blogを信用していない。知っている人からのemailは77%、製品レビューは60%、ポータル・検索エンジンは50%、イエローページ(印刷)は48%、新聞は46%が信頼しているのと比べ、非常に低い数字だ。DMの25%、掲示板の書き込みの21%、個人のBlogの18%と比べても低い。

しかし、これをBlog読者やBloggerから見ると、Wiki、掲示板の書き込み、個人Blog、そしてSNSの企業プロファイルや企業Blogの信頼度は上がってくる。
ところがこの企業Blogを信頼するという人々はデモグラフィックプロファイルで有意の差を際立たせるグループでもない。また、企業Blogを信頼する人々は、結局のところ何でも信頼してしまうグループのようだ。
Source:iMedia Connection / Study : Consumers don't trust corporate blogs
Source:Forrester Research (要登録)

企業Blogが信頼されていないのは、加齢臭ではないが宣伝臭ぷんぷんであったり、モデレートされているコメントが企業寄りのものばかりであったり、新製品リリースに合わせてたくさんエントリが増えるが、それ以外の時期は閑散としていたり、結局の所、一方的なメッセージを配信しているだけだからだ。

そこでForresterはあるべき企業Blogの姿を7つにまとめている。その中から2つほど拾ってみる。
  • 顧客が抱える問題(疑問)に応えるBlog
    製品に関するBlogではなく、顧客が関心を抱く問題、疑問などをBlogすることで顧客価値を創造することができる。
  • コミュニティの核心に関するBlog
    顧客が一枚岩のように多くの共通項を抱えている場合、彼らを相互に結びつけることで価値を創造できる。
企業BlogはWeb 2.0タッチポイントの一つとして機能させるべきものだ。ただし、メッセージチャネルではなく、Blog界への参加チャネルであり、顧客の興味、問題、疑問、期待に応えるための会話チャネルとして機能させなければならない。

それができないのであれば企業Blogは不要だし、企業価値を下げる悪影響しか及ぼさない。

2009/03/12

Marketing & Media Survey 2009

Datran Mediaというところが2008年12月に三回目のマーケティング&メディア調査を行っている。Fortune 1000にランクされる企業の3,000人にもおよぶ管理職を対象に行った調査だ。

ディスプレイ広告、Email、検索、ソーシャルメディア、モバイル、オフラインメディア(プリント、TV、他)、DMを対象にどの戦術が最も効果があったかを複数回答で聞いている。

Emailが80.4%で断トツだ。自社リストを持っているところは低コストのマーケティング戦術としてEmailを活用できるので、そのROI効果は高いから重宝しているのがわかる。


今度は、各広告戦術ごとの予算の増減予定を聞いている。これもEmail予算を増やすというのがトップだ。検索がすぐ後ろに続き、ソーシャルメディア予算を増加するという比率も高くなっている。


最後に2009年の戦略で重視する戦術を聞いている。ニュースレターがトップ、リスト増強と行動ターゲティングが続いている。


Source:MarketingVox / Email, Search and Display Show Strongest Online Performance
Source:Datran Media / 2009 Survey

不況下で予算を増額することができないため、自社リストベースのEmailマーケティングとしてニュースレターを核に据えたい。そのためにはリストを増強しなければという構図のようだ。

ソーシャルメディア予算を増やすというのは、ソーシャルメディアスペースに参加するのではなく、広告費を増やすということだ。

しかし、IDCの調査データを伝えるMarketingVoxによれば、通常のオンラインディスプレイ広告をク一度もリックしたことのないユーザは21.1%いるが、SNS内での広告を一度もクリックしたことのないユーザは42.7%もいる。

Source:MarketingVox / SocNet Ads Less Effective Than Others

SNSは広告スペースというよりは、参加し、コンテンツを共有してもらうスペースなのだが、まだまだ広告というマーケティング戦略から離れられない。戦略転換が必要だと思うのだが...?

2009/03/11

Internet in India 2008

IAMAIから「I-Cube 2008」が出ている。

15歳以上の人口8.18億人、コンピュータ利用者が8,710万人、2008年3月時点で5,550万人のインターネットユーザがいて、そのうち3,930万人がアクティブユーザだ。2007年はコンピュータ利用者が6,500万人、インターネットユーザは4,600万人、アクティブユーザは3,200万人だった。
2008年9月時点で都市部のインターネットユーザは5,700万人に増えている。

ついこの間、日本は中国にインターネットユーザ数で抜かれたと思ったばかりだが、あと2~3年もすればインドにも抜かれそうな状況だ。中国のインターネット普及率が19%に比べるとインドの普及率はまだ5.2%でしかない。インドの普及率がふたケタに乗るだけで世界第三位のインターネット大国になってしまう。

Top 20 Internet Users
ところでインドの公用語であるヒンディー語を話す人口は4.9億人もいるのだが、言語別のインターネットユーザトップ10には入ってこない。2006年の国勢調査で英語を話す1.49億人の大半がインターネットユーザになっているのだろうか?

Top 10 Internet Languages
Source:IAMAI / I-Cube 2008 (pdf)
Source:InternetWorldStats.com / Internet Top 20 Countries
Source:InternetWorldStats.com / Top 10 Languages
参考:Internet in India 2007
参考:Internet in India 2006

2009/03/10

Search CTR 2009

米ペンシルベニア州立大学のBernard J. JansenとAmanda Spinkの手による「Investigating customer click through behaviour with integrated sponsored and nonsponsored results」という調査結果が出ている。

数百、数千のユーザが実行した700万回以上の検索行為から、Click-throughパターンを分析したもので、おもしろい結果が出ている。

以前、「Search Syndication and Traffic Quality」で紹介したBright talkの資料には、Paid Search Linkをクリックするのは14%にしか過ぎないとあった。
参考:Search Syndication and Traffic Quality (Online Ad 2008/09/09)

さて、今回の調査によれば、検索結果のCTRはたったの10.2%にしか過ぎない。
420万回の検索実績でクリックされたスポンサーリンクは43万回で10.2%だ。オーガニックをクリックするのは229万回で54.5%、クリックしないのが148万回で35.2%だ。

クリックしなかった148万回分を除外した場合、スポンサーリンクは15.8%、オーガニックは84.2%となる。

Bright Talkの資料は2008年8月19日の日付なので、データソースは2008年前半、あるいは2007年だったろうから、それからすると検索CTRは大きく下がってきていることになる。OECD加盟国はすでにこれ以上のインターネットユーザの増加は望めないほどのレベルだ。今後、中国などの途上国のインターネットユーザが増えては来るだろうが、検索CTR下落スピードを上回るスピードで増えるのだろうか?何でもかんでもクリックしてしまうユーザ数が今ほど増えなければ...?

また、検索目的も分析している。まず、特定トピックを探すInformational検索、ホームページ検索のようなNavigational検索、製品を購入するためのWebサイトを特定したり、Webサービスを利用したり、コンテンツをダウンロードするTransactional検索に分けている。

3つの検索目的の中では、Informational検索が83.4%とダントツだ。Navigationalが7.7%、Transactionalが9.0%となっている。
また、それぞれのCTRを見ている。平均すると15.81%だが、Navigational検索が19.31%と頭ひとつ抜けている。ただし、スポンサーとノンスポンサーリンクに明らかな有意の差は見られないとのこと。
次に3つの検索目的ごとの検索結果の順位によるCTRを出している。Informational検索結果の1番目をクリックする率は10.9%、Navigational検索結果の1番目をクリックする率は29.6%、Transactional検索結果の1番目をクリックする率は10.2%となっている。
Source:MarketingVox / Study : Click-Through Rates Lower Than Expected
Source:SearchEngingLand / Penn State Study : Paid + Organic Listing = 15% Clickthrough Rate
Source:Penn State University / Paid & Organic Search report (pdf)

Navigational検索結果の1番目をクリックする率が29.6%というのは統計学的に有意の差があり、InformationalおよびTransactional検索結果の11番目以降をクリックする率がそれぞれ21.0%、23.4%ということからも、Navigational検索はユーザが求める答えが最初に出てきやすいが、InformationalおよびTransactional検索は複雑な分、その答えもたやすくは出てこないことを示している。

さて、10.2%の検索CTRをまだ高いと見るか、Navigational検索目的ユーザに対して検索広告は必要ないと見るとか、それともSEOが必要だと見るか、はたまた、広告マーケティングに見切りをつけるか、あなたはどちらを取るのだろうか?

2009/03/09

Virgin Atlantic Social Media Approach

まず、2月28日にVirgin AtlanticのFlying Clubメンバー、キャビンクルー、Richard BransonのVIPコンタクトなどに対してソーシャルメディアポータルが限定公開された。その後、Virgin Atlanticは200万人を目標にコミュニティメンバーを募集し、6月に「Vtravelled」というソーシャルコミュニティを全世界のユーザに向けて正式公開するようだ。
航空業界は未曽有の危機に直面している。航空会社Webサイトへのユニークビジター(UV)は平均で19%ダウンしている。2008年12月、Virgin Atlanticは前年比で15%ダウン、372,000UVにまで落ち込んでいる。

comScoreのデータを見ると、Virgin Atlanticは7番目で上位の、EasyJet、RyanAir、BA、CheapFlightsなどとは大きなギャップを抱えている。
すでにBritish AirwaysはMetrotwin、AirFrance/KLMはBluenity、LufthansaはGenerationFlyGenFlylounge(学生限定)というソーシャルネットワーク、あるいはコミュニティを立ち上げている。EasyJetには専用ポータルがある。

Facebookのファンが1万人以上いるVirgin Atlanticにしては他社の動きに遅れていたソーシャルコミュニティをようやく立ち上げるということだ。

Source:New Media Age
参考:Airline Branding (Online Ad 2009/02/12)

今どき、マイレージやVIPの特別対応ならどの航空会社もやっている。そして、日本の航空会社はというと…。

2009/03/06

Advertising : Lipstick on a Pig?

「Advertising : Lipstick on a Pig?」という記事がViralBlogに上がっていた。これはLaComunidadというUKのブランドマーケティング会社がつくったショートビデオだ。
(下をクリックでビデオへ)
lipstick_490x350
途中で次の画面が出てくる。
筆者流の日本語にすると;
  • しばしば、(というよりも、いつも)広告とは豚に注された口紅のようなものだ(と、今どきのずる賢い消費者は分かっている)
  • (分かっているから今どきのずる賢い)消費者は口紅を注した豚など目もくれない
  • (今どきのずる賢い)ターゲットオーディエンスの声を聴く気のあるブランドは生き残る(かもしれない)
  • (広告代理店の言うように広告だけをしていればいいのではなく、)マーケティングとは広告だけを指すものではない(が、企業側の情報収集、分析・企画力がなければ広告以外のマーケティングができない)
  • 広告とはマーケティングのバリューチェーンを改善させるものだ(と考えられているが、マス広告が終焉を迎えつつある今、5年後にレガシー型・プッシュ型広告が生き残っているかとうかは分からない。そのため、5年後も広告がバリューチェーンを改善させているとは思えない)
Source:LaComunidad / Lipstick on a pig
Source:Viral Blog / Advertising : The Lipstick On A Pig?

2009/03/05

SEM agencies

Media Postに「10 Reasons Why SEM Agencies Don't Win New Biz」という記事があった。

クライアント、SEMエージェンシー、RFP、両者の関係性、そして担当者のスキル、両社の社内体制・ステータス、両社の戦略などが絡み合った環境で、オンライン業界の先頭を走る(と思っている)SEMエージェンシー担当者の先走った声がそこかしこで聞こえてくる。
ただし、SEMエージェンシーが「なぜ新しいビジネスが獲得できないのか」ということで次の10ポイントを挙げている。
  1. They don't build personal relationships.
  2. They talk about themselves.
  3. They let their technology do the talking.
  4. They focus on features, not benefits.
  5. They don't include the right folks in the pitch process.
  6. They don't go deep enough on the prospect's business.
  7. Their pitch is littered with buzzwords and jargon.
  8. They don't demonstrate that they've done this before for a client with similar needs.
  9. They don't disclose conflicts up front.
  10. They weren't a good fit.
Source:Media Post / 10 Reasons Why SEM Agencies Don't Win New Biz

基本的にSEMだからという固有のポイントはない。どの業種、業界の営業局面、マーケティング局面でもおなじみのポイントばかりだ。

ただし、付け加えるとすると、「SEMの価値がどこにあるのか、そのROIは他のマーケティング戦術とどう比較できるのか、そしてどういった結果が期待できるのか」という根源的な問いに答えることが必要だということだ。また、「他のマーケティング戦術とどのような整合と相乗効果を得られるか」という問いにも答えが必要だ。

2009/03/04

CMO's Perspective

世界を同時不況が襲い、株価、経済指標は奈落の底へまっしぐらといった観を呈している。そんな中、ICOMから「Marketers’ Survival Manual」という資料が出てきた。

この資料は、消費行動の変化を元に販促戦略を打ち出せ、小売の勝ち組と提携したマーケティング戦略を打ち出せ、不況時のクーポンに活路を見出せ、優遇メンバーシップの活用、マーケティングに投資せよ、といった内容になっている。

その枕としてEpsilonが行ったCMO調査データを持ち出してきている。それによると、今回の金融危機、不況による重大な影響があると考えるCMOは37%しかいない。少し影響があると考えるCMOは56%、影響がないと考えるのは6%だ。

リーマンショックが米国を襲った時、日本は大丈夫だと誰もが思っていた。だが、時間が経つにつれて影響は大きくなるばかり、GDPが年率二桁のマイナスにまで落ち込むとは誰も予想もしていなかった状況と似ている。
そして、広告予算を増額するのは5%にとどまり、削減するCMOは70%だ。
また、ソーシャルメディアツール、サービスに対するCMOのスタンスは最悪だ。MySpace、Facebookに対して否定的なCMOは55%、Blogも49%、フォーラムは34%、Webcast/Podcastは30%だ。
Source:ICOM / Marketers' Survival Manual (pdf)

今回の金融危機、世界同時不況は、Web 2.0時代に起こった。消費者・ユーザがメディアとして機能し始め、メインストリームメディアの質量を凌駕するまでに育ってきている。そして「自分と同じ様な人々」の声は、企業・ブランドのコミュニケーションメッセージを上回る影響力を獲得しつつある。

そして「広告の終焉」とIBMがレポートを出しているように、インターネット、Web 2.0、参加、共有といった要因が広告業界、広告代理店、メディアを揺らしている。ローマ法王がYouTubeにお出ましになるこの時代に危機感のないCMOは、何も日本に限った話ではないようだ。

参考:The End of Advertising (Online Ad 2008/08/29)
参考:Pope in a Box (Online Ad 2009/01/26)
参考:Return on Ignoring (Online Ad 2009/01/16)

2009/03/03

Online Customer Experience

Adobeから「Online Customer Experience」という資料が出ている。これは2009年に企業がすでに導入していたり、計画、予定している「オンラインでのカスタマー体験」機能をまとめ、分析している。

まず、リッチメディア・販促系の機能だが、画像、別角度からの画像、オーディオ・アニメが30%を超える導入率。地域別ではEMEAがマイクロサイト・ブランドブティック、北米はズームが導入トップ。
計画されている機能では、360%回転、カタログ、Podcast・ライブビデオが上位に来ている。
効果のある機能として、別角度からの画像、画像、ズーム、フィルタリング・アドバンスト検索、SLP、ロールオーバー、色変えなどの効果が高いと90%以上が評価している。
すでに導入されているソーシャルネットワーク機能では、Blog、RSS、ユーザ評価・コメントが20%以上だ。計画されている機能では、Blog、ユーザ評価・コメントが30%となっている。
効果のあるソーシャルネットワーク機能は、ユーザ評価・コメントがトップで87%、次にURL&Webウィジェットのバイラル共有、UGC、Blogが来ている。
Source:Adobe /Adobe Scene7 2009 Online Customer Experience The Next Generation Survey (pdf)

他にモバイル、パーソナル化機能、効果測定法、機能導入までの期間などのデータもある。

「ユーザ評価・コメント」が導入実績でも、今後の導入計画でも、効果でも高いポイントを獲得している。

ユーザの声が一番なのだ。また、ユーザの声が聞けるスペースがそこかしこに存在していることもあり、企業・ブランド色のついていない真の声が聞けることを多くのユーザが知っている。反面、そんな状況を把握もせず、せっせと色つきのコミュニケーションメッセージを送り続けている企業・ブランドも多い。

いつになったら企業・ブランドの耳は消費者の声を聞くことができるのだろうか?